お城でグルメ!

ドイツの古城ホテルでグルメな食事を。

長崎の料亭 〈一力〉

2024年04月12日 | 旅行

今年の春、一時帰国した際に長崎を訪れました。私は3回目です。江戸時代から第2次世界大戦終戦までの歴史が詰まっているし、異国情緒豊かな文化もあり、日本で最も興味深い都市の一つだと思います。55年ぶりに訪れた妻も大満足でした。

 

大浦天主堂 ・ グラバー邸

 

出島 ・ ちゃんぽんミュージアム

 

夜景

長崎といえばチャンポン、皿うどん、そして何といっても卓袱料理です。どうしても初めての卓袱料理を食したく、自宅のあるドイツから遠距離予約をして出かけました。

 

入口

長崎の料亭の中でも最古である200有余年の歴史を誇る〈一力〉という老舗料亭です。〈一力〉の長い物語の始まりは西暦1813年、町人文化が発展した化政文化真っ只中の折だそうです。京都に同じ名前の料亭がありますが、400年もの歴史がある京都の〈一力〉とは格違いだということで遠慮して、自身を〈長崎 一力〉と呼んでいます。「幕末」へと移り行く時代には多くの維新志士が長崎へ集い、日本の在り方について想いを募らせていました。当時は高杉晋作や井上馨、そして坂本龍馬など、新生日本の立役者たちが名を連ね、この〈一力〉の円卓を囲みながら熱い議論を交わしていたことと思われます。

 

ロビー ・ 廊下

さて、私たちは古いけれども良く手入れの行き届いた複雑な日本家屋の中、階段を上ったり下りたりしながら予約していた個室に案内されました。案内してくれた女性が私たちに付きっきりでお世話をしてくれ、色々と説明をしてくれたのです。

 

我々の部屋 ・ その庭

卓袱料理はもともと親睦を深めるための家庭料理なので、箸置きもお品書きもありません。身分の上下なく平等に円卓を囲むのが特徴。「椀で始まり椀で終わる」ということで、最初に食べることになっている「おひれ」と最後に食べる「ぜんざい」以外は、食べる順番、食べ方などの決まりはなく、円卓に並んだ料理を好きなように自分の箸で小皿に取り分けて食すのだそうです。その際、円卓でぐるぐるまわるのは中国料理で卓袱料理の円卓は回らないとのこと。ちなみに、我々のテーブルは四角でした。

 

最初に供された料理 ・ おひれ

「おひれ」は温かいスープです。なぜ最初に「おひれ」を食すのかというと、アルコールを飲む前に温かいもので胃を守るためで、「おひれ」という名前はいつも食材として使う魚のヒレからきているそうです。

刺身の盛り合わせは、自分の分だけ小皿に分けてそこにしょうゆをかけて食べます。なぜかというと、家庭料理なので洗い物を少なくしようと皿を出来るだけ少なく使うのです。

  

刺身 ・ アジサイ揚げ と はとし

アジサイ揚げと「はとし」が同じ皿で出てきました。アジサイ揚げは長崎の県花であるアジサイに見立てた料理で中がクリーム状です。「はとし」は長崎県の名物料理で、エビのすり身を粘り気が出るまでこねて、食パンで挟んで油で揚げています。

 豚の角煮と芽キャベツも一緒に出てきました。豚の角煮をまんじゅうで挟んだら中国料理で、卓袱料理にはまんじゅうが付かないのだそうです。

  

豚の角煮 と 芽キャベツ ・ クジラ

クジラは胸肉のベーコンと舌と「おのみ」(尾の肉)で、「おのみ」は味噌で食べてあとはポン酢です。

 

カラスミなど ・ ホタルイカ

カラスミは大根と一緒に食べます。その他、黒豆、エビ、ホタルイカ、煮物などが供され、ご飯とみそ汁と漬物のあとにデザート。

  

煮物 ・ ご飯とみそ汁と漬物

  

デザート ・ ぜんざい

そして最後に「ぜんざい」です。昔は砂糖が高価で貴重なものであったので、最後に一番良いものを出すという習慣だそうです。「ぜんざい」に桜の花の塩漬けが入っていて、その代わりに塩昆布が付かないのです。

食と歴史文化を満喫した、大満足の長崎旅行でした。

 

〔2024年4月〕

 


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