久野康成公認会計士事務所/株式会社東京コンサルティングファーム(TCF)の 【国際化支援ブログ】

東京コンサルティンググループ(TCG)は、日本企業の収益改善・国際化をトータルサポート!!

社員評価制度で大切なのは、社員が納得できるかどうかだ!!

2014年03月26日 | 所長と熱く語ろう!(久野康成)
昨日、当社の海外子会社を任せている一人の社員と、当社の評価制度について議論しました。

彼曰く、
「評価制度で大切なのは、社員がその評価制度に納得しているかどうかだ!!」

この言葉を聞いて、すぐに理解できました。

かれは、自分自身の評価に納得できないのです。


彼は、当社の海外子会社の中で、最も業績の高い国を任されています。
いわゆる、花形社員です。

自分の業績が適切に評価されていないと感じているのです。



彼の意見に対して、私の回答はというと・・・

「社員の納得など、重要ではない。大切なのは、その評価から自分が何を学び、どのように成長するかだ。」
「納得するかどうは、そもそも、今持っている自分の価値観で、主観により感じたものなど、どうでもよい」

経営者として、かなり、強気の発言ですが、
これ以外に方法が私には見当たりません。

もし、彼が言うように、私が、
「社員が納得することが大切」と答えたら、どうなったでしょう。

すぐに、
「自分は、今回の評価に納得していない」と答えるでしょう。
彼が、そう答えなくても、ほかの社員が、言います。

その時、経営者として、どんなに説明したとしても、
社員は、「まだ、納得できない」と答えればよいのです。

これが、経営者が、社員の奴隷になる瞬間です。


本日の研修会で、これを簡単な図式で全社員に向けて説明しました。

あなただったら、下記の3つのオプションから、何を選びますか。


会社は、原則てして利益の30%を分配すると決めています。

A事業部 利益 100
B事業部 利益  0
C事業部 損失 ▲50
 合計利益   50



案1 (約束通り、利益が出た事業部長に30%を分配する)

A事業部長 賞与 30
B事業部長 賞与 0
C事業部長 賞与 0

このケースでは、確かに、Aには、30%の分配がなされていますが、トータル利益が、50しかないので、ここから30を賞与分配すれば、全社では、60%の利益分配になってしまいます。
60%も分配すれば、企業が資金ぐりに窮して、倒産するかもしれません


案2 (合計利益の30%を分配する)

A事業部長 賞与 15
B事業部長 賞与 0
C事業部長 賞与 0

このケースでは、Aに対して、約束した30%を渡すことができません。


案3

A事業部長 賞与 10
B事業部長 賞与 3
C事業部長 賞与 2

これは、B事業部も、C事業部も会社にとっては、戦略的に重要な事業部で、まだ、新規ビジネスとして始めたばかりだとします。
それぞれの事業部長は、利益は出ていないが、自分は、会社に対して非常に貢献していると自負しているとします。

戦略的に重要な事業部で、利益が出ていないのは、事業部長一人の責任ではなく、マーケット、いまだ投資時期という状況であれば、ある程度、賞与を渡す必要があるかもしれません。
そこで、Aに渡す賞与を削って、BとCに渡したものです。

もし、渡さなければ、BとCが、適切に評価されていないと感じる可能性があります。



1案では、スーパースターのAは、納得しますが、BとCは、納得できないでしょう。
会社も資金繰りが悪くなります。

2案は、AもBもCも納得できません。みんな、自分は、貢献していると思っているのです。

3案は、Aが納得できません。自分が稼ぎ頭なのに、自分には、たったの10%しか分配がされないのです。そもそも約束が違います。




ちなみに、私が下した結論は、3案です。

会社は、一人のスーパースターのものではなく、組織の維持を中心に考える必要があります。

これが、わかるスーパースターこそ、将来の真の経営者になれます。


これが、わからないスーパースターは、やがて会社を去ります。
私は、それを受け入れています。

決してスーパースターに頼らない経営を行うことが、経営者の役割と思っているからです。


これは、私の信念であり、変える気はさらさらありません。

今まで、確かに、多くのスターが会社を去りました。

悲しいことですが、スターを中心に組織を組み立てなかったからこそ、いまだ、会社が存続できていると信じています。




私は、彼に真の経営者になってくれることを望んでいます。

彼が、私の説明で、本当に納得できたかどうかはわかりません。
成長を祈るだけです。



さて、あなたが経営者なら、どれをを選びますか?