フィレンツェに滞在しているとき、南西に車路1時間半くらい離れた町ヴォルテッラを訪れました。小高い丘にある町に近づいていくと、数世紀の古さをもつメディチ家の要塞がこの中世の町のシルエットの大部分を形造っていることに気が付きます。
町の様子 1 ・ 町の様子 2
教会 1 ・ 教会 2
古代遺跡
要塞の最も古い部分は13世紀の末に建造されましたが、現在の形になったのは14世紀の後半だそうです。それ以来、この要塞がヴォルテッラの町を守ってきたのです。この当時の要塞はこんにち刑務所として使われており、一般人は入ることができません。しかしながら、毎月一度、一般の訪問客に所内のレストランが解放され、そこで食事ができるようです。その料理ですが、イタリアの複数の有名シェフの指導のもとで囚人が自分たちで調理し、サーヴィスも行うとのことです。いち度ここで食べてみたいものです。
要塞 1 ・ 要塞 2
要塞 3 ・ 要塞 4
要塞 5 ・ 要塞 6
要塞 7 ・ 要塞 (刑務所) の入り口
さて夕食は、フィレンツェに帰り、まだ未経験であったイタリアの寿司を食してみることにしました。ガイドブックを見ると、フィレンツェには25を超す寿司を提供する食堂があるようです。どこが良いのか分からないので、とりあえず我々のアパートメントから歩いて行けるところにしました。
「イヨイヨ (Iyo Iyo) 」という名前の寿司屋ですが、名前の意味は分かりません。野球帽をかぶった感じのいい日本人の親父さんと同じく日本人の若者が働いています。テーブルが8つしかなく、小さくて古くて粗末な内装ですが、一応清潔です。8時から予約でいっぱいだ、とのことなのに、開店時間の7時を過ぎたら30分以内に予約なしの客で満席になってしまいました。予約客が来る前に全部さばけるのか疑問です。
7時過ぎ ・ 7時半
たいへん意外で戸惑ったのは、この店ではほぼ全てセルフサーヴィスだということです。つまり、食器や箸を、そして醤油やナプキンを棚から取り出して並べるテーブルセッティングも、欲しい飲み物を選んで冷蔵庫から取り出して薄いプラスティックのコップを用意する飲み物サーヴィスも、客が自分で行います。注文も会計 (これは日本と同じ) も、自分でカウンターの脇まで行ってします。ただ、食事を運んでくるのと食後にテーブルを片付けるのはやってくれます。
飲み物の選択肢が非常に小さく、妻はミネラルウォーターを、私はなつかしいラムネを飲みました。ラムネを飲むのは子供の時以来です。昔より甘いかな、という気がします。
われわれは刺身一人前を二人で食べ、握りのミックス12貫をそれぞれ注文しました。魚はギリシャからくるそうで、質は普通レベルです。私たちは刺身を長い間食べていなかったので美味しく感じます。
刺身 ・ 寿司
ここまではまぁまぁ満足していましたが、握り寿司を食べ始めて、その評価が急落しました。すし飯が生温かく、ベチャベチャ感があり、コメ自体の旨味がありません。さらに、握り方が丸すぎるし、しっかり握っていないのでポロリと落ち、そのくせすし飯の割合が多いのです。もっと細かいことを言うと、握りの形状と魚の切り方が一様ではないし、魚が薄く (これはドイツでも同じ) 、種はサーモンとマグロと鯛だけなのです。温かいすし飯のせいで魚が温かくなっていて、せっかくの魚が美味しくない。こんなに旨くない寿司はおそらく初めてではないでしょうか。以前スペインで食べた寿司が美味しかったのと、美食の国イタリアなのでいくらか期待感もありました。もちろん、これだけでイタリアの寿司のレベルをうんぬんかんぬん言うことは出来ないのは分かっていますが、残念です。どこかで美味しいイタリア寿司に出会いたいものです、
[2019年10月]