落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

「南シナ海」の平和は・・・

2015年10月27日 | 政治・外交
中共は周辺国の反撥をよそに2013年頃から南シナ海に軍事拠点を構築すべく埋め立てを始めた。
南シナ海に造成した人工島は中共の領海の基点になるのか、ならないのか米中まっ向対立の様相を呈してきた。
米がこの海域の航行に踏み切った裏には、日本で安保法案成立したことも前提に入っていることだろう。
中共もこの事態を想定済みで進めてきたはずで、中東に続き極東もキナ臭くなってきている。
西村眞悟の時事通信 平成27年10月27日(火)

南シナ海は、戦争と平和の分岐点である

しばらくキーボードの前に座れなかったが、今朝、アメリカ軍が南シナ海の、中共が軍港と滑走路建設のために埋め立てたスプラトリー島嶼群周辺十二浬以内の哨戒活動を開始したとの報道に接した。

この哨戒活動開始が真実ならば、 アメリカ軍は戦争と平和の分岐点において、 平和の方向に流れを引き寄せつつある。
我が国の海上自衛隊もアメリカ軍と共同行動をとりつつあることを願う。
何故なら、平和を維持することは我が国の国是であるからである。
安倍総理の言う、積極的平和主義とはこのことだろうが。

さて、マスコミ(NHK)の報道には、アメリカ軍の哨戒行動を伝えるとともに、 その末尾に、「中共の厳しい反発は必至です」といういつものコメントがついていた。
このコメントは、 日本から、中共や韓国に反日非難を「輸出」する際に必ず末尾に付けられてきた。
それ故、中共はパブロフの犬だから「激しい反発」をする。
あの中共の男女の報道官の姿が目に浮かぶ。
無表情でウソを平気で繰り返す彼らを、パブロフの「サイボーグ」として見られよ。

そこで、何故、これが戦争と平和の分岐点かを独裁者の行動パターンから指摘したい。
その前提は次の二つ、
(1)ナチスドイツのヒトラーと中国共産党主席は、軍事力をのみ信ずる独裁者である。
(2)独裁者は、相手の平和願望と「力の空白」すなわち軍事的アンバランスにつけ込んで軍事行動をとる。

第二次世界大戦中のイギリス首相ウインストン・チャーチルは、戦後に大戦を回顧して 第二次世界大戦は、 しなくともすんだ戦争であった、 平和主義者が造った戦争だった、と言った。
 では、チャーチルは、いつの時点を以て、戦争と平和の運命が分かれたとしたのか。

それは次の通り、
(1)一九三六年三月七日のドイツ軍のラインラント進駐が、分岐点であり、
(2)一九三八年のドイツ軍によるオーストリー併合に続く
 チェコスロバキアのズデーデン地方割譲要求を、英、仏の諸国が認めたこと、
 即ち、「ミュンヘンの宥和」(九月二十九日署名)が、  戦争へのトリガー(引き金)である。
以下の流れは次の通り電光石火。
まことにヒトラーは、戦争の為に生まれてきた男である。
一九三九年八月二十三日、モロトフ・リッペントロップ協定(独ソ不可侵条約)締結。
     九月一日、ドイツ、ソ連、東西からポーランド侵攻・・・第二次世界大戦勃発
一九四〇年六月十四日、ドイツ軍、パリ入城
     九月七日、ドイツ軍、ロンドン空襲開始

最初の分岐点となったライン川を越えたラインラント進駐に関して、 ヒトラーは次の通り回顧し、 戦後フランス軍の捕虜となったドイツ軍将官は次の通り述べた。
「ラインラントに兵を進めた四十八時間は、私の人生で最不安な時であった。
もしフランス軍が進軍してきたら、貧弱な装備のドイツ軍は反撃もできず逃げ出さねばならなかった」
「この時フランス軍が、ラインラントに侵攻していたらドイツは敗北し、ヒトラーは失脚していた」

しかし、此の事態が起きる前と最中において、 イギリスとフランスは平和のための軍縮を続け、ドイツは軍備増強を続けていた。
即ち、ドイツの周辺国は、武力を増強しなければ、平和が続く、と思っていたのだ。
これに対して、ドイツの独裁者ヒトラーは、 周辺諸国の平和を続けたいという願望を利用して戦争を準備し実行した。
また、独裁者は武力を行使して目的を達成するには、 常に「平和的解決、つまり話し合いによる解決」を呼びかける。

以上のことを「回顧」した理由は既にお分かりのことと思う。
この度の中共によるスプラトリー諸島埋め立てによる軍港と滑走路の建設は、 ラインラント進駐である!
これを放置すれば、 中共による南シナ海と東シナ海の「併合」につながる。
これを放置することは、 中共のフィリピン領土割譲要求にアメリカと日本が「宥和する」ことである。
これは、戦争と平和の分岐点であり、戦争への引き金である。

アメリカの国務長官が、昨年から哨戒活動をすべきと主張していたことは知っていた。
また、オバマ大統領が、その哨戒活動に踏み込めないことも分かっていた。
しかし、この度、大統領も哨戒活動に同意したと見られる。
中東におけるオバマ大統領の不決断が中東の危機を造った。
その中東の結果に鑑み、アメリカの決断はアジアの平和に貢献することになる。
そして、繰り返すが、我が海上自衛隊は、アメリカと共同行動を執るべきである。
これは、個別的自衛権の領域にある行動であり、 同時にアジアの平和を維持する行動ではないか。

他方、中共は、 此のアメリカ国内の意見のせめぎ合いに乗じて何を言っていたのか。
それは、「話し合いによる解決」である。
此の中共の呼びかけに乗れば、既に明らかなように、 「平和主義者が戦争を造る」ことになる。

まことに偶然であるが、一昨日の夜、山梨県の山中で、 フィリピン人の高等学校の校長さんと話をした。
彼は言った。「平和を望む」と。
私は答えた。
You want peace.
OK.Therfor We must Prepare War.

お問い合わせ:西村眞悟事務所
TEL:072-277-4140 E-mail:sakaioffice@n-shingo.com http://www.n-shingo.com/

米イージス艦 中国が領海主張の海域を航行  NHK 10月27日 14時39分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151027/k10010284161000.html

中国が南シナ海で人工島を造成している問題で、これに反対しているアメリカ政府は27日午前、中国が主権を主張する人工島から12海里以内の海域でアメリカ軍のイージス艦を航行させ、今後、米中間の緊張が高まることが予想されます。
日米外交筋によりますと、南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島で中国が浅瀬を埋め立てて人工島を造成していることに対し、アメリカ政府はアメリカ軍の艦艇を人工島から12海里=22キロの海域の中に派遣することを決め、27日午前、アメリカ軍のイージス艦「ラッセン」がこの海域を航行したということです。

12海里は沿岸国の領海と認められる範囲で、中国政府は人工島の造成により主権の主張を強めていますが、アメリカ政府は人工島は領海の基点にならないとしてこれを認めていません。
さらにアメリカ政府は、人工島の軍事拠点化が進めば地域の安全保障を不安定化させるとして、中国側に再三、すべての作業をやめるよう求めてきました。
しかし、中国は滑走路などの建設を強行し、先月の米中首脳会談でも基本的な姿勢に変化が見られなかったことから、アメリカとしては中国の主張を認めないことをより明確に示す必要があるとして、今回の派遣に踏み切ったとみられています。

アメリカ政府は今のところ公式には今回の派遣の確認を避けていますが、中国外務省は「アメリカの軍艦『ラッセン』は、中国政府の許可を得ずに、中国の南沙諸島に近接した海域に不法に進入した」と強く反発しており、今後、米中間の緊張が高まることが予想されます。

元海将「譲れないところまで来たか」
中国が領海だと主張している南シナ海の海域で艦艇を航行させたアメリカのねらいについて、海上自衛隊で自衛艦隊司令官を務めた香田洋二元海将は「海洋の自由利用、航海の自由、中国が造成している人工島は国際法上領海の起点にはならないという、3つの点を国際社会に訴えるのが主な目的だと思う。

航海の自由はアメリカの基本的な理念で、中国の主張を容認できないという姿勢を行動で示す必要があったのではないか」と話しています。そのうえで、「アメリカは、人工島についてこの半年以上中国への警告を続け、目に見えないところでも交渉を続けてきたと思うが、進展が見えず、これ以上引き延ばすと国益に反するという譲れないところまで来たのだと思う」と分析しています。

武力衝突の可能性については、「今の米中関係を踏まえれば、中国にとっては一方的に武器を使用することはみずからの国益を台なしにすることになり、警告といった武器を使用しない選択肢を優先すると思う。アメリカとしても中国から大きな軍事的な反発はないという判断があったのだろう」と指摘しています。

そして、今後の見通しについては、「アメリカとしては、航海の自由を主張するにはこの1回では不十分で、この先、何度となくこうした行動に出ることはありえる。その意味で、米中の緊張状態は続くだろう。日本としてもアメリカと協調しつつ、中国に訴えるべきことは訴えていくことが必要だ」と話しています。

中国の人工島造成の現状は 中国が人工島を造成する南沙(スプラトリー)諸島は南シナ海の南の海域に位置するおよそ200の島や岩礁、浅瀬からなる島しょ群で、中国のほかにフィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾が領有権を主張しています。
このうちブルネイ以外の5つの国と地域がそれぞれ一部の島や浅瀬を実効支配しており、中国は自国の実効支配下にある7つの浅瀬を埋め立て、人工島を造成しています。

アメリカ国防総省などによりますと、中国はおととし12月にジョンソン礁で埋め立てを開始したとみられ、その後、去年夏ごろまでにガベン礁、クアテロン礁、ヒュージ礁、ファイアリークロス礁、スビ礁で埋め立てに着手、さらにことしに入りミスチーフ礁でも作業が確認されるなど、急速にその規模を拡大させました。
その結果、アメリカのシンクタンク、CSISの分析では、埋め立てた面積は7つの人工島で合わせて12.82平方キロメートルに及んでいます。

人工島ではインフラの整備や建設作業が続いており、大型船舶も停泊できる大規模な港湾施設のほか、コンクリート建築のビルなどの大型施設、さらにレーダー用とみられる施設の整備などが確認されています。さらに、ファイアリークロス礁では戦略爆撃機も離着陸できる3000メートル級の滑走路がほぼ完成し、CSISではすぐに運用できる段階にあると分析しています。これに加えて最近、スビ礁とミスチーフ礁でも同様の規模の滑走路を建設する動きが確認され、アメリカ太平洋軍のハリス司令官は、最新鋭の戦闘機やミサイル施設などが配備されれば南シナ海全域を実効支配することも可能になりうるとして強い警戒感を示していました。

これについて中国側は、埋め立ては国防上の必要性と民間の需要を満たすためのものだなどと説明する一方、習近平国家主席は先月、ワシントンでオバマ大統領と会談した際、軍事拠点化するつもりはないという考えを明らかにしたため、アメリカ政府はその後の中国側の動向を注視していました。


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「アジア自由民主連帯協議会」第五回大会宣誓

2015年10月26日 | 政治・外交
第五回「アジア自由民主連帯協議会」(ペマギャルボ代表)が2015年10月24日、東京で盛況裡に開催された。
中共の周辺国に対する覇権・野望は聞きしに勝る。
アジア諸国は日本の発言力に期待している。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)10月26日(月曜日)通算第4699号<4700号直前特大号>
http://melma.com/backnumber_45206/

アジアの覇権を狙う「野望大国」が民主化されるまで闘おう
「アジア自由民主連帯協議会」が第五回大会を東京で開催し宣誓


 「アジアの民主化を促進する東京集会」と銘打たれた第五回「アジア自由民主連帯協議会」(ペマギャルボ代表)が2015年10月24日、東京で盛況裡に開催された。
会場を満員にした参加者の決議文「いかなる侵略にも覇権主義にも反対し、このアジアの真の民主化と民族自決権が確立するその日まで戦い続ける」という決議文が満場一致で採択された。
 会は最初に副会長のイリハム氏から開催に到るまでの経過などが述べられ、来賓とした駆けつけた衆議院議員の柿沢未途氏(維新の党)から激励の挨拶。そして記念講演としてジャーナリストの相馬勝氏(元産経新聞香港特派員)が登壇し、中国の現実と経済的苦境を説明した。

▼悪循環に陥落した中国はソ連末期と告示してきた

 相馬氏は講演のなかで、「習近平の推進する反腐敗キャンペーンによって、戦々恐々となった共産党幹部が動かなくなった。幹部が仕事をしないために、経済が動かなくなり、ついで庶民の不満が増大し、幹部はまた腐敗、党規違反などといわれて拘束される。だから幹部は動かない」という悪循環の罠に陥ってしまった。中国経済の停滞はソ連の崩壊のパターンに類似してきた」とした。

 相馬氏の講演にひきつづき、登壇したのは政治学者の藤井厳喜氏で、市ヶ谷に建立されたインドネシアのスディルマン将軍の銅像の由来、日本とインドネシアの連帯のつよさなどの報告があった。
 ひきつづきアジア各国の代表がたち、現状報告に移った。

 トップバッターはウィグル自治区(東トルキスタン)を代表して、グリスタン女史。

「東トルキスタンではいま幼児教育の現場で大変なことがおきています。幼稚園の段階で、無理矢理、中国語が押しつけられ、弐年間のおさない幼児らに中国の主観による教育がたたき込まれています。その洗脳によってウィグル族は母国語を失い、やがて物事を考えるのも中国語でしなければいけなくなり、大事な民族の宗教、伝統、文化が失われてしまいます。算数や歴史、科学が中国語でしか理解できなくなるのです。
となればウィグル族としての意識が希薄になり、テレビ番組も中国語放送、運転免許書も中国語で試験をうけるとなれば、ウィグルの民族意識、伝統がなくなり、自らの歴史を語り継ぐことさえ中国が冒頭しているのです。このような中国共産党はアジアにうまれたガンです」。
まさに歴史を抹殺すれば、その民族は滅びる。
中国はそれほど悪辣な教育をウィグルでは幼稚園を増設して、おこなっているという衝撃的な報告だった。

 つづいてチベット代表のチュイ・デンプン博士。

 「チベットでは寺院にも中国旗がはためき、人類の普遍的価値である自由・人権・法治・民主が奪われ、まさに『中国の植民地』と化しています。
古来よりのチベットの宗教、歴史、言語を回復しようにも中国の公安があちこちに監視の目を張り巡らせております。私たちは高度の自治を要求してきたのです。しかし2008年に中国はチベット国民の悲願であった自治を拒否した。このため各地に焼身自殺による抗議が翌年から頻発し、現在までに147名の人々が犠牲となりました。
こうした同胞の死を無駄にしないために、同胞の魂が蘇るまで、この野蛮の中国の政治をこれ以上許すことは出来ません。わたしたちは非暴力を貫き、闘います。
 また日本は戦後、アジアの誇りであり、日本こそはアジアに平和をもたらず総合的パワーの源泉であり、過去の反省も勇気と自信をもって未来に繋げるという自身を恢弘し、立ち上がることを強く期待しております」。

▼反中国のベトナムとて政治は一党独裁という矛盾
 ベトナムからアウン・ミン・ユン(ベトナム革新党)が登壇して挨拶した。


 「ベトナムも一党独裁で人々の自由を踏みにじり、かの共産主義は人々を弾圧してきた。この独裁は北朝鮮と同じだが、北はあまりにも酷いので目立つのに、ベトナムの独裁は巧妙ゆえに目立ちません。
いま日本人はベトナムに観光にきて自由に観光地をあるきまわり、食事をしているが、ベトナムの本当の姿が分かっていない。マスコミも大事なことを伝えていない。
 ベトナムでは官吏の腐敗も目にあまり、賄賂、ピンハネが横行し、中国への抗議でさえベトナム執権等が許可しないのです。
自由と民主を要求する知識人は監禁されています。ベトナムは一日もはやく『脱中国』をはからなければ、ベトナムがだめになってしまうのです。われわれは、自由のために、平和的手段を通じてこれからも闘い続けます」。

南モンゴル(内蒙古自治区)を代表しての演説はオルホルド・タイチン氏。

 「1945年の世界大戦の結果、列強の干渉によって、モンゴルは南北ふたつに引き裂かれ、中国の侵略によってあらためて南北に分断されたのが南モンゴルです。
これを中国は『内蒙古自治区』などと呼び変え、その後、夥しい漢族が入植しました。モンゴル人は『自治』を無視されて凄惨な弾圧をされ続け、じつは文革中に、もっとも粛清の犠牲が多かったのはモンゴル人なのです。
モンゴルのエリート、知識人は殺され、或いは政府のポストから外され、自治区とは名ばかりの『植民地』とされてきたのです。
これほどの弾圧によって、モンゴルの伝統文化、風習、宗教が破壊され尽くしたのに、海外では南モンゴルのことはあまり問題視されていません。
南モンゴルの問題は世界でなにほども問題視されていないのも、人口比率でモンゴル人は18%しかいなくなり、共産革命から半世紀で、ものの見事にわれわれの祖国からモンゴルらしさが消えた。アイデンティティのすべてが失われたのです。
 にもかかわらず北京の軍事パレードに国連の幹部が出席したことは、恥ではないのですか。中国の横暴をここまで容認しているのです。
 日本は自由の国であり、この地から私たちは自由・民主の炬火を掲げ、中国の民主化を達成して、われわれの自決権を勝ち取るまで戦い続けます」。

▲中国の民主活動家も参加した。
そして中国の代表がふたり登壇した。


最初は中国の「中国民運団体協議会」から王戴氏が演壇に立った。
「中国は他民族の弾圧ばかりではなく自国内で知識人、民主活動家を弾圧しています。いまの抑圧政治は文革のときと同じレベルの凄まじさです。
 一例を挙げます。民主を擁護する自由民権派の弁護士、王宇さんは息子が豪州へ留学するため北京空港へ向かう途中に家族ごと拘束されました。そのうえ、息子の包くんは酷い拷問を受けました。ようやく息子さんは釈放されても監視され、自宅には戻れず内蒙古の親戚宅に預けられ、さらにはパスポートと取り上げられ、外部との接見を禁止されました。豪州留学先のホームスティの費用も取り上げられ、まるで『天国から地獄』へ転落したかのようになり、包くんは一度脱出に成功したのですがミャンマーの逃亡先で行方不明となりました。おそらく逃亡ルートに中国の工作員が紛れ込んでいた。
このように人権を弾圧することは国連決議にも違反しており、ほかにも、このような人権擁護の弁護士等が二百数十名も拘束されているのです。
 覇権をめざす中国共産党を打倒するために、私たちの闘いは続きます。ご支援をおねがいします」。

 もうひとりは朝鮮族の南京男(ナンジンが本名)。吉林省朝鮮自治区出身。
「中国国民は自由を奪われ、中国憲法で保障された生活の自由、安全が脅かされ、7億人から9億人と推定される貧困層は塗炭の苦しみ、生活の苦境にあえいでいます。中国の経済繁栄とは権貴階級の利益が最大級になるだけのものであり、少数民族への弾圧と同様な専政ぶりなのです。
少数民族にとって信仰は民俗のアイデンティティであり、団結の、精神の旗でしょう。生命の最重要な核心的要素でもであり、これがマルクス主義者によって、あらゆる階層が、党への帰順を強要されている。少数民族自治区へ大量の漢族を入植させ、長期化させ、自由を奪い、信仰を奪うということは対中国共産党への憎悪を高めさせていることでもあり、この独裁を打倒し、真の民主化をいそがなければならないのです」。
この大会に中国人代表が出席したこと自体が異例である。

▼バングラデシュ、ミャンマーの民主化はいま
 バングラデシュからはプレビール・ビカシュ・シャーカー代表が登壇した。


「いまのバングラはまだ自由な国とはいえません。しかし、いまの運動の盛り上がり方を見ていると百年前の興亜の状況、ベンガルからも日本の世論に助けられ、独立運動が燃えさかった時代を彷彿とさせてくれます。アジア諸国は日本の発言力に期待しているのです」

   ミャンマー代表は「南機関の活躍とともにミャンマーは独立できたのである。ビルマ独立義勇群は戦術的に日本と敵対することもありましたが、最終目的は英国軍と闘い独立を達成することでした。
私たちの先祖は、日本軍とともに闘ってミャンマーは独立を獲得できたのです」と力強く日本の協力を力説した。

 最後に集会を総括して代表のペマ・ギャルポ氏が「アジア全域で自由を目ざす運動の拡大をはかり、米国の押しつけ的な民主主義を乗り越え、ベストで当該諸国に適切な民主主義を確立することを共有する価値観として、これからも運動は続けられる。とくに私たちは若い世代の育成にもはげみたい」とこれからの方針と抱負を述べた。


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『南京大虐殺』の歴史捏造を正せ

2015年10月25日 | 政治・外交
ユネスコ記憶遺産に捏造歴史『南京大虐殺』を登録した中共。
日本が抗議すると又新たな捏造歴史を持ちだし日本を非難した。
国際社会は、『南京大虐殺』が戦時中連合国側が行った宣伝であることは知っている。
しかし、ユネスコに登録されたことにより、中共の意図が思惑通りになるかどうか。
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル 第210号(10月24日)
http://melma.com/backnumber_190875/

日中歴史戦、最終ラウンド

 昨日、「南京大虐殺」の歴史捏造を正す国民会議が国会内で記者会見を開き、安倍総理への要請状を自民党の木原稔衆議院議員に手渡した。ちなみに小生もこの国民会議の呼び掛け人の一人である。
http://www.sankei.com/politics/print/151023/plt1510230022-c.html

 中国が9日に「南京大虐殺文書」をユネスコの世界記憶遺産に登録させたのに対して、日本政府は直ちに遺憾の意を表明した。ところが22日、ニューヨークの国連の軍縮委員会で中国の傳聰軍大使が「旧日本軍が化学兵器や人体実験で多数の中国人を殺害した」という、これまた捏造事件を持ち出して日本を非難した。
 この大使は軍服を着用していることから、中国人民解放軍の意図を体している事は明らかで、20日にも同委員会で、日本が核武装を画策していると核戦略関連で対日非難をしている。
 旧日本軍の化学兵器使用といい日本の核武装といい、これらの対日非難は如何にも唐突で取って付けたような印象は免れない。一体、何故この時期に何の脈絡もないような対日非難を狂った様に繰り返すのか?

 菅官房長官が13日に「ユネスコへの拠出金停止」を言及したのに対して、中国外務省の女性報道官はその日の内に、日本が「ユネスコを公然と脅迫する言論には驚かされた」とコメントした。
 外交的脅迫がお家芸の中国外務省がこんな弱音を吐くぐらい、中国は日本の反応に動揺した訳だ。傳大使の狂った様な対日非難もこの動揺の顕われとしか考えられない。おそらく中国内部では今回のユネスコ登録は、致命的な失敗だったと認識されている筈である。
 というのも「南京大虐殺」はもともと対日宣伝工作として捏造されたものであり、学術的に研究されれば戦時プロパガンダだと直ぐにばれてしまう。そこで学術研究の対象にしないという政治的な合意が国際的になされてきた。

 ところが今年、日本の教科書検定で南京事件を記述しない歴史教科書(自由社)が合格した。
不安を感じた中国は、国連において政治的に大虐殺を認定させる意図をもって、遺産登録に踏み切ったのである。
 だが、いやしくも国連の公式機関に資料が登録された以上、当然その資料は学術研究の対象となってしまう。もともと中国には学問の自由が存在しないから、この事態に立ち至るのを予見できなかったのだ。

 日本の研究者から、今後は登録された資料を学術的に論破していくと聞かされて、中国の情報機関は初めて致命的な失敗に気付いた。習近平主席はロンドンで日本の残虐性に触れたが、遺産登録されたばかりの「南京大虐殺」には言及しなかった。論点を「南京大虐殺」から如何にそらすかに腐心しているのは明らかだ。
 日中歴史戦は最終ラウンドに入ったと言えるだろう。

軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)
1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。1994年文筆活動に転換、翌年、第1回読売論壇新人賞受賞。2011年、メルマ!ガ オブ ザイヤー受賞。2012年、著書「国防の常識」第7章を抜粋した論文「文化防衛と文明の衝突」が第5回「真の近現代史観」懸賞論文に入賞。
動画配信中:「地図で見る第二次世界大戦」
http://www.nicovideo.jp/watch/1441391428
文庫新刊:「図解大づかみ第二次世界大戦」
http://www.kadokawa.co.jp/product/321502000376/
著書:
「領土の常識」(角川学芸出版)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=321212000089
「国防の常識」(角川学芸出版)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=201203000167
「戦争の常識」(文春新書)
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166604265
「エシュロンと情報戦争」(文春新書、絶版)
監修:
「イラスト図解 戦闘機」
http://www.tg-net.co.jp/item/4528019388.html
「超図解でよくわかる!現代のミサイル」
http://www.tg-net.co.jp/item/486298102X.html?isAZ=true
インターネット動画配信中:
「現代戦闘機ファイル」
http://www.nicovideo.jp/watch/1411697197
「よくわかる!ミサイル白書」
http://www.nicovideo.jp/watch/1383640409

【世界記憶遺産】「ユネスコ分担金を停止し、広報活動費に」 「『南京大虐殺』の歴史捏造を正す国民会議」が安倍晋三首相に要請 産経新聞2015.10.23 12:46
http://www.sankei.com/politics/print/151023/plt1510230022-c.html

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)記憶遺産に中国が申請した「南京大虐殺文書」が登録されたことを受け、有識者有志が結成した「『南京大虐殺』の歴史捏造(ねつぞう)を正す国民会議」(議長、渡部昇一上智大名誉教授)が23日午前、都内で記者会見し、国際社会に対し正しい事実を早急に広報するよう求める安倍晋三首相宛ての要請状を発表した。

 要請状では、「南京」登録について「歴史的事実に基づいておらず、中国の政治的宣伝に乗せられた決定だ」と強調。その上で、ユネスコへの分担金拠出を停止し、その予算を「南京」の研究や広報活動に使うべきだと提案した。また、同会議の研究者による南京事件検証資料の提供など政府に協力すると表明した。

 同会議の藤岡信勝拓殖大客員教授は記者会見で「南京攻略戦はあったが大虐殺はなかったと実証されている。政府は正しい情報を世界に広める専属チームを作るべきだ」と訴えた。要請状は同日、首相官邸に提出する。


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海の守り

2015年10月19日 | 政治・外交
中東では、シリアのように内戦で崩壊した国もある。
難民がドイツなどに押し寄せ、新たな軋轢が生まれている。
平和な日本では想像を絶する事態だ。

一見平和な日本でも、2012年尖閣諸島が国有化されて以降、中国公船が尖閣諸島領海侵入が増した。↓
■尖閣諸島周辺海域における中国公船等の動向と我が国の対処
http://www.kaiho.mlit.go.jp/mission/senkaku/senkaku.html

一方、航空自衛隊のスクランブルもH26年度は943回。冷戦が続いていた昭和59年度に記録した過去最多(944回)に匹敵する回数で、中国軍機に対するスクランブルは国別の統計を取り始めた平成13年度以降の過去最多を更新した。(産経2015/04/15)↓
http://www.sankei.com/politics/print/150415/plt1504150017-c.html

中共は経済面では衰退期に入っているにもかかわらず、南シナ海の岩礁を埋め立て軍事施設を構築している。
中韓は慰安婦問題や旧日本軍による南京大虐殺などの宣伝を繰り返し歴史戦を挑んでいる。
安倍首相は海上自衛隊観艦式で観閲艦から訓示し隊員を激励した。
【安倍首相観艦式訓辞】「海に囲まれ、海に生きる。一心に平和を守り続けた自衛隊員は日本の誇りだ!」 2015/10/18産経新聞
http://www.sankei.com/politics/print/151018/plt1510180019-c.html

写真:海上自衛隊観艦式で観閲艦である護衛艦「くらま」に乗艦した安倍晋三首相=18日午前、城ヶ島沖(酒巻俊介撮影)

 安倍晋三首相は18日、神奈川県沖の相模湾で行われた海上自衛隊の観艦式に出席し、安全保障関連法の成立を踏まえ、「積極的平和主義の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献していく決意だ」と強調した。詳細は以下の通り。

 「本日の観艦式に臨み、堂々たる艦隊、清々たる航空機、そして高い練度を誇る隊員職員のりりしい姿に接し、自衛隊の最高指揮官として大変心強く頼もしく思います」
 「海に囲まれ、海に生きる。海の安全を自らの安全とする国が日本です。われわれには自由で平和な海を守る国としての責任がある。その崇高なる務めを諸君は立派に果たしてくれています。この大海原の真ん中にあって、波涛(はとう)をもろともせず、正確無比なる海の防人としての雄姿を目の当たりにし、その感激もひとしおであります。

 荒波を恐れず、乱気流を乗り越え、泥まみれになってもなお、ただ一心に日本の平和を守り続けてきた全ての隊員職員。この困難な任務につく道を自らの意志で進み、自衛隊員となった諸君は日本の誇りであります」
 「この夏、先の大戦から70回目の8月15日を迎えました。この70年間、日本はひたすらに平和国家としての道を歩んできました。それは諸君たち自衛隊の存在なくして語ることはできません。先人たちは変転する国際情勢の下、平和を守るために、そして平和を愛するが故に自衛隊を創設したわけであります」

 「諸君の先輩は心ない多くの批判にさらされてきた」
 「残念なことに諸君の先輩たちは心ない多くの批判にさらされてきました。中には自衛隊の存在自体が憲法に違反するといった議論すらありました。しかし、そうした批判に歯を食いしばり、国の存立を全うし、国民を守るために黙々と任務を果たしてきた諸君の先輩たち。現在の平和はそのたゆまぬ努力の上に築かれたものであります」
 「相次ぐ自然災害、そこには必ず諸君たちの姿がありました。先月の関東・東北豪雨におけるヘリコプター部隊による懸命の救助活動、逃げ遅れた人々を救うため、危険も省みず濁流へと飛び込む自衛隊員の姿は多くの国民の目に焼き付いております。豪雪、地震、火山噴火、自衛隊の災害派遣は実に4万回に達します。そして今や自衛隊に対する国民の信頼は揺るぎないものであります。その自信をもって、これからもあらゆる任務で全力で当たってほしいと思います」

 「われわれにはもう一つ忘れてはならない8月15日があります。『緊急発進せよ』。16年前の8月15日、宮崎県新田原基地に夜明け前のしじまを切り裂くサイレンが鳴り響きました。国籍不明機による領空接近により近者明宏・2等空佐と森山将英・3等空佐は、F4戦闘機でスクランブル発進しました。稲妻がとどろく悪天候も、上昇性能ぎりぎりの高い空も、2人は全く恐れることはありませんでした」
 「そして、『目標発見』の声。領空侵犯は決して許さないという2人の強い決意が国籍不明機を見事に追い詰め、わが国の危険を守りました。しかし、その直後、突然、交信が途絶えてしまった。2人が再び基地に戻ることはありませんでした」

 「『事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえる』の宣誓にたがうことなく、近者2等空佐と森山3等空佐は、文字通り命を懸けて、自衛隊員としての強い使命感と責任感を私たちに示してくれました」
 「アジア太平洋地域における諸君の確固たるプレゼンスが、米国や志を共にする民主主義国とともに冷戦を勝利へと導き、そして日本の平和を守ってきた。そのことは歴史が証明しています」

 「諸君を前にするたびに私は一つの言葉を思い出します。『雪中の松柏、いよいよ青々たり』。雪が降り積もる中でも、青々と葉をつける凛とした松の木のたたずまい。いかなる困難に直面しても、強い信念をもって立ち向かう人をたたえる言葉であります。ただひたすら国民のため、その志を抱いて、24時間、365日、大きなリスクもいとわず、任務を全うする。諸君の崇高なる覚悟に、改めて心から敬意を表します。どうか諸君にはこれからも、どんな風雪にもびくともしない、松の木のごとく、いかなる厳しい任務にも耐えてもらいたい。そして常に国民のそばにあって、安心と勇気を与える存在であってほしいと願います」

 「ソマリア沖の襲撃事案はゼロに…献身的努力の結果です」/futoji> 「はるかかなた、アフリカ・ソマリア沖、海の大動脈、アデン湾はかつて年間200件を上回る海賊襲撃事案が発生していた危険な海でした。ここを通過するある船の日本人船長は、海賊への不安を口にする乗員やその家族に、こう語ったそうであります。『海上自衛隊が守ってくれるから大丈夫だ。安心していいんだ』」

 「今年ついに海賊による襲撃事案はゼロになりました。諸君の献身的な努力の結果であり、世界に誇るべき大成果であります。そして、戦後初めて自衛隊から多国籍部隊の司令官が誕生しました。それはこれまでの自衛隊の活動が、国際的に高く評価され、信頼されている何よりの証でありましょう」
 「先日来日したフィリピンのアキノ大統領は、国会で演説を行い、このように語っています。『かつて戦艦伊勢が、史上最大の海戦に参加するため、フィリピンの海域を航行しました。しかし、2年前の台風のとき、同じ名前、護衛艦いせは、救援、思いやり、そして連帯を被災者に届けてくれました』」

 「これまでの自衛隊の国際協力は間違いなく、世界の平和と安全に大きく貢献している。大いに感謝されている。世界が諸君の力を頼みにしています。その大いなる誇りを胸に、諸君にはより一層の役割を担ってもらいたいと思います」
 「さて、本日の観艦式には、オーストラリア、フランス、インド、韓国、そしてアメリカの艦艇が参加してくれていています。全ての乗組員の皆さん、はるばるご参加いただきありがとうございます。また、本日は、アメリカの空母、ロナルド・レーガンも日米共同訓練の途中、姿を見せてくれました。東日本大震災のとき、被災地にかけつけてくれたトモダチであります。今月から横須賀を母港に、再び日本の守りについてくれる。ありがとう、ようこそ日本へ。心から歓迎します」

 「日本は皆さんの母国をはじめ、国際社会と手を携えながら、自由で平和な海を守るため全力を尽くします。積極的平和主義の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄に、これまで以上に貢献していく決意であります。平和は人から与えられるものではありません。自らの手で勝ち取るものであります」
 「国民を断固守り抜く。そのための平和安全法制であります」/futoji> 「イギリスの元首相チャーチルは、ヨーロッパがミュンヘン会談など安易な宥和政策を重ねながら、最終的に第二次世界大戦へと進んでいってしまったその道のりを振り返り、次のように述べています。『最初は全てが容易であったが、のちには事態が一段と困難になって、そしてこの戦争ほど防止することが容易だった戦争はかつてなかった』。こう反省しています」

 「二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。そのために私たちは常に最善を尽くさなければなりません。国際情勢の変化に目をこらし、必要な自衛の措置とは何かを考え抜く。そして不断に抑止力を高め、不戦の誓いをより確かなものとしていく。私たちにはその大きな責任があります」
 「日本を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しています。望むと望まざるとに関わらず、脅威は容易に国境を越えてくる。もはやどの国も一国のみでは対応できない時代です。そうした時代になっても国民の命と平和な暮らしは断固として守り抜く。そのための法的基盤が、先般成立した平和安全法制であります。積極的な平和外交も今後一層強化してまいります」
 「私たちの子供たち、そしてそのまた子供たちへと、戦争のない平和な日本を引き渡すため、諸君にはさらなる任務を果たしてもらいたいと思います。私は諸君とともに、その先頭に立って全力を尽くす覚悟であります」

 「ご家族の皆さま、大切な伴侶やお子さま、ご家族を隊員として送り出してくださっていることに、最高指揮官として心から感謝申し上げます。皆さんの支えがあるからこそ、彼らは全力を出し切って、国民の命と平和な暮らしを守ることができる。本当にありがとうございます。彼らがしっかりと任務を遂行できるよう、万全を期すことを改めてお約束いたします。さらに、常日ごろから自衛隊にご理解とご協力を頂いているご来賓の方々をはじめ、関係者の皆さまに対しても、この場を借りて感謝申し上げたいと思います」

 「隊員の諸君、諸君の前にはこれからも荒れ狂う海が待ち構えているに違いない。しかし、諸君の後ろには、常に諸君を信頼し、諸君を頼りにする日本国民がいます。私と日本国民は全国25万人の自衛隊とともにある。その誇りと自信を胸に、それぞれの持ち場において自衛隊の果たすべき役割を全うしてください。大いに期待しています」

 「平成27年10月18日、自衛隊最高指揮官、内閣総理大臣、安倍晋三」

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル第209号(10月19日)
http://melma.com/backnumber_190875/

決戦は南シナ海

 安倍総理は昨日、自衛隊観艦式で訓示したが、その中で16年前の、ある事件に言及した。1999年8月15日早朝、航空自衛隊のF4ファントム戦闘機2機が日本領空に国籍不明の飛行機が接近中との報を受け、九州西方海上に緊急発進したが、うち1機が行方不明となった。  当時、中国軍の最新戦闘機スホーイ27によって撃墜されたのではないかとの未確認情報があった。もし、そんな事があれば日本政府は当然何らかの反応を示す筈と読者はお思いだろう。  だが当時の自衛隊は交戦規定さえ整備されておらず、国籍不明機に攻撃されたとしても反撃すら儘ならない事は中国軍もよく知っていた。しかもこの時の九州西方沖は天候が極めて悪く、視界不良だった。

 緊急発進した自衛隊機は国籍不明機を目視で確認することを任務とするから、視界不良の状況下でかなり接近した事は間違いない。そこで仮に撃墜されたとしても僚機がそれを目視確認することすら困難な状況だった。
 天候不良により操縦不能に陥って墜落したと報告されたが、空自関係者の間ではその後も撃墜説は根強く囁かれた。なぜ撃墜説が払拭されなかったのかと言えば、仮に攻撃されても反撃すらできない法的状況が背景にあったためである。
 攻撃されたら直ちに反撃する以外に有効な手段はない。攻撃は瞬時であり、相手が攻撃してきたと言う確かな証拠を上司に提出しようとしているうちに殲滅されてしまうのが戦争の常識である。

 だが重要なのは、安倍総理が敢えて16年前のこの事件に言及した点だ。事件は8月15日であり、この10月ではない。犠牲になったのは空自であって、総理が訓示をした海自ではない。では何故、この日、この場所でこの事件に言及したのか?
 それは中国の脅威を明確に意識しているからだ。昨日、観艦式に参加した米空母ロナルド・レーガンに安倍総理は乗艦した。現職の総理が米空母に乗艦するのは初めてである。レーガンはこの後、韓国との共同訓練に参加する。
 インド洋では日米印の共同演習が展開中で、米空母セオドア・ルーズベルトが参加している。おそらくこの2隻の米空母はその後、南シナ海に向かうではないか。もしそうなれば海上自衛隊も同行することになろう。
 中国外務省が、南シナ海に中国が建設した人工島への接近を許さないとヒステリックに反発している、正にその海域である。

 総理は訓示をこう結んでいる。
「隊員の諸君。諸君の前には、これからも荒れ狂う海が待ち構えているに違いない。しかし、諸君の後ろには、常に諸君を信頼し、諸君を頼りにする日本国民がいます。私と日本国民は、全国25万人の自衛隊と共にある。その誇りと自信を胸に、それぞれの持ち場において、自衛隊の果たすべき役割を全うしてください。大いに期待しています。」

軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)
1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。1994年文筆活動に転換、翌年、第1回読売論壇新人賞受賞。2011年、メルマ!ガ オブ ザイヤー受賞。2012年、著書「国防の常識」第7章を抜粋した論文「文化防衛と文明の衝突」が第5回「真の近現代史観」懸賞論文に入賞。
動画配信中:「地図で見る第二次世界大戦」
http://www.nicovideo.jp/watch/1441391428
文庫新刊:「図解大づかみ第二次世界大戦」
http://www.kadokawa.co.jp/product/321502000376/
著書:
「領土の常識」(角川学芸出版)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=321212000089
「国防の常識」(角川学芸出版)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=201203000167
「戦争の常識」(文春新書)
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166604265 「エシュロンと情報戦争」(文春新書、絶版)
監修:
「イラスト図解 戦闘機」
http://www.tg-net.co.jp/item/4528019388.html
「超図解でよくわかる!現代のミサイル」
http://www.tg-net.co.jp/item/486298102X.html?isAZ=true
インターネット動画配信中:
「現代戦闘機ファイル」
http://www.nicovideo.jp/watch/1411697197
「よくわかる!ミサイル白書」
http://www.nicovideo.jp/watch/1383640409


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嘘を記憶遺産にするユネスコとは

2015年10月16日 | 政治・外交
「南京大虐殺」は登録「慰安婦」は却下 記憶遺産審査2015.10.10 02:29 産経新聞
http://www.sankei.com/politics/print/151010/plt1510100013-c.html

国連教育科学文化機関(ユネスコ)は9日(日本時間10日未明)、中国が登録申請していた「南京大虐殺文書」を記憶遺産に登録したと発表した。
「慰安婦関係資料」は登録されなかった。これらの決定は、新規登録の可否を判断する国際諮問委員会(IAC)が4~6日の審査結果として、ユネスコのボコバ事務局長に勧告され、ボコバ氏も追認した。・・・

国連は世界に冠たる中立機関というのは日本人の幻想。第2次大戦の戦勝国組合と認識した方がいい。

「1937年12月日本軍が南京城を包囲、飛行機から場内に降伏文書ビラを撒いた。
回答期限の午後一時、中国軍からの反応なく、日本軍は総攻撃を開始した。夕方には光華門を確保した。
12月13日南京城陥落。日本軍が南京城内へ入城。」(WikiPedia)
「南京大虐殺」とは、日本軍がこの時に30万人を虐殺したという。
当時の市民は20万人とされている。全市民を殺すなどあり得ないが、あと10万人は何?
この嘘の発端は、当時の中国版CIAや英記者ティンパーリ、米教授スマイス等が行ったプロパガンダ(謀略宣伝)であった。

中共は今をもってこれを利用している。何のためか理解に苦しむが、中共内政の不備を人民の目からそらすためと思われる。

その嘘を受理したユネスコとは・・・
日本はまたしても情報戦に負けたのか・・・
世界記憶遺産「南京大虐殺」登録は日本の失態~ユネスコがどんな組織か知らなかったのか? 2015.10.16(金) 古森 義久
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44996

国連教育科学文化機関(ユネスコ)は、中国が申請した「南京大虐殺文書」を世界記憶遺産に登録した。
 中国政府の年来の「南京大虐殺」に関する一方的な主張に国連機関が認定を与えた形となり、日本にとっては極めて不当な措置だと言えよう。中国政府がこの登録を日本攻撃の材料として政治的に利用することも十分に予想される。

 日本政府が最終段階で強く反対したにもかかわらず、ユネスコはなぜ、歴史的検証には耐えられない中国側の主張を認めたのか。・・・

【主張】ユネスコの存在理由を揺るがす「反日」記憶遺産 歴史の歪曲容認できない 2015/10/11産経新聞 http://www.sankei.com/column/print/151011/clm1510110003-c.html

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)が、史実をないがしろにした反日宣伝に利用されてどうするのか。中国が申請した「南京大虐殺文書」の記憶遺産登録は到底、容認できない。
 政府は「極めて遺憾だ」と談話を出したが、登録取り消しを含めさらに強く抗議するとともに、歴史歪曲(わいきょく)への反論を重ねてゆかねばならない。
 記憶遺産は、後世に伝える価値がある古文書などを記録に残し、公開することを目的とし、1992年から事業が始まった。

 問題の資料は中国側が保管する当時の日記や写真、旧日本軍の戦争犯罪を裁いた南京軍事法廷の記録などだ。中国側は申請目的を「歴史を心に刻み、非人道的かつ人類を侵害する犯罪行為が繰り返されることを防ぐため」などとしてきた。
 だがこれには「大虐殺」との虚説を広め、日本をおとしめる意図があることは明らかだ。
 申請資料には、日本の専門家の実証研究で撮影時期などから南京事件との関連が否定されている写真が含まれている。信憑(しんぴょう)性などに大きな疑問があり、記憶遺産に値しないものだ。

 登録は諮問委員会が審査し、ユネスコ事務局長が追認した。このような政治利用を許せば、人類共有の文化を守るユネスコの存在理由を揺るがすことになる。
 菅義偉官房長官はユネスコ事務局との協力の「見直し」に言及したが、登録撤回に結びつく具体策を検討し、実行してほしい。
 政府は、「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産への登録をめぐり、韓国政府の史実を踏まえない要求を一部受け入れる失態をおかしたばかりだ。譲歩を繰り返す外交姿勢では、日本の名誉は守れない。

 今回の中国の申請に関し、どのような資料が申請されるのかといった情報収集を含め、対応が後手に回ったことは否めず、猛省を促したい。外務省と文部科学省の連携を含め、外交の失敗として十分に検証する必要がある。
 中国が同時に申請していた慰安婦関連の資料は登録が認められなかった。しかし中国や韓国など6カ国・地域が所有する慰安婦関連資料の申請が計画されている。
 中韓が日本に対する「歴史戦」の手を緩めることはないと、肝に銘じるべきだ。

■たかじん南京大虐殺↓
https://www.youtube.com/watch?v=DRxA4KGh18c

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【山】宍粟市山崎町 高取山(490m)

2015年10月14日 | 散歩・山歩き
2015年10月12日(月) 晴

宍粟市山崎町 高取山(たかとりさん 490m) 【宍粟50名山】
周回約6.9km

宍粟50名山策定委員会、宍粟観光協会作成の登山ガイド「宍粟50名山」も残り少なくなった。
天気もよく先日の国見山から北東に見た高取山に登った。
といっても、少々気分を害した。身体的ではなく、心象的に。
分岐点を過ぎた辺りでこんな表示がされていた。標高も200~250mに来ていた。

ここは松茸山らしかった。

いつもは事前にネットで調べるなどして行くのだが、今回は低い山でもありそれをしなかった。
どれだけ松茸が収穫できるのか知らないが、入山禁止時期があるのなら、ガイドにも登山口にも書いておくべきではなかろうか。

後味の悪い山歩きを終えて麓の神社に立ち寄って、絵馬などを眺めて帰った。

登山口 篳篥神社




山崎町と国見山(聖山城趾から)


石作神社


大正元年の絵馬


 山歩記へ


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北朝鮮軍事パレード

2015年10月11日 | 政治・外交
北朝鮮はこれまで数回ミサイルの発射実験を行ってきたが、今回の軍事パレードでは発射はなかった。
日本では先月安保法案が成立したが、集団的自衛権の抑止効果とみる意見もみられた。
北朝鮮、大規模な軍事パレード開始 改良型ICBMが登場する可能性も ミサイル発射の兆候はなし 2015.10.10 15:41
http://www.sankei.com/world/print/151010/wor1510100034-c.html

写真:朝鮮労働党創建70周年祝賀会で観閲する北朝鮮の金正恩第1書記(中央)=10日、平壌(テレビ映像から、AP)
 【ソウル=藤本欣也】北朝鮮は10日、朝鮮労働党創建70周年記念日を迎え、祝賀ムードに包まれた。平壌の金日成(キム・イルソン)広場では同日午後、軍事パレードが始まった。金正恩(キム・ジョンウン)体制下で最大規模の軍事パレードになるとみられている。
 平壌からの報道によると、軍事パレードは当初、10日午前に開催予定だったが、天候不良のため午後に延期されたという。

 懸念されていた長距離弾道ミサイル発射の兆候は確認されていない。

 軍事パレードでは、今年5月、発射実験に成功したと北朝鮮が主張する潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)が初公開される可能性が指摘されている。また、移動式の大陸間弾道ミサイル(ICBM)で、2012年の軍事パレードで公開されたKN-08(最大射程1万2千キロ)の改良型が登場する可能性もある。
 また、金第1書記が将兵を前に演説するかも注目されている。金第1書記は12年の金日成主席生誕100周年記念の軍事パレードでは初めて演説を行った。

 中国からは中国共産党序列第5位の劉雲山政治局常務委員が出席。13年7月の朝鮮戦争休戦60年記念の軍事パレードには、中国から劉氏より格が下の政治局員、李源潮国家副主席が出席。金第1書記と並んで観閲した。
 劉氏は平壌入りした9日夜、金第1書記らと会談した。金第1書記が中国の最高指導部メンバーと会談するのは初めて。双方は中朝関係の親善強化で一致した。
 中国国営新華社通信によると、劉氏は金第1書記との会談で、北朝鮮の核問題を取り上げ、「中国は北朝鮮とともに6カ国協議再開のために努力する意思がある」として、6カ国協議の早期再開を呼び掛けた。
 金第1書記は「わが国は現在、経済発展と人民の生活改善のために努力しており、平和で安定的な外部環境が必要だ」とした上で、「南北関係改善と朝鮮半島安定のために引き続き努力したい」と語ったという。
 平壌からの報道によると、劉氏は、「協力を深化させたい」などとする習近平国家主席の親書を手渡した。金第1書記は「高いレベルの交流を継続し、実務的な協力を強化したい」と応じたという。

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル 第208号(10月10日)
http://melma.com/backnumber_190875/

*我、抑止ニ成功セリ!

 北朝鮮は遂に長距離弾道弾を発射出来なかった。一部報道では中国が制止した為だとされるが、今までいつも中国の反対を押し切って長距離弾道弾を発射してきたのが北朝鮮であったのを思い起こせば、この報道は媚中派の提灯記事に過ぎないと直ぐに分かる。
 本メルマガ7月23日号「抑止失敗の教訓」で、今まで日米が北朝鮮の長距離弾道弾の発射を抑止できなかった原因が、日本の「集団的自衛権を行使できない」とする憲法解釈にあることを詳述した。
http://melma.com/backnumber_190875_6239130/
 さすれば今回の不発が、先月成立した安保法制による抑止効果であるのは火を見るよりも明らかだ。左翼はこれを戦争法案と呼び反対の大合唱であったが、実の所「戦争法案」ではなく戦争抑止法であったと早速証明された訳だ。

 安保法成立の効果は米国の対中戦略の変化にも顕われている。米海軍は南シナ海に中国が建設した人工島周辺に艦艇・航空機を派遣する計画をオバマ大統領に提示した。この計画は5月にも提示されており、その時は却下された。
 一旦却下された計画がなぜ10月に再提示されたのか?といえば9月に安保法が成立し米国が日本の助力を期待できる状況になったために他ならない。つまり安保法が米国の対中政策を妥協から抑止に変化させたのである。
 計画は大統領の承認待ちだが、もし実行されれば中国は人工島を放棄するしか道はなくなる。中国共産党は今頃ホワイトハウスに電話して、「建設を今すぐ中止するから計画の実行だけは見送ってくれ」と泣きを入れているに違いない。

軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)
1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。1994年文筆活動に転換、翌年、第1回読売論壇新人賞受賞。2011年、メルマ!ガ オブ ザイヤー受賞。2012年、著書「国防の常識」第7章を抜粋した論文「文化防衛と文明の衝突」が第5回「真の近現代史観」懸賞論文に入賞。
動画配信中:「地図で見る第二次世界大戦」
http://www.nicovideo.jp/watch/1441391428
文庫新刊:「図解大づかみ第二次世界大戦」
http://www.kadokawa.co.jp/product/321502000376/
著書:
「領土の常識」(角川学芸出版)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=321212000089
「国防の常識」(角川学芸出版)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=201203000167
「戦争の常識」(文春新書)
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166604265
「エシュロンと情報戦争」(文春新書、絶版)
監修:
「イラスト図解 戦闘機」
http://www.tg-net.co.jp/item/4528019388.html
「超図解でよくわかる!現代のミサイル」
http://www.tg-net.co.jp/item/486298102X.html?isAZ=true
インターネット動画配信中:
「現代戦闘機ファイル」
http://www.nicovideo.jp/watch/1411697197
「よくわかる!ミサイル白書」
http://www.nicovideo.jp/watch/1383640409


■【朝鮮半島ウオッチ】金正恩氏が10月10日に立党70周年の「祝砲=ミサイル」を発射できない3つの理由とは… 2015.10.8 16:30
http://www.sankei.com/premium/print/151003/prm1510030020-c.html

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メリケンパーク界隈

2015年10月09日 | 散歩・山歩き
友人が所属する「兵庫版画同好会展」が神戸市三宮でありました。
高齢になってもこのような創造的な趣味を持つことは素晴らしいことと思います。
こぢんまりした展覧会ですが力作が並んでいました。
彼の作品は、絵手紙ブログでも時々紹介させていただいております。

その後、久しぶりに海岸通りやメリケンパークを散策しました。


三宮神社、神戸市庁舎(後ろ)


海岸通りの古いビル、国道二号線




ポートタワー、海洋博物館モニュメント


超伝導電磁推進船(実験船)


ポートタワー下の港巡り発着港


見学に来ていた小学生達


阪神淡路大震災の保存岸壁
当時の生々しさは大分薄れていました。

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映画「雪の轍」

2015年10月07日 | 音楽、映画
もう十数年劇場で映画を見ていなかったが、久しぶりに見に行った。
動機は、この映画監督「ヌリ・ビルゲ・ジェイラン」の作品「昔々アナトリアで」「スリー・モンキーズ」をレンタルビデオで見て、トルコにすごい映画作家がいるなぁと思っていたことにある。
映画通の旧友を誘って見に行った。
この旧友は時々電話をもらう程度で、二十年以上会っていなかった。
二歳上だがすっかり頭も禿げ上がっていい爺さんに変貌していた。
むこうも「おお、ええオジンになりよったわい」と思ったことだろう。
しかし、話しぶりは相変わらずで、オペラや映画の話になると止まらない。
当方はあまり詳しくないので拝聴するばかりだ。
彼はインターネットをやらないので、この映画について知らせると「僕も是非見に行く」とあいなった。

尼崎市塚口にある映画館はウイークデーで朝10時の開演でもありよく空いていた。
観客は我々を含めて十人程度、客席ど真ん中で悠々と鑑賞できた。
映画は三時間以上あり、満員の劇場では気分が悪くなるのでは心配していたが、そんなこともなく美しいスクリーンを堪能した。

映画はいたって地味だ。トルコの名勝カッパドキアを舞台にしているが、殆どが主人公と妻、主人公と妹など周囲の人々との会話で終始する。
映画は脚本とよくいわれる。その登場人物の会話に引き込まれ、自らの過ぎた人生を想起させられてしまうことになった。
映画の広告にある「観れば無傷では帰れない」は少々オーバーだが、うまいキャッチフレーズだと思う。↓
http://bitters.co.jp/wadachi/

平河総研メルマガ 2015年8月22日 より
http://melma.com/backnumber_133212/
奥山篤信氏の映画評
◎奥山篤信の映画批評 102 トルコ映画<雪の轍> 2014

~こんな完璧で成熟した映画がトルコ監督によるものとの感動が全てだ!~

これほど感銘した映画は人生でも珍しい。しかも僕の聞いたことも無いトルコの監督による映画だ。映画はなんと3時間16分の長丁場、こんな長い映画も近年稀で、二回に分けてみようかとも考えたが、結局引込まれ一気に全編を見た次第だ。

さてこのトルコの監督ヌリ・ビルゲ・ジェイラン(Nuri Bilge Ceylan)1959年生まれで、日本でかって上映されたことは一度もないと思うが、なんと2002年の『冬の街』と2011年の『昔々、アナトリアで』でカンヌ国際映画祭グランプリを、2008年の『スリー・モンキーズ』でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞。2014年には5度目の出品となった第67回カンヌ国際映画祭で『雪の轍』がパルム・ドールを受賞した。

良い作品を鑑識する力、配給元そして上映館の三拍子が揃わないと、今みたいな屑のような日本映画それにハリウッドの娯楽ものしか味わえない近未来を恐れるのは僕だけではあるまい。これでは映画界を目指す若者が育たない。その意味で僕のパリ滞在中の日本では絶対に見られない映画を見まくったことは映画王国フランスの貴重な経験である。

さてこの監督の映画を米アマゾン社に発注、昨日届いたロットで上述映画<スリー・モンキーズ>を英語字幕で見たが、監督の並々ならぬ実力を改めて確認できた。筋は資産家で選挙立候補中の男が運転中人をはねて殺してしまう。その事件を自分の運転手に身代わり犯人として、妻とできそこないの息子生活費などと交換に自首させる。夫の服役中に妻はこの富豪の愛人となる。

9ヶ月後運転手は出所して、家の異変を感じる。・・・このドロドロした人間模様を、運転手のスラムの家を美しいカメラワークで描くのだから芸術的才能も突出しているのだ。

さて本題の映画に戻ると、この映画は、筋書きにサスペンスやスペクタクルが一切なく、大人の会話の激突の面白さが中心であり、下手な監督だったらもう退屈で30分で席を立つだろう。これが違うのだ。登場人物はカッパドキアを舞台にホテル経営をする資産家とその歳の離れた美人妻 そして小姑的姉が出戻りで居候している。それに家賃不払い(資産家は大地主なのだ)の兄弟(これが偽善者のイスラム伝導師の弟と熱血漢で妹のパンティを盗んだ男を刺して刑務所にぶち込まれ出所後失業でぶらぶらしている兄)それらの人物が縦糸横糸としてドラマを奏でるのである。

人間の愛とは何か?赦しとは何か?罪とは何か?慈善とは偽善なのか?人間の誇りとは何か?人間の本来の限りない美しさと醜さ卑しさを交錯させながら、沸騰する会話を中心に人生を描く監督の奥深い教養と知性、それに呼応する役者達の名演技、そしてどんな醜いシーンでも美しい画面を創りだす監督の美意識、これほど完成度の高い映画は久しぶりだ。

監督には、モスレムという宗教がありながら、その匂いを完全に超越しており、欧米人いや日本人の感覚からも全く違和感のない現代社会の価値観としての普遍性がある。むしろ僕はこの監督は宗教の偽善を見透かしており、無神論に近いと推定する。監督は自分の生き様を、この資産家に重ね合わせているように思えるほど、知性と教養と理性を兼ね備えた主人公だ。見物は資産家と姉との激突、若き妻と姉の激突、若き妻とテナント兄弟との激突、資産家と似非慈善家との激突、引込まれるような会話の数々とその内容のレベルと質の高さであり、つくづく現代日本映画では今の日本人の薄っぺらな会話しか存在しない中、このような会話映画が不可能だと断定できる。

僕の辺境映画論(映画マイナーな国ほど良い映画がある)からしても監督が超越する知性と教養があるのか、トルコ社会にも本来の人間の実存にせまるようなこのような会話激突が現実にあるのか知らないが、長丁場圧倒され続けたのである。(月刊日本9月号より)

ヌリ・ビルゲ・ジェイランの映画情報↓
http://www.allcinema.net/prog/show_p.php?num_p=765604

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加瀬英明氏「人は志がなくなると小粒になる」

2015年10月06日 | 世相
加瀬英明氏のメールマガジンより
■「加瀬英明のコラム」メールマガジン 2015年10月6日
http://www.kase-hideaki.co.jp/magbbs/magbbs.cgi

人は志がなくなると小粒になる

 私が日本ペンクラブの理事となったのは、昭和52年だったから、40歳のときだった。
 ペンクラブの左傾化がひどかったので、2年後に脱会した。金日成主席の北朝鮮が天国で、朴正煕大統領の韓国が言論を弾圧していると非難する決議を行ったので、あまりにも馬鹿馬鹿しかった。

 多士済済

 あのころの文壇には、石川達三、丹羽文雄、芹沢光治良、井上靖、安倍公房、三島由紀夫、遠藤周作、吉行淳之介と、思い出すままにあげていっても、古い表現になってしまうが、一家をなしていた作家が少なくかった。
 画壇についても、そうだった。壇は高く設けたところを意味しているが、文壇、画壇という言葉が廃れたのも、作家も、画家も、平準化してしまったからなのだろう。
 政財界をみても、毀誉褒貶があるものの、存在感がある人物が多かった。

 そういえば、人物とは非凡な人や、優れた人のことをいったが、このところそのような用途では、使われなくなっている。
 この30年ほどか、日本が活力を萎えさせるのにしたがって、日常の会話のなかで「人が小粒になった」と、嘆かれている。

 団栗の背競べ

 似たようなもののことを、団栗(どんぐり)の背競べという。秋に入って樫に実をつける団栗は、秋の季題となっているが、団栗の里となった日本は、冬に入ろうとしているのだろうか。
 人はさまざまな衝動に駆られて、生きている。喉が渇く、空腹を覚える。ある時は酒に酔いたい。本を読むのは暇を潰すとか、事実を知りたいとか、好奇心を満たしたいからだ。

 絵心と人心

 私はたまに絵を描くが、この夏も鎌倉の鶴岡八幡宮の雪洞(ぼんぼり)祭のために、絵筆をとった。
 人は誰もが上手下手は別として、芸術家だといえる。自分を慰めるために絵を描いたり、詩を書くのは、自分を表現したいからだ。
 自己表現は、自分がどのような存在なのか知りたい不安を、紛らわすために役に立つ。精神病の療法の1つとして、患者に絵を描かせることが行われるが、無意識に自分の中心を探し求めているのだ。

 芸術の根源は神事から

 芸術の根源は世界のどこでも、神事から始まっている。宗教祭祀と結びついていた。
 日本でも音楽や踊りは、神々に奉納することから始まったし、どの民族についても同じことがいえる。西洋音楽は賛美歌から発した。はじめはただ声を合わせるオルガヌムから、複音楽であるポリフォニーへ発展した。

 シェイクスピア劇の源流

 シェイクスピア劇の源流も、教会で演じられた寸劇に求められる。シェイクスピアは16世紀から17世紀に活躍した。イギリスでは14世紀ごろから、祝祭日に聖書の物語をもとにしたコベントリー劇とか、ヘッジ劇と呼ばれた宗教劇や、艱難(かんなん)の末に神に救いを見出す、エブリマンという道徳的な寸劇が、教会で上演された。

 芸術は人の心を表わすから、万国に共通している。

 遠く離れた文化の間で、よく似ていることがある。私は中国を訪れたときに、新疆のウイグル族が織った絨毯を贈られたが、図案がアメリカ・インデアンの織物の柄を思わせる。チベットの曼陀羅は東方教会のイコンにみられる、キリストの後光の図柄に通じている。

 心を打つ作品

 絵であれ、彫刻、小説であれ、心を打つ作品は誰にでも訴える力を持っているから、普遍性を備えているものだ。どうしてなのか。
 芸術には難解なものが少なくない、遊びだから楽しめさえすればよいが、作家というよりも、自称芸術家と呼ぶべき人たちの作品は、独り善がりのものだ。人は何か創ってみたいという衝動を感じるから、自分のためだけであってならないわけはない。
 独り善がりであっても、精神病理学の分野で治療法として使っているから、悪いことではない。しかし、自分しか満足できない作品は、芸術と呼べない。自慰的で普遍性がない。
 芸術は独創的なものであるべきだ。しかし、私は優れた作品は、個人のスタンドプレイではないと思う。優れた作品は、作者1人に属するものではないはずだ。

 才能は無限の可能性をもつ

 才能は不可抗力のようなものだ。持って生まれたものや、育った環境によって作られる。
 このごろ流行している英才教育といった教育論では、どんな子供でも肥料さえやればよいように説かれているが、その子供がもとから秘めている才能を伸ばすのには役立とうが、どの子供にも効果があるものではなく、ほとんどの場合、親の自己満足のために、子供を苦めている。
 優れた作家は内的な強い衝動に促されて、創作活動に取り組むと思う。だから受け身なのだ。才能が不可抗力であるのと、似ている。
 個人は自分の中に個人的な意識されない意識と、1つの共同体に属していることから、目に見えない根のような、全員に共通している普遍的な意識を持たされている。日本人なら個人としての自我の他に、無意識の中に共同体の意識が植えつけられている。私たちは目に見えない糸によって、しっかりと結ばれている。

 芸術はこのような普遍的な意識が、恵まれた作家を通して形になるものだと思う。いってみれば、火山のようなのだ。このような無意識の意識が、地下マグマのように燃え盛っており、才能のある個人が火口のように選ばれて、爆発するのだろう。
 このように考えると、作者は部族的な代表なのだ。作家は媒体ということになる。優れた作品が、その時代の人々の心を強く捉えるから、作品はひとりだけのものではない。人々が共有しているものが、表現されている。

 偉大な作品は時代精神を体現する

 偉大な作品は時代精神を表している。思いつくままにあげれば、ドストエフスキーの『悪霊』は、リベラルなインテリの息子が悪霊に取り憑かれ、過激派になる物語である。その後にくるスターリン時代を、生々しく予言している。T・S・エリオットの詩の『荒地』は、現代人の精神を見事に描いている。
 T・H・ローレンスの『チャタレー夫人の恋人』は、急速に都市化と機械化してゆく社会における、男女の新しい性を描いたものだ。作者はこの作品によって受難したが、書かねばならない衝動に駆られたのだろう。

 ニューヨークの近代美術館の心

 私はニューヨークの近代美術館を訪れると、マックス・ベックマンの絵の前で足を停める。第1次大戦後のドイツの表現派の巨匠だが、大戦による人間への幻滅から、グロテスクでサディスティックな絵を描いている。
 このところ、日本で火山活動が活発になっているが、きっと優れた作家は地殻の弱い箇所に当たるのだろう。時代の要請に応えて、出てくるのだ。
 かつて神話は、心にあった象徴的なものを表わしていた。神話は遠い過去に追いやられたが、現代のエピック――民族の姿を描いた叙事詩を創りだす人々が、同じ役割を果している。
 優れた宗教家や、政治家についても、同じことがいえよう。なぜ、イエスは磔(はりつけ)になる危険まで冒して、愛を説いたのか。明治維新の若い志士たちは新しい日本を創ったが、日本が彼らを創ったのだった。

 優れた作家の輩出は何か

 この30年ほど、日本には優れた作家が現われない。宮沢賢治、小川未明、小林多喜二、安倍公房、三島由紀夫、小津安二郎、黒沢明といったような人々が出なくなってしまった。
 私は都心の麹町に住んでいるが、利に聡い不動産屋の手によって、45、6階もある新しいビルが、つぎつぎと建つようになっている。人が小粒になったのは、このような巨大な建造物のためだろうか。
 萩にかつて吉田松陰が教えた松下村塾の小さな日本家屋が、残っている。部屋が2つしかなく、畳が摩り切れているが、人間の体の大きさに適っている。
 飽食の時代に入って人々が苦しむことがなくなり、共同体の意識が薄れたために、社会が真剣味を欠くようになったからに違いない。


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