お城でグルメ!

ドイツの古城ホテルでグルメな食事を。

妻の故郷 大阪のグルメ

2023年05月29日 | 旅行

  

たこむす 1 & 2 

新幹線で大阪から箱根に行く途中、駅弁として食しました。たこ焼きとおむすびの合体で、マヨネーズを付けて食べます。「温めても美味しい」と書いてありますが、それは間違いで、温めないとたいへんに不味いのが分かりました。この食べ物で一食を駄目にしたのは残念です。

 

高菜ご飯 と 玉子とじ蕎麦

高菜ご飯と玉子とじ蕎麦を、大阪の普通の通りに普通にたたずむ蕎麦屋で食べましたどちらの料理もたいへん美味しくいただきました。卵と蕎麦のコンビネーションは結構いけますね。

大阪ではありませんが、義弟がよく利用するという夫婦だけでこぢんまりと営業している神戸の和食店のおまかせコースで、最初に出たのがこれ(下の写真)です。

 

胡麻豆腐、ランの食用花、子持ち昆布、汲み上げ湯葉、そらまめ、針生姜など

和食の味を私のつたない表現力で伝えるのはむずかしく、ただ、繊細で旨い、としか言えません。この店の女将さんは和陶器が趣味なので食器も興味深いし、陳列してあるたくさんのぐい飲みの中から自分の好みを選んで酒を飲めます。

 

三度豆、メバル、シイタケ

次は汁物です。実はこの店は2回目なのです。大将はあの吉兆〉出身なのでこれが本当の和食の味だとは思いますが、私のそれ程敏感でない舌には味付けがいつもうすいのです。

 

肝醤油、長ハゲの子、筍、くだごぼう、オカワカメ、唐辛子、小芋、合鴨ささ身の昆布締め、合鴨の燻製、アケガラシ、ワカサギ、ふきのとう、桜のなます、など

そして旬の食材の盛り合わせ。緑の葉っぱで三角形に包まれているのは、〈ハスの熟れ鮨〉を塗った食パン一切れです。肝を溶かした醤油と熟れ鮨は私の好みではありませんが、他はたいへん美味しかったのです。

 

うなぎ、ズッキーニ、山椒の花、ネギ味噌、昆布、豆など

山椒の花は一週間で旬が終わってしまう食材である上、手で摘み取るのでたいへん高価なものだそうです。

 

水ナス

本当にみずみずしい水ナスで、口腔内がさっぱりしました。

 

タケノコ と ワラビご飯

私の好みから言うと、ご飯が少しやわらかすぎました。

 

夏みかん風味のヴァニラアイス

すっきりさわやか、でした。

 

〔2017年5月〕〔2023年5月 加筆・修正〕

 

 

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故郷 大分のグルメ

2023年05月24日 | 旅行

2017年に一時帰国しました。伊丹空港から大分行きの飛行機が欠航したので大分駅にあるホテルの予約を急にキャンセルしましたが、当然発生するキャンセル料を免除してくれました。日本に帰り着いたその日に、この国の良さを実感しました。

 

寿司

大分駅の中にある居酒屋。焼鳥や唐揚げ等もある店で寿司専門店ではないのですが、そこで寿司を食べました。ドイツではいちど冷凍した生魚でないと寿司として売れないので、ドイツに比べて生の魚を食べている感がありました。切り方が不ぞろいなのは愛嬌ですね。美味しいと思ったのは帆立貝とアナゴで、後はそれほどの感動もなく、まぁ普通でした。寿司屋ではないので仕方がないかとも思いますが、ご飯の握り方が緩くてポロリと壊れる傾向がありました。皿の上にもカウンターにもワサビをどこにも置いていないので、確かめなかったけれども握り込んでいると思うのですが、ワサビのきき方が大変弱かったのです。

 

とり天定食

とり天は大分名物ということになっていますが、私が子供の頃は聞いたことありません。辛子をつけて醤油ベースのソースにつけて食べます。旨いけれども少し味にパンチがないと思いました。私は少々ピリ辛の唐揚げの方が好きですね。このとり天定食を食したのは私の姪のMちゃんの亭主が重役を勤めるファミリーレストランのチェーン店のひとつなのですが、ここは値段の割りに美味しい料理を提供してくれます。

 

豊後名物膳

空路大阪に行く (帰る) ときに大分空港で大分名物をまとめて食べました。

 

だんご汁

だんご汁は子供の頃から知っている郷土料理の定番です。醤油味ベースで手延べの小麦麺ですが、それぞれの家庭によって入れる具や味が違います。このレストランではゴボウやニンジンや椎茸やサトイモが入っています。我が家のにはサトイモと高菜と油揚げが入っていたのを覚えていますが後は忘れました。さらに、ここのはサラサラの汁ですが私の母が作っただんご汁は麺の表面が溶けて少しとろみがでていたように思います。故郷の料理ですが子供時代に食べていたのとあまりに違うので懐かしさはありませんでした。

 

りゅうきゅう

りゅうきゅうは私が日本にいる頃はなかったと思うのですが、いつの間にか郷土料理ということになっています。生魚の料理でそれなり美味しいけれども、どこが沖縄と関係があるのかわかりません。ネットで調べてみると、「ぶりやアジなどで作ることが多いようですが、甘いタレと脂の乗ったサーモンがよく合う」。「醤油、みりん、砂糖、チューブの生姜、すり白胡麻で調味」するそうです。

 

やせうま

子供の頃に時々おやつとして食べていたやせうまです。このレストランでは手延べの麺を使っているようですが、私が知っているのは平たい麺です。きな粉と砂糖をまぶして食べるのですが、私は子供の頃からそれほど好きではありません。甘いのでお膳の中でデザートの役割を担っていますが、デザートとしては少々重い気がします。

 その他大分の食材として知られているものに城下かれい、スッポン、関アジと関サバなどがありますが、今回は食べる機会に恵まれませんでした。

 

〔2017年5月〕〔2023年5月 加筆・修正〕

 

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田舎の別荘 フロットベーク

2023年05月21日 | 旅行

ホテルのホームページでは「昔々、豪勢な農場がありました。」という風に、ハンブルクの郊外のフロットベークと呼ばれる市域にある「田舎の別荘」のお話しが始まります。

250年前に建てられた大きな英国風の住居用建物で、家畜小屋と納屋と公園地が付随していました。裕福な農家の家族が住んでいたと思われます。

この施設は、馬小屋はレストランに、ウナギの燻製製造場はビストロに、乳牛の乳しぼり部屋は会議場に、そして打穀場をホテルのレセプションに、というように心を込めて改装され、現在は文化財保護の対象になっています。今ちょうど大規模な改装中でレセプションは暫定的なものがあるだけです。

  

敷地の入り口に立つ像 ・ ホテル 

 

ホテルの屋根

  

レストランの裏側とウェルネスの建物 ・ ウェルネスの建物

私の部屋は天井が高い地味な色調の客室で、ベッドが壁際でなく真ん中にあり、ベッドと収納戸棚の間のスペースに細長い事務机があるという奇抜な間取りなのです。部屋の中に柱もあります。浴室も部屋と同様にこげ茶系と灰色系で、全体的に静かな色調です。アメニティーグッズとして必要なものは全部あり、清潔で上質なタオル類が備わっています。一階の部屋なので窓の外に竹の茂みが見えるのは何となく落ち着きますね。電燈のスイッチは40数年前に私がこの国に来た頃によく見た型です。収納戸棚の中の棚が木組みで支えられているのは、日本の職人技を思い出させます。

  

客室 1 & 2

 

客室 3 

  

戸棚の棚 ・ 電灯のスイッチ

さて夕食ですが、工事中のため本来のレストランではなくて別棟にあるビストロ風のクラブハウスで食べることになっています。良い雰囲気ですが少し暗すぎます。控えめで素人っぽいアフリカ系お姉さんが給仕してくれます。

  

クラブハウスの外観 ・ その内部

まず出てきたのはパンとオリーヴ油。卓上にあるグルメ塩もかけて食べるのでしょう。バターが出てこないのは面白いですねー。

前菜はミックス葉サラダで、オレンジドレッシング、焼きエビ、Coutons (カリッとしたパン屑)、そして紫のポテトチップスがかかっています。ドレッシングが甘酸っぱくて美味しいのですが、残念ながら海老が焼き過ぎていて少し固い。ミニトマトが暖かいのはなぜでしょう。一緒に焼いたかな。別にトマトは暖かくなくてもいいですね。葉野菜がパリパリで新鮮です。

  

前菜 ・ 主菜

メインディッシュは子牛のすね肉の煮込みで、付け合わせは照りをつけた人参とセロリのピューレです。熱々の皿で供されて結構旨いのですが、ストレートな単純な味ですね。なんか複雑な味が欲しい気がします。セロリのピューレは穏やかなやわらかい味です。

ごく普通のエスプレッソで最後を締めました。

早い時間で客がまだ私ひとりだけだったのでサーヴィスが早く、さっさと1時間であっけなく終わった食事でした。木の椅子が固くて居心地があまりよくなかったから、早く終わってよかったかな。レストラン全体をもう少し明るくして、食事の色や盛り付けを楽しめるようにするべきだと思います。

朝は昨夜と同じ部屋でごく普通の朝食です。今の時期には珍しい私の好きなスイカを美味しく食べられたので、スーパーで見かけるスイカを買ってみようという気になりました。

 

朝食

 

2017年3月〕〔2023年5月 加筆・修正〕

 

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ホテル ・ シュヴァイツァー ・ ホフ

2023年05月18日 | 旅行

スイスのチューリヒでよく泊まるホテル、シュヴァイツァー・ホフが気に入っています。その理由のひとつは、中央駅の前で人と車と市電の交通が激しいにもかかわらず、建物の中は大変に静かであることです。従業員に聞くところによると防音に細心の注意を払っていて、駅通りに面している窓は三重にしているそうです。

このホテルは19世紀の後半に建てられ、〈Hotel National〉という名前で開業しました。何度も建て増し、修理、改装を繰り返し、名前も数回変わり、現在は約150の客室を持つチューリヒで最も伝統と格式のあるホテルのひとつになっています。

  

ホテル ・ 小さな入り口

 

廊下

部屋は絨毯を含めて清潔感に溢れ、家具が重厚で落ち着きがあるしデザインもいい。セミダブルのベッドで大変に寝やすく、脚や上半身を持ち上げられる電動ベッドです。

  

私の部屋 1 & 2 

普通ホテルでは客室のドアの内側に「邪魔をしないで下さい。」と「掃除をして下さい。」の札があり、どちらかをドアの外側に掛けることによってホテルのスタッフとコミュニケイションを取るようになっているのですが、このホテルではドアの内側に赤色の房が付いたロープ状の下げ物と緑色のそれが掛かっています。これで 「ダメ」 と「ヨシ」 の意思表示をするのでしょう。今まで経験したことのない趣向です。私が「ダメ」を掛けて昼寝をしている間にバトラーがワゴンにチョコレート、雑誌、新聞などを乗せてやってきたらしいのです。挨拶のメッセージと絵葉書をドアのノブに掛けていました。

 

ロープ状の下げ物

ドアは二重で間にキャビネットと金庫やバスルームがあるので、内側のドアを閉めれば廊下の音もほとんど聞こえません。バスルームにはもちろん湯ぶねがあり、その他の構造も付属器機類も使い勝手が非常に良いのです。各種備品も質の良いものを置いていて、女性がお化粧をするときにドレスが汚れるのを防ぐために使う布さえ備えてあります。230Vの他に110Vのコンセントもあるのです。コンセントの穴が合わなければアダプターを貸してくれるそうです。バスルームにスピーカーがあり、テレビやラジオの音声が聞けるようになっています。

 

バスルーム

テレビは大きな平形受像面でDVDの映写機も付いています。部屋に給茶セットが置いてあって便座に 〈消毒済み〉の紙帯を置いているのは、日本では普通ですが、ヨーロッパのホテルではごく稀なことなのです。シングルの部屋なので広くはないけれども、窓際にランの鉢植え、そしてバスルームにはバラの一輪挿しを飾ってあります。部屋から出ると廊下のあちこちにある大きな花瓶か花鉢に季節の花があふれているのです。

朝食部屋のそれぞれのテーブルには緑色でオシベかメシベのついた麦の穂をあしらった花鉢を置いています。スタッフは皆明るく、知性を感じさせる言動が印象深い。朝食の時に特に気が付いたのは、温めてあるコーヒーカップはさることながら、フルーツサラダの内容です。値段の安いリンゴの量が少なくて比較的高価な木苺や苔桃属の実などのイチゴ類、そしてプラム(西洋スモモ)やエキゾチックなマンゴーなどを惜しげもなく使っています。朝食のテーブルの上にアンケート用紙があったので朝食に関して少し気になった点を書いておいたら、チェックアウト時にフロントの責任者が出てきて、

「ご指摘の点を改善するように努めます。」

と、告げられたのです。(1年後に泊まったとき、実際に改善していました。)ホテルや旅館でコメントに対する反応が得られるのは気持ちのいいものですね。今まで日本の2、3の旅館とホテルから返事をもらった記憶があります。

サーヴィス・スタッフやポーターの笑い顔がすばらしい。いかにも 〈心から〉 という印象を受けます。レセプションのあるロビーには、毎朝生絞りのオレンジジュース、コーヒー、そしてクロワッサンが置いてあります。ゆっくり朝食を取れずにチェックアウトしなければならない客のことを考えてのサーヴィスなのです。

各階のエレベーターの前に極小粒のきれいな砂を分厚く敷き詰めた灰皿があります。その砂がこのホテルのシンボルであるポーターの頭部を浮かび上がらせているのです。その型のネガを刻印した一種の印鑑を平らに均した砂に押し付けたのでしょう。

 

灰皿

このホテル・シュヴァイツァー・ホフをチェックアウトして数時間後、預けてあった荷物を取りに行って着替えをしたい由を伝えると、レセプションの隣にある小さな金庫室に連れて行かれました。時々私のような客が居るのだろうと思います。丸椅子と鏡が備え付けられてあり、棚に数種の一口チョコレートを置いてありました。うれしい心使いですね。

このホテルはパーフェクトに近いと思います。というか、とくに悪いところが見つからないし住み心地が非常に良い。古き良きホテルの長所をまだ維持している感じがします。

残念ながらホテル・シュヴァイツァー・ホフのレストランでまだ夕食を食べたことがありません。ホテルのホームページに特にグルメに力を入れている由の記述がないし、スイスは一般にガストロノミーのレベルが高いので他のレストランに行ってしまうのがその理由なのです。一度試してみたいとは思っています。

 

〔2015年6月〕〔2023年5月 加筆・修正〕

 

ちょうど一年後に近くまで来たのでチューリヒまで足を延ばしました。ホテル・シュヴァイツァー・ホフで食事をするという懸案を解決するためです。レセプションの女性が、前もって調べてあったのか、私が初めての客ではないのを知っている口ぶりで話します。部屋のアップグレイドもしてくれました。私は常連と言われるほどこのホテルに宿泊している訳ではないのですが、その様に扱ってくれるのはうれしいものです。

レストランは白と青系統の色の、それ程広くない明るい空間です。静かにクラッシックの曲が流れていて、天井に比較的小さなクリスタル・シャンデリアが5つ掛かっています。テーブルにこんもりとしたブーケが乗っているいるのですが、ユリのオシベは取ってあります。テーブルに小さなメモ用紙のブロックとボールペンを置いているのは、何のためなのか判りません。テーブルサイドにハンドバックを置くための小さな台があるのですが、そのカバーが椅子と同じなのが良い印象を与えます。給仕はおじさん1人とお姉さん3人で申し分ない作法だし、スイス・ドイツ語が微笑ましいのです。ただ、おじさんの体が大きく声も大きくて荒いので、何となく威圧感があります。人は良さそうなのですが、、、、。

  

レストラン 1 & 2

まずシェフからの挨拶としてマグロの一口大タルタルステーキにアスパラのムースを乗せて出て来ました。軽くて繊細で美味しいのですが、卓上の塩一振りが必要でした。同時に多種のパンが焼きたてで供されました。

料理はコースメニューがなくてアラカルトの注文です。

前菜は生クリームがたっぷり乗ったニンジンスープとココナッツの味をつけた車海老の尻尾の部分。えびの尻尾は美味しいけれど、クリームのせいでスープが熱々でないのが残念です。傍らにサラダ菜と食用花とモヤシの一種が添えてあります。

主菜は黒い帯状ヌードルの上に大西洋ダラの切り身を焼いて乗せ、ミニニンジン、ミニトマト、鞘インゲンをサッと炒めて付け合せています。これも卓上の塩と胡椒でぐっと美味しくなりましたが、ヌードルがアルデンテより少し茹ですぎているようです。

デザートを注文しようとメニューを乞うたところ、10種類ほどのデザートをワゴンに乗せてやって来ました。何であるかを逐一説明してくれたのでレモンのムースを頼むと、それを銀の食器ごと大きな皿に乗せ、余ったスペースを果物とシロップで装飾してくれます。このようなデザートの供し方はスイスの標準なのでしょうか。

エスプレッソに一口チョコレートが付いてこなかったのは、すっきりしていて、むしろ歓迎しました。

スイスのミシュラン事情は知りませんが、このホテル・シュヴァイツァー・ホフのレストラン „La Soupiére“ はドイツでは1つ星の基準を満たしているレベルだと思います。

面白いことに、私が食事をしていた1時間半の間の客は私を含めて6名居たのですが、全部男性だったのです。それも私以外は皆65から70歳位の初老です。2人連れが2組と英語を話す人が1人です。このレストランはいつもこんな状態なんでしょうか。近くの席から、投資、利息、会社、税金などといった言葉が聞こえてきます。億単位のお金の話をしているのです。さすが世界金融の町、チューリヒのホテルです。

 

〔2017年2月(宿泊したのは2016年の6月)〕〔2023年5月 加筆・修正〕

 

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森林ハウス パウルスボルン

2023年05月15日 | 旅行

ベルリンの南西の郊外に遊歩道が縦横に走る広大な森林地帯が広がっています。その一角に歩いて1時間ほどで一周出来る湖があるのですが、湖畔に19世紀後半に遠足客のために建てられた、ビアガーデンがある一風変わった伝統的飲食店が建っています。この飲食店はベルリンでは有名で、1888年から 1918年までドイツ最後の皇帝でありプロイセンの王であったウィルヘルムII世が常連客だったそうです。しかし時と共にさびれていって、特に21世紀に入ってからは経営が思わしくなくて2009年からは身体障がい者の職業訓練所として建物が使われていたのですが、2014年春にホテル・レストランとして新規開業しました。ここには乗馬クラブが隣接しています。 

  

パウルスボルンの正面 ・ その側面

主に飲食の客を相手に営業をしているようで、ベルリン在住の知人さえここに宿泊できることを知らなかったくらいホテル業にはあまり力を入れていないようです。スタッフは明るくて親切。以前ベルリンに来たときも感じたのですが、ベルリン人は気さくでオープンな性格なのかなぁ。

歴史を感じさせるらせん階段と狭い廊下を通って客室へ。途中に皮張りのソファーを置いたサロン風の部屋がいくつもあります。

客室は質素で、アメニティー・グッズはシャンプーと体を洗う液体だけだし、トイレットペーパーの予備がありません。まぁ、部屋が広いのと大きなテラスに出られるのがいいかな。

  

私の部屋 ・ テラス

マイナス5度Cの中を1時間ぐらい、凍りついた湖の畔を一周する散歩をしました。カチガチに凍った道に雪が薄く積もった状態で十分気を付けていないと滑って転びそうなのですが、午前中から犬の散歩で賑わっていました。この付近は犬に鎖をつけなくていい地域だそうで、犬が伸び伸びと走り回ります。途中にコンサートなどの催し物が頻繁に開かれる〈狩猟の館〉が建っているのですが、冬は閉まっています。

  

散歩道 ・ 狩猟の館

ホテルに帰って昼食にビアガーデンの片隅にある屋台でカレーソーセージ(焼きソーセージにソースとカレー粉をかけている)を食べました。本来はこの食べ物は旨くて私は結構好きなのですが、ここのソーセージは細くて干からびていて全然美味しくありません。でも、冷たい空気の中でたき火にあたりながら食す、という野趣は結構でした。

  

屋台 ・ カレーソーセージ

夕食をとった典型的ドイツ食のレストランは〈田舎の館〉のような雰囲気のあるホールで、鹿の角の装飾が目立ちます。雰囲気が合わない軽いポップ音楽が流れる中、数人の宿泊客がいるはずなのに一人で食事。暇そうにしている若い感じのいいウェイターがサーヴィスしてくれます。

  

レストラン ・ ビール

飲み物はノンアルコールのヴァイツェンビールです。

メニューを見ると興味をそそらない料理ばかり並んでいますねぇ。

とりあえず前菜としてドイツ料理の定番のひとつである〈牛肉のブイヨン〉を注文しました。熱々の状態で出てきたのは良いのですが、味が薄い。料理の名前はドイツ語で〈Rinderkraftbrühe〉といって、Kraft = 力という文字が含まれているのにパンチがないのです。

  

牛肉のブイヨン ・ 牛の頬肉の煮込み

メインは赤ワインソースをかけた牛の頬肉の煮込みで、付け合わせはマッシュポテトと根菜 (人参と西洋ゴボウ) の煮たのんです。頬肉はたいてい美味しいので頼んだのですが、甘味・塩味・苦味・酸味・旨味の基本5味がすべて弱いし辛味もありません。その上素材それぞれの味を感じないのです。味覚を視覚に例えてみると〈のっぺらぼう〉かな? 根菜が少しかたいのも気になりますし、マッシュポテトはもっとやわらかいのが私の好みです。美味しく食べさせるための工夫の跡が見られなく、客が一人だけなのでふて腐れてぞんざいに作ったのではないか、と思わざるを得ない料理でした。

デザートはレモンとカシスのシャーベットです。市販の食品なので可もなく不可もなく、それなりの味がしました。

 

レモンとカシスのシャーベット

朝食ビュッフェの食材は隣の小部屋に並べてあって、レストランで食べます。ひと言で言って粗末な朝食です。野菜がないことも置いてある果物が古いことも困りますが、私にとって最も残念なのはドイツの朝食を代表するブレートヒェン(朝食用の丸い小型の白パン)がないこと。この国のホテルの朝食でブレートヒェンを置いていないのは非常にまれなことなのです。仕方なく、大きなパンを薄切りにしたのを食べるしかありませんでした。

  

ビュッフェ ・ 朝食をとったテーブル

ベルリンのこの市域は縦横に走る散歩コースがある素晴らしい森林地帯で、緑あふれる夏はベルリン人の憩いの場としてさぞ賑わうだろうと思われます。が、冬は冬で魅力があるところです。次回は別のホテルに泊まって、ここには散歩だけに来ることにしましょう。

 

〔2017年1月〕〔2023年5月 加筆・修正〕

 

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