さすらい人の独り言

山登り、日々の独り言。
「新潟からの山旅」別館
http://iide.hp.infoseek.co.jp/

さすらいの風景 旅順 その3

2011年07月19日 | 海外旅行
水師営は、一般的には、中国清朝海軍の隊員の駐屯地で、清国各地の港近くに造られました。

旅順港近くの水師営は、特に水師営会見所と呼ばれ、日露戦争中の1905年1月15日に、旅順港攻略戦の停戦条約が、第三軍司令官・乃木希典大将と旅順要塞司令官・ステッセル中将の間で取り交わされました。



当時は、野戦病院として使われていたもので、現在の建物は1996年に復元されたものです。建物の前には、記念写真のお立ち台が置かれています。



「水師営の会見」と題する文部省唱歌でもこの場所は知られています。歌は九番まであります。


1 旅順(りょじゅん)開城(かいじょう) 約成(やくな)りて
敵の将軍 ステッセル
乃木大将と会見の
所はいずこ 水師営

2 庭に一本(ひともと) 棗(なつめ)の木
弾丸あとも いちじるく
くずれ残れる 民屋(みんおく)に
今ぞ相(あい)見る 二将軍

この2番に出てくるなつめの木というのはこれです。といっても、オリジナルの木は枯れて、何代目かのもののようです。どうせなら、太くなった木をそのまま植えておけばいいのにと思います。



前庭に置かれている水師営会見所の碑。ただし、これは新しく造られたものです。



もとから有った物はこちらで、表面が削られて、「八一水庫」と書かれて、戦車やトラックの絵が彫られています。



「包帯所之跡」という石碑も置かれていました。



会見所の中では、前の団体の説明が続いており、しばらく前庭を眺めながら時間つぶしをすることになりました。



建物の右側は、写真の展示室になっていました。



左の部屋で、停戦の会見が行われました。



会見後の記念写真として有名なのが、この写真です。

中段右から、伊地知幸介参謀長、ステッセル司令官、乃木司令官、レイス参謀長が並んでいます。

武人として健闘を称えあった両軍司令官の会見の様子は、写真と共に世界に伝えられました。

ここで気になるのは、司令官乃木希典の評価です。

旅順を訪れる旅行者は、司馬遼太郎の「坂の上の雲」を必ずといって良いほど読んでいると思います。この小説は、以前に読んでいましたが、記憶も薄れていたので改めて読み直しました。

そこで気になったこと。

主人公の一人である正岡子規は、必要なかったのでは。後半は、日露戦争物語になっています。

旅順港攻略戦では、乃木大将と伊地知幸介参謀長の無能さが、犠牲者を大きくしたということになっていますが、これには賛否両論があって、小説をうのみにする訳にはいかないようです。コンクリートで固められた要塞の攻略船は、これが最初で前例が無かったといいます。しかも、バルチック艦隊の到着までという時間的制約もあったので、持久戦はできない状態でした。

203高地の攻撃では、日本軍に多大な死傷者を生じましたが、ロシア軍も急ごしらえの防御陣地で被害は大きく、補充兵を回すことができず、結局要塞の陥落を早めたといいます。

ただ、白襷隊などという決死隊を要塞の夜襲に向かわせるといった、時代錯誤の作戦を行ったのは、賛成しかねますね。これが、後の太平洋戦争における特攻隊に発展していったものと思われます。

旅順攻囲戦での日本軍の死傷者は6万人、ロシア軍4.5万人ほどに及びましたが、日露戦争の総力戦になった奉天会戦では、日本軍7万人、ロシア軍6万人の死傷者が出ました。旅順攻囲戦の死傷者は、やはり多いですね。

乃木希典は、明治天皇の崩御の際に殉死しました。武士道的精神を評価する見方もありますが、部下の兵隊に多大な犠牲者を出しながら、敵の将軍とは和やかに会談するなど、武士階級の封建的考えから抜け出せなかったものと思われます。

ひとつ断言できるのは、兵隊の命の軽さですね。

ステッセルの運命についても、ふれておく必要があります。

ロシアに帰国後、軍法会議にかけられて、余力を残した状態で降伏した罪で銃殺刑を言い渡されてしまいます。乃木はなんとかステッセルを救えないかと思い、パリの駐在武官に、旅順の開城はやむおえなかったという論評を新聞に発表させます。そのためもあってか、一般市民として釈放されました。

日露戦争関連地としては、この後で、白玉山塔を訪れました。
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« さすらいの風景 旅順 その2 | トップ | さすらいの風景 旅順 その4 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む