お城でグルメ!

ドイツの古城ホテルでグルメな食事を。

フォン ・ ミュンヒハウゼン ・ アペレルン水城館

2020年07月22日 | 旅行

ヴェーザー川の流域はヴェーザー ・ ベルクラント (ヴェーザー山岳地帯) といって川と丘陵が織りなす静かな風光明媚な所です。地形と景色の良さに加えて、昔は主に川運によってヴェーザー ・ ルネッサンスと呼ばれる文化が花咲いたために、お城や教会や由緒ある建造物が数多く残っているので、今は自然と歴史を愛する人たちの観光地になっています。

そのヴェーザー山岳地帯の外れに、アペレルンという名の小さな町あります。町は小さいにもかかわらず、ここには立派な城館がふたつもあるのです。そのうちのひとつ、フォン ・ ミュンヒハウゼン ・ アペレルン城館に行って来ました。

 

城館 1 ・ 城館 2

 

入り口

フォン ・ ミュンヒハウゼン男爵がシャウムブルゲル伯爵からこの地に騎士農場を与えられたのは14世紀で、こんにちまでフォン ・ ミュンヒハウゼン家の本拠地です。現在の水城館は16世紀の中頃に建造されて、18世紀後半、19世紀の後半、そして20世紀の初めに増築や改築が行われました。21世紀の初めには大々的な修復がなされたそうです。

 

中庭 1 ・ 中庭 2

中庭 3 ・ 中庭 4

中庭 5 ・ 中庭 6

 

中庭から見る入り口

夏の間は中庭と裏庭を見学出来るというので中庭に行ってみると、まず咲き乱れる花々に圧倒されました。50歳代と思われる品の良い主人が現れたので、一応見学の許可を得ると、「どうぞ、どうぞ」 とジャスチャーをしてくれました。中庭で30歳ぐらいの太った男性が花に水をやっているので、使用人だと思って話しかけて花壇の美しさを誉めました。ところが、この人はこのお城の主の息子だったのです。世が世なら若殿様ですね。彼曰く、「当城館は個人所有ではあるが、文化財として経済的な公的援助を受けているので、少なくとも一部を一般公開することが義務付けられているのでござる。何度か増改築されたので、違う建築スタイルが混在している。母上が、暗く陰鬱になりやすい中世の建物を少しでも明るくしたい、と思って多くの花を栽培しているのでござる。」

 

裏庭からの景色 1 ・ 裏庭からの景色 2

 

裏庭からの景色 3

この男性、それ程長くない会話の中に、「母上」 という言葉が数回出て来ました。まだ独身のようだし、もしかしたらマザコンか知らん。見学者が訪れるほか、中庭に面する建物のひとつで、時々、婚礼パーティーなどが行われるそうです。

 

催し物が出来る場所 ・ 霊廟

裏山に入っていくと、1600年頃にヴェーザー ・ ルネッサンス様式で建造された、32世代にわたるフォン ・ ミュンヒハウゼン家の霊廟があります。100年ぐらい前まで実際に使われていたそうです。

ところで、今日は妻の仕事が忙しくて一緒に昼食をとれないので、近くのスーパーで買ってきたものを一人で食べました。

 

3種の植物の芽

植物の芽のサラダが面白いので試してみました。左から、フッと青臭いムラサキウマゴヤシ、辛い二十日大根、少し辛くて繊細な口当たりのブロッコリーです。妻の手作りの白味噌に甘酢を混ぜたものをつけて食べました。どの植物の芽もあまり美味しくありません。もしかしたら、そのまま食するのではなくて薬味として野菜サラダにふりかけるのでしょうか。

 

アウフラウフ

馬鈴薯のアウフラウフはドイツの家庭料理で、肉やハムやパスタや野菜などを馬鈴薯といっしょに積み重ね、ホワイトソースをたっぷりかけてオーブンで焼きます。フランス料理のグラタンと同じようなものです。買って来たアウフラウフにはブロッコリーだけが入っています。見た目ほど重くなくて、結構美味しくいただけました。

 

レシュティ  または  ロスティ

レシュティまたはロスティは、主に粗くおろしたジャガイモの、生か茹でたものから作られるスイス料理です。基本的にはジャガイモのみから成るのですが、地方によっては、ベーコン、タマネギ、チーズ、リンゴまたは新鮮なハーブなど多くの食材を追加することもあります。甘いサツマイモで作られたのがあったので試してみました。うーん、私はやっぱりジャガイモにベーコンとタマネギが入ったのが好きですね。

 

アイスコーヒー と チャイ ・ ラッテ

飲み物は、冷たいアイスコーヒー (ラッテ ・ マキアート) と粉末を熱湯に溶かすチャイ ・ ラッテ (ヴァニラ + シナモン味)。どちらも私の好きな飲み物です。

 

[2020年7月]

 

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ゾェーデル城館

2020年07月08日 | 旅行

私の住むハノーファー市とその周辺は、当地の名前が付いた 〈ハノーフェラーナー〉、すなわち 〈ハノーバー種〉という品種の乗用馬の飼育で世界的に有名です。馬場馬術、障害馬術、総合馬術競技の3種目において最も成功している品種なのだそうです。英国の王室からも乗用馬を買いに来るとのことです。

その乗用馬の飼育は16世紀から行われているそうで、多くの飼育場が存在するようですが、そのひとつがハノーファー近郊のゾェーデルという村の城館にあります。

 

馬の親子

すでに中世の時代にゾェーデル村には小さな城塞と付属の農場があったのですが、18世紀の前半にそれが取り壊され、同じ場所に城館が建てられました。その後何年にも渡って改修と改築が繰り返されて、堂々としたこんにちの姿になったのです。18世紀の後半、当時の所有者が美術品の収集家で、彼の所蔵品を展示しました。美術品は400個にも及び、ラファエロ、レオナルドダヴィンチ、ルーベンスティツィアーノ、レンブラントなど、有名な芸術家の作品もあったそうです。これらの収集品を観賞しようと多くの人が訪れるようになり、城館はこの地域の文化の中心になりました。その後お城は19世紀中頃に火事で破壊され、数年後には再建されましたが、所有者はまず芸術的所蔵品を、そして3年後には城館そのものを売却してしまったのです。新しい所有者は、城館内部の包括的な改装と改築を行い、こんにち厩舎として使われている建物を敷地の北西側に増築しました。さらに20世紀の後半には再び改築されて現代風になったのです。

 

城館 1 ・ 城館 2

 

城館 3 ・ 城館 4

ゾェーデル城館はバロック様式の建造物で、3方面を濠に囲まれています。城館の建物の他、北側と北西側に質素な納屋と厩舎があり、真ん中の中庭を囲んでいます。お城の所有者は家族で乗用馬の飼育を職業にしていて、感染病を予防するために、一般人が施設の敷地内に立ち入ることを禁じています。それで、敷地の外からの見学しかできません。

 

城館 5 ・ 城館 6

お城の近くには良いレストランがないので、自宅から車で5分のところにある初めてのレストランに、久しぶりに、中共ウィルスのせいで本当に久しぶりにグルメ食を食べに行きました。

 

テラスのテーブル ・ テーブルセッティング

季節がらテラスでの食事ですが、門を入ると手の消毒をし、テーブルに着くまではマスク着用の義務があります。さらに用紙に妻と私の姓名と電話番号、そして着席時刻を記入しなければなりません。給仕スタッフはマスクと手袋をつけています。レストランの営業方針は、〈飾り気がなくフレンドリー〉ということらしく、「SieではなくDuを使って会話をする」 と書いた書付がテーブルに置いてあります。テーブルセッティングも簡単で、ナプキンも普通の布巾みたいです。しかしながらスタッフはみんな料理や飲み物のことを良く勉強していて詳しく、一流レストラン並みです。最近はおしぼりを出す店が時々あります。

 

おしぼり ・ (左)カンパリ・ソーダ(右)ぶどうジュース

飲み物はすべてノン・アルコールにしました。アペリティフとして、カンパリ・ソーダとソーダ水で割ったぶどうジュース。ドイツでは珍しく氷が入っているし、どちらもさわやかです。食事中はミネラル・ウォーターの他に、前半はキリッとした白の発泡ワインを、後半はワイン独特の渋さがなくて少々甘過ぎる赤色発泡ワインを飲みました。白色の方は、普通のワインからアルコール分を抜いて炭酸を入れて作り、赤色は最初からアルコールは入っていないのだそうです。ノン・アルコール・ワインにも色々な製造法があるのですね。

 

白色発泡ワイン ・ 赤色発泡ワイン

最初に3種類のフィンガー・フッドが、左から順番に食べるように、ということで供されました。まずはリンゴとエンドウ豆を使った料理。コンビネーションと食感が良くて、さわやかな味です。そしてコーンに入れたニンジンとチーズのクリームです。さらにウイキョウゼリが入ったクリームをポテトチップで巻いています。この二つのクリームの味はまあまあです。

 

3種のフィンガー・フッド ・ ホタテ貝

次に厨房からサーヴィスされたのは、表面をカリッと焼いたホタテ貝に脱脂乳ソースとパセリ・オイルをかけた料理です。ソースに少し甘味があり旨いのです。

コースが始まる前に酵母入りパンが出て来ました。刻んだオリーヴをふりかけたバター・クリームを付けて食べます。味はあまり良くありません。

 

酵母入りパン ・ マスの料理

さて、コース最初の料理はノルウェーのフィヨルドでとれたマス。蒸したようで、生温かい状態です。裏ごししたムラサキ・キャベツと小さい風味豊かなシソの葉っぱが付いています。良く脂がのっていて、私たちには少し脂っこ過ぎますが、美味しいマスです。

次はトマトの料理ですが、出汁にでも漬けておいて表面を軽く焼いたのでしょうか。少し焦げ目がある外側には強い旨味があり、中の方はフレッシュなトマトです。このコントラストが味に深みを出しています。レビスチクムという南欧産のセリ科の植物を焼き込んだ煎餅みたいなのと旧東ドイツはザクセン州のチーズをのせて供されました。

 

トマトの料理 ・ 生ミートロール

ミートロールの料理はこの国で人気があるのですが、生牛肉のロールは初めてです。酢漬けのキュウリを巻いていて、上にインペリアル・キャビアと揚げた豚皮をのせて泡立てた酒ソースをかけてあります。インペリアル・キャビアは高齢のチョウザメから採れる大粒琥珀色のキャビアで最高の風味を持つ、とされています。しかしながら我々素人の味覚には塩辛いだけでした。でも、本当は深い風味があるのでしょう。ポテトチップのような食感の揚げ豚皮は別になくても良いと思います。さらに、酒ソースの酒の味わいが少ないようです。

〈箸休め〉 は柚子アイス とバジリクム・クリーム。残念ながら撮影するのを忘れて食べてしまいました。白い棒の先端部に球形のアイスがくっついていて、黒い小皿にクリームが入っていました。

 

消えた柚子アイス とバジリクム・クリーム ・ 雄鹿の背肉料理

メインは野生の雄鹿の背肉です。やわらかい肉で焼き具合も結構ですが、残念ながらソースが少し塩辛い。付け合わせはカリフラワーとエンドウ豆をマッシュしたものと、私は初めて見たのですが、緑色のイチゴです。この緑イチゴには甘味もイチゴ味もほとんどありません。たぶん果物というより野菜なのでしょう。

そして妻が頼んだのは、発酵クリームとルバーブとパセリ・オイルを使ったデザート。パセリ・オイルは思いのほかさっぱりしています。

 

妻のデザート ・ 私のデザート

私の選んだのは、イチゴとナッツ・バターとブリオッシュ (菓子パンの一種) から成るデザートです。少々しつこい気がします。

最後にエスプレッソを注文すると、クリーム・パイと表面が赤い白チョコアイスも出て来ました。灰色の石は食べられません。

 

エスプレッソ ・ パイとアイス

かなり久しぶりなグルメ食を、大変満足して終えることが出来ました。気さくなスタッフがテキパキと提供してくれる早いサーヴィスが気に入ったし、自宅から近いので、これから来店する機会が増えそうです。

 

[2020年7月]

 

 

 

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