池さんで働くおばさんの日記

デイサービス「池さん」の大ちゃんママのブログです。

写真の中に

2021-03-22 21:13:32 | デイサービス池さん

桜も咲きかけて、いろんなことがあって忙しいなと思っていた時、

創立からの写真を見る機会があって、

保存してある15年間の写真を画面上でめくっていたら、

平成17年11月9日、池さんの庭に桜の木を植えた記念の写真を見つけた。

細い細い桜の苗木。

記念のボードには、当時の職員とケンケンの名前が書いてあって、

感慨深い。

15年の間にこんなに大きくなったんだと思うと、

花が今にも咲きそうになっている桜の木が、なおさらに愛おしい。

そういえばこんなことがあったな~と懐かしい顔がいっぱいあって、

でも名前も思い出せなくなった人の顔もあって、

時間の長さを思い知る。

最初に出会った名人とのお出かけ風景や、創立当時、介護保険の年寄りよりも人数の多かった子どもたちの預かり。

フミちゃんという人の在宅生活へのこだわりが育ててくれたパーソナル事業。

いろんな人たちとの出会いの中で、池さんという場が育ってきたのだと沢山の写真が教えてくれる。

「こうなったらいいな」という理想はもちろんあったけれど、

いろんな人との出会いがあったから、

沢山の出来事の中で生きたからこそ、

今のこの形があるのだと思う。

 

介護保険制度の改正が行われる。

いまだ曖昧な部分を抱えつつ、

「自立」と「回復」を目指す介護保険の行く末に、今回も大きな疑問を抱く。

「加算」と「サービス」は、リハビリという大義名分によって、老い逝く人たちを切り捨ててゆく。

人は老いる。

人は死ぬ。

永遠に続く回復など、終わりなき自立など、存在するはずはない。

本当に介護が必要となった時、

それでも最後まで人として、生き切るためにこそ、介護保険という制度が存在すると思っていた。

制度はまるで違う方向に進んでゆく。

一体どこへ進むのだろう。

介護保険。

 

池さんの写真の中にいるどの人も、

決して自立を目指したいわけはないけれど、

ただ、その人のままで、ずっと笑って生きている。

みんな、生き生きとしたいい顔で、笑ったり泣いたり喧嘩したり、怒ったり・・・生きている。

不自由になった手や足を、誰かに補ってもらいながら、

ずっと暮らした家で、生きている。

自分の布団で逝くことができる。

家族に手を握ってもらいながら、

「ありがとう」を伝え合うことができる。

できなくなったことを支える人、足りなくなった部分を補える人、だれかがいれば、家族でなくても、だれかがいれば、そのままで生きて・老いて・死んでゆけるのだ。

その人が暮らした社会の中で。

その人のままで。

 

そのために使える介護保険でありたいと、

私たちは小さな事業所だけれど、

胸を張って、貫いてゆきたいと思う。

 

画面上の写真のみんなの笑顔は、

「それでいいよ」と言ってくれているようで、

なんだか少し自信が湧いてくる。

 

ここで生き、逝った人たちの、

確かな命のありかが私たちに問いかけるものは、

時代の流れとは違うものかもしれないけれど、

きっと、いつか、

伝わる時がやってくるはず。

 

生きるとは。

死ぬとは。

人とは。

命とは。

 

介護とは・・・

 

 

 

 

 

 

 

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暖かい陽に

2021-03-14 18:00:27 | デイサービス池さん

あっという間にもう3月半ば。

いろんなことがありすぎて頭の中はいっぱいで、花粉にやられて目がずっと痛くて、頭も重く、パソコンを見る気にもなれず、デレデレと過ごした半月を今更ながら反省しています。

その間に溜まったメールは大量にもほどがある。

とういうわけで、これまた大いに反省。

 

三寒四温という言葉の通り、春の陽は暖かいようで、まだまだ冷え込む今日この頃。

天気も安定せず、ひどい雨降りや強風と思ったら、初夏のように暖かかったり。

早咲きの河津桜はほとんど終わり、今からソメイヨシノが咲き始めます。

近くの公園もボチボチ開き始めたので、一足早く池さんの家の住人のおじいちゃんとヌイちゃんが本日お花見散歩に出かけたようです。

 

そして、震災から10年が経ちました。

東北の地にも、美しい桜がどうか咲きますように。

暖かい風が吹きますように。

 

沢山の出来事がありすぎた2月を通り越し、チームは一つにまとまって、再び新しい人たちを迎える準備も整った気がします。

2月、2日続けて大事な人と別れ、3月に入っても別れが続きました。

別れと出会いを繰り返しながら、経験を重ね、少しずつ成長してゆく日々。

スタッフの気持ちを想いながら、池さんの継続を祈りながら、

ここで出会った人たちと、一緒に生きていきたい。

池さんを作ってからの15年間という時間。

積み上げてきたことを振り返りながら、

大切なことは変わることなく、

時代に呼応しながら、

歩みを重ねて行けたらと思います。

 

池さんの玄関の前にあるサクランボの木が、今年も見事な花を咲かせてくれました。

皆で見たサクランボの花。

もうすぐ赤い綺麗な実が育ちます。

楽しみな季節が訪れます。

ずっと、ここで皆を見守ってくれたサクランボの木。

 

ばあちゃんが手入れしてくれる庭に咲く春の花たち。

水仙やパンジーや雪柳。

色とりどりの花が咲く庭に春の光が降り注ぎます。

暖かい陽に照らされながら、雲一つない晴天の空に願います。

今、この時間を生きる人たちみんなが、

どうか暖かい時間を生きることができますように。

どうか安らかな時間を生きることができますように。

 

 

 

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