世界変動展望

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子宮頸がんワクチンの研究不正の調査結果について

2016-11-19 11:36:00 | 社会

信州大学が子宮頸がんワクチン研究について不正がないという調査結果を公表した。正直いって、私はこの問題が告発された当初は告発側の主張事実が正しいなら不正があると思うものの、最後までどうなるかわかないと思っていた。

なぜなら、今まで研究機関がでたらめに調査した例をいくつも見てきたからだ。特に事件が大事だったり、被告発者が高位者の場合にその傾向が顕著だ。この問題は不正であれば社会的影響が非常に大きいし、主要な被告発者が当時医学部長、副学長だったから、不公正な調査を疑っていた。

調査結果によると、報告した成果の根拠がたった一つしかない事例だった事が確認され、再現性がなく科学的に支持できない結果が断定的に報告されたが予備的な結果で必ずしも科学的に証明されている事を要しない事を主な理由に研究不正が否定された。

池田班の研究成果は厚労省のHPに公式資料として公開され、テレビ報道もされた。そのような不特定多数に向けた断定的な研究成果の発表が、予備的結果で必ずしも科学的に証明されている事を要しないという判断には疑問がある。

予備的結果という特段の断りもなしに不特定多数に向けて断定的な研究成果の発表をすれば、科学的に証明された結果が公表されたと考えてしまうのではないか。特に科学者でない一般人はそうだ。さらにテレビ放送は多くの視聴者が科学者でない一般人で、真実報道が大原則で高度な裏付けが要求されるテレビ報道で特段の断りもなく断定的な科学的成果が報道されれば、科学的に証明された成果であると判断する蓋然性が極めて高い。成果の根拠がたった一例だとか科学的に全く支持できない内容の放送だとまず判断しない。

だから、予備的な成果で必ずも科学的証明が必要でないので不正でないという判断には大いに疑問がある。

もし、この見解に従えば、科学的に全く支持できないのに特段の断りもなく断定的に研究成果をテレビ放送しても不正でないという事になるが、視聴者やテレビ局の側から見れば誤報だし許されない。

信州大の調査委員会は全員第三者だったが、このような結果が出て愕然とした。調査委員長が刑法の大家である前田雅英氏だったのに、こんな結果になった事も残念だった。どうしてこんな結果が出たのか。

STAPの第ニ次調査委員会も全員第三者だったが、文科省ガイドラインに反して生データ等の提出がない場合でも、たくさん不正を認めず、理研の要望に沿った結論を出した。

前から形式的に第三者委員会を作っても公正な調査が行われないと思っていたが、今回の事例でその考えを強めた。今後ORIのような第三者調査機関を作ったとしても、信州大やSTAPの第二次調査委員会のようなものではだめだ。どう改善すればよいかは今後の課題だ。

今回のWedgeや村中璃子氏は熱心に取材し、社会の利益のため勇気をもって告発したのに、不当な判断で大きな損害を受けたので残念だ。公正に調査されれば不正は認められたはずだ。池田修一氏は調査結果に対して安堵したと述べ、反省や謝罪はなかったが、少なくとも社会に対して科学的に全く支持できないのに断定的に成果をテレビ等で発表し、大きな衝撃を与えた事に対して大きな責任がある。完全な被害者で謝罪や反省を述べないというのは不適切だ。

今回の調査結果でマスコミの研究不正の取材報道が不当に委縮する事を懸念している。公正な調査裁定制度を求める

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(2016年11月20日)

村中璃子氏のツイート1, 2フェイスブック.