お城でグルメ!

ドイツの古城ホテルでグルメな食事を。

ネズミ城砦 & ネコ城砦

2020年10月30日 | 旅行

ネズミ城砦はライン渓谷の中ほどの山頂、海抜197.3m に建つお城で、2002年からユネスコ世界遺産の一部になっています。この城砦は14世紀の後半に建造され、高位聖職者の暫時の住居としても使われました。そして、フォン・カッツェネルンボーゲン伯爵が時を同じくして近くに 〈カッツ = ネコ〉 と呼ばれる、より大きな城砦を建てたので、ネズミ城と呼ばれるようになったのです。長い間戦争などによっても破壊されることはなかったのですが、18世紀にその荒廃が明らかになりました。その後この城砦を保存したいと思う人物が購入して、20世紀の初めに再建が完了したのですが、その外見は原型を残すことが出来たそうです。お城には2010年の末まで何十年にもわたってワシとハヤブサの農場がありました。2016年に農場の運営が再開されて、観光客の為にハヤブサの飛行デモンストレーションが行われていたのですが、すぐにまた閉鎖されたとのことです。現在、お城は特別なガイド付きツアーの一環としてのみ見学することができます。

ネズミ城砦 1 ・ ネズミ城砦 2

 

ネズミ城砦 3 ・ ネズミ城砦 4

  

ネズミ城砦 5 ・ ネズミ城砦 6

ネズミ城砦に行くのは結構大変で、山裾までは車で行けるのですが、後は急こう配の山道を登らなければなりません。頑張って城門の前まで来たら、なんと、閉まっているではないですか。私たちの訪問が 〈特別なガイド付きツアー〉 ではないからか、武漢肺炎のせいなのか分かりませんが、城内を見ることは出来ませんでした。

ネズミ城砦 7 ・ ネズミ城砦 8

 

ネズミ城砦 9 ・ ネズミ城砦が建つ山より

さて、ネズミ城砦から約5km 離れた別の山にネコ城砦があります。本来、お城にはノイカッツェネルンボーゲン城という名前が付いていましたが、  〈カッツ城 = ネコ城〉 に短縮されたのです。やはり2002年以来ユネスコ世界遺産の一部です。

前述のように、ネコ城はフォン・カッツェネルンボーゲン伯爵によって14世紀の後半に建てられましたが、17世紀末にはこの地方の王位継承戦争で破壊されました。再建されたお城は、その後18世紀中頃の7年戦争の時にフランス軍によっていち度攻略され、すぐに返還されたようです。しかし19世紀の初めに、フランス皇帝のナポレオンによって何の損傷もないネコ城砦は結局爆破され、その廃墟は数人の個人の所有を経た後、19世紀の末に、ある地区評議員に売却されたのです。この人物がネコ城を住居として再建しました。その際中世の趣はあまり考慮されなかったので、ごく一部に原型の部分が残っているだけです。そしてお城は競売にかけられた後、第2次世界大戦の前にはナチスの国家勤労奉仕制度に組み込まれて、軍の合宿所が設けられました。戦後、ドイツ連邦共和国が所有者になり、1966年までお城は寄宿学校として使われ、そして1987年の末まで連邦財政局のソーシャルワーカーのためのレクリエーションセンターでした。その後カッツ城が売りに出されたとき、ある日本人が購入して、彼は日本人観光客専用のホテルに改装したいと考えていたようですが、実現されなかったそうです。こんにち城砦は、この人物なのか別の人なのかは分かりませんが、いずれにせよ日本人の個人所有になっていて、見学は出来ないそうです。

 

ネコ城砦 1 ・ ネコ城砦 2

  

ネコ城砦 3 ・ ネコ城砦 4

せめて外観だけでも近くで見ようと、狭い谷の道を城砦が建つ山の下まで車で行きましたが、お城へ続く道路が遮断されていています。さらにその道路には雑草が生えていて、ずいぶん長い間使用していないことがうかがえます。歩いて行けないことはないでしょうが、近くに駐車するスペースがありませんし、どうせ城内には入れないと思い、見学は断念したのです。

ということで、どちらの城砦も満足のいく見学は出来ませんでした。

その見学ツアーの途中で喫茶をしました。チーズケーキとミルクティーです。

 

チーズケーキとミルクティー

紅茶は、まずダージリン、アッサム、アール・グレイなど希望の銘柄を聞かれて、この国では通常ガラスのカップで供されます。ケーキは日本のケーキに比べてかなり大きめです。それで、妻と私はいつも一個だけ注文して二人で食べるのです。フォークをケーキの横腹に突き刺して出すのは、この国では普通のことです。何とも美しくない習慣ですね。この店では、不思議にもケーキの傍らに小さな紙ナプキンがありませんでした。

私たちはこの日から2週間、ライン河とモーゼル川の河畔に住んで、毎日背後の山をトレッキングして過ごしたのですが、ブドウの木の紅 (黄) 葉がだんだんと進んでいく様子は実に印象的でした。

 

[2020年10月]

 

 

 

 

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ベフェルン城館

2020年10月09日 | 旅行

ハノーファーの自宅から南西に1時間と少々走った所にあるベフェルン城館は、ヴェーザー・ルネッサンスの最も重要な建築の一つです。17世紀の初め頃に建てられ、数十年後には狩猟用離宮に改築されました。それから100年ぐらいの間がこのお城の全盛期で、その後はたいへん世俗的に利用されるようになりました。すなわち、18世紀の末頃にはまず退職公務員用の住居として、そしてボタン工場として使われたのです。さらに19世紀の中頃には更生施設、そして同世紀の後半には教護施設になりました。20世紀の前半から第二次世界大戦の終戦まで、ナチス突撃隊のスポーツ学校やドイツ軍の工兵の兵舎として使われ、戦後は難民の宿泊所、後には家具の倉庫になりました。1976年以来、地元の歴史博物館が城内に出来ていて、ベフェルン市の歴史の他に鉱物や化石に関するコレクションを展示しています。ベフェルン城館は現在、コンサートや演劇プログラム、一時的な展覧会を開催する文化の中心地です。

 

城館の模型 ・ 外観 1

 

外観 2 ・ 外観 3

 

外観 4 ・ 外観 5

 

城門 (中庭から) ・ 中庭に面した部分 1

  

中庭に面した部分 2 ・ 中庭に面した部分 3

 

内部 1 ・ 内部 2

 

結婚式場

さて、ここに記述するグルメ食はベフェルン城館と全く関係がありません。後日、私の住むハノーファーでホテルに宿泊することになった時のものです。

実は先日 (私の誕生日だったのですが)、19時ごろに広報車が何か訴えながら走っているのが聞こえました。

「第二次世界大戦中に英国空軍が落とした不発弾が近くの賃貸小菜園で見つかったので避難するように。」

とのことです。ドイツでは時々あることで、私たちは2、3年前にも経験しました。

私たちが住む町では不発弾が見つかると、直線距離で半径750m以内の住民が避難の対象になります。今回その対象になったのは約6300人だそうです。広報車が走った後、消防の人が戸別訪問をして避難を勧告します。その後、まだ誰か住居に残っていないかを確かめるために、警察が熱感知カメラを搭載したヘリコプターを飛ばします。そして安全が確認されてから不発弾を制御爆破するのです。

避難住民はどうするかというと、学校の体育館などの避難所に行きます。その為のバスが運行するのです。そこで危険が去るまで待機するのですが、ほとんどの住民は親、兄弟、親戚、または友人の家に行くようですし、そうでなければ、私たちと同じように、ホテルに一泊します。ホテルに向かう途中、非常に多くの警察官と消防隊員が道路の封鎖などに動員されているのを見ました。物々しい雰囲気でした。今回は23時過ぎに爆破したそうで、その後現場とその周辺をチェックしてから避難解除となりました。

さて、我々が避難したホテル。もちろん泊まったことはなかったのですが、3ヶ月ほど前にホテルのビストロで食事をしたことがあり、わりと良い味だった記憶があります。だからこのホテルを選んだのです。

 

スイートの部屋 (左奥が寝室、右奥がウォークイン・クローク)

 

ビストロ ・ テーブルセッティング

飲み物は、妻がノンアルコールの発泡ワインで、私はいつものようにノンアルコールビール。

 

飲み物 ・ パンなど

注文したのは4品のセットメニューです。レストランでなくビストロなのでサーヴィスのアミューズブーシュはありませんが、通常のパンは供されました。黒パンに羊の生チーズ、岩塩、またはトマトのペーストをつけて食べます。羊の生チーズといっても特に臭みがあるわけではなく、すべてごく普通の味で、取り立てて言うべきことはありません。

前菜は、子牛の肉のタルタルステーキ (チミチュリ (アルゼンチンのソース)、ネギ、焼きヤマドリ茸)。成獣ではない子牛のタルタルステーキは初めてですが、その差はよく分かりません。しいて言えば、癖がなくて柔らか、と言えましょうか。チミチュリ・ソースというのは、パセリとニンニクのみじん切りを、塩と油と酢 (オリーブオイルと白ワインビネガー) で和えたものがベースとなっているそうで、タルタルステーキに酸味が加わり良く合います。干し草のようなネギはハーブとして使っているのかな。意外性があって味も悪くありません。

 

タルタルステーキ ・ ホタテ貝 

魚料理は、ホタテ貝 (ほうれん草のトリュフ和え、キノア (雑穀の一種) のチップ)。この料理で美味しかったのは、トリュフがいい具合に混ざったほうれん草です。ホタテはまあまあ、チップは味があまりしないし硬すぎるので感心しません。

肉料理は、米国産牛肉 (カボチャ、焼き野菜、イタリア風ベーコン、ポテトコロッケ)。肉はたぶん二ヵ所の体の部位からでしょう。大小ふた切れあります。軟らかくて良い肉ですが、どこの部位なのかは分かりません。今がシーズンであるカボチャのペーストをステーキの上にのせているのは面白いし美味しい。ポテトコロッケもなかなか美味でした。

 

米国産牛のステーキ ・ デザート

そしてデザートは、ヨーグルトとラズベリーのパンナコッタ (マリナードに漬けたラズベリー、チョコレート、アイスクリーム)。 ちょっと酸っぱいラズベリーです。噛むとカリカリと音がするチョコレートを埋め込んだアイスクリームが美味しい。

朝食ビュッフェでは、色々な食品が入ったそれぞれの容器の下に氷を敷いていることに感心しました。また、他の多くのホテルでは各種の果物の小片を混ぜ合わせたフルーツサラダを供するのですが、このホテルでは、いろんな果物の小片を一種類ずつ別々の容器に入れてあり、見た目にすっきり感と清潔感がありました。さらに、数人の若いスタッフ全員が明るく手際よくサーヴィスをしてくれ、気持ち良く朝食をとれたのです。

 

私の朝食

家に帰って手にした地元新聞は、武漢ウィルスが流行りだしてから初めての不発弾処理だったらしく、避難所での感染防止策などについて大々的に報道していました。

 

[2020年10月]

 

 

 

 

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フィシェリング水城

2020年10月07日 | 旅行

ハノーファーから西に約2時間半走ると着くフィシェリング城は、森の中の池に建つ典型的な水城です。

 

水城の航空写真 (Wikipediaより)

〈フィシェリング〉 という名は14世紀の文献に初めて現れますが、この地にお城があったということは13世紀後半の古文書に書かれているそうです。その後大規模な火災によって破壊されたこともあり、16世紀の前半から17世紀の前半にかけてお城はルネッサンス風に再建拡張されました。その際に住宅城に改装されたのですが、それでもお城の防御的な性格は十分に保持されたままでした。

水城 1 ・ 水城 2

水城 3 ・ 水城 4

17世紀末に所有者の家族が別のお城に引っ越した後、長い間フィシェリング水城に住む家族はなく、ある管理者によって管理されていました。再びある家族が長期の住居として使ったのは19世紀の終わりごろから20世紀の前半までです。そして第二次世界大戦の終戦間際に爆撃によって破壊され、終戦後すぐに修復が始まりました。

水城 5 ・ 水城 6

 

水城 7 ・ 水城 8

さらに1970年代の初めに地域の公共団体がお城を賃借して大規模な修復を行い、博物館が設置されたのです。

水城の内部 1 ・ 水城の内部 2

 

水城の内部 3

こんにちお城の施設は地域の文化センターで、騎士の間 (城内の大広間) ではコンサートや講演が行われ、別の空間では芸術的文化史的な展示会が催されます。2018年には、この複合施設全体の改装と並行して行われた根本的な再設計の後、地域プロジェクト 「ヴァッサーブルゲンヴェルト (水城の世界)」 の一環として常設展がスタートしました。それ以来、フィシェリングの町は以前にも増して訪れる人が後を絶ちません (年間約8万人)。その訪問者たちの為に、前庭にある昔の馬屋を改造したカフェ/ビストロが営業をしています。

 

前庭のカフェ/ビストロ 1 ・ 前庭のカフェ/ビストロ 2

私たちはこのカフェ/ビストロを利用することなく、20kmぐらい離れた小さな町にあるホテルに泊まりました。何故ならそこにはミシュラン一つ星のレストランがあるからです。

 

レストラン ・ テーブルセッティング

レストランでは、武漢ウィルスが心配だし天気も良いので、屋外のテーブルに着きました。

飲み物は、まずアペリティフとしてノンアルコールのカンパリオレンジを頼んで、後は水とノンアルコールビールです。

 

カンパリオレンジ ・ 水とノンアルコールビール

すぐに、パンとそれにつけるオリーブオイル・バターとあさつきを載せた生チーズが供されました。

 

パンとバターと生チーズ

注文したのは妻も私もセットメニューです。一部差し替えをしてもらいましたが、サーヴィスのアミューズブーシュを含めて下記の料理が次々とテーブルにもたらされました。

まず、ハーブの泡スープ及びイワシと赤タマネギの酢漬けをのせた温かい小ベルリーナー。薄緑色の美味しいスープは撮影する前に誤って食べてしまいました。ベルリーナーとは中にジャムが入った丸い菓子パンなのですが、ここではそれの小型を温めています。甘い菓子パンなので、イワシとタマネギとの相性は良くないと思います。

泡スープが入っていた容器とベルリーナー ・ コンテチーズ

フランス産のコンテチーズとサラダ菜 (クルミ、アンズ、ジャコウソウ、泡状ソース): コンテチーズというのは初めて食したのですが、パルメザンチーズ系ですね。クルミとアンズがよく合います。

子牛とマグロ (マグロ、子牛の肉、オリーヴ、トマト、ケーパー): 生マグロとマグロソースが旨いのですが、味が単調で最後の方は少し飽きて来ました。子牛の肉は余分です。無くても良いですね。

 

子牛とマグロ ・ タコのグリル

タコのグリル (メロン、ウイキョウ、ガスパチョ): タコの表面がカリカリに良く焼きあがっていて結構です。ガスパチョのソースがなかなか良いし、ウイキョウも旨い。

フォアグラ (胡麻、マンゴー、照り焼きソース、ブリオッシュ): 上に散らした塩が効き過ぎているし、フォアグラに照り焼きソースはまったく合いません。でもまあ、胡麻の煎餅は面白いし、全体的に美味だと言えるでしょう。

 

フォアグラ ・ ノロジカの背肉

ノロジカの背肉 (アンズ茸、セロリ、サクランボ、ハシバミの実): 皿上の食材それぞれを肉と一緒に食べると美味しい。サクランボと混ぜると特に旨いのです。ハシバミの実は何だか場違いのようで面白いですね。

デザートの前に凝乳 & カカオ砂糖 & ジャムが出て来ました。サッパリしていて美味しい。

 

凝乳など ・ レモンのタルト

レモンのタルト (メレンゲ、コケモモの実、生チーズアイスクリーム): 軽くて組み合わせも良くて旨い。

 

レモンのシャーベット

レモンのシャーベット (クレマン・ド・ロワール): フランスのクレマン・ド・ロワールという発泡ワインをかけてくれます。少し酸っぱいのですが、さわやかでなかなか良いのです。

もう満腹だったので、食後のコーヒーは頼みませんでした。

このミシュラン一つ星レストランの料理、二つに一つは改良の余地があると思いますが、妻も私もまあまあ満足しました。それほど高級ではない普通の食材による組み合わせの良さが印象的だったのです。でも、ぜひまた食べに来たくなるようなレベルではありません。なお、食事の終わりごろにシェフが我々のテーブルまで挨拶に来ました。

 

私の朝食

翌朝のビュッフェには、温かいベーコンや卵の類を含めて数々の食品が並んでいて、比較的豪華な朝食になりました。

 

[2020年10月]

 

 

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