ポール・エクマン『子どもはなぜ嘘をつくのか』菅靖彦訳, 河出書房, 2009.
子どもの嘘をテーマにした内容で、著者は顔の表情や嘘を専門とする心理学者。一部の章を、著者自身の息子(中学生)と妻(弁護士)が執筆している。原著は1989年でけっこう古い。
心理学的な分析を期待して手にとってみたが、どちらかと言えば育児本に分類した方がよい内容である。先行研究への言及や原因に対する探求はあるが、その視点は「我が子を嘘つきにしないための指導の仕方を探る」という教育的意図に貫かれている。嘘の深刻度、嘘をつき易い性格のタイプ、嘘をつくことを促す環境について考察があり、それなりに知識となることはある。それでも、著者が記すように原著執筆時点におけるこの分野は研究不足であったようで、読後あまり腑に落ちたという感覚は無い。
そういうわけで、とても良い本というわけではないが、かといって読んで時間の無駄になるものでもない。あまり期待せずにさらりと済ませてしまうのが正しい扱い方だろう。
子どもの嘘をテーマにした内容で、著者は顔の表情や嘘を専門とする心理学者。一部の章を、著者自身の息子(中学生)と妻(弁護士)が執筆している。原著は1989年でけっこう古い。
心理学的な分析を期待して手にとってみたが、どちらかと言えば育児本に分類した方がよい内容である。先行研究への言及や原因に対する探求はあるが、その視点は「我が子を嘘つきにしないための指導の仕方を探る」という教育的意図に貫かれている。嘘の深刻度、嘘をつき易い性格のタイプ、嘘をつくことを促す環境について考察があり、それなりに知識となることはある。それでも、著者が記すように原著執筆時点におけるこの分野は研究不足であったようで、読後あまり腑に落ちたという感覚は無い。
そういうわけで、とても良い本というわけではないが、かといって読んで時間の無駄になるものでもない。あまり期待せずにさらりと済ませてしまうのが正しい扱い方だろう。