ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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北海道が危ない1~外国人土地取得の規制を

2016-09-10 08:47:28 | 時事
●北海道で外国人土地取得が進んでいる

 北海道では近年、民間による水源地などの森林や土地の取得が相次いでいる。
 平成20年(2010)、倶知安町で、中国資本に57ヘクタールが買収されていたことがわかった。うち32ヘクタールが水源機能を持つ保安林だった。21年にはニセコ町と蘭越、倶知安の3町と砂川市で中国、英国領バージン諸島の企業が4カ所353ヘクタールを買収した。個人でもニュージーランドと豪州、シンガポール国籍の各3人が倶知安、ニセコ、日高の3町の計53ヘクタールを取得した。こうした動きがどんどん広がっていた。
 平成22年(2010)、北海道庁の調査により、北海道では、外国資本企業や外国人が取得した私有林が33カ所820ヘクタールに上ることが分かった。中には陸上自衛隊施設を一望できる高台の森林も含まれていた。平成20年に英領バージン諸島の企業が倶知安町に取得した森林は、陸上自衛隊駐屯地から半径2キロ圏内の高台にある。そのほか、自衛隊や警察署など治安維持施設周辺で外資が取得した森林は27市町村で54件、579ヘクタールに上ることが分かった。取得しているのは、中国やシンガポール、オーストラリアなど10カ国の企業や個人だった。倶知安町や留寿都村、幌加内町などでの取得が目立った。
 この時の調査で、水源を抱えるなど公益性が高い森林の所有者として記録があった企業2232社に文書で回答を求めたとこ、913社に調査文書が届かず、1万4千ヘクタールの森林の所有者が特定できなかった。また、北海道には森林を細分化して売却する分譲森林が2万5千ヘクタールあり、これらの森林は国土法の届け出が不要なことから、所有者が特定できない森林の合計は3万9千ヘクタールに達していた。また、長年、整備などを実施していない企業がもつ森林が3万3千ヘクタールあった。北海道庁は倒産や廃業で所有者不明となった森林も相当あると判断し、さら調査を継続することとした。
 この年、全国的に注目されたのが、ニセコ町の取り組みである。ニセコ町周辺は質のよいスキー場で知られる。近年はそれが外国人の人気を集め、香港資本やオーストラリア資本が相次いで進出している。ニセコ町は、平成18年から20年にかけて、住宅地の地価上昇率が3年連続で全国一になった。だが外資が目をつけているのは、観光資源だけではない。ニセコ町では、水源地が外資に買われていた。そこで、ニセコ町は、町内にある水源地を公有地にする買収交渉を進めることを決めた。町の水源地には外国資本所有の土地もあり、町は「水の安定供給を図るため」という。町の予算で外資所有を含め水源地をすべて公有地にするのは全国で初めてだった。
 町内には15の水源があり、うち5つの水源が民間所有となっていた。これまで町は民間所有者から取水施設分の土地を借りて水を確保し、簡易水道で町内に供給していた。5つのうち個人所有の1つを除く4つの水源は企業が所有しており、道内屈指のスキー場とホテルの敷地内にある2つの水源地は外資などを経て、マレーシア資本企業の手に渡っていた。
 ニセコ町では23年5月、水質保全が必要な保護区域内での開発を規制する「水道水源保護条例」と、過剰な取水を制限する「地下水保全条例」を制定。2つの条例で規制の網をかぶせた。
 町内の15の水源地のうち、2つがすでに外資所有になっていたことが条例のきっかけになった。町の担当者は「水源地を整備したいときなど、外資にどうやって連絡を取ったらいいのか。水源地を自分たちで管理できなくなるのは死活問題」と語ったと伝えられる。
 長崎県対馬市で平成19年(2007)、海上自衛隊施設の隣接地を韓国資本が買収しリゾートホテルを建てたことがわかり、全国に衝撃を与えた。その5年後の24年(2012)、北海道倶知安町の自衛隊駐屯地3キロ圏内で、外資所有の林地が3件109ヘクタール見つかった。外国人土地取得の問題は、国防上の観点からも取り組みを急がねばならないことが、北海道でも浮き彫りになった。
 こうしたなか、平成24年4月1日北海道で水資源に関する条例が施行された。水源地周辺で土地を売買する場合、売り主が契約の3カ月前に道に届け出る「事前届け出制」とし、所有者や売買予定地の情報を把握するものである。外国資本による道内の水源地買収を監視するためのものである。事前に分かれば、自治体が外資の代わりに買い上げるなどの対抗策も可能になる。ただ、それ以上の規制は難しい。民法上、日本の土地所有権は「世界一強い」ともいわれ、絶対・不可侵性が原則。所有者は地下水をいくらでもくみ上げる権利があり、河川法に基づいて利用が制限される表流水と扱いが異なっている。 これまでに地下水取水を包括的に制限する国の法律はない。
 自民党では、安倍晋三現首相ら有志議員が「日本の水源林を守る議員勉強会」を立ち上げ、議員立法を目指す取り組みをしてきた。自民党は、森林の公有地化のための予算確保を図り、一定面積以上の森林取得には届け出義務や罰則強化を盛り込んだ森林法の改正案と、地下水を公共の資源ととらえて揚水可能な地域をあらかじめ指定し、水源を守る緊急措置法として地下水利用法案を、22年の臨時国会に提出したが、成立しなかった。非常に残念なことだった。その後も、外国人による水資源、森林資源等の土地取得は拡大と深化を続けている。

 次回に続く。

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