世界変動展望

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研究不正はまず学術界で争うべき、裁判制度は学術の慣行をもっと反映すべき

2016-09-10 00:00:00 | 社会

子宮頸がんワクチンの捏造事件は裁判でも争われる見通しだ。現状の裁判制度では学術問題を裁判で争うのは全く適当でない。学術と裁判の考え方や慣習、仕組みが全然違うからだ。

例えば立証責任は学術では文科省ガイドラインによると被告発者が負担する。しかし、名誉棄損裁判等ではそれが逆転し告発側が負担する。こういう仕組みだと学術で不正と判断される事が裁判では逆転する事がある。そのため現状の裁判の制度に学術があわせようとすると不条理な結果になる事がある。

その典型がSTAP事件の第二次調査委員会の結果で、小保方晴子が生データ等を提示しなくてもガイドラインに反して数多くの不正を認めなかった。裁判で勝てる程に積極的に不正を認定できる明確な証拠がある場合に限って不正を認定するという方針だったからだ。もし、このような考えを採用したら、不正の調査では故意に生データ等を見せなければ、ほとんどの不正が認められず不当に責任を免れる不条理な結果になる。これではまずい。

また、裁判官や弁護士と科学者の科学に対する考え方が異なるために、裁判で支障が出る事がよくある。これは研究不正に限らず、公害、薬害、医療訴訟などでよくある事だ。科学と法の考え方の違いをよく理解して訴訟を行う事を目指す取組があり、私は社会的に重要だと思っている。

さらに、裁判官や弁護士は一般に学術の専門的な知識や判断力が乏しいので、裁判で学術論争をしても適切に判断できない事が珍しくない。

以上の事から、裁判で学術問題を争うのは全く適当でない。裁判で争うと事実が歪められ不当な結果になる事がある。私は井上明久の名誉棄損裁判はその典型だと思う。だいたい裁判で争うと泥沼化する。井上明久の名誉棄損裁判や上原亜希子関連1関連2)の捏造訴訟は約5年争ったと思う。

研究不正等の学術問題はまず学術の場で解決するのが適切だ。井上明久事件は数多くの告発が規定に反して不受理になったが、こういう不当な扱いを絶対にやめ、告発を調査してきちんと解決する事が重要だ。

また、現状の裁判制度はもっと学術の考えや慣習を反映した制度にすべきだ。現状だと不当な結果になる事が珍しくないと思う。

私も改善に向けて前から取り組んでいるんですけどね。世論が全然形成されてないかな。