世界変動展望

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ストーリーに沿ってデータを作成し論文を発表することについて

2014-12-10 00:10:25 | 社会

あらかじめ描いたストーリーに沿って研究しデータをとり論文発表することがあるかもしれない。笹井芳樹の研究でもそのような事が報じられた。

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「確かに笹井さんは優秀な研究者です。特に論文執筆の能力はずば抜けている。天才と言っていいでしょう。しかし、彼は非常に危険な手法で論文を書く。実験データより、あらかじめ作った筋書き(ストーリー)を重視するのです。部下の研究員には、『この結論を導くためにこういうデータがほしい』と命じる。彼の構想に合わないデータを提出すると『お前は使えない』と強烈なダメ出し。当然、下からは嫌われます。
 だが、小保方さんは笹井さんの要望に沿ったデータを『先生、出来ました』と次々に持ってきたのです」

(週刊文春 2014年4月17日号 p25より)

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実際にSTAP論文において小保方晴子が恣意的にデータを作成した疑いがある。

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こうした幹細胞やその混合物から得られたデータが論文中でどのように使われたのかを見ていくと、小保方氏らが論文で描いていたストーリーに、それぞれぴったりと当てはまることがわかる。欲しいデータが得られるように、入手可能な細胞を取り合わせ、共同研究者らに解析やキメラマウス作製を依頼していた疑いがある。実験結果すべてが捏造だった可能性すら捨てきれない。

(中略)

この2つの図から描けるSTAP細胞像は、「元の脾臓細胞よりはES細胞寄りだが、受精卵からできる桑実胚や胚盤胞よりはずっとES細胞に近い」というものだ。というより、むしろこうしたストーリーを描くのに必要なデータを取るために、一方では酸に浸けて遺伝子の発現が若干変化した脾臓細胞を、もう一方ではES細胞を用いた疑いが濃い。

(中略)

「FI幹細胞はES細胞とTS細胞の性質を併せ持つ、STAP幹細胞よりTS細胞に近い細胞」という論文の主張は固まっていただろう。論文の査読者や、実質的に論文を執筆していた笹井氏とのやりとりの中で、主張を補強する追加データを取りたいとの思いもあったかもしれない。
 図2iの樹形図は、まさにその主張を完成させるデータである。小保方氏はこのデータを得るためにES細胞とTS細胞を混ぜ、遺伝子解析チームに依頼したのではないだろうか。

(日経サイエンス2014年8月号 p54~61、"STAP細胞の正体" より)

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NHKスペシャルの報道を見ると、笹井芳樹が関わって図表が大幅に増え、内容が改訂されたことがわかる。新しいSTAP論文の図表のうち7割以上に疑義や不自然な点があり、うっかりミスではないと報道された。キメラマウスにTCR再構成が確認できないので、T細胞→STAP細胞→STAP幹細胞→キメラマウスという論文のストーリーが成立しない事に笹井芳樹が気づいていたのではないかという指摘も言及された。


NHKスペシャル 調査報告 STAP細胞 不正の深層

笹井芳樹がストーリーを描き、小保方晴子が次々に都合のいいデータを捏造して論文発表したのだろうか。そういう疑いを否定できない。

東大分生研事件ではボスの加藤茂明氏が「論文作成の過程において強い影響力を行使し得る立場にあったところ、同氏が研究室の教員・学生に対して、その技術レベルを超える実験結果を過度に要求し、強圧的な態度で不適切な指示・指導を日常的に行ったため、一部の教員・学生をして加藤氏が捏造・改ざんを容認している、もしくは教唆していると認識するに至らしめたことが問題の主たる要因・背景となっており、加藤氏がこのような環境を作り上げたことが、加藤氏の主宰する研究室における不正行為を大きく促進していたものである[1]」と東大が公式認定した。

東大分生研事件は組織ぐるみの研究不正でボスが部下に対して過度に研究成果を要求し、強圧的な態度で不適切な指示・指導を日常的に行い、部下に捏造、改ざんを教唆している又はそれらを容認していると認識させ、50編以上の捏造、改ざん論文が発表されてしまった[1]。論文172編で論文捏造をした世界記録捏造犯、藤井善隆は「あたかも小説を書くごとく、研究アイデアを机上で論文として作成した」と公式認定された。

私が相談を受けた時に上の話のようにボスがストーリーに沿ったデータを部下に出すように強要されたという事を聞いたことがある。某大学教授のように都合よくデータを流用したり、部下が不利益を恐れて上司に逆らえず捏造を続けてしまったという事もあるデータ改ざんを上司から要求され拒んだ人物が追い出され学界から去ることなった例も

ストーリーに沿ってデータを作る又は部下に捏造、改ざんしてもデータを作る事を強要し、逆らうと酷い嫌がらせを受け、時には学界から追放される事は現実に存在する研究不正調査制度の問題を前に述べたが、現実になんとかしないといけない問題だ。公正な研究遂行をしないといけない。そうしないと研究不正がまた起き、ストーリーに反したデータを提出した人や不正の強要を拒んだ人が不当な嫌がらせを受けるという不条理な問題が発生する。

参考
[1]東大の調査報告資料 p2 2014.8.1