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電力各社「事故の賠償は無理、原発費用は消費者に転嫁させろ」-証明された「原子力は高リスクでコスト高」

2014-06-12 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
今迄は電力大手が狂ったように抵抗してカネと政治力で妨害して来た電力自由化も、
漸くにして本格的に動き始めた。福島原発事故がなければ、
電力利権勢力は今でも全力で電力自由化を妨げていただろう。

電力自由化において既存の大手事業者が考えることは明白だ。
口先で国民を欺き政治家をカネで丸め込んで原発を再稼働し、
コストは国民にツケ回しして安い電気を癒着している大手企業に回す。
給与も賞与も以前のような殿様経営の時代に戻って目出たし、という算段である。

勿論、過酷事故で半永久的に故郷に帰れない被災者のことなど無視である。
良識的な者は一部に過ぎず、大多数は以前の特権的な待遇の旨味を忘れられない。
その内「俺たちがどうしていつまでも責められるのか」と言い出すに決まっている。

実際、電事連会長は「安定した原子力事業運営のための環境整備」を公然と求めている。
これは事実上、「原子力はハイリスクだから我々は賠償責任は取らない、
国や国民にカネを払わせて自分達が儲けたい」
という意味である。
(再稼働で電力大手の収益がどれほど改善するかシミュレーションすればすぐ分かる)
よくもこのような発言を平気でできるものである。

良心的なメディアは、電力大手が原発再稼働を求めるのは
日本経済のためか、国民のためか、自社の収益のためか、
どれだと思うか世論調査を行ってみるとよい。
圧倒的多数が「自社の収益のため」と回答する筈である。

電力の完全自由化が進めば、東電・関電・九電・北電から電気を買うのは真っ平ご免で、
即座に新電力に切り替えようと決めている消費者は膨大な数に上る。
電力大手は国民から信頼されておらず、経営陣を罰しなければならないと考えているのだ。

真に日本経済が成長するためには、原発最稼働は論外であり、
原子力利権が占有している予算を風力発電の送電網整備に移転しなければならない。
メガソーラーを抑制させて太陽光は自家発電・自家消費を推進しなければならない。

そして何より、コージェネ法を制定してエネルギー効率を上げなければならない。
過酷事故の責任から逃げようとし、再び原発利権で稼ごうとする電力大手に思い知らせるため、
家庭や集合住宅でコージェネレーションを全力で推進し
電力利権の収益源である小口の電力消費を急減させれば利権は死ぬ。自業自得だ。

▽ コージェネ法を導入すればエネルギーコストが大幅低下し、新規投資が増える

『エネルギーを選びなおす』(小澤祥司,岩波書店)


そして日本経済は燃料消費の急減と投資増で復活する。
利権勢力以外は皆が得するベストシナリオである。

「ホンダの躍進が証明するようにエネルギー制約こそビジネスチャンスであり、
 大声で原発再稼働を求めるのは怠惰で凡庸な劣等経営者である」

「論より証拠、GEのトップは原子力は経済合理性において劣っており、
 ガスや風力の時代になったとを公言している」

「もし本気で日本の経済団体が原発再稼働を望むなら、
 原発をお前達のカネで動かし、事故の賠償金も払うがいい。
 それができないのであれば、国民から徴収するカネで企業利益を増やすことになる」

「言う迄もなく経済団体が再稼働を求めるのは努力せずエネルギーコストを下げたいためで、
 国民にカネを払わせて安い電気を寄越せと言っている訳である。
 企業努力で付加価値を高めた結果の収益ではなく、政府にゴネて収益を増やすのは反社会行為だ」

「欧州では、エネルギー消費を減らして経済成長する新時代に入っているが、
 我が国ではエネルギー消費を増やして経済停滞しているという惨状だ。
 この情けない現状の主因はエネルギー転換部門の非効率性であり、
 日本の企業部門に重大な責任があると判断せざるを得ない」

「事実、日本の原子力比率が上昇するとともに経済成長率は低落しており、
 原子力比率がゼロ近傍になった福島原発事故以降、寧ろ成長率は回復している」

「原子力は過酷事故や廃棄物の問題もさることながら、
 新規投資と省エネを妨害することで経済停滞を招いている「主犯」である」

極めて単純明快で合理的な道だが、それだけに妨害する抵抗勢力は数多い。

 ↓ 参考

経済三団体、日本国民に敵対し原発再稼働を求める - 責任転嫁し環境税にも反対する経済停滞の「主犯」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/1b78a50c952fa6c8feb4e6ee3450b4d6

経産省が国民に隠れて秘密文書作成、原子力擁護の病癖は治療不可能 -「地層処分」技術も未熟そのもの
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/4bde0be69a3457aac5f06e2cc3576640

▽ 電力利権勢力は、有権者を騙し自らの利益のために策動している

『原発ホワイトアウト』(若杉冽,講談社)


電力各社、原発維持なるか コスト回収困難、原賠法も重荷「厳しすぎる」(sankeibiz)
http://www.sankeibiz.jp/business/news/140612/bsc1406120500011-n1.htm
”電力小売りを全面自由化する改正電気事業法が11日、成立したことで、電力各社は建設や安全対策に巨額の投資を必要とする原発を維持できるかという課題に直面することになる。自由化に伴う競争で電気料金の引き下げが求められる中、原発にかかる費用を従来のように料金で回収するのが難しくなるためだ。原発事故が起きた際の責任を事業者が無限に負うと定めた原子力損害賠償法(原賠法)も大きな重荷となっており、電力各社は国との責任分担を明確化することを求めている。
 「国策民営の新たな在り方を検討し、原子力事業が長期に安定的に運営されるよう、事業環境を整備することが不可欠だ」。電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は11日、改正電気事業法の成立を受けてコメントを発表し、自由化後に原発事業を支える施策を政府に要望した。
 100万キロワット級の原発1基の建設費は、出力が同規模の液化天然ガス(LNG)火力発電所に比べて3倍の約3000億円とされ、安全対策にも多額のコストがかかる。これらの費用は人件費や燃料費などとともに「総括原価方式」で電気料金に算入されてきたが、この仕組みは自由化後、経過措置期間を経て廃止される見通しだ。
 自由化後の原発関連の施策をめぐり、政府が4月に閣議決定したエネルギー基本計画では「海外の事例も参考にしつつ、事業環境の在り方について検討を行う」としている。
 いち早く自由化が進む英国や米国では、二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない原発を再生可能エネルギーと同様に長期固定価格買い取り制度の対象としたり、新設する原発に政府が債務保証を行うなどの施策を導入。自由化と原発維持の両立に腐心している。
〔中略〕
 また、原発事故が起きた際に背負い込む責任も電力会社の大きな経営リスクとなっている。原賠法は、電力会社など原発事業者は過失がなくても事故の責任を無限に負い、政府は必要なときに支援すると規定。電力業界は「厳しすぎる」(八木氏)と強く反発しており、政府は同法の見直しに向けて関係省庁の副大臣らによる会議を近く立ち上げる予定だ。
 エネルギー基本計画では原発を「重要なベースロード電源」と位置づける一方、「原発依存を可能な限り低減する」とし、政府は電源構成比率の明示を見送った。自由化を控え、あいまいな原発政策は許されず、政府の姿勢が問われることになる。”

電力利権勢力のどこまでも利己的な本音が窺われる記事だ。
但し「産経クオリティ」のため、米国では原子力がコスト高で追い詰められていること、
英国では北海油田の枯渇に備えて原子力よりも風力に巨額投資が行われている事実を書いていない。

確かに原子力がただのレントであると明らかになった以上「曖昧な原発政策は許されず」、
日本経済のためにも、我が国の国土を汚染させた「罪人」原子力は滅びなければならない。

裏工作で政策を歪めてきた経営陣は放逐され、
電力市場活性化により真面目に現場で電力供給を支える技術者が優遇されるべきである。

▽ 原子力の生み出す雇用は驚くほど少なく、省エネの方が遥かに成長性も雇用創出力もある

『グリーン経済最前線』(末吉竹二郎/井田徹治,岩波書店)


料金値下げは「健全な競争環境」整備次第 電力会社選べる時代到来(sankeibiz)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/140612/mca1406120500010-n1.htm
”電力小売りを全面自由化する改正電気事業法が11日成立し、2016年にも家庭が電力会社を選択できる時代が到来する。大手電力の「地域独占」を完全になくす歴史的な制度変更。政府は、電力事業への新規参入者を増やすことで、サービスや価格の競争活発化を狙う。
〔中略〕
 人件費や設備投資などの費用に一定の利益を上乗せして電気料金を計算する「総括原価方式」は戦前に導入された。政府は戦後、全国の10電力が発電から送配電、小売りまでを一手に担う「地域独占」の仕組みをつくった。全国で電気が慢性的に不足する中、強力な電力会社をつくって安定供給網を整えることが最優先だったからだ。
 しかし、価格競争のない地域独占体制と総括原価方式が長く続いた結果、欧米に比べて電気料金が高止まりしたため、2000年からは企業向けの電力小売りが段階的に自由化されてきた。
 ただ、新規参入者(新電力)の自由化市場でのシェアは13年度で4.2%にとどまる
〔中略〕
 東日本大震災と福島第1原子力発電所事故で、電力各社の力は弱体化
 さらに、原発停止に伴う全国的な電力不足と電気料金の上昇が深刻化してきた。東京電力の6月分の家庭向け電気料金(標準家庭)は8567円と全国最高値で、震災前の水準から4割近くも高くなっている。
 一方、東電の電気料金が高止まりすれば、他電力や新規参入者は人口が集中する首都圏市場に参入しやすくなる。
 携帯電話、都市ガス、家電、電気自動車…。家庭向け電力市場が開放されれば、こうした商品とのセット割引など新メニューも続々登場しそうだ。経済産業省に新電力として届け出た企業は9日現在、244社と急増している。
 だが、SMBC日興証券の塩田英俊シニアアナリストは「原発が再稼働しなければ電力需給の逼迫(ひっぱく)は解消せず、火力発電のコストは燃料価格にも左右されるので、自由化して電気料金が下がるかは不明」と分析する。英国では自由化後、電力会社の寡占化が進んで電気料金が上昇した。
 経産省は当面、大手電力に対し料金規制を残す考えだが、大手電力各社は「できるだけ早く公平にしてほしい」と求めている。電気料金を下げるためには、政府が「健全な競争環境」を整えられるかがカギとなりそうだ。”

こちらの報道も興味深い。
矢張り電力自由化が本格的に動いた理由は、福島第一原発事故である。
そして原発が停止したからこそ新規参入が増加し、投資が増えるのだ。

そして電力大手の言う「公平」が、以前のように自らが圧倒的な市場支配力を維持し、
殿様経営と特権待遇を得られる状態を「公平」と信じ込んでいることも明白だ。
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