対話とモノローグ

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オイラーの公式、起承転結。5

2020-04-14 | オイラーの公式
(注)「違和感」、オイラーの公式の発見とマクローリン展開

教科書ではオイラーの公式をマクローリン展開で導くようになっている。まず、cos x、sin x、exをマクローリン展開する。
cos x=1-x2/2!+x4/4!-x6/6!+……
sin x=x-x3/3!+x5/5!-x7/7!+……
ex=1+x/1!+x2/2!+x3/3!+x4/4!+……
ここで、x→ix とおくと
eix
=1+ix/1!+(ix)2/2!+(ix)3/3!+(ix)4/4!+……
=(1-x2/2!+x4/4!-x6/6!+……)+i(x-x3/3!+x5/5!-x7/7!+……)
これより
eix=cos xisin x
というもので、たいへんすっきりしている。
しかし、このような導き方は後になって整理されたものだと思う。後とは『無限解析入門』(1748年)以降のことである。それまではexのマクローリン展開はあった。しかし、虚数の指数eixのマクローリン展開は想定されることはなかったのではないだろうか。「虚数べき」という考えはなかった。オイラーの公式が発見された後、つまり虚の指数関数と三角関数の関係が発見された後で着目されはじめたものではないかと思う。eixのマクローリン展開は1740年からの5年間にどんな役割も果たしていなかったと思う。これが大きな違和感である。

次に小さな違和感。
矢野忠は、cos x = Aeix+Beixの係数A,Bを求めるとき、cos x、sin x、eix、e-ixのマクローリン展開を基礎にしている。
cos x=1-x2/2!+x4/4!-x6/6!+……=U
sin x=x-x3/3!+x5/5!-x7/7!+……=V
eix=1+ix/1!+(ix)2/2!+(ix)3/3!+(ix)4/4!+……
=(1-x2/2!+x4/4!-x6/6!+……)+i(x-x3/3!+x5/5!-x7/7!+……)
=U+iV
e-ix=1+(-ix)/1!+(-ix)2/2!+(-ix)3/3!+(-ix)4/4!+……
=(1-x2/2!+x4/4!-x6/6!+……)-i(x-x3/3!+x5/5!-x7/7!+……)
=U-iV
より、U=A(U+iV)+B(U-iV) と整理する。
これを
(A+B-1)U+i(A-B)V=0
として、A=1/2、B=1/2を求めている。しかし、基礎になっているeix=U+iVは目標のオイラーの公式である。これを出発点にしてよいのだろうか。

(まちがい発見)(3.7.1)(3.7.2)の最初の式で、3の階乗(!)、3!が数字の31になっている。1と! は同じキーの上下に並んでいるので、シフトするタイミングが少しずれたのだろう。