レーゲンスブルクは約15万3千人の人口を持つ、バイエルン州でミュンヘン、ニュルンベルク、アウグスブルクに次ぐ4番目の都市です。日本の感覚でいうと小都市の規模ですが、ドイツ全国では55番目に大きいのだそうです。ほぼ完全な形に保たれた旧市街地は、2006年からユネスコの世界文化遺産です。レーゲンスブルクの情報はオンラインで手に入り易いので、興味のある人は調べてみて下さい。
町のようす 1 ・ 町のようす 2
私は何度か行って地元の人と話したこともありますが、世界文化遺産であることは、地元の観光業界にとってそれほど有益ではなく、住民にとってはかえって迷惑なことなのだそうです。というのは、観光客のマイカーと観光バスで小さな町が溢れかえるようになった、というのがひとつ。そして、しばしばドナウ川の河川クルーズ船が停泊するのですが、客は3食とも船内で食事をし寝るのも船内なので、地元のホテルにもレストランにもお金を落とさない、というのがもうひとつです。
教会 1 ・ 教会 2
教会 3
さて、妻と私は自宅から約900㎞南のオーストリアに山歩きに行く途中、その中継地としてレーゲンスブルクにやって来ました。もちろん、市内の中心部に宿をとって宿のレストランで夕食を食べます。
ドナウ川は旧市街の辺りで大いに枝分かれしていて、結構大きな島が3つ出来ているのですが、泊まるのはそのうちのひとつに建つ 〈ソラート・島ホテル〉 というホテルです。それで、静かなのにドナウ川と旧市街がすぐ近くにある、という最高のロケイションなのです。アール・デコのスタイルを思わせるホテルの建物は、かつて1930年代に芸術的手工業が営まれていた建物で、文化財として保護されているそうです。とは言っても、客室は何の変哲もなくてごく普通です。
ホテルの建物 ・ 私たちの部屋の窓から
さて、このホテルにあるレストランの、十分にテーブルの間隔をとったテラスで夕食です。テ―ブルに着くまで、マスクの着用が義務付けられています。もちろんスタッフもマスク姿です。
レストランの内部 ・ テラス (夕食時)
テーブルセッティング
水とカンパリオレンジ ・ ノンアルコールビール
食前 (酒) はアルコールなしのカンパリオレンジ。食事中の飲み物は、ガスなしの水とノンアルコール・ヴァイツェンビールにしました。
私の前菜はスイカのガスパチョで、焼いた海老、クルトン、野菜が入っていて完熟トマトに近い味にととのえています。美味しい。
ガスパチョ ・ カルパッチョ
妻のオードブルは牛肉のカルパッチョです。バルサミコ酢がかかり、上にルッコラ、パルメザンチーズとトマトがのっていてレモン汁で食べます。まぁ、普通の味ですね。
そしてこれからが大変でした。私の主菜のランプステーキと妻のパスタがなかなか供されないのです。さらに、我々より後で来た人たちがメインディッシュを食べ始めましたが、気の弱い私たちはじっと待っていました。そのうちウェイトレスの一人が、
「万事オーケーですか?」
と訊いてくれたので事情を話すと、責任者と思われるウェイターがやって来ました。
「申し訳ありません。お客様と全く同じ料理を注文したテーブルがありまして、間違ってそちらに持って行ってしまいました。すぐに調理して持ってまいります。お詫びのしるしに、このサラダをお召し上がりください。ご注文のステーキを大きめにしますし、食後のエスプレッソかコーヒーを無料にいたします。」
サーヴィスのサラダ
ということで、やっとメインディッシュにありつけました。
私のランプステーキはアバディーン・アンガス (またはブラック・アンガス) と呼ばれる東部スコットランド産の牛です。ハーブバターとバルサミコ酢で味付けしていて、トマトと玉葱とポテトの焼いたのが付いています。
ランプステーキ ・ パスタ
妻の主菜の自家製パスタには乾燥トマト、オリーヴ、ズッキーニ、ルッコラ、パルメザンチーズが入っています。
その後は順調に行きましたが、食事の流れの腰を折られた形で興ざめしてしまい、わりと美味しいメインディッシュだったと思いますが感動はありませんでした。ほとんど習慣になっている食後のエスプレッソも飲む気がしなかったのです。しかしながら、レストラン側の故意でないミスの謝罪と償いの気持ちは高く評価します。
朝食はビュッフェ形式でしたが、使い捨てゴム手袋とマスクの着用と 「社会的距離」 をとることを指示されました。
テラス (朝食時)
マスクと手袋 ・ 私の朝食
私の朝食は、不健康ですが普段あまり食べない肉類と菓子パンを選びました。白ソーセージにつける甘い辛子はここバイエルン地方の特産です。あとは果物のヨーグルトかけ、ミックスジュース、そしてコーヒーです。
レーゲンスブルクの旧市街はユネスコの世界文化遺産になっているだけあって、見所がたくさんあります。でも小さい市域なので一泊すれば十分だと思います。白ソーセージはぜひ特産の甘い辛子をつけて食べると良いでしょう。薄皮をむいて食するのが正式だそうですが、私は面倒なのでそのまま食べました。が、薄皮がないほうが口当たりがいいと思います。
[2020年8月]