対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

幻視のなかの橋4(改訂)

2017-06-07 | 4元数
4 i2=j2=k2=ijk=-1

ij=-ji=kからどのようにして基本公式
i2=j2=k2=ijk=-1
が出現したのだろうか。
次の図を出発としよう。

ここは3次元で3つの軸(実軸1、虚軸i,j)が示されている。
1-i-i2は、垂直の平面を回転して-1に達する。
1-j-j2は、水平の平面を回転して-1に達する。
ここに虚軸k(第4の元k)が付け加わる。

ここでkij=-jiによって生成すると仮定されたものである。図の青の矢印はij=k、赤の矢印はji=-kである。図は直交関係にある4つの軸(実軸1、虚軸i,j,k)を3次元で表示するため角度の関係は保存されていない。ハミルトンは、ここで1-k-k2の回転の終点を洞察したのである。

ij=-ji=kである。また、i2=-1,j2=-1である。
1 
ij=-ji=kよりijk=k2が導かれる。
ij・(-ji)
=ijk
=(ij)k
=k2

2
k2i2=-1,j2=-1の関連が洞察される。
k2
=ij・(-ji)
=ijij
=-i(ij)j
=-iijj
=-i2j2

ここで、i2=-1,j2=-1より、
k2
=-(-1)(-1)
=-1
ijk=k2i2j2と同時に-1に達したとき、基本公式が誕生した。1-i-i2は垂直の平面を回転して、1-j-j2は水平の平面を回転して-1に達する。ijk=k2は斜面(垂直のようにもみえ、水平のようにもみえる平面)を回転して-1に達する。
3
すべての「虚」が「実」に変換される。
i2=j2=k2=ijk=-1



図はウィキペディアの記事(4元数)から拝借した。



と虚軸jの向きが違うが、同じ場面である。



と同じ場面である。見直せば、4分図(下)は8分図(上)の実軸と虚軸kが重なったものである。4分図では1-k-k2の回転は見えなかった。8分図では2つ軸が分離しているので、1-k-k2の回転をみることができる。これが改良点である。

ウィキペディアの図は矢野忠先生に教えていただいた。感謝いたします。

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幻視のなかの橋5

2017-04-19 | 4元数
5 公式の整理
 (注、これは「2つの公式の違い」と「発見の意識と無意識」を編集したものである。)

ハミルトンは1843年10月16日、2種類の公式を書いている。
朝、手帳と橋の欄干に書いたもの。
i2=j2=k2=ijk=-1
夜、ノートに書いたもの。
i2=j2=k2=-1
ij=k,jk=i,ki=j
ji=-k,kj=-i,ik=-j
この2つの式は4元数の公式として同じものである。しかし、朝の1行の式は「ことの重大性が一瞬に感じとれたこと」、「電気の回路は閉じ、閃光がひらめいた」と形容されているものである。この2つの公式の違いは何なのだろうか。比喩的にいえば、朝の式は迷いのなかでみた光であり、夜の式は悟りのなかで輝く光といえばよいのではないだろうか。
ノートには研究の経緯が述べられている。そのなかで注目すべきは、3元数の積について、特殊な場合と一般的な場合では違いがあったことである。
特殊な場合、
(x+iy+jz) 2
(a+iy+jz)(x+iy+jz)

では、これらはij=0やij=-jiijだけで閉じている)の仮定だけでも3元数は成立していた。
これに対して、一般的な3元数の積
(a+ib+jc)(x+iy+jz)
を考えた場合は、3元では収まらず、「積ijが新しい虚数、ji=-kとしたときのkになるのではないか」という考えがあったことである。4元数が見え隠れしていたのである。
朝の式の核になっているのはijk=-1である。この式がどのように現れたのかは「謎」(ハミルトンにとっても)である。しかし、この式の中でij=0が成立しないことは明確である。ハミルトンにとってij=0(やij=-ji)は空間のベクトルを3元(1,i,j)で完結させたいという願望だったのだろう。
ijk=-1の出現によって、この道が消えたのである。いいかえれば3元数の積は3元では表現できず、第4の元を導入せざるを得ないことが明確になったのである。ijk=-1はij=0を排除して4元数と直面させた。「迷いのなかでみた光」というゆえんである。
しかし、迷いはすぐになくなったわけではない。ノートを読むと、ijk=-1を自覚した後でも、ij=0の可能性に対する未練は残っていたことがわかる。ハミルトンは次のように述べている。
(引用はじめ)
未だに(そしてたぶん前にも)ij=0になることは可能ではないか、と考えていた:そして(朝の思考過程を夜になって思い出そうと試みて)私は信ずるに、この等式ij=0が真であることが分かるのが、奇妙かもしれないが、もっともらしいとさえ考えた
(引用おわり)
感動的な告白ではないか。3元だけで完結させたいという気持ちはそれほど強かったのである。
また、ハミルトンは、k2=1の可能性にもふれている。「一時、k2=1もありそうだと思った」と述べている。
着目してほしいのは、ij=0とk2=1はi,jと等価な第4の元kの存在の否定と対応していて、公式と両立しないことである。しかも、このij=0とk2=1は、
i2=j2=k2=ijk=-1
が喚起された後でも保持され意識されていることである。
これは朝の4元数の発見が無意識のうちに起ったことを意味しているだろう。わたしたちが夜のノートにみるのは、ハミルトンが意識していた願望を修正し、無意識のうちに発見された4元数を追いかけていく過程なのではないだろうか。
(引用はじめ)
こうして、i2=-1とj2=-
1だけでなくk2=-
1そしてij=k,ji=-kをも仮定するようになった。それからもっともなこととして、ik=-jを仮定するのが適当と考えた。じっさい、ik=iijであり、i2=-1である。そうであるならば、ji=-ijであるからki=-ik=jのように思える。この関係はk=-jiからも導ける。同様にして可能と見えるのは(もしくは、少なくとも自然に仮定されるのは)kj=ijj=-i、jk=-jji=iである。
乗法の仮定もしくは定義は集計して、
i2=j2=k2=-1
ij=k,jk=i,ki=j
ji=-k,kj=-i,ik=-j
(引用おわり)(『ハミルトンと四元数』(堀源一郎著、海鳴社、2007)2章 参照)
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幻視のなかの橋4

2017-03-21 | 4元数
4 i2=j2=k2=ijk=-1

ij=-ji=kからどのようにして基本公式
i2=j2=k2=ijk=-1
が出現したのだろうか。
出発とするのはi2=j2=-1が示されている次の図(矢野忠『四元数の発見』参照)である。

ここでは3次元で3つの元(1,i,j)が示されている。ここにはまったく歪みはない。
1-i-i2は、垂直の平面を回転して-1に達する。
1-j-j2は、水平の平面を回転して-1に達する。
ここに第4の元kが付け加わえる。

ここでkij=-jiによって生成したものである。実軸の1に重ねてkを示し、実軸に虚軸を重ねている。他方、実軸の負の方向は出発点のままで-1を残している。いいかえればこの図は歪んでいる。しかし、基本公式に出てくるi,j,k,-1は過不足なくすべてそろっている。ここを足場にする。
1-k-k2の回転はこの図のなかでは見えない。垂直でもなければ水平でもない、いわば斜面を回るのである。この回転を幻視する。もちろんこの回転は見えない。しかし、その回転の影は見えるのである。その影とは、i2=-1,j2=-1である。ijk=k2i2j2と同時に-1に達したとき、基本公式が誕生した。
1 
ij=-ji=kよりijk=k2が導かれる。
ij・(-ji)
=ijk
=(ij)k
=k2

2
k2i2=-1,j2=-1の関連が洞察される。
k2
=ij・(-ji)
=ijij
=-i(ij)j
=-iijj
=-i2j2

ここで、i2=-1,j2=-1より、
k2
=-(-1)(-1)
=-1
3
すべての「虚」が「実」に変換される。
i2=j2=k2=ijk=-1



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止揚の「間」

2017-03-09 | 4元数
ハミルトンは4元数を発見して、3次元空間の点(x,y,z)は、
x+iy+jz
ではなく
ix+jy+kzであることを示した。
基底を3元(1,i,j)から3元(i,j,k)に変えたのである。
これを、1が「止」まってkが「揚」がっていることに着目して、ハミルトンの止揚と名づけた。
3元(1,i,j)
↓ 4元 (1,i,j,k)
3元(i,j,k)
これを図で示してみると、
3元(1,i,j)


3元(i,j,k)

である。
上が出発点、下が到達点である。この間に、基本公式
i2=j2=k2=ijk=-1
の発見がある。

注 図は矢野忠『四元数の発見』を参考にしている。
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発見の意識と無意識

2017-03-08 | 4元数
1843年10月16日の朝、ハミルトンの脳裏に次の公式が浮かんだ。
i2=j2=k2=ijk=-1
その夜、この出来事を振り返って4元数の存在を確かめている。ハミルトンのノートを読んでいて、以前、興味をもったのは、ij=0の可能性について言及されていることであった(「2つの公式の違い」参照)。
ここでは、k2=1の可能性にもふれていることを追加しておこう。「一時、k2=1もありそうだと思った」と述べられている。
着目してほしいのは、ij=0とk2=1はi,jと等価な第4の元kの存在の否定と対応していて、公式と両立しないことである。しかも、このij=0とk2=1は、
i2=j2=k2=ijk=-1
が喚起された後でも保持され意識されていることである。
これは朝の4元数の発見が無意識のうちに起ったことを意味しているだろう。わたしたちが夜のノートにみるのは、ハミルトンが意識していた仮定(思い込み、間違い)を修正し、無意識のうちに発見された4元数を追いかけていく過程なのではないだろうか。
(引用はじめ)
こうして、i2=-1とj2=-
1だけでなくk2=-
1そしてij=k,ji=-kをも仮定するようになった。それからもっともなこととして、ik=-jを仮定するのが適当と考えた。じっさい、ik=iijであり、i2=-1である。そうであるならば、ji=-ijであるからki=-ik=jのように思える。この関係はk=-jiからも導ける。同様にして可能と見えるのは(もしくは、少なくとも自然に仮定されるのは)kj=ijj=-i、jk=-jji=iである。
乗法の仮定もしくは定義は集計して、
i2=j2=k2=-1
ij=k,jk=i,ki=j
ji=-k,kj=-i,ik=-j
(引用おわり)(『ハミルトンと四元数』(堀源一郎著、海鳴社、2007)2章)
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