柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

解釈

2007-05-01 08:42:26 | Weblog
映画「バベル」の、ディスコ(今はクラブって言うらしいですが)でのシーン、強烈なライトの点滅、速いカット展開、気分の悪くなった人が多く出たという記事です。かつてポケモン映像での痙攣騒ぎに繋いでの記事のようですが、これは単純に車酔い船酔いの類なんでしょう。いえ、こういう画面見て痙攣起こす人はいます、でも、それはその人特有のことであって、ああいう画面が誰彼なく痙攣を引き起こすのではありません。そこは誤解のないようにご認識ください。さてその映画、先日見てきました。もうご覧になりましたか。唐突に始まった最初のシーンと終わりのシーンとを繋ぐ手法、三つの物語を同時進行させてやがて一つ因に収束させる手法など、なんだかこの手の映画を見慣れていない者にとってはテクニカルに翻弄される感が拭えませんでした。そして、ダビンチコード見たときと同じ「不全感」、これはひとえにこっちに基礎知識が足りないからですが。後で女房に聞くことでした、一体なんだったんだ?三つの話が一つに繋がりはするけれど、助演女優賞取り損ねたあの役の娘の放埒さふしだらさをどうしてあんなにこれでもかと露出せねばならぬのか?なんて、実はあの女優の顔が好みでない分、八つ当たりです。しかし道徳オヤジの私とすれば見ているのも嫌なシーンの連続でした、ディスコのチカチカシーンも酔いはしませんでしたが胸は悪くなりました。でも後であれこれ、こういうテーマで、こういう意味でと教えてもらうとそれなりに整理はつきました。ふむ、つまり私は今までこんな映画を見ていなかった、基礎知識なり心構えなり前もっての用意の要らないものばかりを見てきた(そんなに言うほど見てもいませんが)という証明でもありました。ダビンチコードほど、筋追うのに精一杯と言うものでもなかったですが。
 日経新聞、昭和天皇の行動や言動に関する自社のスクープ「富田メモ」の検証を多くのページを割いて載せています。外部学識者の検証という謳いです。内容は読んでもらうとして、その検証者です。御厨貴、秦郁彦、保坂正康、熊田敦美、そして富田夫人と言う顔ぶれ。秦氏は南京虐殺事件やら慰安婦問題に多く発言している人で、右寄りの硬論を言ったり左に傾いたり、よく言えばリベラル、悪く言えばどっちつかずの人。保坂氏は多くの著作がある昭和史の専門家(最近も歴史検証ものを多く出しています)ですが、この人と御厨氏(学者さんです)は左寄りの人です。熊田なんとか氏は知りません。日経が選ぶ人達ですからこういうラインナップになるんでしょうが、こういうラインナップであればああいう結論に進んでいくのでもあります。他の新聞やら月刊誌やらがあまり取り上げない、それほどに話題にならなかったのはそれなりの理由があってのことなんでしょうが、例えばこの話題で、小堀桂一郎とか田久保忠衛、岡崎久彦、長谷川三千子、高橋史郎、高山正之、上坂冬子あたりに話させればきっと違った展開になったでしょうね。それで足らねば小林よしのりです。半藤一利は保坂、御厨側でしょうか。と、分かったように書きましたが、特に歴史評価は書き手によって白と黒くらいに違ってきます。有名なところでは岩波の出した昭和史一連、遠山茂樹、井上清の手になる、戦後全体主義軍事主義への反動の波に支えられたマルキシズム史観。小中高校の教科書は全てこの色で塗られました、日本悪者論です。それは天皇戦犯論、天皇制打破へと繋がります。私達は知らず知らずにそういう教育を受けてきているのです。もちろん戦前戦中はその逆だったとも言えます。妙なリベラルは却って有害ですが、事には必ず裏表です。新聞こそ右の左のの強い媒体です。どうか丸呑みされませぬよう。こういう企画は(先に読売が昭和史の断罪なんて特集やってましたね)どうか眉に唾つけながらお読みになるように。史実は史実、要はその解釈です。
コメント (2)
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