対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

2次の巡回群とは思わなかった

2021-05-17 | ノート
『美しい数学入門』(伊藤由佳理著、岩波新書、2020)の中で群論入門として家紋の合同変換が取り上げられていた。基礎として、三つ巴の家紋は3次の巡回群、また桔梗の家紋は5次の二面体群と解説した後、演習問題として、菊、花菱、桐、違い枡に桔梗、の4つの家紋の合同変換の群を求めよという問題が提示してあった。

菊(16次の二面体群)、花菱(2次の二面体群)、違い枡に桔梗(単位元のみからなる単位群)は正解だったが、桐(2次の巡回群)は違っていた。巡回群は平面内の回転だから、桐には当てはまらない。桐は線対称(軸1本)の図形、裏返して(空間内での移動)合同となるから2面体群である。桐の家紋は1次の二面体群と思っていた。

本の後ろの方で、2次の巡回群は元は2つしかなく単位元eともう一つの元aという記述があった。a2=e(a^2=e)、1(そのまま)と-1(反転)、(-1)2=1((-1)^2=1)で、元が2つしかないのは、2次の巡回群という位置づけはわかった。しかし、最初に戻ると、三つ巴は平面上で120度、240度回転すると回転前と同じ図形である。しかし、桐は180度回転する上下反転した図形である。回転前とは重ならない。ここに巡回群を外した理由があった。

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2 コメント

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Unknown (yudukikun5120)
2023-11-29 00:08:25
ここが数学的センスの分水嶺なのでしょうね……
やはりセンスがない (kiichiro)
2023-12-03 18:21:59
久しぶりに読み直しましたが、変化はありませんでした。本文と同じ感想でした。龍馬の家紋については解説がありましたが、「2次の巡回群」は自明のことして説明はありません。

「1次の2面体群」というと捉え方はどうなのかと調べていて、ウィキペディアの「二面体群」の記事に「桐」(豊臣秀吉の太閤桐)が「1次の二面体群」と指摘してあって、こちらの見方が間違っているわけではないと少し安心しました。しかし、その記事には「1次の2面体群」は「位数2の巡回群」とあり、また考え込むことになりました。(-1,0)、(0,0)、(1,0)をつなぐ線分なら、この対応は理解できます。しかし、二等辺三角形や「桐」など平面図形については無理な対応のように思えました。

どこが盲点になっているのか教えていただきたいと思います。

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