共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

意思伝達

2012年03月08日 18時40分48秒 | 日記
そんなにしょっちゅうではありませんが、食事の選択肢を考えるのが面倒な時に、駅の立ち食い蕎麦屋を利用することがあります。今日はちょっと起床が遅くなって朝食を作る時間を逸してしまったので、とりあえず駅蕎麦屋にお世話になることにしました(^-^;。

ラッシュアワーも大分過ぎていた時間帯でしたが、それでもそこそこ人が行き交う乗換駅の改札口近くの駅蕎麦屋に、券売機で食券を買って入りました。それで私がオーダーしたものを持って立ち食いカウンターで蕎麦を食べ始めた時に、何人か固まって入ってきたグループの先頭にいた初老の男性客と店員が、オーダーをめぐってちょっとしたトラブルになったのです。

こういう店では食券を注文カウンターに出す時に、蕎麦かうどんかのチョイスを確認されますが…

店員(以下「店」):お蕎麦にしますか?うどんにしますか?(^-^)

男性客(以下「客」):…ぁ…(としか聞こえませんでした)(-.-)

店:…お蕎麦でよろしいですか?(^-^;

客:…あ…(さっきより若干大きめ)(-_-メ)

店:(しばらく後その客に)天ぷら蕎麦、お待たせしました~(^O^)。

客:(突如逆ギレ)うどんだよっ!!(*`Д´)

店:え…でもさっきお蕎麦でって…(;;;*_*)

客:てめぇ、人の返事聞いてねぇのかこら!あ"!(#`皿´)

店:す、すみません…(x_x;)


これを、その男性客のすぐ後ろで食べながら聞いていた私は、内心

「そんなでかい声出せるんなら、最初っからその大きさで言えばいいだけのことだわな。あんなちっちゃい声なんか、返事したうちに入らんワまったく…ε=(`へ´)」

と思いつつ食事を続けていたら、その男がいきなり私に向かって

「なんじゃ貴様!何か文句あんのか(゜Д゜)ゴルァ!!」

と絡んできたのです。どうやら「内心で」つぶやいていたつもりが、リアルに、しかも結構な音量でつぶやいてしまっていたらしく、それが聞こえてしまったようでした。

『しまった…』と思いましたが、聞こえちまったものは仕方ありません。とりあえず口の中の整理をつけてから

「あなたね、人に物事を伝達する時には、相手にきちんと伝わる言い方と、それに見合ったボリュームと、伝えようという明確な意思が必要なのですよ。それに照らしてさっきのあなたの『…ぁ』は、店員さんより近くにいた私にすら何を言っているのか分からない言い方とボリュームですよ。ましてあちらではお湯が沸いたり、天ぷらが揚がったり、換気扇が回ったり、店内BGMが流れていたり、いろんなノイズが発生していて聞き取るのも大変な状況であることは目にも明らかなんですから、自分のオーダーを正確に遂行してもらおうと思うのであれば、客の方でもそれを十分おもんぱかって、提供者であるところの彼にきちんと聞こえるように、正確に情報伝達しなければいけないんじゃありませんか?人様にものをお願いするって、そういうことですよ。」

と、とりあえず自分の言いたかったことをズラズラと申し述べてみました。その上で

「このオーダーミスは自らが招いたものです。この天ぷら蕎麦をあなたの身勝手で作り直させて生ゴミにしてしまうというのはあまりに勿体ないですね。だから、蕎麦アレルギーとか、命に関わるような重大懸案がない限り、今日はそれを召し上がんなさい!」

と、天ぷら蕎麦のどんぶりの乗ったトレーを持たせてあげました。当人は何やら言いたそげでしたが、刺すような周囲の目線を気にしてか、以外と粛々とそれを持って奥のテーブル席に座って、黙って食べていました(ってことは別にうどんじゃなくてもOKだったんぢゃん…)。

日本の中年以上の年回りの男性の一番いけないことは、はっきり口を開いて言葉を発して意思を明確に伝えないことです。今回の件は、ある意味その典型と言えるでしょう。

身内のことで何ですが、私の父もそうでした。夕食のメニューを決める時や洋服を買う時等、何かにつけ母が父の意思確認のために「お父さん、どうするの?」と聞いた時に、父が母にきちんと聞こえるように返事をしなかったために、いろんなことでケンカになっていたのを覚えています。

どうしていつもこのテのことでトラブルになるのか…いつも不思議に思っていたら、ある方が「日本人男性というのは『皆まで言わなくても分かるだろう』と思う生き物で、女性は総じて『ちゃんと言ってくれなきゃ分からない』と思う生き物なんだよ」と教えて下さったことがありました。そして「肝心なのは、男だって意見や言い分がないわけではないのに、それを微に入り細を穿って説明することも良しとしない部分があるし、女だって事の大体察しはついているのに、自分を納得させるためにもそれを明確に確認せずにはおられない部分がある…それをお互いが理解し合うところから始めない限り、永遠に溝は埋まらないものだよ」とも…。

なるほど、そうかも知れません。よく人目をはばからずカフェや電車内で言い合いをしている男女を観察していると、女性が「なんで?なんで?」と一方的に男性を問い詰めて、それに対して男性が面倒臭そうに「だからぁ、さっきから言ってんぢゃんかよ…」と同じようなパターンの返答を繰り返して、それに納得しきれない女性が更に攻勢を強めていく…という堂々巡り的な光景は、今も昔も変わらないようです。

尤も、今回のケースをそれと同じ次元で論じることはできませんが、根源は同じであろうと思われます。ま、これから中年男性になる日本男性諸氏には、せめて自分が希望するサービスのオーダーくらいは自らの口でハッキリと伝えるようになってほしいものです。
コメント
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