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米の強欲で停滞するTPP交渉、誰のためのものかは明白 -「TPP妥結で対日輸出急増」と皮算用

2014-11-10 | いとすぎから見るこの社会-全般
民主党政権持代にTPPを「平成の開国」と騒いだメディア・論者は、
アメリカの走狗に過ぎなかったか、単に「踊らされた」ことが明白になってきた。

TPPが纏まらない原因がかなりのところ強硬な米の圧力団体にあり、
日本だけでなく他の国もアメリカと利害が対立しており
ずるずると交渉が長引いて妥協の山になりそうな情勢が見えてきたからだ。

これでただでさえショボい経済効果が更に縮小するのは確実。
喜ぶのが輸出企業と安い輸入食品で稼ぎたい内需企業ばかりである実態が
益々明らかになり、欺かれたと知り怒る日本国民が加速度的に増えている。

完全に当ウェブログの予想通りの展開である。

「当ウェブログは、RCEPの仕組み構築を先行させることによって
 交渉力を高めよと主張してきたが、現政権にはそうした用意すらなく、
 「大して効果がない妥協」か「国内で不満が強まる妥協」のいずれかで終わるだろう」

「事実問題として、NAFTAでアメリカは寧ろ雇用を減らしている。
 また輸出依存度の高い韓国ですら効果は限定的だったのだから、
 TPP程度の関税同盟で日本のような内需比率の高い国に劇的な影響があると
 妄信する方が頭がおかしい。対内投資の増加の方がまだましだ」

実に馬鹿馬鹿しい話である。
日本より遥かにFTAに積極的だった韓国は、
周知のように成長率が鈍化し苦境に陥っている。

レントシーカーやその手先が必死に韓国の真似をするのは見苦しい。
日本は韓国より内需に依存する比率が大幅に高いので、
韓国より更に小さい、砂粒のような効果しか望めない。

一貫して変わらない当ウェブログの主張を再掲しておく。

○TPPの経済効果は同一期間の省エネ関連市場の成長規模とさほど変わらない
 (しかもTPPは多額の農業補助金の積み増しが必要になる)
○TPPの経済効果は再生可能エネルギー市場の成長にさえ負ける可能性がある
○TPPの経済効果は女性就業率向上の経済効果に大きく劣る
 (5倍~10倍に達する圧倒的大差で敗北)
○TPPの関税引き下げ効果は対欧FTAに大きく劣る
○TPPの域内人口・経済規模はRCEPに大きく劣る
○後発のRCEPの方が主導権を取れるチャンスが多く、中国の牽制も可能

▽ RCEPの経済効果がTPPのおよそ2倍であることを指摘している

『食の戦争 米国の罠に落ちる日本』(鈴木宣弘,文藝春秋)


TPPを「平成の開国」などと偽ったメディアや論者は
重大な「誤報」の責任を取って謝罪すべきであろう。

「TPPを「平成の開国」と称していたお馬鹿なメディアもあったが、
 日米の利害関係があらゆる分野で衝突していて合意の難しい交渉であることが分かってきた」

「日米双方の主張を織り込み多くの妥協が為される中で
 只でさえ貧弱なTPPの効果が更に減衰される」

「今後の高成長が期待でき、日本が経済関係を深めるべきASEANは、
 TPPに否定的なスタンスで「柔軟で互恵的なルール」を求めているのだから
 交渉のハードル・域内人口・市場の成長性のいずれから見てもRCEPが正解である」

「レントシーカーである経済団体や大企業にとってはビジネスチャンスであるから、
 TPPで稼ごうと前のめりになるのは当然であるが、
 それは企業収益と経営陣の報酬に貢献しても日本経済に貢献するかどうかは甚だ疑問だ」

「日米関係を重視してTPPを急ぐように見せかけ、
 実際にはRCEPを先行させて二重の実利を得るような
 器用な真似を安倍政権に期待しても所詮無理というものなのであろう」

と当ウェブログは指摘してきたが、想定通りである。

↓ 参考

予想通り竜頭蛇尾のTPP交渉、すっかり「持久戦の様相」に - 妥協と利害対立でどんどん経済効果が萎む
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/6632e1c2d21e7eb6d2dc9be769b7d219

↓ 大国インドも含まれるRCEPの域内人口は34億人、TPPなど比較にならない

「東南アジアで現地市場が拡大」「円高修正でも海外重視」- 経済効果ならショボいTPPよりRCEPだ
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/1721bcc22dec3f25141db7cc1eb40836

読売新聞も認めた貧相なTPP効果、たったGDP0.05%増 - 女性就労率引き上げの10分の1以下
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/4d9cb2bac4667c0d71c6a628b1f26c60

▽ TPPは知財権で稼ぎたい米の策略、貿易自由化と成長率は必ずしも結び付かない

『TPP 知財戦争の始まり』(渡辺惣樹,草思社)


TPP:漂流の危機…交渉越年、勢い持続が課題(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20141109k0000m020089000c.html
”【北京・平地修】環太平洋パートナーシップ協定(TPP)は昨年に続き再び、12カ国の交渉が越年する見通しとなった。関税やルール分野で、なお難題が残されているためだ。ただ、交渉が「急速に進展」(甘利明TPP担当相)しているのも事実。現在の交渉の勢いを保って漂流の危機を回避し、年明け以降の早期合意の道筋をつけられるかが課題となる。
 「年内は実質、難しいんじゃないか」。8日、北京で開かれたTPP閣僚会合の終了後、記者団に年内合意の可能性を問われた甘利氏は、越年の公算が大きいことを認めた。
 10月のシドニーでの閣僚会合以来、農産品関税を巡る日米協議や、他の2国間の関税協議は進展しているものの、なお課題は残されている。ルール面では知的財産権や国有企業改革など「難しいところで政治的決着が必要になっている」といい、合意には時間がかかる見通しだ。これを踏まえ、甘利氏は来年以降の合意に向けたスケジュールを各国が共有する必要性を強調し、「(会合で)日程を考えて交渉を加速しなければいけないという思いは共有された」と述べた。
 甘利氏が懸念するのが、米国の政治事情だ。中間選挙で野党共和党が上下両院を制し、「自由貿易に積極的な共和党が勝ったことで、TPPが進みやすくなる」(日本政府関係者)との期待感が出ている。実際にオバマ大統領は「新たな市場を開き、米国産製品をもっと世界に売るために協力できる」と共和党に呼びかけ、共和党のマコネル上院院内総務も「貿易協定の推進は米国にとって良いことだ」と協力を示唆した。
 しかし、時がたつにつれて2016年の大統領選が意識されるようになれば、こうした融和モードが再び後退し、共和党がオバマ政権への対立姿勢を強めることで、議会承認が不可欠なTPPの交渉に影響を及ぼす恐れがある。
〔中略〕
 年内合意見送りで交渉のペースが落ちる事態を避けなければ、TPPは空中分解しかねない。
 ただ、米通商代表部(USTR)のフロマン代表は「合意の中身が妥結時期を決める」と、期限の設定に慎重な姿勢。甘利氏が閣僚会合で提案した工程の策定については、「それぞれの国の事情があるので、濃淡はある」(甘利氏)といい、明確な日付を区切った期限については一致していない模様だ。10日にはTPP首脳会合を開き、閣僚の報告をもとに首脳が早期妥結を指示する見通しだが、どこまで明確な道筋をつけられるかが注目される。”

USTRは強い態度で米企業の利害を代弁している。
その非妥協的な態度ため、妥結はどんどん遠ざかるであろう。


米国が日本に「いら立ち」表明 TPPにこだわる理由(AERA)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140616-00000012-sasahi-bus_all
”TPP交渉にみるように、アメリカの対日輸出へのこだわりは強い。その背景にあるものとは。
 アメリカの農業団体は5月、日米TPP交渉で農業分野での“聖域”保護に固執する日本にいら立ちを表明した。
 “日本はTPP交渉参加を発表した時点でTPPの目標である関税撤廃、市場解放を受け入れたはず。日本が“聖域”を取り下げなければ日本の交渉参加の一時的中断も考慮するべきだ”
〔中略〕
 オバマ政権が、何とか日本との妥結に持っていきたいと望む理由はなんだろうか。それは、米農務省が、米国大使館の調査をもとにまとめた“日本が米国農業にとって不可欠である10の理由”から、うかがうことができる。
(1)日本はGDP世界第3位。
(2)日本文化は食べるものに気を使う(うるさい)。
(3)輸入食料品の需要は下降しない。
(4)日本は、自国で必要な食料の40パーセントしか生産できないため、食料確保のために輸入は欠かせない。
(5)アジアでの諸々の流行/傾向は日本でスタートする。
(6)日本は米国にとって最も密接な同盟国の一つ。
(7)日本は社会的に大きく変化中(ベビーブーマー世代が悠々自適にリタイアメントした)。
(8)食生活の多様性が広がり、主食の米の消費量が1962年から2008年の間に半減している。
(9)日本の食料品購入パターンが劇的に変化している(コンビ二食品の台頭)。

(10)東日本大震災の後の日本人の頑張りで、復活力を世界にみせつけた。
 報道によると、TPP交渉が妥結した折には、アメリカの輸出入全体に占める対日貿易の割合は40パーセントになる。

TPP交渉は日本のためのものではなく、
政治力の強いアメリカ企業や大規模生産者のためのものである。
この報道を見れば明白だ。


日米TPP協議を再開 焦点の豚肉で米団体が圧力 日本外しの声も(sankeibiz)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/140529/mcb1405292048024-n1.htm
”環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)をめぐり、日米両政府は29日(日本時間30日)、米ワシントンで事務レベル協議を再開し、日本の重要農産品5分野の関税の扱いで着地点を探る。最大の焦点は豚肉の関税で、日本は低価格帯の輸入品に適用する関税を大幅に下げる譲歩案を検討。ただ、関税撤廃を求める米豚肉団体の圧力もあり、厳しい攻防は避けられない。(本田誠、ワシントン 小雲規生)
                   ◇
 今回の協議は30日まで2日間の日程で、日本からは大江博首席交渉官代理、米国からは通商代表部(USTR)のカトラー次席代表代行が出席。大江氏は29日午前、米国へ出発する成田空港で記者団に「ぎりぎりの交渉で接点をみつけたい」と強調した。
 しかし、米国内では対日強硬論が日増しに強まっている。全米豚肉生産者協議会は28日、日本に対して「すべての関税の撤廃」を求める声明を発表。日本が撤廃に応じない場合は日本抜きでTPP交渉を合意させるよう米政府に要求した。背景にあるのは11月の中間選挙。オバマ政権は豚肉業界に配慮せざるを得ず、日本に歩み寄るのは容易でない情勢だ。米議会も「悪い合意なら、しない方がいい」(上院財政委員会のワイデン委員長)とハードルを上げてきている。
 日本の豚肉の関税制度は輸入価格帯によって3種類に分かれる。
〔中略〕
 低価格帯では、米国が1キロ当たり50円以下に下げるよう求めるのに対し、日本は100円前後に抑えたい考え。高価格帯の関税率は4.3%から引き下げる方向で調整し、中価格帯も差額関税制度の適用範囲の縮小を検討する。
 日米などTPP交渉参加12カ国は今月19、20日にシンガポールで閣僚会合を開いたものの、大筋合意は見送った。7月にも首席交渉官会合を予定しており、交渉は今夏が大きなヤマ場となる。交渉全体の合意には日米協議の決着が欠かせないが、今回の事務レベル協議では「すべて(の議論)を終わらせるのは難しい」(大江氏)状況で、来月にも再度協議を開く可能性がある。”

こちらは今年5月段階での報道。
半年以上かかってもまだ纏まらない状態だから、
功を焦って内容が形骸化する可能性が極めて高い。
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