世界変動展望

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対局放棄事件に対するマイナビの対応と連盟とLPSAへの提案

2013-03-02 01:33:21 | 囲碁・将棋

対局放棄に対するマイナビの対応について

先日対局放棄事件についてマイナビが紛争が起きる前に正常な棋戦運営のために女流棋士の認定条件について連盟とLPSAの話し合いに委ねず積極的に話し合いをすべきだったという事や両団体の話し合いに委ねた以上、発生した結果には責任を持つべきだと主張し、マイナビにも紛争発生の問題があると執筆した。

しかし、いろいろな文献や指摘コメント、自分なりの考察を考えると、女流棋士の認定条件はかなり専門的な内容で、マイナビが検討するのは難しく両団体の協議に委ねるのも仕方ないし、採用条件という両団体の本質的な権能に関わる事だから、スポンサーは本来関わるべきでない内容で両団体の協議できちんと解決すべきだ。総合的に考えると女流棋士認定資格の件で事前に防止活動をさせるのは困難だったし、また介入すべき問題でもなかったと思う。故にマイナビに対局放棄の事件の責任があるという私の先日の見解はあまり良くないものだった。すみません。その件については訂正します。

連盟とLPSAへの提案 - 特に石橋を含めたLPSA執行部に読んでほしい

私は現在発生しているLPSAと連盟の紛争を解決し、両団体や将棋ファン、スポンサーの幸福や発展のため、次のことを連盟とLPSAに提案する。(1)女流棋士認定の共通基準を作る又は(2)協議して連盟とLPSAの女流棋士認定基準の質的均衡を実現し、連盟がLPSAの基準をクリアーした人も正式に女流と認める等、解決策を協議すること、(3)LPSAは一刻もはやくマイナビ、連盟、将棋ファンに謝罪して容赦してもらうこと

特にLPSAは状況や連盟の主張を客観的に認識することが非常に大切。LPSAが連盟と本当にうまくやっていき、将棋を発展させ、ファンから愛され、自分たちの理想を実現したり、全構成員を幸福にしたいと思っているなら、連盟の気持ちをきちんと理解しないと絶対にまずい。この調子で先日の見解公表のようなことをやっていると、うまくいものもうまくいかないし、本当に連盟と絶縁して不利益を被る。私はこのことをLPSA全構成員、特に石橋を含めた執行部の人たちにきちんと理解してほしいと強く思っている。LPSAの態度を見ると、連盟、LPSA、将棋ファン、将棋の発展等にとって、本当に危機的だと感じるからだ。

これは私の推測だが、2月16日付けで連盟が谷川名義でLPSAに出した条件のうち

「② 貴協会は、連盟と今後、友好的関係を築くように努力する旨、今後、
女流棋士認定基準について、連盟、棋戦主催者及び将棋ファンが広く納得する
共通の価値・認識を持つ基準を協議する旨を表明すること。[1]」

というのがある。これは(2)を実施して友好的にやっていこうということではないか?

「また、貴協会は、渡部愛さん個人に苦痛の思いを負わせるのではなく、法人として共有するべき契約解除に至った旨主張しておられます。しかし、渡部さん個人に非があると考えている人など誰もおりません。連盟においても、渡部さんを将来の有望な方と受け止め、ご活躍していただきたいと願っているところであり、問題の本質はそこにはありません。

さて、改めて本書を差し入れましたのは、貴協会が、ことの本質を理解されず、いつまでも貴協会の主張に固執されることは、スポンサー各社様の理解が得られないだけでなく、将棋ファンを困惑させ、今後の将棋の発展と普及を阻害するという危機的問題であると強く認識しているからです。[1]」

少し推測も入るが[1]を見る限り、LPSAが契約解除した理由はLPSA独自認定の渡部が棋戦に出られないのは可哀想だから、LPSAのみんなで守ろうと考えた。だから契約解除をした。こんな問題が二度と生じないように、LPSAの基準でも正式に女流と認めてほしい。

これがLPSAの主張だと連盟は考えている。

しかし、連盟を含めて誰も独自認定の渡部の実力が乏しいから、女流にできないとか、LPSAの基準を認められないと思っていない。それが本質ではないといっている。(だから、LPSAと石橋が謝罪すれば特例で渡部を女流棋士3級待遇にしてもいいと思っているのだろう。連盟が渡部の実力を女流にふさわしいと評価していることの表れだろう。)

連盟の主張だとLPSAが事の本質を理解せず、自己の主張に固執しているから、解決(=和解)ができず、紛争でスポンサーや将棋ファンが迷惑しているし、連盟にもLPSAにも互いの活動の害悪となっていて、危機を強く感じるということ。(谷川の文章のとおりだが。)

これだけ読んでも連盟や谷川は紛争を解決するために、LPSAと和解したいと思っているのはわかる。確かに、これを読むとLPSAが先日公表したように谷川が「将棋界発展のため(互いが)協力していくことが望ましい[2]」(2013年2月19日の谷川とLPSA執行部との直接会談)と述べたのは信用できそうだ。谷川は端的に「②貴協会は、連盟と今後、友好的関係を築くように努力する旨 [1]」と言及しているし、友好的な関係を築こうとしているは確かだ。

しかし、和解のために極めて重要なのは谷川がいう本質が何なのかをLPSAがきちんと理解することだ。この本質というのは極めて大切。本質とは何だろうか?[1]で端的な言及はないが、まず間違いなく女流棋士認定基準の質が谷川の主張する本質だと思う。

「貴協会の要求は、貴協会独自に認定したプロ認定基準に基づき認定したプロ棋士を、連盟の認定基準に基づき認定されるプロ棋士と同等に扱うよう要求するところに帰着するものであり、連盟がこれに応じないのは、貴協会の自主性・自治権を否定し、貴協会の独自の権限に干渉し、貴協会の活動を排他的に制限する旨主張しておられるものです。
 しかしながら、それぞれの社団は、それぞれの目的、基準において運用されるものであり、貴協会がいかなる対応をされようとも、連盟は、今行われておりますプロ認定基準を今後も厳格に運用する所存ですので、連盟の運用指針についてご理解いただきたく思います。[1]」

連盟は自分の認定基準は変えないと言っている。その一方で

「女流棋士認定基準について、連盟、棋戦主催者及び将棋ファンが広く納得する共通の価値・認識を持つ基準を協議する旨を表明すること。[1]」

と述べているから、これは協議して連盟基準との質的均衡を実現できるようにLPSAの基準を変更してほしいと連盟や谷川は考えており、それが実現できたらLPSAの独自基準の女流もプロと認めるということだと思う。スポンサーや将棋ファンが納得する基準という条件も入っているが、スポンサーやファンは連盟基準をみんな認めているから、要は連盟とLPSAの基準の質的均衡を実現しろということ。合理的に考えて、変更の方向はLPSAの基準を厳しくする方向だ。LPSAの基準の方が厳しかったら連盟は文句をいっていないだろう。

即ち、こういう提案を連盟や谷川がしたということは、まず間違いなく連盟の基準よりLPSAの基準の方が甘いと連盟は考えていて、そういう基準でプロと認めると、現在研修会でがんばっている少女たちが可哀想だし、これまで夢破れてきた人たちも可哀想だし、現役・引退棋士も納得しない。だから連盟基準は変えられないし、LPSAの甘い基準でプロとも認められない。連盟はきっとそう考えているのだろう。

「連盟、棋戦主催者及び将棋ファンが広く納得する共通の価値・認識を持つ基準を協議する[1]」と連盟がいった以上、[1]を読む限りでは連盟は「貴協会の自主性・自治権を否定し、貴協会の独自の権限に干渉し、貴協会の活動を排他的に制限する[1]」というつもりでは全然ないということだ。なぜなら、みんなが納得するLPSA基準を作れば、連盟は女流と認めるといっているからだ。

前にいった、研修会卒業の人だけを女流棋士にすることで、LPSAに新人が流れないようにする等、[1]を読む限りでは、そういうことを連盟は一切考えていないということ。米長時代の連盟の態度から私は以前にそう邪推していました。すみません。「貴協会の活動を排他的に制限する[1]」とLPSAは主張したようだから、LPSA基準を認めないのは新人を連盟に囲い込むためだとLPSAが疑っている可能性はかなり高い。藤森親子事件のような脱退工作を本当に受けたなら、LPSAが疑うのも仕方ないかもしれない。対局放棄の記者会見動画を見ても、石橋らは被害者意識がかなり強いと感じた[3]。よほど米長に恨みが・・・。

それはいいとして、部外者の私はともかく当事者のLPSAがこんなことにとらわれていたら絶対に建設的な関係にならない。LPSAは上の連盟や谷川の考えを絶対にきちんと理解してほしい。理解してきちんと行動すれば、LPSA、連盟、ファン、スポンサーを含め、全てが必ず良い方向へ向かう。

私の考えは日本経済新聞記者の柏崎海一郎の考えと同じもの。私はかなり参考にしたし、[1][4]をみるとかなり近いものがある。谷川が提案した妥協案は[4]で提案されたものにかなり近い。まるで[4]の見解をそのまま参考にしたというような感じを受けた。[4]が述べた本質も[1]の文章に対する上の考察から、当てはまる部分が多いし、何より取材したのだから、おそらく[4]の主張は正解だろう。さすが柏崎記者。プロ記者の考えは違いますね!

さて、改めて[1]をみると、谷川が提案した内容はLPSAにとってかなり良い内容だと思う。なぜなら、LPSAは独自基準で認定した女流を連盟もプロと認め棋戦に参加させてほしいというのが一番の目的なのだろう。それが認められないと思っているから対局放棄までしたのだろう。

目的を実現したいのだったら、谷川が提案した内容を期日までに満足すれば良かっただけではないか?[1]の条件②は「協議してみんなが納得するLPSA基準を作っり、それをクリアーした人は連盟としてプロと認めるよ。」ということだ。

対局放棄に関する私の法的考察は以前紹介したとおりで、おそらく法的に有効な契約解除事由はなく、合理的な理由なしに棋士にとって命ともいうべき対局を記者会見してまで故意に放棄するのは暴挙で社会的にも許されない。それは多くの人にとって同じ見解だと思う。契約の一方的解除はLPSAの違法行為であり、対局放棄はLPSAや石橋が悪い[5]。それはきちんとわかるはずだ。(違法という認識は錦織弁護士がいるのだから、正しく認識できると思うが・・・。私は錦織弁護士がなぜ一方的解除を止めなかったのか不思議でならない。)

契約の一方的解除や対局放棄という暴挙に出て連盟やスポンサーに大変な迷惑をかけた相手に対して、謝罪すれば渡部を特例で女流棋士3級待遇とし、友好的にやっていこうといい、連盟も女流と認めるLPSA基準を協議しようとまで連盟は言っている。そのために、わざわざスポンサーに頭を下げて、無理に対局延期をお願いして前例のない2回延期を実現し、LPSAや石橋に冷静に適切な対応を検討してもらう機会を作り、LPSAや石橋に誠意ある対応を決断してもらおうと努めた。

連盟はかなり譲歩しているし、対局放棄やそれに関するLPSAの非常に理不尽な回答に内心ものすごく怒っているものの、LPSAのためにとても優しく親切な態度をとっている。たぶん、米長時代のLPSAへの嫌がらせの被害に配慮したという理由もあるのだろう。確かに会長が谷川になって、昔と変ったと思う。確かに、「さずが谷川会長![2]」だ。谷川は素晴らしい。

しかし、致命的だったのはLPSAや石橋が状況や連盟や谷川の主張を全然正しく理解せず、最後通牒の連盟要求を満たさなかったり、[2]のような非常に愚かな反撃公表をしてしまったことだ。これだけ寛容な姿勢を示していた連盟や谷川に対して、LPSAや石橋は本当にとんでもないことをしたと思う。せっかくうまくいくチャンスがあったのに、台無しにしたという印象を持つ。本当に台無しかはわからないけど、[2]のような公表をしたら台無しになっても全く不思議ではない。

最初にいったように、LPSAが状況や連盟の主張を正しく理解せず、[2]のような非常に愚かな行動をしたら、絶対にまずく、将棋界、特にLPSAにとって非常に危機的だというのはわかるでしょ?これだけ力説すればわかってくれると信じたい。

[1]の連盟や谷川の危機感や寛容さ、友好関係を望む様を考えると、2月22日の処分だって本当に苦渋の決断だったと思う。謝罪してもけじめ上一定の処分はあったと思うけど、間違いなく2月22日に発表された処分よりも軽いものだったろうし、本心では連盟も谷川もその他執行部も含めみんな処分なんてできればやりたくなかったと思う。LPSA執行部はこういう意味でもLPSAの構成員に大変な損害を出したことを知るべきだ。

LPSA執行部のあまりの判断力の低さを考えると、正直こんな簡単なことさえ理解できているか心配になるのだが、念のために言っておくと、対局放棄の件で謝罪するのは連盟やスポンサーとうまくやっていくためには絶対に避けて通れない。謝罪しない限り、絶対に状況が改善することはない。わかりますよね?

このままでは連盟、将棋ファン、スポンサー、将棋の発展、何よりもLPSAや石橋にとって非常にまずく危機的。それを改善するために、私は(1)~(3)を提案する。

連盟やスポンサーが許してくれるかわからないけど、一縷の望みかもしれないが、LPSAや石橋は誠意ある対応を一刻もはやく決断してほしい。

参考
[1]谷川浩司日本将棋連盟会長の書面 2013.2.16
[2]連盟処分に対するLPSAの対応 2013.2.27
[3]


LPSAのマイナビ女子オープン対局放棄の記者会見 (2013.1.29)

[4]柏崎海一郎:"女流将棋界で対局ボイコット騒動 プロ資格巡り対立" 日本経済新聞 2013.1.30
[5]LPSAは『「LPSAによる違法行為」とも述べていますが、当方に一切やましいことはなく、事実無根かつ言語道断であります。[2]』と連盟やファンに公表し、連盟を非難したのだから、LPSAや石橋が解除を合法だというなら、合法的理由を連盟やファンに説明しなければならない。

マイナビがLPSAを正常な履行ができない状態(LPSAにだけ不当な扱い)にしたから解除したというだけではわからないので、もっときちんと解除の合法的理由を説明してほしい。



6 コメント

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Unknown (ぱらぼら)
2013-03-02 13:07:31
仰るとおりですね。
私が気になるのは以前も書きましたが、現在のLPSAが連盟の「負の部分」を受け継いでいるように見えることです。以前はLPSAに好意的な将棋ファンが多かったのに今回総スカンを食らっているというのは、それに対する拒否反応の現れもあるのではなのではないかと思います。

連盟が出した提案は大幅な譲歩案で、以前の連盟のスタンスとは明らかに違い、これは谷川会長や新任理事の意向が大きく関わっていたのでしょう。要は連盟の中でもLPSAに寛容な人たちが交渉の場に登場した、というターニングポイントだったはずです。本来ならば。

でもLPSAはそんな人達に唾を吐きかけてしまった。「ほらやっぱりLPSAとは話ができないじゃないか、俺がやってた事の意味がわかっただろう」と、前会長が雲の上で笑っているのではないでしょうか。
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回答 (世界変動展望 著者)
2013-03-02 22:51:58
LPSAと石橋は対局放棄について謝罪して、建設的にやっていってほしいと思います。
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マイナビ側の問題 (たいがあ)
2013-03-08 14:49:17
今回連盟とLPSAの対立ばかりに目を奪われていましたがマイナビの対応を中心に考えてみると、マイナビ側の説明責任の放棄には本当に腹が立ちます。三者共催というのは三者が対等ということであってスポンサーという立場をいいことに勝手にそれを踏みにじっていいことではありません。マイナビは理由はどうあれそれをやってしまった。対局拒否とLPSAの棋戦からの一方的離脱はその結果生じたことであり、LPSAだけが責められるのはどう考えても納得がいきません。マイナビさんは棋戦の健全な運営についてどう考えているのか。そのことを強く問いたいです。今回の事件が起こってからマイナビ側は直接語ることせず、契約の経緯についても納得いく説明を未だにしていません。何が起こったのか事実関係がクリアでないのにどうしてLPSAと連盟は話し合えるんですか。認識が食い違ったままではいつまでたってもゴールは見えません。
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回答 (世界変動展望 著者)
2013-03-08 23:05:51
あなたの主張はまるでLPSAの幹部の主張みたいですね。マイナビの対応に関する考察は本文で述べたとおりです。あなたの主張はぜひマイナビやLPSA、連盟に伝えてください。
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世界変動展望様へ (たいがあ)
2013-03-09 07:33:44
レスありがとうございます。私がいいたいのはマイナビは説明責任を果たせということです。ただ世界展望さんのおっしゃるように谷川提案を受け入れた方が現実的にはいいのかもしれません。早く解決したほうが双方のためです。連盟の立場も理解できるのです。LPSAのように連盟は軽々しくマイナビを批判できないのです。将棋世界を止められたら立ち行かないですから。きちっと動かぬ証拠を掴んで進めないとならないんですよ。連盟側は。双方のやり取りを見ていてもうここまで来たらマイナビはすべてを明らかにするべきではないんでしょうか。マイナビが本当に来年も棋戦を続けたいのであれば。交渉が決裂したとは思いません。連盟の次の一手を見守ろうではありませんか。
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回答 (世界変動展望 著者)
2013-03-09 23:10:21
マイナビに自分の主張をぜひ伝えてください。次の一手を指すのは連盟ではなくLPSAでしょう。謝罪しない限り処分が続いていくだけです。
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