私の住むハノーファーにヘレンハウゼンという市域があり、そこでは複数の公園が隣り合っています。大庭園、丘陵公園、ゲオルゲン公園、ヴェルフェン公園、および植物学公園で、中でも大庭園はヨーロッパで最も大事なバロック庭園のひとつです。
そしてその公園地域の中心に位置するのがヘレンハウゼン城館なのです。
城館と庭園施設 1 ・ 城館と庭園施設 2
城館と付属の大庭園の歴史は、17世紀の前半にあった農場と地主の邸宅までさかのぼります。比較的小規模だった邸宅の建物は、時の流れとともにバロック様式で建築された城館となりました。18世紀の前半からハノーファー選帝侯国とイギリス連合王国は元首が共通する同君連合になっていたため、ハノーファーの侯爵たちはイギリスで王様として居住し、夏はヘレンハウゼン城館で過ごしました。それでこの複合施設は入念に手入れをされてきたのです。ところが、18世紀中頃に始まった7年戦争からハノーファーが王国に指定された19世紀前半まで、城館の整備は最小限でした。その後擬古典主義のスタイルに改築され、ハノーファーの王族であるヴェルフェン家の夏季の居城になりました。しかし第2次世界大戦終戦間近の時に爆撃を受けて完全に破壊されたため、戦後ヴェルフェン家は城館を付属の土地と共にハノーファー市に売却したのです。破壊を免れたのはお城の屋外階段だけで、それは後に大庭園に移築されました。
屋外階段 1 ・ 屋外階段 2
ハノーファー王家の墓所
ヘレンハウゼン城館は、今世紀も10年を過ぎる頃になってやっと、オリジナルの設計図に忠実に再建されました。そういえば当時メディアでたいそう話題になっていたのを思い出します。
城館と庭園施設 3 ・ 城館と庭園施設 4
城館と庭園施設 5 ・ 城館と庭園施設 6
城館と庭園施設 7
再建された城館の前面は擬古典主義様式ですが、その内部には多数の、柔軟な対応が可能な部屋が並んでいて、会議、セミナー、 ワークショップ、そして小さくとも上品な個人的祝典に最適です。
城館と庭園施設 8 ・ 城館と庭園施設 9
城館と庭園施設 10 ・ 城館と庭園施設 11
城館と庭園施設 12 ・ 城館と庭園施設 13
城館と庭園施設 14
さて、ヘレンハウゼン城館にはレストランもカフェもあるのですが、現在営業が禁止されています。なぜなら、武漢肺炎のせいでドイツ全土に完全ロックダウンが科されているからです。
そもそも今年は中共ウィルスのせいで、私たちは外で食事をすることを出来るだけ避けてきました。手の消毒、マスク、個人情報の提出などなど、面倒なことが多いこと、そして少しでも人が集まる所は (たとえごく僅かであろうとも) 感染の危険が高まることがその理由です。それで妻が自宅で、当地は日本に比べて (日本人にとって) 良い食材が少ないにもかかわらず、出来るだけバラエティーに富んだ美味しい食事を作ってくれます。
例えば、ある日の主菜は海老のオーヴン焼き。
海老のオーヴン焼き 1 ・ 海老のオーヴン焼き 2
市内のレストランのシェフたちが仕入れる食材スーパーで手に入れたアルゼンチンの赤海老を使いました。背ワタを取って背開きして、塩麹とワインに7時間漬けました。そして半数にグラナパダーノ・粉チーズを、残りの半数にデンマーク産のブルーチーズを載せてオーヴンで焼いたのです。この料理は、このほか日によってパルメザンチーズ、ネギとニンニク、タラコなどを載せて比較的頻繁に食します。どれも美味しいのですが、妻はグラナパダーノ・粉チーズ、私はブルーチーズが一番好きです。
ノンアルコールのロゼワイン
最近妻も私もアルコール飲料をほとんど飲まなくなって、もっぱらアルコール無しのワインを飲みます。それに加えて妻はカミツレ茶を、私は時々ノンアルコールビールを飲むのです。昨今はノンアルコールワインが美味しくなって来ました。私たちは、色々な醸造所の製品を白、ロゼ、赤と飲み比べて、私たちの味覚に一番合うのを選びました。それがこの写真のノンアルコール・ロゼワインです。少し酸味があって、たいへん良い食事のお供なのです。
地元にこんな素晴らしい城館と庭園があるのに、今まで、日本からのお客さんを案内して数回しか来たことがありません。特に夏、数個の大きな噴水が大量の水をふき出し、庭園が花であふれる時にもっと頻繁に訪れようと思った次第です。
[2020年12月]