むかし岩塩の採掘と流通で栄えた町リューネブルクに講演に行って、おもしろい名前のホテルに泊まりました。〈ホテル アンノ1433〉というのです。annoとはラテン語で〈・・・年〉という意味なので、〈ホテル 1433年〉となります。
ホテル 1433年
12世紀ごろから経済発展を始めたこの町に、14世紀の前半から仕事用に建てられ始めた建物のうちの一軒です。名前からわかるように、この家は1433年に建てられた石材構造建築で、16世紀後半には住居としても使われるようになりました。何度も改築と所有者の交代があり、19世紀の後半にさらなる増改築が行われ、21世紀になってから昔の建築様式がいたる所で認められるように修復されたのです。
2階に行くとレセプション-デスク ・ 私の部屋
〈ホテル アンノ1433〉は恐ろしくシンプルな内装のホテルで、客室は〈ナイナイずくし〉です。あるのは洗面台の固形石鹸とシャワーの液体石鹸だけ。この価格帯であるべき物がほとんどありません。連泊なのに無料の水やティーバッグ、砂糖とミルクの補充もしてくれません。極めつけは、ひとつのプラスティック カプセルに入ったミルクの賞味期限が1か月以上過ぎていて腐っていました。
レストラン ・ レストランのシンボル
ホテルにレストランがないので、歩いて5分の〈神聖なる精神 通り〉にある、この町では有名なビアホール レストランに行きました。〈王冠〉という名前です。1485年の建物で昔のビール醸造工場だそうです。外から見ると4棟ですが、中は複雑に入り組んでつながっています。ボリュームのある、典型的な北ドイツの料理を供するレストランだそうです。
レストランの内部 1 & 2
混む予感がしたので早い時間に行きました。暇そうにしていた2人の若おばさんスタッフが早いサーヴィスをしてくれたのです。種類豊かな料理が提供されますが、〈リュ-ネブルク風タパス〉というのを見つけました。色々な料理を少しずつ食べるのは願ってもないので迷わずこれにして、1品の量がわからないので4品注文したところでおばさんに訊いてみました。
「4つで多すぎないでしょうかねぇ。」
「いえいえ、そんなことはありません。」
それで5品目を頼んだら、
「はいっ、これで十分でしょう。」
数分後に全部一度に出てきました。
リュ-ネブルク風タパス 5品 ・ ミニ フリカデル
ミニ フリカデル(す揚げしたミニ肉団子)6個は自家製の辛子で食べます。少し甘めの味はバイエルン地方の辛子に似ています。うまい。
〈おばあちゃんのキュウリサラダ〉も少し甘めで美味しい。
キュウリサラダ ・ 穀物粉 と ミンチ肉の炒め物
当地の名物である粗挽きの穀物粉とミンチ肉の炒め物。黒パンと酢漬けのキュウリが添えられています。味はまあまあですね。
この地方で飼育されている羊の一種、ハイデシュヌッケの肉を使ったアスピックは少し酸っぱいレムラード(マヨネーズに香辛料などを加えたソース)で食します。
アスピック ・ 鮭の揚げ物
同じくレムラードで食べるのは衣つき鮭の揚げ物です。まあ、それなりに旨い。
やはり多すぎて少し残してしまいました。満腹にはなったけれども満足感が足りない夕食でした。
2階にある朝食室 ・ 私の朝食
朝食はホテルでとることが出来ます。細長い家なので狭く、2つのフロアに分けて朝食の部屋があります。ごく普通の朝食でした。
リューネブルク 1 & 2
リューネブルク 3 & 4
リューネブルクは中世にたいへん栄えた町です。たくさんの見所の中でも、中世の町並みと河川交通の痕跡は見逃せません。
〔2018年8月〕〔2024年4月 加筆・修正〕