ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

新成羽川ダム

2017-04-15 04:45:07 | 岡山県
2017年4月9日 新成羽川ダム
 
高梁川河口部では1950年代後半から水島臨海工業地帯が形成され、中国電力は増加する電力需要へ対処するため新たな電源開発に迫られました。
そこで中国電力は高梁川の主要左支流成羽川に着目、1963年(昭和38年)に『新成羽川発電所建設計画』を策定し1968年(昭和43年)に成羽川中流域に3基のダムを建設しました。
この事業の中核として3基のダムの最上部に建設されたのが新成羽川ダムで新成羽川ダムを上部池、下流の田原ダムを下部池とする新成羽川発電所で最大30万3000キロワットの揚水式発電を行っています。この出力は完成当時は西日本の水力発電所で最大規模を誇りました。
新成羽川ダムは発電のほか岡山県臨海部の工業用水の水源として岡山県企業局が建設時から事業参加していました。現在は千屋ダム、河本ダムとともに水島工業用水道事業、笠岡工業用水道事業の水源となっています。
新成羽川ダムの型式は日本では珍しい重力式アーチで、堤高103メートルの日本最大の重力式アーチダムとして日本ダム100にも選定されています。
 
田原ダムから県道107号を西進すると新成羽川ダム左岸に到着します。
天端を渡り成羽川右岸に向かいますが、右岸の県道437号は落石により通行禁止のため歩いてダムの下流へ向かいます。
すぐにダムの堤体が見えてきました。
 
日本一の規模を誇る重力式アーチとほぼ真正面から正対できます。
まるで鷲が羽を広げたような雄姿、クレストには6門のラジアルゲートが並びます。
発電所は洪水吐下のダムの堤体内にあり、洪水吐下部が発電の放流口及び取水口となっています。
 
左岸に戻ります
天端には取水設備建屋、対岸に管理事務所があります。
 
洪水吐のシュート部分
この下に発電所があります。
 
右岸の変電所。
 
天端は車両通行可能
建物は取水設備。
 
補助ゲートはキャタピラゲート。
 
ダム湖は備前湖
岡山県から広島県へと続きます。
 
右岸から。
 
取水口からの水圧鉄管。
 
上流面。
 
(追記)
新成羽川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1879 新成羽川ダム(0924)
岡山県高梁市備中町西油野
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
高梁川水系成羽川
IP
GA
103メートル
289メートル
㎥/㎥
中国電力(株)
1968年
◎治水協定が締結されたダム