今夜の登場人物は、2人のばあさん。
まずは説明から。
Aばあさんは、どちらかというと無口な人。
もちろんそれなりに相手に合わせて話をすることはできるけど、自分から進んでいろいろな話をするわけではない。しかも、声が小さい。大きな声が出ないわけではないが、よほど気が乗った時でないと大きな声を出さない。おとなしいイメージのばあさん。
Bばあさんは、利用開始からまだ日が浅い。従って、遠慮がちにいつも話をする。大きな声を出したこともなく、やっとデイに慣れてきたところ。声は小さい。
ちなみに、2人のばあさんは離れた椅子に座っています。
B: 昔、おまわりさんに許可をとって、ハクビシンを飼いよったんよ。
A: この前、ハクビシンが後ろをついてきよった。
B: 飼いよったハクビシンは、「お手」をしよったんよ。扉を開けたら出て行って、夜になったら帰ってきよったんよ。
A:・・・
A: 昔、ブタを250匹飼いよったんよ。子どもも産ませよったんよ。
B: 私はハチを400匹飼いよった。蜂蜜をとりよったんよ。私が蜂蜜を絞る役やったけん、ハチには刺されたことはなかったよ。
A:・・・
B: 昔、ガマガエルも飼いよったんよ。ゲロゲロ鳴いてかわいいんよ。自分で土に寝床を掘って寝るんよ。カイコを餌にしよったんよ。
A:・・・
A: モモ(おうちで飼っている大型犬)に引きずられて、手と足が折れたんよ。
B: 私はあばら骨が折れたことがある。
A:・・・
2人のばあさん。
離れた席で、同じ会話を楽しむばあさんたち。
決して自慢しているわけではなくて、作話ではなくて、苛立っているわけでもなくて、ただ淡々と自分の話を続けるばあさんたち。
でもちゃんと会話になってる2人のばあさんの話。
ちゃんと聞いてないと、何でもない話。
2人のばあさんの話。
こんな楽しい瞬間に出会える仕事をしているんだと思うと、ワタクシは嬉しくてニヤニヤと顔がふやけてしまうのです。
こんな瞬間を大切に思える本当にあった介護の現場の話です。