対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

eは指数関数の特別な形として出現

2022-09-01 | 指数と対数
ネイピア数eは名付けられないまま様々な形で現れていた。

1 自然対数の底として(底という言葉もオイラーが言い始めたという説がある)
  
2  ヤコブ・ベルヌーイの「連続複利の元利合計」として
   
3 ヨハン・ベルヌーイの「対数が1となる数」として
  

オイラーはeを抽出して名指しするのだが、それは指数関数の特別な形として現れた。

志賀浩二によれば、指数と対数の双対的な関係が明確になってきたのは1740年代だという。『無限解析』(1748年)の直前である。オイラーは
     az=y   ( z=logay )
を基礎として、ここに微分係数
  
の関係を重ねてみたのではないだろうか。

微分の起点は0と1、これは加法と乗法の単位元である。指数関数を導く端緒として
   a0=1
が設定され、微小な変位が導入される。
  
これに、まったく無造作に、代数操作(累乗)がなされ、次の式が導き出される。
  
ここに、改めて az=y が投影されて、指数関数が、
  
と表わされる。ここで、k=1、z=1のときa=eである。オイラー以前に指数関数はなかった。オイラーがはじめて冪から出発して指数関数を作り、eを指摘することになったのである。






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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
どこに書いたかはっきりしませんが、 (aoyama)
2022-09-13 16:59:43
どこに書いたか覚えていませんが、「数学・物理通信」を探してみてください。

eの定義について書いた覚えがあります。
もしまだ私の定義に載っていない定義があれば、 (aoyama)
2022-09-13 17:05:21
もし、「数学・物理通信」の私のeの定義に載っていない定義があれば、「数学・物理通信」にご投稿ください。
オイラー自身のeの定義 (kiichiro)
2022-09-14 13:20:20
探してみると、「数学・物理通信」8-2自然対数の底、9-7自然対数の底、再論(改訂版)でしょうか。先生のeの定義には、載っていないと思います。関連はありますが。

オイラーは対数の双対的な関係として指数関数を展望しました。冪から出発して指数関数を初めて作り、その逆関数として対数を捉えます。指数関数と対数関数の冪表示と級数表示を導いていく過程で、一般的な指数関数の特別な形としてeが発見され、見通しがよくなりました。

これは7章をなぞっているだけですが、オイラー自身のeの定義といってよいでしょう。このような定義は『無限解析入門』の解説としては見ますが、ネピア数eの解説としては見たことはないないように思います。

本文をもう少し展開してみたいと思います。

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