お城でグルメ!

ドイツの古城ホテルでグルメな食事を。

ホテル イル ・ グラディアトレ

2018年11月30日 | 旅行

バイエルン地方の中堅都市アウグスブルクで講演をするのに、わりと長距離なので列車で行くのですが、この国の鉄道は運休や遅延がよくあるので一日前に行き、駅のすぐ近くのホテルに泊まりました。〈古い公園のそばのホテル〉という名前のホテルです。キリスト教会が運営している施設で、このホテルの他に病院、小さな公園、老人ホームなどがあります。やはりこの施設に属するレストラン・バー・ラウンジで夕食をとりました。モダンな殺風景な建物ですが、優しそうな笑顔が魅力的な若おばさんのサーヴィスで心が和みます。裏の入り口が病院の入り口と向かい合わせになっているので、入院患者らしきお客さんもいます。鼻に管を差して体に袋を下げた人、何らかの器械を体に付けた人、車椅子の老人を囲んだグループ、、、、。

宿泊客はここで食事をすると飲み物が一杯無料ということで、いつものようにアルコール無しのヴァイツェンビールをもらいました。

  

ビール ・ サラダ

前菜として、メインディッシュに付ける小サラダをたのみました。細かく刻んだルッコラを混ぜている辛子ドレッシングをかけてもらいました。おだやかな味で美味しい。野菜も新鮮だし、キュウリの酢漬けや赤かぶもあります。

  

牛肉薄切り巻き

主菜は典型的ドイツ料理である牛肉薄切り巻きです。ベーコンとタマネギと酢漬けのキュウリを薄切りした牛肉に巻いて煮込んであります。付け合せは、煮た紫キャベツとシュペッツレ(小麦粉で作ったヌードルを塩ゆでした家庭料理)です。普通、ドイツ料理は味が濃くて塩辛く、主張が強いのですが、この料理のソースは見た目と違って穏やかで柔らかな味です。紫キャベツの煮たのんもフワッとした味で旨い。シュペッツレはいつもねっとりしていて重いからあまり好きではないのですが、今日のは口当たりがサクッとしていて軽いのです。どうしたらこのようなシュペッツレが出来るのでしょうか。純粋ドイツ料理をこんなに美味しく食べたのは本当に久しぶりです。

二日目は講演会の主催者が予約してくれた〈ホテル・イル・グラディアトーレ〉に移動しました。〈グラディエーター〉というのは、ホテルの名前としてはかわっていますね。ホテルは約10年前に開業したのですが、そのベネチア様式の建物は、ある自動車部品の製造会社所有の別荘として19世紀の後半に建てられました。

   

イル・グラディアトーレ 1 ・ イル・グラディアトーレ 2

   

イル・グラディアトーレ 3 ・ 入り口

切符売り場のようなレセプションが面白いですね。

   

レセプション ・ 私の部屋の前のフロア

内装にも家具類にも高い格調が感じられます。

  

私の部屋

今夜の夕食は講演会の主催者と会食なので取材はしません。それで、ホテルのレストランで昼食をとりました。

   

レストラン ・ 私の席

レストランはエレガントな内装の空間です。スタッフはみんなイタリア人なので、少し雑かな? と思うくらい、イタリア風に気さくなサーヴィスなのです。私も気を張らなくて済みます。飲み物は例によってアルコールフリーのビールで、料理は〈今月の特別料理〉の中から選びました。

  

カボチャスープ

前菜は、砕いた栗が入っているカボチャスープ。季節感満載の料理です。美味しい。どこがどうとは言えないけれども、ドイツの味付けとは違います。

続いて、久しぶりにピザを食べました。ア・ラ・カルボナーラというピザです。日本ではピザを食べたことが無いのでわかりませんが、日本のは少し小さめかな? ここのピザは直径32cmあり、この国では普通です。生地が薄くて香ばしく、ソーセージ、卵、そしてクリームとパルメザンチーズを焼きこんであります。でも前菜と違って季節感がまったくありませんね。味も私の好みではありません。他のにすればよかった。ところで私はピザを食べるとき、周囲のふちを残します。行儀が悪い、と妻にはいつも怒られますが、上に何ものっていなくて美味しくないし、出来るだけカロリーの摂取量を少なくする手段なのです。

   

ピザ ・ ピザの残り

さすがイタリアレストランのエスプレッソは美味しいですね。

   

エスプレッソ ・ 朝食

朝食は夕食と同じレストランでとります。暖かい料理も生野菜もありません。その他は普通です。給仕のイタリアおばさんもやはり気さくです。他のホテルなら、たぶん 

「もっとお飲み物はいかがですか?」

と言うところを、

「まだなんか飲む?」

ですからね。

かといって、客である私を軽くあしらっているのではないことはわかります。こちらも気楽でいいのです。

 

[2018年11月]

 

 

 

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ヴェンドリングハウゼン城館 & バルントループ城館

2018年11月26日 | 旅行

17世紀の前半にヴェーザー・ルネッサンスのスタイルで水城として建造されたヴェンドリングハウゼンという名前の城館および大農園は、ハノーファーから100kmくらい離れたところにあります。当初からある家族が住んでいる個人所有の城館です。今世紀の初めに大々的な修復が行われました。

   

ヴェンドリングハウゼン城館の入り口 ・ 城館 1

  

城館 2 ・ 城館 3

   

城館 4 ・ 城館 5

お城に属する広大な小高い山林を歩いていて見つけた看板によると、その山林自体が大きな墓地のようです。火葬した灰を有機質の骨壷に入れて埋め、そばの立ち木にプレートを下げるシステムです。

その看板の近くに池があり、そのほとりで妻の手作り弁当を食べました。

   

墓地の看板 ・ 池 

  

弁当

グリーンピースご飯に昆布と黒ゴマが混ざります。おかずは、大根と干しイチジクの酢の物、ハム入り卵巻き、シイタケの甘煮、そしてニンジンとパスティナケという根野菜のキンピラです。いつもながら美味しくいただきました。

ヴェンドリングハウゼン城館から西に10㎞ほど行くと、同じく個人の住居として使われているバルントループ城館があります。16世紀の後半に建造され、建物の3隅に城塔が配置されています。この、もともとはイタリア・ルネッサンスを真似た様式は、のちにヴェーザー・ルネッサンスの特徴になっていきました。しかしながら、内装は19世紀の後半に改装されてしまい、20世紀の中頃には、ある映画の舞台になったとのことです。 

   

バルントループ城館への入城門 ・ 城館 1

    

城館 2 ・ 城館 3

どちらのお城も田舎にあるので近くの少し大きい町まで行って、町の中心部のホテル・レストランでお茶をしました。

「紅茶とケーキをたのみたいのですが、どんな種類のケーキがありますか。」

「あるのはチーズケーキだけです。」

「紅茶はアールグレイが欲しいのですが、ありますか。」

「うーん、えーと。」

「無かったら他のでもいいですが、、、、。」

「いずれにせよ、紅茶は一種類しかありません。」

本来カフェではなくレストランなので仕方がないですね。

   

紅茶 ・ チーズケーキ

出てきたのは、見た目にたいへん整ったケーキで温かい。既製品の冷凍ケーキを溶かしたのはあきらかなのですが、それがけっこう美味しかったのです。ところで、ケーキの横腹にフォークを突き刺して出すのは、この国で通常の仕方です。

ドイツでは、昔ながらの、アフタヌーン・ティーを楽しめる喫茶店がめっきり少なくなってしまいました。残念です。

 

[2018年11月]

 

 

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ヘメルシェンブルク水城館

2018年11月18日 | 旅行

私の住むハノーファーから南西に60km離れて、ヘメルシェンブルク水城館があります。お城に付属する芸術収集品、庭園、水車、農舎、教会を含めて、かつて栄えたヴェーザー・ルネッサンスの代表となる施設です。

15世紀の初めごろからこの地には城塞がありましたが、それが壊され、16世紀の終わりから17世紀の初めにかけて、水城である現在のヘメルシェンブルク城館が新しく建造されました。17世紀前半の30年戦争の時幸運にも惨禍を免れ、続いて起こった7年戦争の被害も最小限に抑えられて、お城は今日までほぼ完全な形で残っています。現代人が住むのに適するように19世紀と20世紀に改装が行われましたが、歴史的外観は全く損なわれていないそうです。個人の所有であるお城の一部は、50年前から私立博物館として公開されています。そこには、ルネッサンスやバロックなどの特徴がよく分かる家具、絵画、陶磁器、ガラス食器、武器が展示されていて、夏季には毎日ガイド付きで見学が出来ます。一部の部屋は賃貸されていて、一般の人々が住んでいるとのことです。

   

城館 1 ・ 城館 2

  

城館 3 ・ 城館 4

  

城館 5

お城の農舎を改造したカフェテリアがあり、天気が良くて暖かいので外で休憩し、〈城館杯〉と名付けられたアイスクリームを食べました。ヴァニラアイスがベースで、果物と生クリームがたっぷり入っています。まぁ、誰でも想像できる普通の味です。

   

カフェテリア ・ 〈城館杯〉

今年は秋が長くて紅葉がきれいなのです。


[2018年11月]

 

 

 

 

 

 

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グランドホテル ハイリゲンダム

2018年11月09日 | 旅行

18世紀の終わり頃、ある公爵が主治医に勧められてこの地で泳いだことにより、ドイツで最初の海水浴場が誕生しました。その主治医は、海水浴がいろいろな病気を治すことを知っていたのです。なぜハイリゲンダムが海水浴治療に適しているかというと、気候が良いからです。すなわち、埃を含まない湿った空気、小さい寒暖の差、深いブナの森林にかこまれていること、そして潮の干満がないことです。その後19世紀の後半にかけて多くの建物、中でも現在グランドホテルになっている大規模な保養宿泊施設が建てられたのです。ハイリゲンダムはその誕生からドイツで最も洗練された海辺の保養地という名声を博し、1930年まで、数多くのヨーロッパやロシアの貴族や著名人が避暑をする地で、死ぬまでに一度はハイリゲンダムに行くべき、とまで言われたそうです。第2次世界大戦後の東ドイツ時代は、療養所および保養施設として利用されました。東西ドイツ統合後の20世紀末に、ある企業がこの歴史的建物とそれに属する500ヘクタールもの土地を購入し、数年にわたって入念なてこ入れを行い、2003年にこのグランドホテル・ハイリゲンダムを開業しました。すなわち、ドイツで最も古い海辺の保養地が復興したのです。2007年には、第33回主要国首脳会議、G8-ハイリゲンダムサミットが開催されました。

   

桟橋からホテルの全貌 ・ 桟橋から

  

海岸から ・ レセプション

色々な建物がホテルに属するのですが、中でも目を引いたのが〈ホーエンツォレルン城塞〉と名前が付いた建造物です。本物の城塞ではないようで、ここにはホテルのスイートルームがあるそうです。

   

〈ホーエンツォレルン城塞〉 ・ 私たちの部屋(スイートではない)

実はこのホテルには、ミシュラン1つ星のグルメレストランがあるのです。ところが残念ながら、旅程の都合で宿泊するのが月曜日になり、多くの一流レストランがそうであるように、ここも月曜日と火曜日が定休日なのです。他にもいくつかレストランやバーがあって食事ができるので、スシ・バーで夕食をとりました。こんな有名なホテルに寿司屋が入っていることに驚きです。スシ・バーは私たちの部屋とは別の建物にあるのですが、感じの良い廊下を通って行きます。寿司職人ひとりとぽっちゃり型姉ちゃんの二人だけで動かしている小さな店です。職人はミュンヘンにある有名な〈NOBU〉という和食レストランで修行をしたそうです。

   

スシ・バーに行く廊下 ・ われわれのテーブル

   

寿司職人 ・ 和風食器

飲み物はもちろん日本酒で、大吟醸を注文しました。が、これが冷えてないんですよねー。大吟醸はふつうよく冷やして飲む、ということを知らないのかな?

  

刺身の盛り合わせ 

まず刺身の盛り合わせ。鮭、マグロ、ハマチ、バターフィッシュ、シーバスの5種類の魚です。それぞれ5切れずつあり、ふたりで食べるにしても十分な量です。ただ、その供し方が気になりました。蒸し器の食器も、巻き寿司海苔を下に敷いているのも、大量に生姜があるのもおかしいのですが、盛り方に上品な美しさがありません。食べてみると、、、、日本の刺身に引けを取らない美味しさです。味がだんだんと単調になってくるのが残念でした。魚は二日に一度日本から取り寄せているそうですから、わりと新鮮ですね。

  

握り寿司

そして握り6つ盛り。刺身で出た5種の魚に海老を加えた6つです。びっくりしたのは、すし飯が炊き具合といい味といい、非常に良いことです。後で寿司職人と話したのですが、寿司はご飯がタネより大事なことを知っていて、米も日本産にしているそうです。

  

焼き鳥

量が少し足りないので、私だけ焼き鳥を注文しました。私の住むハノーファーでもアジアショップで買える冷凍食品です。醤油味が付いているのですが、中華風ソースで食べさせるのです。それだけでも失望感があるのですが、下に敷いているご飯が冷たくて少し酸っぱい。そうなんです。すし飯を流用しているんですね。不味くて食べられないわけではないけれど、全体としてこの料理は(料理と呼べるかどうか?)いけませんね。

妻がたのんだデザートは、日本酒をかけた柚子アイスクリームです。まずくはないのですが、味からいって柚子も酒も偽物のようです。

   

柚子アイスクリーム ・ レモンアイスクリーム

私は抹茶アイスクリームを食べたかったのですが、抹茶アイスがなくてレモンアイスクリームになりました。上に抹茶とゴマがかかっています。餡餅の小さい欠片が付いていてそれなりに美味しい。

このスシ・バーは、いち応日本風の食器を使っていて、少ない食材で苦労をしながらやりくりしているのがよく分かります。へたな日本の寿司屋より美味しいと思うほど魚とすし飯は申し分ないけれど、われわれ日本人にとって、その他はすべて ?????? です。でも、ドイツ人にはこれで良いのかもしれませんね。

   

朝食の部屋 ・ 朝食のテーブル

朝食の部屋はシャンデリアが立派で、テーブルには真っ白なテーブルクロスとナプキン。朝食なのに銀食器を使います。ビュッフェにはたくさんの種類の美味しそうな食品が並んでいます。

   

私の朝食 1 ・ 私の朝食 2

グランドホテル・ハイリゲンダムはG8-サミットの後、いちど倒産しました。そして新しい経営者の元で、宿泊料金を下げたり各種プランを設定したりして、再建を図ったようです。我々が宿泊した日はけっこうお客さんがいました。何日か滞在して豪華な気分を味わうのもいいかも。

 

[2018年11月(宿泊したのは10月)]

 

 

 

 

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