英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

将棋雑感

2012-05-02 23:04:29 | 将棋
 4月2日の『放電日記的 2011年度棋士活躍度ランキング』以来の将棋の記事です。随分さぼってしまいました。
 いろいろ記事にしたいことがあったのですが、ランキングの記事で精力を使い果たしたと自分に言い訳しているうちに、早ひと月、名人戦も開幕し、既に2局を経過……
 既に、忘れてしまったことも多いような気がしますが、現在印象に残っていることを、思うままに書いていきます。

★豊島?強いよね
 本来なら、名人戦をトップに置くべきだと思うのですが、やはりこれですね。

NHK杯将棋トーナメントの対局前のインタビューで、対局者の印象を聞かれた佐藤紳哉六段が
「豊島? 強いよね。序盤、中盤、終盤、隙がないと思うよ。だけど、オレは負けないよ」
 何かやると思っていたが、と言うか、既に駒を並べている時点で……変。頭がフサフサ。けっこうイケメンで、ラフな服装も決まっている。
 スポーツアニメか青春ドラマのキャラの台詞回し。キャラを作ってきたことは一目瞭然だが、目が泳いでいて、もういっぱいいっぱい。

 この一局の抱負を聞かれて、
「えー、こまた…駒たちが躍動する俺の将棋をみなさんに見せたいね」
 噛んだ!しかも、聞き手(進行役)の矢内女流の質問の言葉の間に、テンションが維持できなかったよう。トーンも低くなってしまった。

 あっぱれ!私が将棋大賞の選考委員なら、敢闘賞か特別賞を挙げたい。いや、最優秀棋士賞でもいい。

 将棋は、豊島六段が隙のない将棋で、強さをいかんなく発揮してしまった。2回戦も彼のパフォーマンスが見たかったのだが、残念。
 そう言えば、インタビューのVTRに振る矢内さんも笑いをこらえているように見えた。


★名人戦、1勝1敗
 前年度の最終局で橋本八段に敗れるまで14連勝で、順位戦全勝、NHK杯4連覇など、怒涛の快進撃を続けていた羽生二冠。対する森内名人は前年度下半期11戦全敗という燦々たる成績。直前の1局に勝ったとはいえ、名人にあるまじき成績。
 普通に考えたら、羽生二冠の楽勝だが、森内名人の名人戦における強さは並大抵ではなく、油断は全くできない。昨年も直前の王将リーグは1勝6敗だったが、名人戦に向けての調整や実験をしていたのではないかと思った。
 ともかく、今期、羽生二冠が名人戦で敗れたら、私は発狂してしまうかもしれない。

 第一局は、矢倉戦。昨期の第2局、第4局と同じ戦型。
 先手を持つと後手の厚みが大きく勝つのは大変、後手を持つと先手の攻めを持ちこたえるのは大変という感触があったのだろう。それで、互いに逆の手番を持って戦ってみたというところかもしれない。
 羽生側を応援した感触は、仕掛けが一段落した後は、後手側に選択肢が多く、そのすべてに対応しなければならない先手は大変なのではないかと感じた。
 今回、後手の立場で見た場合、入玉できそうで出来ないジレンマを感じた。3三→4四→3五と入玉ロードが開けているように見えるのだが、3三に玉が上がった瞬間に1一に角を打たれ、2二に合駒を強要されてしまう。かと言って、角打ちに3四にかわすこと目論んで△35歩と突くと、▲3四歩と垂らされる。
 中盤に戻って、せっかく作った後手の馬と7九に隠居しかけている先手の角を交換する手順に違和感を感じた。
 優位にたってからの森内名人は、強かった。

 第二局は、森内名人の新手の△2七金が不発で働かなかった。
 一局を通してみると羽生二冠の快勝のように見えるが、部分部分では難しいところもあったようだ。
 「羽生良し」と言われた終盤も、入玉させてしまいそうな寄せ方で、観ていてひやひやした。冷静に見ると、きっちり読み切って綺麗な勝ち方のようだ。でも、もう少し楽な寄せ方もあったように思う。
 羽生二冠の強さを感じた一局であったが、綱渡りのような怖さも感じた。

★残念な解説コンビ(名人戦第二局)
 主導的な解説者が高橋九段。A級でタイトル保持の実績もあるが、氏の解説振りは口調も含めてゴタゴタしており、聞きづらく、持って回った言い方にストレスを感じることも多い。
 さらに、形勢判断や想定手順も、氏の棋風を優先することも多く、信用度は高いとは言い難い。如何に実績があるとはいえ、対羽生戦、2勝21敗(13連敗中)の棋士が解説するのはどうかと思う。
 その上、補助的解説者が、高橋九段の弟子の中村亮介五段。氏がさらにゴテゴテした話し方。緊張もあると思うが、人前で話すレベルではない。さらに、大盤操作もおぼつかず、読み自体も冴えない。
 もう少し、解説者選びを慎重にして欲しい。

小学生将棋名人戦
 毎年、同じ感想を持つが、今年も同じ感想。「滅茶苦茶、強い!」
 ベスト4の実力は紙一重。一番伸び伸び指していた森本才跳君(兵庫・西宮市立平木小学校新5年)が優勝。準決勝の2局はとても面白かった。

 放送時間が1時間30分は短い。東日本大会は丁寧にリポートしていたが、西日本大会は写真とトーナメント表のみ。この差は何?
 持ち時間は10分で30秒の秒読み。対局の様子は多少編集してあるが、これだけ持ち時間が短いのは、放送時間も関係しているのではないか?
 少年たちは確かに早見えだが、それでも中盤から30秒の秒読みはつらい。中終盤の勝負どころで腰を落として考えさせてあげたい。
 せめて2時間番組にして、将棋も番組も余裕を持たせてほしい。

 優勝者、準優勝者、3位二人にも大きなトロフィ。4人並ぶと誰が優勝者か分からない(ページ一番下の集合写真)
 表彰式で賞状を渡したのは、戸辺誠六段。氏は有望な若手棋士だが、氏が表彰するのはそぐわない。(申し訳ありません)
 将棋連盟会長の米長氏が行うのが筋で、大会の格を示すべきであろう。あるいは少年たちの気持ちを汲んで、森内名人、渡辺竜王、羽生二冠が適任か。

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12 コメント

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見逃したー (将棋を知らない母)
2012-05-03 06:26:30
小学生名人戦、観ようと思ってたのに見逃しました。宮崎代表の子は勝手Jr君と対戦した子ですね。。イケメン君だぁー観たかった(意味が違いますか(笑))再放送があったら今度こそ観なきゃー
4人並ぶと本当に誰が優勝かわからない凄いトロフィーでしたねー
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イケメン君 ()
2012-05-03 07:56:55
将棋を知らない母さん、おはようございます。

 宮崎代表の新田君は確かにイケメン。一番悔しそうにしていたので、今後が楽しみです。
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嫌ですね (かみしろ)
2012-05-04 10:54:56
あんな小学生と将棋指すのは。
あと二十年くらいすればニコニコ負けられる・・・・かも。
しかし、いくら子供とはいえもう少し時間があれば、致命的な一手を指して終了のケースが減るだろうな、と思います。
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大型連敗 (かみしろ)
2012-05-04 11:14:14
名人の次はこないだまでA級二冠の久保九段が10連敗と、現在の将棋界の熾烈な競争を物語る結果なのでしょう。
久保九段の連敗中の対戦相手は
郷田3
丸山 渡辺 佐藤康 山崎 佐藤天 中村大 羽生
無理もないですかね。
しかしタイトルホルダーならどうにか一桁に収めて欲しいです。
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もう少し持ち時間を増やしてあげたいです ()
2012-05-04 11:56:55
 かみしろさん、こちらにもコメントありがとうございます。

 本当に強いですね。持ち時間1時間で指したとして、こちらは持ち時間いっぱい使って、向こうは5分ぐらいしか消費しなくて、ぶっ飛ばされそうです。
 毎年観ていて、強いと感心するのですが、その彼らをもってしても、なかなか四段になれないとは、奨励会は恐ろしいところです。

>もう少し時間があれば、致命的な一手を指して終了のケースが減るだろうな

 ええ、あの持ち時間は気の毒です。悔いが残らないような持ち時間にしてほしいです。

>久保九段が10連敗と、現在の将棋界の熾烈な競争を物語る結果なのでしょう

 負けが込んでいると思っていましたが、対戦相手が強力ですね。対戦相手も事前研究が絞りやすいので、もう少し戦法に幅を持たせた方がいいと思いますが、彼の信念もあるのでしょう。
 同じどん底を経験した藤井九段が復活してきたので、期待したいです。
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強い・・・ (勝手新四朗)
2012-05-04 21:15:37
宮崎代表の小学生は、支部戦で息子と対局しましたが、息子曰く「強かった」(居飛車急戦VS四間飛車で結果は息子勝ち)。準決勝の将棋も中盤は四間飛車側が良い印象でした。
プロ棋界の方は、羽生世代の40代(羽生2冠は除く)が若手に苦戦していますね~。棋聖挑戦の中村6段もいますしね~。ただ、この流れは、羽生世代がチャイルドブランドと呼ばれていた当時もありますので、サイクル的なのかも知れません。
名人戦の解説者は難しいですね~。若手が解説者には選ばれないので 森内・羽生の名人戦なので佐藤王将か郷田棋王ぐらいしか思い浮かびません。個人的には、山崎七段と矢内女流をもう一度見てみたいですが・・・。
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名人戦とニコ生放送 (Stanley)
2012-05-05 07:05:13
英さん、久しぶりの将棋の記事ですね。

名人戦はニコニコ生放送で観戦してました。海外から将棋の観戦するのはニコ生がベストと思います。第二局は、佐藤王将、三浦八段が山口女流初段と、なかなか楽しい解説をやっていましたよ。佐藤王将が升田賞をもらった時の話も良かった。

個人的には第7局まで楽しみたいと期待しています。森内名人は9時間の持ち時間が合うのでしょうか。復調されたのかもしれません。第3局に注目です。
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訂正 (Stanley)
2012-05-05 07:37:17
名人戦第二局のニコ生解説2日目は、鈴木大介八段、聞き手:山口恵梨子女流初段でした。訂正です。

第一局は、初日が木村一基八段、藤田綾女流初段(聞き手)で、2日目が三浦八段の解説で、安食総子女流初段(聞き手)でした。三浦八段は先手の勝ちを検討陣よりも随分早くから予想していたので、解説が強く印象に残りました。間違えてスミマセン!

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すごいですね ()
2012-05-05 10:47:42
勝手さん、こんにちは。

 息子さん、新田君に勝ったのですか?すごいですね。(小学生に勝って「すごい」と言うのは失礼ですね)

>プロ棋界の方は、羽生世代の40代(羽生2冠は除く)が若手に苦戦していますね

 最近は、そういう傾向でしたが、ここにきて佐藤王将、郷田棋王と盛り返してきました。
 相手の久保九段が世代的には羽生世代寄りなので、微妙なところですが、挑戦者になるには、勝ち抜かなければならないので、やはり羽生世代は充実していると言っていいと思います。

 名人戦の解説は、タイトル保持者以外なら、深浦九段、木村八段、橋本八段、広瀬七段、山崎七段、阿久津七段あたりが浮かびます。あと補助的解説者として、豊島七段、佐藤(天)ら若手棋士が適任だと思います。
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さぼっていました ()
2012-05-05 11:02:57
Stanleyさん、こんにちは。

 将棋の記事はさぼっていました。
 羽生二冠が勝てば、書く意欲は激増するのですが…

 ニコニコ生放送の情報、ありがとうございます。時代はニコニコ生放送ですか。ん?Stanleyさんは海外在住なのですか?
 将棋の解説は、聞き手の腕にも左右されると思います。矢内女流は上手いですね。山口女流もなかなかのようですね。
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