当事案もそうなのですが、精神疾患に関連する労災は認定基準に則って判断することになっています。
しかし、この認定基準のハードルが極めて高く、けがなどに比べると著しい格差があると感じています。
例えば、事業場内のけがではないのに、事業場内でけがをしたと申し立てれば、確たる証拠を求められません
(事実、できません)ので、労災認定を受けることができる現状があります。
長時間労働については、認定基準に拘らない認定も出てきていますが、
認定基準を厳格に運用する現状については、問題が多いように感じています。
うつ病悪化で退職 療養補償不支給取り消す判決 福岡地裁
03月18日 NHK
北九州市でシステムエンジニアとして働き、うつ病を発症した45歳の男性が、
療養補償の給付を認めなかった労基署の決定を不当だと訴えた裁判で、
福岡地方裁判所は「うつ病の症状の悪化は業務に内在する危険が現実化したものと認められる」として、
不支給の決定を取り消す判決を言い渡しました。
北九州市に本社がある「TOTO」の子会社でシステムエンジニアとして働いていた45歳の男性は、
平成23年にうつ病を発症し、その4年後に症状が悪化して退職しました。
当時、男性は「TOTO」の人事情報に関する新たなシステムの設計などに1人で当たるなどしていたということです。
今も症状が続く男性は、療養補償を支給するよう求めましたが、北九州東労働基準監督署が認めなかったたため、
この決定の取り消しを求める訴えを起こしました。
きょうの判決で、福岡地方裁判所の小野寺優子裁判長は時間外労働がおよそ100時間におよび、連続勤務が15日間続いた、
退職直前の勤務状況などを踏まえ「業務による心理的負荷が社会通念上客観的にみて発病させる程度に強度だった。
うつ病の症状の悪化は業務に内在する危険が現実化したものと認められる」などとして、
療養補償を不支給とした決定を取り消す判決を言い渡しました。
北九州東労働基準監督署は判決について「関係機関と協議の上で対応を考えたい」としています。
TOTO子会社員、うつ病は一部労災 地裁判決 /福岡
毎日新聞 2022/3/20
住宅設備機器大手TOTO(本社・北九州市)の子会社社員だった宗像市の男性(45)が、業務でうつ病になったとして
労災認定と療養費支給を国に求めた訴訟の判決が18日、福岡地裁であった。小野寺優子裁判長はうつ病と業務との因果関係を一部認め、
国の療養費不支給は「違法」として取り消しを命じた。