{投げる、焦げる} 「ぷらっとウオーク」 情報プラットフォーム、No.179、8(2002)
北海道大学に赴任した直後に、スペース確保のために数々の古い装置の廃棄処分を決めた。翌日、「本当に投げて良いのですね」と確認に来た若い技官に「投げるのだけは待って下さい」と答えて笑われたことを覚えている。雪は、雪掻きと呼べるほど風流なものではなく、なるべく速く、遠くへ投げたい邪魔者なのである。雪投げや雪はねは生活実感を伴ったその土地で見事に通用する言葉だと感心した。
夏の炎天下、麦藁帽・作業衣姿で土佐山田の我が家の庭の雑草と格闘していると、ご近所の方が「そんなところで働いていたら焦げる。朝か夕方に仕事をすりゃええ」と独特のアクセントで言われた。東京では真夏の日差しでも「日に焼ける」で通用するが、ここ高知では本当に「焦げる」という表現が最も適していると感じた。
言葉にはその地域の歴史・風土や生活実感が込められている。そしてその言葉は共通語よりも豊かな表現力を持っている。土佐弁ではなく、土佐語と名付けるべきであると思っている。 [suzuki@joho-kochi.or.jp]
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