二項係数を使って連続する自然数の積和の公式を導くときの核心は
Σ
k+m-1C
m =
n+mC
m+1であった。
これは二項係数の関係を表す公式
nC
r =
n-1C
r-1 +
n-1C
r から導かれたものである。この公式はパスカルの三角形に認められる関係である。それゆえ、連続する自然数の積和公式とパスカルの三角形は関係している。
まず、パスカルの三角形における数値と二項係数の配列を確認しておこう。
ここで無限に広がっていく三角形を考える。そして、右上から左下へ連続する数字の配列に着目する。左側に1 1 1 1 1 1 … があり、次にそれと平行に1 2 3 4 5 … がある。次には1 3 6 10 … があり、次は1 4 10 … である。… 。
ここでこれらの数値を下のように、1行目、2行目、…に並べかえる。
1 1 1 1 1 1 1 1
1 2 3 4 5 6 7
1 3 6 10 15 21
1 4 10 20 35
1 5 15 35
1 6 21
1 7
1
このようにしてそれぞれの行でn個の数の和を求めると、連続する自然数の積の和の公式と対応していることがわかる。すなわち、k=1からk=nまでの合計をΣで表すと、
1行 Σ1=n
2行 Σk=1/2・n(n+1)
3行 Σk(k+1)=1/3・n(n+1)(n+2)
4行 Σk(k+1)(k+2)=1/4・n(n+1)(n+2)(n+3)
5行 Σk(k+1)(k+2)(k+3)=1/5・n(n+1)(n+2)(n+3)(n+4)
…
m+1行 Σk(k+1)(k+2)…(k+m-1)=1/(m+1)・n(n+1)(n+2)…(n+m)
である。1行は自明として、2行目から確認してみよう。
1+2+3+… =
1C
1 +
2C
1 +
3C
1 + … +
nC
1
=Σ
kC
1
=
n+1C
2
=1/2!・n(n+1)
ここで、
1C
1 +
2C
1 +
3C
1 + … +
nC
1
=1/1!(1+2+3+… +n)
=1/1!・Σk
したがって、
1/1!・Σk=1/2!・n(n+1)
1!をかけて
Σk=1/2・n(n+1)
3行目
1+3+6+… =
2C
2 +
3C
2 +
4C
2 + … +
n+1C
2
=Σ
k+1C
2
=
n+2C
3
=1/3!・n(n+1)(n+2)
ここで、
2C
2 +
3C
2 +
4C
2 + … +
n+1C
2
=1/2!・( 1・2 + 2・3 + 3・4 + … + n(n+1))
=1/2!・Σk(k+1)
したがって、
1/2!・Σk(k+1)=1/3!・n(n+1)(n+2)
2!をかけて
Σk(k+1)=1/3・n(n+1)(n+2)
4行目
1+4+10+… =
3C
3 +
4C
3 +
5C
3 + … +
n+2C
3
=Σ
k+2C
3
=
n+3C
4
=1/4!・n(n+1)(n+2)(n+3)
ここで、
3C
3 +
4C
3 +
5C
3 + … +
n+2C
3
=Σ
k+2C
3
=1/3!・( 1・2・3 + 2・3・4 + 3・4・5 + … + n(n+1)(n+2))
=1/3!・Σk(k+1)(k+2)
したがって、
1/3!・Σk(k+1)(k+2)=1/4!・n(n+1)(n+2)(n+3)
3!をかけて
Σk(k+1)(k+2)=1/4・n(n+1)(n+2)(n+3)
…
m+1行目
1 + (m+1) + (m+1)(m+2)/2!+… =
mC
m +
m+1C
m +
m+2C
m + … +
n+m-1C
m
=Σ
k+m-1C
m
=
n+mC
m+1
=1/(m+1)!・n(n+1)(n+2) … (n+m)
ここで、
mC
m +
m+1C
m +
m+2C
m + … +
n+m-1C
m
=Σ
k+m-1C
m
=1/m!・( 1・2・…・m + 2・3・…・(m+1) + 3・4・…・(m+2) + … + n(n+1)(n+2)…(n+m-1))
=1/m!・Σk(k+1)…(k+m-1)
したがって、
=1/m!・Σk(k+1)…(k+m-1)=1/(m+1)!・n(n+1)(n+2) … (n+m)
m!をかけて、
Σk(k+1)(k+2)…(k+m-1)=1/(m+1)・n(n+1)(n+2)…(n+m)