ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

教基法が改正、防衛省に昇格

2006-12-17 13:15:53 | Weblog
 12月15日、改正教育基本法と防衛省昇格関連法が成立した。

 教育は「国家百年の計」といわれる。その教育の根本を定める法律が、59年ぶりにようやく改正された。残念ながら、「愛国心」の明記、宗教的情操の涵養の明記はされず、教育に対する「不当な支配」の文言の修正はされなかった。重要な欠陥を持ったままの取り敢えずの改正である。また、全体を貫く理念・方針があいまいであり、問題の山積する教育の諸問題に取り組むにあたり、どれだけ実効性を引き出せるか、疑問が残る。
 とはいえ、改正がされたことは前進であり、私の評価は60点。ボーダーラインぎりぎりの合格点というところである。本来、憲法改正を行った上で、新憲法の理念のもとに、新たな教育基本法を定めるべきものであるから、新憲法の制定後に、第2次の改正を目差したい。

 防衛庁を防衛省に昇格できたことは、よかった。国防を担う政府機関が、ようやく外交・財務等と対等の省となった。省への昇格は、池田内閣の時に一度閣議決定されている。そこから法制化まで40年以上かかった。国民の間に、長く防衛の強化イコール軍国主義の復活という誤解があった。今回、昇格に反対したのは、少数政党の社民・共産、マスメディアでは朝日だけだった。それだけ多くの国民が、国防の必要性を理解するようになってきているのだろう。
 実際、国際的なテロリズムの横行、中国の強大化、北朝鮮の核保有、アメリカの米軍再編成という厳しい国際情勢において、国防の整備は、焦眉の急である。防衛省の実現が、国民の国防意識を喚起し、わが国が一個の独立主権国家としてのありようを一歩、一歩取り戻すことが期待される。そして、日本再建のための憲法改正が、一日も早く達成されるように努力したい。

 以下は、目を引いた新聞記事。

■改正教基法と防衛省関連法の両方に関する報道

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●産経新聞 12月16日号
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061216-00000000-san-pol

<改正教基法が成立 「国愛する態度」明記 1月9日から防衛省>

 今国会の最重要法案である改正教育基本法と、防衛「省」昇格関連法は15日の参院本会議で、それぞれ賛成多数で可決、成立した。改正教育基本法は自民、公明両党、防衛「省」昇格関連法は与党に加え民主党などが賛成した。すべての教育法令の根本である教育基本法は昭和22年の制定以来、59年ぶりに初めて改正された。29年に発足した防衛庁は、来年1月9日に防衛省として新たなスタートを切る。
 これに先立ち、民主、共産、社民、国民新の野党4党は、安倍内閣と麻生太郎外相の不信任決議案を河野洋平衆院議長に提出した。これを受けて与党は、衆院本会議で会期を19日まで4日間延長することを決め、続いて内閣不信任案を与党の反対多数で否決した。
 一方、野党は参院でも伊吹文明文部科学相に対する問責決議案を提出したが、15日夕の参院本会議で与党の反対多数で否決された。
 改正教育基本法は前文と18条で構成。「公共の精神の尊重」や「伝統の継承」の理念が前文に新たに盛り込まれたほか、教育の目的に「伝統と文化の尊重」や「わが国と郷土を愛する態度を養う」「豊かな情操と道徳心と培う」ことなど5項目を明記した。
 焦点だった「愛国心」をめぐる表現については、与党協議の過程で公明党への配慮から「心」が「態度」となった。
 防衛「省」昇格関連法は、行政組織上、内閣府の外局である防衛庁を「防衛省」に、防衛庁長官を「防衛相」にそれぞれ格上げする。これまで、防衛庁長官は、内閣府の長である首相を通じてでなければ閣議開催の請求や財務相への予算要求ができなかった。しかし、省昇格後は防衛相が直接行うことになる。
 また、これまで自衛隊の「付随的任務」とされてきた国連平和維持活動(PKO)、イラク復興支援などの海外活動も、国土防衛と同じ「本来任務」に位置付ける。

【教育基本法のポイント】
・公共の精神を尊び伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進。憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、振興を図る
・伝統と文化を尊重し、我が国と郷土を愛し、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う
・教育は不当な支配に服することなく、この法律および他の法律の定めにより行われる
・政府は教育振興施策を総合的に推進するため基本的な計画を定め、公表しなければならない
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■防衛省昇格に関する報道

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●読売新聞 12月17日号
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20061216ig90.htm

社説<防衛省昇格 安保論議の転換点にすべきだ>

 国民の生命、財産を守る防衛担当の行政機関が、諸外国と同様に「省」となる。防衛庁の省昇格関連法が自民、民主、公明3党などの圧倒的多数の賛成により成立した。防衛庁が発足して半世紀余、ようやく当たり前のことが実現した。国の守りに従事する自衛官の士気も上がることだろう。省にふさわしい体制へ、脱皮を図らなければならない。中国の軍事大国化、北朝鮮の核武装など、日本を取り巻く安全保障の環境は、不透明かつ不安定だ。これにどう対処するかは、死活的に重要である。
 法案審議では、防衛政策の立案能力の強化が一つの論点となった。防衛庁は長期防衛戦略を練るための「戦略企画室」を来年度、防衛政策局に設置する。首相官邸が検討中の日本版NSC(国家安全保障会議)との関係もよく整理しておかなければならないだろう。防衛体制は、要員、戦車が北海道に重点配備されるなど、依然として冷戦構造を引きずっている。安保環境の変化や国際テロ、弾道ミサイルなど新たな脅威に備えるため、効率化、合理化をさらに進めるべきだ。日米同盟強化のための課題も少なくない。在日米軍の再編を着実に進め、日本有事や周辺事態を想定した共同作戦計画を整備しておく必要がある。ミサイル防衛(MD)システムの配備前倒しは、北朝鮮の核武装に備えるための喫緊の課題だ。
 省昇格関連法のもう一つの柱は、自衛隊の国際平和協力活動を付随的な任務から「本来任務」に格上げしたことだ。防衛大綱は「国際的な安全保障環境を改善し、我が国に脅威が及ばないようにすること」を安全保障の目標の一つとしている。国際社会の平和と安定があってこそ、日本の平和と繁栄がある。自衛隊の国際平和協力活動の本来任務化もまた、当然のことである。本来任務となれば、より迅速な対応が求められる。テロ対策特別措置法、イラク復興支援特措法など、その都度時限立法を講じるのではなく、機動的に自衛隊を派遣できるよう「恒久法」を制定しておく必要がある。それが、日本の国際平和協力への姿勢を国際社会に明示することになる。その際、自衛隊の任務の範囲、武器使用基準を国際基準に合わせて見直すべきだ。
 久間防衛長官は「国の安全保障政策はどうあるべきか」を考える転換点にあるとの見解も示した。防衛庁と自衛隊は、重要な局面にあることを認識し、より一層、責務を果たしてもらいたい。
――――――――――――――――――――――――――――ーー

●西元徹也元統幕議長の談話
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061216-00000002-san-pol

産経12月16日号<防衛省法成立 海外へ組織再編急務 「安保」外務省と主導権争い>より抜粋

<恒久法制定も必要>

 防衛「省」昇格関連法が成立し、自衛隊の海外活動がこれまでの「付随的任務」から「本来任務」になれば、自衛隊はこれまで以上に重い責任を負う。その責任を果たすためには、海外活動を随時可能にする一般法(恒久法)の制定、武器使用基準の緩和の2つが必要だ。国際協力活動を主体的、積極的に行う全体像を示せるよう、政治は態勢作りに努めてもらいたい。
 防衛庁が政策官庁の防衛省に変わることの意味は大きいが、真の政策官庁を目指すためには自衛隊の運用や訓練に詳しい自衛官トップの統合幕僚長が事務次官と対等に防衛相を補佐する仕組みを作る必要がある。そのため、文官だけが官房長、局長になれる防衛参事官制度の見直しや、首相補佐官への自衛官の登用を提言したい。
 将来、自衛隊は自衛軍にすべきだ。それには2つの理由がある。1つは給与体系で、現在は国家公務員の一直線に増える体系を採用しているため、専門的な知識、能力を持った准尉、曹長クラスの給料を上げるためには幹部にするしかない。部隊の精強性確保のため、一番能力の高い人たちを現在の階級のまま処遇できる仕組みを作るには軍隊としての給与体系を作る必要がある。もう1つは、防衛法廷のような独自の軍法会議を持つことだ。国家のために任務を遂行している者が自衛のために相手を傷つけたとき、刑事被告人になるというのは計り知れないダメージになる。
 冷戦時代、自衛隊が実際に使われるのは災害派遣など数えるほどしかなかった。だが、そういう位置づけに耐えて錬成をした隊員たちがいたからこそ、平成3年にペルシャ湾に掃海艇を派遣して以来の自衛隊の「行動する時代」に対応できたことを省昇格後も忘れてはならない。(談)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (kazu4502)
2006-12-18 18:55:04
今回、TBいただき、誠にありがとうございます。
同じgooブログとして今後ともよろしくお願いいたします。
防衛省昇格関連法が成立しました、長官が手を振って防衛庁に入り、各部署の自衛官が拍手と涙で迎えたシーンに感動をしました、長い間の屈辱から開放され、やっとひとり立ち出来る所まで来たのではないかと思います。
少しずつ、自衛隊の戦後が終わろうとしています、近いうちに法改正を行い、専守防衛を基本にした自衛隊を自衛軍にすべきです。
>kazu4502さん (ほそかわ)
2006-12-18 19:06:45
>近いうちに法改正を行い、専守防衛を基本にした自衛隊を自衛軍にすべきです。<

 法改正とは、憲法改正の意味と思います。私は憲法を改正して、自衛隊をもとに、国軍を創設すべきと思います。憲法の条文案は、以下に掲げてあります。第4章が安全保障の条項となっています。ご参照下さい。

・新憲法のほそかわ私案
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion08h.htm
Unknown (kazu4502)
2006-12-20 11:36:04
新憲法のほそかわ私案、読ませていただきました。
ありがとうございます、ぜひ、参考にさせていただきたく思います。
今後ともご指導ください。

コメントを投稿