もし、役員・従業員にも適任者がいなければ、第3者を外部から招聘するしかありません。
最近は、社長候補を採用するためのヘッド・ハンティング会社も多くあります。このことから、必ずしも外部からの招聘は珍しいことではなくなりました。
最近は少なくなってきているかもしれませんが、かつては「社長令嬢」と子女が呼ばれることがありました。
息子への事業承継で問題となるのは、息子に経営能力がないことです。
この点、娘への事業承継であれば、経営能力のある第三者を養子にすれば、人的承継のみならず、資本承継も一気に解決してしまいます。
私の高校時代からの友人で弁護士になったK君がいます。彼は司法修習生のとき、ある弁護士事務所に就職しました。いわゆる「イソ弁」です。
この時、事務所の所長から、『ゆくゆくはK君に事務所を全て任せたい』と言われたそうです。
試験に合格したばかりなのに高く評価してくれて、最初はうれしく思っていたのですが・・・よくよく話を聞いてみると、どうやら娘と結婚することが条件だったのです。
彼は、自分でゼロから事業を起こすか、婿養子になるのか考えた末、『自由』を選択した。
そして、結婚を断ったら、事務所も追い出されたそうです。
笑えない話ですが、最近は、豊かに育ち、自由を求める人が多いため、『政略結婚』はなかなか上手くいかないようです。
さて、経営者の招聘で非常に上手く言ったケースが、株式会社ミスミのケースです。創業者である田口弘氏が、ボストン・コンサルティング・グループ等で経営コンサルタントを行っていた三枝匡氏を招聘しました。その後、株式会社ミスミグループの成長は目を見張るものがあります。
これに対して上手くいかなかったケースとしては、株式会社武富士があります。創業オーナーである武井保雄氏が、野村證券や松井証券などから数々の経営者を招聘しましたが、いずれも短命に終わってしました。<o:p></o:p>
両者の大きな違いは、創業オーナーがきっぱり身を引いて経営を全て委ねたかだと思います。創業オーナーからすれば、自分が創業した会社への思い入れは半端ではありません。
このため、オーナーの影響力が続けば、従業員の新しい社長ではなく、オーナーの意向で動いてしまうかもしれません。
最悪のケースは、新しく招き入れた社長を自ら更迭し、社長に返り咲くケースです。肩書きが、『社長兼会長』になるのは、事業承継の大きな失敗と思わなくてはならないのです。
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