池さんで働くおばさんの日記

デイサービス「池さん」の大ちゃんママのブログです。

親芋の物語

2023-11-12 17:18:41 | デイサービス池さん

近くの道路にこんな看板がある。

「親芋 ご自由にお取りください」

出荷できる里芋(子芋)は収穫するけど、かたい親芋は手間もかかる上に安いのか、出荷せずにこの看板を立てて、キャリーに入れて置いてある。

雨の日も、晴れの日も、キャリーに山盛り入れて置いてある。

気になっていたけど、車止めるにも何しろ道端なので目立つし、無料で頂くのもどうかな、ちょっと恥ずかしいと思う気持ちもあって、いつも通り過ぎていた。

でも端境期でどの野菜も高い。なので、思い切って、みかちゃんがある日もらってきた。

でっかい親芋は凸凹していて、分厚く皮を剥かないといけないけど、料理次第で美味しく頂ける。

真ん中あたりは煮物にして、煮物にできない所は細長く切って、フライドサトイモで頂く。

塩を多めに振って、青のりをまぶしたものと、カレー味の2種類を作って食べた。

美~味~!

次の日、じゅりちゃんがもらってきた。

量が増えたので、茹でてつぶして、コロッケにしてみた。

美~~味~~!!

その次の日、デイのスタッフにあそこの道で貰ってきた親芋だと話すと、場所を聞いたマイちゃんが、またまた貰ってきた。

またコロッケが作れるように、軽く茹でて冷凍庫に保存した。

そのまた次の日、休みなのに、さつきさんがまたまたまた貰ってきた。

カレーやシチューに入れて食べた。

あきなちゃんも、わいわいドライブ途中で立ち寄って、ついにデイのじい様を連れて親芋貰いに行く、池さん。

送迎、ドライブ、前を通るたびに、親芋貰いに立ち寄る、池さん。

全員出動で、親芋貰いに行く、池さん。

農家の方に会ったら、よ~くお礼を言おうと思っても、これだけ通ってるのに、一度もお目にかかれない。

なので、ここでお礼を言っとこう。

「お陰様で池さんの胃袋助かってます。ありがとうございます。」

 

それにしても、親芋の運命、ちょっと悲しくなる。

親芋は夏の暑い時も、雨が降らない時も、文句も言わず、立派に子芋を育てて市場に供給しているのに。

親と言うだけで、ただ固いというだけで、市場に出されることもなく、キャリーに入れられ道端に置かれる。

なんということだろう。

せっかく親になったのに、子どもだけ連れて行かれて独りぼっち。

親には親の意地もあるはずなのに。

親芋にも親芋のプライドがあるはずなのに。

ただで貰われてゆく親芋の気持ちに寄り添ってあげないと。

親の命を全うさせてあげないと。

とかなんとか・・・とブツブツ独り言を言いながら、私は今日も芋を料理する。

でもやっぱり固いな・・・と文句言いながら。

親芋さん、ほんとにありがとう。

親芋さん、感謝してます。

親芋さんの命を、皆でちゃんと頂きます。

善意の親芋に助けられて、本日も池さん頑張っております。

 

年と共に、独り言が増え、しわもシミも増え、思い込みも思い違いも増え、どうにもならない。

どうにもならないけれど、親芋みたいに固くならないように、無料でどうぞと言われないように、

柔らかい心を維持しつつ、しなやかに年を重ね、毎日を過ごしていきたい。

 

 

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