お城でグルメ!

ドイツの古城ホテルでグルメな食事を。

シュピッケル城館

2018年10月31日 | 旅行

長方形で化粧塗装をほどこしたシュピッケル城館の原型となった城塞は、16世紀に建てられました。その後17世紀の中頃に30年戦争の結果として、このリューゲン島はスウェーデンの領地となり、スウェーデン人が城塞の所有者になったのです。同時に、もともと防御のための堀に囲まれていた城塞はルネッサンス様式のシュピッケル城館に改造され、スウェーデン特有の赤色に塗られました。4隅にある丸い塔がいまだに城塞の印象を与える建造物です。19世紀初頭にリューゲン島がナポレオン軍に占領されたとき、一時的にフランス人が住みましたが、数年後に城館はプロイセン王国に属するようになりました。そして第2次世界大戦終了まで、ある侯爵の所有だったのです。お城は終戦後約20年間にわたり荒廃するままにまかされていた後、史跡保護の観点から包括的に修復がなされたのですが、その際に多くの建築部材がコンクリートに変えられてしまいました。そして東西ドイツ統合まで、東ドイツ労働組合連合の保養施設でした。統合後からこんにちまで、32の客室をもつホテルとして利用されているのですが、前世紀の末頃、歴史的な建築様式を考慮しながら修復されました。今世紀になって新しく所有者になった人物は、これまでのホテル・レストランの営業に加えて、お城を、展示会、コンサート、朗読会などを催す文化センターにしようとしています。夏には毎週 〈お城市場〉 が開かれています。

   

城館 1 ・ 城館 2

  

城館 3 ・ 城館 4

さて、私たちは泊まっていないこの城館でせめて昼食をとろうと、わざわざレストランの定休日を外して訪れました。ところが、都合により特別閉店日、ということで食事ができません。・・・・が、写真だけは撮らせてもらいました。

   

スタッコ(化粧しっくい)装飾の天井 1 ・ 天井 2

   

天井 3 ・ ホールの一角

お城で食べ損ねたので、車で5分ほど走って魚料理専門のレストランを見つけました。

   

レストラン ・ その内部

木張りの床がギシギシと音を立てる古い家の落ち着く雰囲気で、そのものずばり、 〈フィッシュ・ハウス〉 という店なのです。ちょうど昼食と夕食の間の時間になっていたので他に客が居ず、我々二人だけです。初老のおばちゃん一人でサーヴィスをしています。

私の飲み物はいつもどうりアルコールフリーのヴァイツェンビールですが、面白い変形グラスで出てきました。妻はカミツレ茶です。

  

変形グラス

私の前菜はリューゲン島名物で、漁師の奥さんがいつも作っていたという 〈スパイスの効いた魚-野菜-スープ〉。このレストラン独自のレシピだそうです。トマト味が前面に出た、ダシをしっかり取っていないようなスープの味で、美味しいとはいえませんが、寒い日なので暖まって良かったのです。でも、犬の餌みたいなパンの出し方は何とかなりませんかねぇ。

   

-野菜-スープ ・ パン

  

ミックスサラダ

妻は軽いものが良いということで、ミックスサラダの小鉢をたのみました。新鮮な野菜とハーブをまぶしたクルトンです。これは残念ながら水っぽくて不味かったのです。ちゃんと水切りをしなかったのかな?

その後妻は、なぜか 〈天と地〉 と名付けられたタラの料理を食べました。赤ビートのピューレとフライパンで焼いたタラのフィレとサッと炒めた輪切りのリンゴです。味はまぁ、ほどほどに良かったですね。

   

〈天と地〉 ・ 〈魚のフライパン料理〉

私の主菜は、レストランが開店した27年前から大人気という 〈魚のフライパン料理〉 です。焼いた4種類の魚(鮭、メバル、ホタルジャコ、鱈)、海老、炒めポテト、それに野菜の天こ盛りです。いろんな魚の味を楽しめて野菜たっぷりなのはいいですが、特に感動はしません。量が多すぎて残してしまいました。

全部の料理が、手をかけて工夫したものではなく、ただ新鮮な魚と野菜に簡単に手を加えて出しただけ、といったところでしょうか。良く言えば、材料の味をそのまま楽しんでもらおう、という方針なのかもしれませんね。

  

 [2018年10月]

 

 

 

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ラルスヴィーク城館 & リーツォヴ小城館

2018年10月28日 | 旅行

ドイツの北東部、バルト海に突き出た形のリューゲン島にある、6kmほど離れて建つふたつのお城です。

そのひとつ、ラルスヴィークという村にある同じ名前の城館は、19世紀の終わり頃、新ルネッサンスの様式で建造され、20世紀の前半には厩舎が増築されました。

  

ラルスヴィーク城館 1 ・ ラルスヴィーク城館 2

   

ラルスヴィーク城館 3 ・ 城館の入り口

   

1 ・ 庭 2

ユーゲントシュティールの玄関ホール、階段、板張りの壁、ドアの取っ手、そして窓ガラスの内装は、昔のままの姿だそうです。このお城はある家族の所有でしたが、第二次世界大戦後に国家 (東ドイツ) から公用徴収されて老人ホームとして、そしてその後ドイツ赤十字の管理下で身障者のための介護ホームとして利用されました。東西ドイツ統合のあと、ある別の家族が購入してこんにちの姿に改築したのです。玄関と内装は、いかにもお城、と思わせる重厚さです。

   

玄関ホール 1 ・ 玄関ホール 2

この古城ホテル・ラルスヴィーク城館に私たちは宿泊していないのですが、レストランは利用できるので、ここで昼食を食べました。どうやら、この地域の食材を使って美味しい料理を食べさせる、という公的なお墨付きをもらっているようです。

  

レストランの入り口 ・ 内部

われわれが行った時、テーブルのひとつに数人の客がいましたが、彼らが帰った後はずっと私たちふたりだけだったのでゆっくりと楽しめました。下の方に湖が見える良い席です。給仕をしてくれるのは、不愛想ですがしっかり仕事をする女性スタッフです。

  

我々の席から

私の飲み物はアルコールフリーのビール、妻のはカミツレ茶。

前菜のひとつはクランベリー-西洋梨ソースで食べさせるイノシシ肉のアスピックで、サラダ菜が添えてあります。イノシシの臭みもなく旨い。ソースが少し甘すぎるかな?

   

アスピック 1 ・ アスピック 2

もうひとつの前菜は、根菜とハーブを添えたクリーム状の魚テリーヌです。野菜がたっぷりで結構ですが、ほんの少し塩味が強すぎるようです。それにしても、この料理と魚スープとの差が明らかでないなぁ。

  

クリーム状テリーヌ

私がたのんだ主菜は、黒羽鶏にタイム (イブキジャコウソウの葉から作った香辛料) をのせて焼いています。ソースは蜂蜜ソースで、付け合わせはカブダイコンとセロリ-ポテトのピューレです。黒羽鶏と普通の鶏との差がよく分かりません。少し硬いような気がしますが、美味しい肉です。カブダイコンがグジャグジャでなく、歯応えがしっかり残っているのがいいですね。

   

黒羽鶏 ・ ブタのあばら肉

妻の主菜は、リンゴ-カボチャ-ピューレの上に、ブタのあばら肉とカラメルでコーティングしたジャガイモをのせた料理です。豚肉もピューレもポテトもなかなか美味しい。

全体的に満足のいく昼食でした。東ドイツの味のレベルが上がったと思います。ただ、どちらのメインディッシュも少しだけ塩味が少ない方がいいかな?(個人の好みです。)

   

リーツォヴ小城館 1 ・ リーツォヴ小城館 2

ラルスヴィーク城館のすぐ近くの村に、小さなお城みたいな目立つ建物があります。これは、南ドイツにあるリヒテンシュタイン城のミニチュア・コピーだそうです。リーツォヴ小城館といいます。建造されたのは19世紀の終わり頃。化粧塗りした2階建てで、高くて丸い塔がついています。所有者は何度も代わり、前世紀の末以来個人の所有で、実際に住居として使っているようです。

  

[2018年10月]

 

 

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狩猟の館 グラニッツ

2018年10月26日 | 旅行

われわれがリューゲン島で滞在しているアパートメントから30分ほど山地トレッキングをすると、狩猟の館・グラニッツに着きます。年間25万人以上の訪問客があるという人気のお城で、約1.000ヘクタールもの、前世紀の終わり頃から生物生息圏保護地区に指定されている森の真ん中にあります。

  

山地を走る観光汽車

この地には18世紀の前半に3階建ての狩猟小屋が建てられ、19世紀の前半に取り壊されました。その後も何回か、建てられて撤去される、ということが繰り返されました。

現在の〈狩猟のためのお城・グラニッツ〉は19世紀前半に、北イタリアのルネサンス風城館に似せて建造されました。建物の四つ角と真ん中に塔がある建造物です。

   

狩猟の館 1 ・ 狩猟の館 2

   

真ん中の塔 ・ 壁の装飾

このお城は昔からヨーロッパ中の貴族や著名人に愛された旅行先で、1944年まである家族の私的住居でしたが、戸主が拘留された後、ナチス党員たち (国民社会主義者たち) の管理下に置かれてしまいました。最終的には、ドイツ民主共和国 (東ドイツ) が誕生するにあたり、国の所有となり、それは今でも続いています。

戦中に拘留された戸主の孫にあたる人物が、家族の財産であるこのお城を取り返そうと裁判を起こしましたが敗訴したそうです。なぜなのか、私にはわかりません。この館は今世紀の初め頃、大規模な修理修復を施されて、数年前から博物館になっています。

   

鹿の角を使った椅子とテーブル ・ 鹿の角を使った照明

狩猟の館・グラニッツには、地下に、ボリュウムのある田舎料理を食べさせる料理店があって食欲をそそる良い香りが漂っていますが、ここでは食べません。昼食はごく簡単に済ませて、今夜、うちの宿から歩いて5分のところにある、〈四季〉というホテルの中の〈フロイスティル〉という名前のレストランに行きます。ミシュラン1つ星なので楽しみです。

  

レストランの入り口 ・ 招き猫

  

我々のテーブル (手前)

レストランはホテルとは別の入り口で、いかめしくない門構えなので気楽にはいれます。入り口に招き猫を置いてある意味がよく分かりませんが、まぁいいでしょう。小部屋がいくつかある内装で、我々はワインセラーの中のテーブルをもらいました。通常のミシュラン1つ星とは勝手がかなり違います。というのは、テーブルクロスが掛かっていない、台所の布巾のようなナプキン、パンが出てもそれを食べる皿が出ない、いんぎんでなく親しみが持てるけれども少し雑なサーヴィス、肩の凝らない居心地、などが特徴です。

   

パンとバターと黒塩 ・ ナプキン

おどろいたことに、メニューにあるのはコース料理がひとつだけ。その他にはア・ラ・カルト料理も何にもありません。すべての客が同じものを食べるということです。さらにそのコースの内容は、平均3か月間は不変なのだそうです。コースは6品で希望により8品に出来るのですが、増やせる料理はふたつともデザートなので、私たちは6品にとどまりました。

アペリティフとして、私はノンアルコールのカンパリを、妻はシャンペンを注文しました。食事中の飲み物は妻は白ワインで私は水。

お通し : メニューに、トピナムブール (花の名前)、西洋スモモ、トウヒ (マツ科トウヒ属の常緑針葉樹)と書いてあるのですが、供されたもので確認することができません。でも、少し甘味があってたいへん美味しかったのです。

   

お通し ・ 料理

料理 1: 塩に包んで蒸し焼きにしたビート (サトウダイコン) とミンチ肉とチーズのボロネーゼ風料理です。トマト味で美味しいけれども、コースの最初としては少々味が濃すぎるかな?

料理 2: メニューに〈タバラガニ、キュウリ、キュウリ、キュウリ〉とあって、そのとうり、カニがたいへんに少なくて後はキュウリだけ。さっと茹でたと思われるキュウリが少し青臭かったし塩味が足りなくて、あまり感心しない料理です。それにキュウリの量が多すぎました。

  

料理 2 ・ 料理

料理 3: ドイツはジャガイモの種類が多く、それぞれに女性の名前が付いています。皮ごと茹でた〈リンダ〉に、いろんなエキスが入っていそうなバターをつけて食べ、サラダ菜にはドレッシングをかけました。これも料理というのでしょうか。出方が面白いのは確かですね。

料理 4: サフラン入りのお粥の上に、北欧のフィヨルドで捕れたマスの冷たいタルタル (粗引きミンチ) と酢漬けのコールラビがのっています。味の組み合わせが抜群です。ちなみに、お粥のことをメニューには〈液状のライス〉と書いてありました。

   

料理 4 ・ 料理

料理 5: たいへん軟らかい地鶏の肉、ウズラの卵、食感も味も良いエンマーコムギ、紅く染まった甘酸っぱいタマネギです。旨い。

料理 6: ベリーの一種の液果とコテージチーズに麦芽糖がかかっていて、横にアイスクリームがあります。重くなくて美味しい。

  

料理

料理の供し方が何となく日本っぽいのが印象的です。料理以外のことにはそれ程気を使っていなくて、味で勝負し、それが成功しているレストランです。高価でない食材や野菜を多く使っているし、いろいろ節約して料理を安く提供しているのが分かります。普通のひとつ星レストランの半額に近い値段なのです。

今回の休暇旅行では比較的よくレストランを利用しましたが、最も美味しく最も満足度が高い夕食のひとつになりました。妻も大満足です。(ヨカッタ、ヨカッタ)

 

[2018年10月]

 

 

 

 

 

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ラインスベルク城館

2018年10月21日 | 旅行

宿泊している 〈港ホテル〉 から歩いて30分くらいのところにラインスベルク城館があります。湖畔のお城です。

  

 船上から見た城館 ・ 城館の対岸

お城見学の前に、すぐ近くのレストランで昼食をとりました。入り口は殺風景ですが中は綺麗にしています。ミシュラン本の2018年版に載っているようで、レベルが高そうです (星は付いていない)。

  

レストラン

まず、干しトマトとハーブが入ったクヴァルク (凝乳) とジャガイモで作ったパンが出てきました。パンがしっとりしていて、クヴァルクをつけて食べると結構いけます。

   

クヴァルク (凝乳) とパン ・ カミツレ茶

私はノンアルコール・ビールを、妻は、昼間なのでさすがにワインではなく、カミツレ茶を注文しました。

料理は、昼食なので一品だけにしました。

妻が食べたのは、タラのフィレとルッコラをカボチャリゾットにのせた料理です。ライスをカボチャスープで炊いているのかな? 美味しい。タラも良い。

   

カボチャリゾット ・ ブイヤベース

私は、この地方の魚と海老が入ったブイヤベースにしました。ニンニクマヨネーズをつけて食べるバーブ入りバゲットが付いています。何の魚かわからないけれども美味しい。ただ、だんだんスープが冷めて味が落ちてくるのが残念です。

ミシュランの評価が絶対ではないけれど、ひとつの目安として参考にするのは良いかもしれません。 

さて、城館です。

現在ラインスベルク城館が建っているところには、中世の時代、水城がありました。その水城が30年戦争のときに多大な被害をこうむったので解体され、16世紀の後半にルネッサンス風のラインスベルク城館が建造されたのです。17世紀の前半からお城は何度も競売にかけられたり親戚の間で贈与されたりしてきたのと同時に、一種のロココ風スタイルに拡充および拡張されました。18世紀中頃に、城館と付属の庭園がふたたび拡張されたのですが、この施設は第2次世界大戦の終戦までずっと個人の所有でありました。ところが終戦後、東ドイツの時代に公用徴収されて糖尿病の専門病院として利用されました。こんにち城館はある財団法人に属し、博物館として見学することが出来ます。さらに敷地内の劇場では、1991年から定期的に国際オペラフェスティバルが開催されるそうです。

   

城館 1 ・ 城館 2

   

城館 3 ・ 城館の内部の一室

   

城館の前から見た景色 ・ 対岸から見た城館

当夜も、宿泊先のホテルで夕食をとりました。突き出しはまたオリーヴで、飲み物も相変わらず、私はノンアルコール・ビール、妻は水と赤ワインです。

前菜は、イタリア風前菜 (アンティパスティ) の盛り合わせを一人前注文して二人で食べました。野菜をたっぷりとれた、という安心感とイタリア風味がいいですね。

   

前菜 ・ スパゲッティ

私が主菜として頼んだのは、エビ入りスパゲッティ。私が積極的にパスタ料理を注文するのは極めて珍しく、妻がびっくりしていました。火が通りすぎていない少し生めかしいエビがたくさん入っていますし、ピリ辛ソースの味が新鮮で旨い。

  

ホタルジャコの料理

妻は、ホタルジャコ (スズキ目の淡水魚) をフライパンで焼いた料理に興味があったようです。付け合わせは、地中海産の野菜とニョッキで、少し軽めのトマトクリームソースがかかっています。本当にいろいろな、何だかわからないような野菜がソースと絡み合って実に美味しい。ニョッキはそのモチモチした食感が楽しいですね。

今回の夕食は野菜が多かったし、味もたいへん結構でした。私は、今まで旧東ドイツで食べたレストランで2番目に美味しいと思いました。(1番はライプチヒにあるミシュラン2つ星のレストラン)

朝食は昨日の朝と少し違うものを食べてみました。

  

私の朝食

 

[2018年10月]

 

 

 

 

 

 

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