ドイツの有名な観光地(保養地)、シュヴァルツヴァルト(黒い森)にあるドナウエッシンゲンという町に「日本への原爆投下」に関する講演をしに行きました。ドナウエッシンゲンは、ドナウ川の源流があったり、わが同胞、斉藤茂吉と何らかの関係があるということで、それなりに有名です。
ドナウエッシンゲンの市役所
そのときに泊まったホテル・レストラン リンデンホフ(菩提樹のある中庭)は、ドナウエッシンゲンから4km離れた、丘の向こうのブロインリンゲンという町の旧市街にあります。ブロインリンゲンは9世紀初期までさかのぼれる古い小さい町で、あちこちに歴史的な建物があるのですが、私が泊まるホテルもそのうちのひとつです。約200年前までたどれる家族が、火災の後に再建したり改築したり拡張したりしながらずっと経営してきた伝統のホテル・レストランらしいのです。
ブロインリンゲンの中心部 ・ ホテル
客室
シュヴァルツヴァルトには、ドイツの他の地域と違う文化があります。たとえばカーニバル(ファストナハト)の時、イタリアのベネチアのように、独特な衣装を着て仮面をつけて練り歩きます。その仮面のミニチュアがたくさんレストランの梁にかけてありました。怖い顔からユーモラスなものまでいろいろあります。
レストラン ・ 仮面のミニチュア 1
仮面のミニチュア 2
夕食では、前菜としてミックスサラダを食べました。通常よりもいささか甘めの甘酸っぱさで、美味しく感じました。
メインではこの地方の食文化を味わいたくて、黒い森を徘徊していたという鹿の大腿部からとったステーキにしたのですが、野生なのにやわらかくて臭みもなく、ヴァハホルダーという木の実とクリームのフッと苦味のあるソースが良く合いました。このマッシュルーム入りのソースも少し甘めでした。さらに、果物のコンポートとジャム入りクレープがついていたのですが、少し甘い味付けは、この地方の傾向なのか、それともこのレストランの特徴なのかはわかりません。
メインディッシュ ・ 付け合せ
別の食器に、自家製のシュペッツレというこの地方のヌードルとポテト・クロケットが供されました。このシュペッツレ、ふつうはべっとりやわらかくて、私はあまり好きではないのですが、ここのは少し歯ごたえがあって良かったのです。大変おいしい地元料理だと思いました。
以前、シュヴァルツヴァルトにあるミシュラン1つ星のレストランを紹介したので、ご参照ください。〈ノイヴァイエル城館〉
〔2015年5月〕〔2022年10月 加筆・修正〕