2010年度も終了しました。
年度前半は羽生三冠が名人、棋聖、王座を防衛。特に王座戦での19連覇、しかも19対局連続勝利は特筆もの。また、広瀬新王位誕生もその特異な棋風と合わせてインパクト抜群だった。
年度後半に入ると、二年前の激闘再びの竜王戦、再び渡辺竜王が竜王戦での強さを発揮、防衛。年が明けて久保二冠が渡辺竜王、豊島六段の挑戦を退け、充実ぶりを見せつけた。
名人挑戦は、森内九段と渡辺竜王の争いとなり、最終日、森内勝ち・渡辺負けで森内が単独1位となり挑戦権を獲得。
2009年度は、年間通して見ると羽生三冠の方が上回っていたが、久保棋王が年度終盤に猛烈に勝ちまくり、王将獲得、棋王防衛の2冠保持で、イメージ的には久保棋王の方が上回っていた。
イメージも重要ですが、やはり純粋に客観的に評価したいと思い、一昨年度から、勝手に活躍度を数値化しています。
2008年度ランキング 2009年度ランキング
1位 羽生名人 144点 1位 羽生名人・棋聖・王座 104点
2位 久保棋王 68点 2位 久保棋王・王将 93点
3位 深浦王位 56点 3位 深浦王位 67点
4位 渡辺竜王 54点 4位 渡辺竜王 64点
5位 木村八段 53点 5位 豊島五段 54点
6位 佐藤九段 50点 6位 木村八段 53点
7位 阿久津六段 49点 7位 山崎七段 52点
8位 郷田九段 47点 8位 森内九段 48点
9位 佐藤天彦四段 40点 9位 三浦八段 42点
10位 森内九段 37点 9位 広瀬五段 42点
11位 糸谷五段 36点 11位 糸谷五段 41点
12位 田村六段 34点 12位 阿久津七段 38点
13位 高橋九段 31点 13位 戸辺六段 36点
14位 稲葉四段 30点 14位 佐藤(康)九段 34点
15位 三浦八段 29点 15位 谷川九段 33点
15位 松尾七段 29点 16位 丸山九段 31点
17位 丸山九段 28点 17位 稲葉四段 30点
17位 豊島四段 28点 18位 飯島六段 29点
17位 戸辺五段 28点 19位 中田(宏)八段 28点
17位 宮田敦史五段 28点 19位 佐藤(天)五段 28点
17位 佐藤和俊五段 28点 19位 中村(太)四段 28点
【参照】『放電日記的 2008年度棋士活躍度ランキング』(2009年3月31日)
『修正版 2008年度棋士活躍度ランキング』(2009年4月19日)
『放電日記的 2009年度棋士活躍度ランキング』(2010年4月2日)
ランク算出の基準は
===================================
タイトル挑戦して奪取20点、タイトル防衛15点、タイトル挑戦して失敗10点、タイトル失冠0点
ただし、名人位と竜王位は他のタイトルと重みが違うので獲得点を増やす。竜王挑戦・獲得は30点、同防衛は20点、同挑戦・失敗は15点。
名人挑戦に関しては、4~6月の七番勝負進出のためのA級順位戦は前年度なので、ポイントには加えず、名人に挑戦し獲得した場合は15点、挑戦し失敗した場合は0点、名人防衛は20点、A級優勝(名人挑戦権獲得)は15点。
さらに、A級2位と竜王挑戦者決定戦(敗退)は8点、竜王挑戦準決勝進出(敗退・1組優勝者は除く)は4点とする。 A級残留はかなりの難易度なので5点。
順位戦各級の昇級もクラスで差をつけるのが妥当なので、B1→A級は7点、B2→B1は5点、C1→B2、C2→C1は4点。
竜王戦昇級の評価については、各クラスの昇級人数が4人と多いのと、クラス別の差別化などを考えると複雑なので、1組優勝者は6点、準優勝者は4点、2組以下は均一に優勝者5点、準優勝者3点。昇級者決定トーナメントを勝ち抜くと、かなり勝ち星を稼げるので昇級に対する加点はなし。
棋戦(全棋士対象)優勝10点、棋戦準優勝6点、
参加棋士限定棋戦(新人王戦、日本シリーズ、大和証券杯)優勝7点、同準優勝4点。
あと、挑戦者決定戦で敗れたり、棋戦3位などの評価をしないのも誤差が生じそうだが、そこまで勝ち進めば勝ち星が多いはずなので、1勝=1点とすれば反映できる。
==================================
赤字は変更点(竜王戦1組優勝者は自動的に本線準決勝進出となるため調整)
順位戦降級にマイナス点をつけようと思ったが、A級残留点を設けたので必要がないと判断。他のクラスは残留点がないので、降級ポイントを設けるべきかもしれないが、そうするとA級陥落は減点なし、他のクラスの降級者には減点となるのも不公平。それに、活躍度ランキングなので、B級以下に関しては降級ポイントを設ける必要性はあまりないのかもしれない。
では、2010年度を算出してみましょう。
まず、タイトル保持者
★羽生名人・棋聖・王座
名人防衛20点、棋聖防衛15点、王座防衛15点、竜王挑戦(失敗)15点、NHK杯優勝10点、日本シリーズ優勝7点、朝日杯準優勝6点、王位戦挑戦者決定戦進出(敗退)加点はなし、年度成績43勝14敗。合計131点。
竜王戦では敗北したが、棋王戦で早い時点で敗れた以外は、年間を通じて勝ち続けた。竜王戦での負のイメージが強いが、挑戦権獲得したのも活躍度としてはプラスのはず。
★渡辺竜王
竜王防衛20点、棋王挑戦(失敗)10点、A級2位8点、棋聖挑戦者決定戦進出(敗退)加点は0点、年度成績36勝22敗。合計74点。
8月から11月にかけて13勝1敗。その後3勝7敗と停滞したが、竜王防衛を決めた1局から10連勝と年末年始に突っ走ったが、その後順位戦2位、棋王挑戦失敗、NHK杯準決勝敗退、朝日杯準決勝敗退とことごとく負け、3月は5戦全敗の大失速。
★久保棋王・王将
王将防衛15点、棋王防衛15点、竜王戦挑戦者決定戦敗退8点、A級残留5点、年度成績23勝18敗。合計66点。
竜王戦挑戦者決定戦進出以外は目立つ活躍はなかったが、年度末の2冠防衛でポテンシャルの高さを見せつけた。
★広瀬五段
王位獲得20点、B級2組へ昇級4点、年度成績37勝15敗。竜王戦4組へ昇級(加点はなし)合計61点。
もともと終盤の正確さ、特に玉の詰む距離感は抜群と評価は高かったが、王位獲得で一気に開花した感がある。棋王戦も挑戦者決定戦まで進出している(渡辺竜王に敗れる)。
2010年度は深浦九段に5勝2敗、渡辺竜王に2勝3敗と居飛車の名手にも互角の戦い。「振り飛車(振り飛車穴熊)の雄」と言っても良いだろう。
A級棋士
★三浦八段
名人挑戦・失敗0点、A級残留5点、竜王戦2組準優勝3点、年度成績25勝26敗。合計33点。
名人戦敗退が響いたのか7月上旬まで5勝12敗。その後立て直したのは流石で、A級も残留した。
★高橋九段
A級残留5点、年度成績12勝14敗で12点。合計17点。
最終局を前にしてA級残留を決め、最終局も勝ちA級3位は見事。ただ、他の成績はかなりさびしい。2009年度成績も10勝13敗だったので、昨年並み。
★森内九段
名人挑戦権獲得15点、大和証券杯準優勝4点、年度成績22勝18敗。合計41点。
9月までは14勝5敗と好調だったが、10月に入って9連敗(王将リーグで負けが込む)。王将リーグ最終局で渡辺竜王を破ったのがきっかけかどうかは定かではないが、年度終盤は7勝4敗と持ち直し、名人挑戦権を獲得した。
★丸山九段
A級残留5点、竜王戦1組優勝6点、銀河戦準優勝6点、年度成績31勝16敗。合計48点。
コンスタントに勝ち星を増やしたが、星をかためることができなかったのでこれといった活躍はなかった。ただ、A級順位戦最終局での強さとパフォーマンスは存在感をアピールした。
★木村八段
朝日杯優勝10点、A級陥落、年度成績19勝19敗。合計29点。
10月上旬までの不調(3勝11敗)。順位戦も1勝3敗と出遅れたのが響き、A級陥落。朝日杯では優勝したものの、内容は良くなく、木村らしい受けの強さが影を潜めている。
★谷川九段
A級残留5点、年度成績11勝18敗。合計16点。
光速の寄せの輝きは薄れ、有望若手の踏み台となってしまった感が強い。唯一、好調だった順位戦も4連勝後5連敗。1200勝達成。しかし、あと1勝から8連敗と足踏みした。歯がゆい。
★郷田九段
A級残留5点、年度成績25勝15敗。合計30点。
将棋の王道を進む将棋は健在で安定した成績を上げる。ただ、それだけ研究もされやすく、勝ち星をかためるのは難しいか。
★藤井九段
王座挑戦(失敗)10点、竜王戦2組優勝5点、A級陥落、年度成績20勝20敗。合計35点。
久々にタイトル戦に登場するも、苦手の羽生名人、しかも、王座戦、藤井九段の勝つ要素は少なかった。矢倉戦で新機軸を打ち出し、強さを発揮した。A級陥落は寂しい。
タイトル戦出場、棋戦優勝・準優勝者
★深浦九段
棋聖挑戦(失敗)10点、王位失冠0点、王座戦挑戦者決定戦進出(敗退)加点は0点、年度成績24勝26敗。合計34点。
上記の他、王将リーグなど、年間コンスタントに勝ち星負け星ともに稼ぐ?その中でB級順位戦だけ前半戦に負けが込み、後半猛烈に追いこんだが(6勝1敗)、一歩及ばなかった。
★豊島六段
王将挑戦(失敗)10点、年度成績35勝17敗。合計45点。
王将戦2次予選で谷川九段、丸山九段を連破しリーグ入り、リーグ戦でも初戦で渡辺竜王に敗れたものの、森内九段、深浦九段、三浦八段、羽生名人、佐藤九段をなぎ倒し、最強リーグ戦を突破する。初タイトルはならなかったものの、強さが本物であることを実証した。
★佐藤九段
A級へ昇級7点、銀河戦優勝10点、年度成績34勝14敗。合計51点。(王将リーグ2位)
いろいろなところで勝ち星を積み重ね、勝率も7割を超えた。その割には、銀河戦優勝だけというのは効率が悪かったと言えるが、A級復帰を果たしたので良しとしよう。
★糸谷五段
NHK杯準優勝6点、C1へ昇級4点、年度成績28勝13敗。合計38点。
棋王戦本戦準決勝進出し窪田六段に敗れ、敗者戦で渡辺竜王に敗れる。
★山崎七段
日本シリーズ準優勝4点、年度成績29勝18敗で34点。合計33点。
★阿部健治郎四段
新人王優勝7点、竜王戦6組準優勝3点、年度成績33勝12敗。合計43点。
順位戦昇級者
★屋敷九段
A級へ昇級7点、年度成績22勝16敗。合計30点。
初のA級というのが本当に意外と感じるほどの実力者。順位戦は3連敗後、8勝1敗でしかも佐藤、深浦、松尾戦(勝った方が昇級という一局)を含んでいた。大きく、明瞭な解説、受け答えが良い。
★橋本七段
B1へ昇級5点、年度成績22勝12敗。合計27点。
★阿久津七段
B1へ昇級5点、竜王戦本戦準決勝進出4点、竜王戦3組優勝5点、年度成績21勝14敗。合計35点。
なんだかんだと強気な発言が、面白かったふたりがそろって昇級というのが面白い。
★田村六段
B2へ昇級4点、竜王戦4組へ昇級(加点はなし)、年度成績20勝10敗。合計24点。
★佐藤(天)五段
C1へ昇級4点、竜王戦3組へ昇級(加点はなし)年度成績35勝9敗。合計39点。
勝率1位、17連勝(連勝賞)、順位戦10戦全勝。
★稲葉四段
C1へ昇級4点、年度成績31勝11敗。合計35点。
竜王戦各組優勝・準優勝者
★松尾七段
1組準優勝4点、年度成績20勝20敗。合計24点。
★中座七段
3組準優勝3点、年度成績10勝17敗。合計13点。
★村山五段
4組優勝5点、年度成績34勝10敗。合計39点。
順位戦C1組で9勝1敗の好成績ながらも次点。2011年度王位戦白組で現在2連勝。
★小林裕六段
4組準優勝3点、年度成績23勝11敗。合計26点。
順位戦C1組で8勝2敗で4位。
★戸辺六段
5組優勝5点、年度成績29勝13敗。合計34点。
王位戦では白組プレーオフまで進出している(羽生名人に敗れる)。竜王戦本戦3回戦まで進出。2011年度王位戦紅組で現在2連勝。
★神埼七段
5組準優勝3点、年度成績15勝15敗。合計18点。
★中村太地五段
6組優勝5点、年度成績25勝17敗。合計30点。
その他、活躍棋士、有力棋士
★菅井四段 32勝10敗 32点
★遠山五段 29勝11敗 28点
★窪田六段 27勝16敗 27点 棋王戦で活躍
★横山五段 26勝12敗 26点
★澤田四段 26勝12敗 26点
★飯島七段 25勝11敗 25点
★西川和宏四段 25勝13敗 25点
★佐々木五段 24勝10敗 24点
★村田顕弘四段 24勝15敗 24点
さて、いよいよ、2010年度の活躍度ランキングの発表です。
1位 羽生名人・棋聖・王座 131点(104点 1位)
2位 渡辺竜王 74点( 64点 4位)
3位 久保棋王・王将 66点( 93点 2位)
4位 広瀬王位 61点( 42点 9位)
5位 佐藤九段 51点( 34点 14位)
6位 丸山九段 48点( 31点 16位)
7位 豊島六段 45点( 54点 5位)
8位 阿部(健)四段 43点( 5点 --)
9位 森内九段 41点( 48点 8位)
10位 村山五段 39点( 21点 --)
10位 佐藤(天)五段 39点( 28点 19位)
12位 糸谷五段 38点( 41点 11位)
13位 藤井九段 35点( 21点 --)
13位 阿久津七段 35点( 38点 12位)
13位 稲葉五段 35点( 30点 17位)
16位 深浦九段 34点( 67点 3位)
16位 戸辺六段 34点( 36点 13位)
18位 三浦八段 33点( 42点 9位)
18位 山崎七段 33点( 52点 7位)
20位 菅井四段 32点( 4点 --)
数値的には羽生名人の独走でした。
ベスト20の顔ぶれは、ほとんど変化がないですね。
計算ミス、抜け落ち、不備や疑問などお気づきの点がありましたら、ご指摘ください。
佐藤九段の合計点が間違っていました(41点となっていましたが、正しくは51点で8位→5位)。
その他、木村八段、山崎七段の記述に誤りがあり訂正しました。
年度前半は羽生三冠が名人、棋聖、王座を防衛。特に王座戦での19連覇、しかも19対局連続勝利は特筆もの。また、広瀬新王位誕生もその特異な棋風と合わせてインパクト抜群だった。
年度後半に入ると、二年前の激闘再びの竜王戦、再び渡辺竜王が竜王戦での強さを発揮、防衛。年が明けて久保二冠が渡辺竜王、豊島六段の挑戦を退け、充実ぶりを見せつけた。
名人挑戦は、森内九段と渡辺竜王の争いとなり、最終日、森内勝ち・渡辺負けで森内が単独1位となり挑戦権を獲得。
2009年度は、年間通して見ると羽生三冠の方が上回っていたが、久保棋王が年度終盤に猛烈に勝ちまくり、王将獲得、棋王防衛の2冠保持で、イメージ的には久保棋王の方が上回っていた。
イメージも重要ですが、やはり純粋に客観的に評価したいと思い、一昨年度から、勝手に活躍度を数値化しています。
2008年度ランキング 2009年度ランキング
1位 羽生名人 144点 1位 羽生名人・棋聖・王座 104点
2位 久保棋王 68点 2位 久保棋王・王将 93点
3位 深浦王位 56点 3位 深浦王位 67点
4位 渡辺竜王 54点 4位 渡辺竜王 64点
5位 木村八段 53点 5位 豊島五段 54点
6位 佐藤九段 50点 6位 木村八段 53点
7位 阿久津六段 49点 7位 山崎七段 52点
8位 郷田九段 47点 8位 森内九段 48点
9位 佐藤天彦四段 40点 9位 三浦八段 42点
10位 森内九段 37点 9位 広瀬五段 42点
11位 糸谷五段 36点 11位 糸谷五段 41点
12位 田村六段 34点 12位 阿久津七段 38点
13位 高橋九段 31点 13位 戸辺六段 36点
14位 稲葉四段 30点 14位 佐藤(康)九段 34点
15位 三浦八段 29点 15位 谷川九段 33点
15位 松尾七段 29点 16位 丸山九段 31点
17位 丸山九段 28点 17位 稲葉四段 30点
17位 豊島四段 28点 18位 飯島六段 29点
17位 戸辺五段 28点 19位 中田(宏)八段 28点
17位 宮田敦史五段 28点 19位 佐藤(天)五段 28点
17位 佐藤和俊五段 28点 19位 中村(太)四段 28点
【参照】『放電日記的 2008年度棋士活躍度ランキング』(2009年3月31日)
『修正版 2008年度棋士活躍度ランキング』(2009年4月19日)
『放電日記的 2009年度棋士活躍度ランキング』(2010年4月2日)
ランク算出の基準は
===================================
タイトル挑戦して奪取20点、タイトル防衛15点、タイトル挑戦して失敗10点、タイトル失冠0点
ただし、名人位と竜王位は他のタイトルと重みが違うので獲得点を増やす。竜王挑戦・獲得は30点、同防衛は20点、同挑戦・失敗は15点。
名人挑戦に関しては、4~6月の七番勝負進出のためのA級順位戦は前年度なので、ポイントには加えず、名人に挑戦し獲得した場合は15点、挑戦し失敗した場合は0点、名人防衛は20点、A級優勝(名人挑戦権獲得)は15点。
さらに、A級2位と竜王挑戦者決定戦(敗退)は8点、竜王挑戦準決勝進出(敗退・1組優勝者は除く)は4点とする。 A級残留はかなりの難易度なので5点。
順位戦各級の昇級もクラスで差をつけるのが妥当なので、B1→A級は7点、B2→B1は5点、C1→B2、C2→C1は4点。
竜王戦昇級の評価については、各クラスの昇級人数が4人と多いのと、クラス別の差別化などを考えると複雑なので、1組優勝者は6点、準優勝者は4点、2組以下は均一に優勝者5点、準優勝者3点。昇級者決定トーナメントを勝ち抜くと、かなり勝ち星を稼げるので昇級に対する加点はなし。
棋戦(全棋士対象)優勝10点、棋戦準優勝6点、
参加棋士限定棋戦(新人王戦、日本シリーズ、大和証券杯)優勝7点、同準優勝4点。
あと、挑戦者決定戦で敗れたり、棋戦3位などの評価をしないのも誤差が生じそうだが、そこまで勝ち進めば勝ち星が多いはずなので、1勝=1点とすれば反映できる。
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赤字は変更点(竜王戦1組優勝者は自動的に本線準決勝進出となるため調整)
順位戦降級にマイナス点をつけようと思ったが、A級残留点を設けたので必要がないと判断。他のクラスは残留点がないので、降級ポイントを設けるべきかもしれないが、そうするとA級陥落は減点なし、他のクラスの降級者には減点となるのも不公平。それに、活躍度ランキングなので、B級以下に関しては降級ポイントを設ける必要性はあまりないのかもしれない。
では、2010年度を算出してみましょう。
まず、タイトル保持者
★羽生名人・棋聖・王座
名人防衛20点、棋聖防衛15点、王座防衛15点、竜王挑戦(失敗)15点、NHK杯優勝10点、日本シリーズ優勝7点、朝日杯準優勝6点、王位戦挑戦者決定戦進出(敗退)加点はなし、年度成績43勝14敗。合計131点。
竜王戦では敗北したが、棋王戦で早い時点で敗れた以外は、年間を通じて勝ち続けた。竜王戦での負のイメージが強いが、挑戦権獲得したのも活躍度としてはプラスのはず。
★渡辺竜王
竜王防衛20点、棋王挑戦(失敗)10点、A級2位8点、棋聖挑戦者決定戦進出(敗退)加点は0点、年度成績36勝22敗。合計74点。
8月から11月にかけて13勝1敗。その後3勝7敗と停滞したが、竜王防衛を決めた1局から10連勝と年末年始に突っ走ったが、その後順位戦2位、棋王挑戦失敗、NHK杯準決勝敗退、朝日杯準決勝敗退とことごとく負け、3月は5戦全敗の大失速。
★久保棋王・王将
王将防衛15点、棋王防衛15点、竜王戦挑戦者決定戦敗退8点、A級残留5点、年度成績23勝18敗。合計66点。
竜王戦挑戦者決定戦進出以外は目立つ活躍はなかったが、年度末の2冠防衛でポテンシャルの高さを見せつけた。
★広瀬五段
王位獲得20点、B級2組へ昇級4点、年度成績37勝15敗。竜王戦4組へ昇級(加点はなし)合計61点。
もともと終盤の正確さ、特に玉の詰む距離感は抜群と評価は高かったが、王位獲得で一気に開花した感がある。棋王戦も挑戦者決定戦まで進出している(渡辺竜王に敗れる)。
2010年度は深浦九段に5勝2敗、渡辺竜王に2勝3敗と居飛車の名手にも互角の戦い。「振り飛車(振り飛車穴熊)の雄」と言っても良いだろう。
A級棋士
★三浦八段
名人挑戦・失敗0点、A級残留5点、竜王戦2組準優勝3点、年度成績25勝26敗。合計33点。
名人戦敗退が響いたのか7月上旬まで5勝12敗。その後立て直したのは流石で、A級も残留した。
★高橋九段
A級残留5点、年度成績12勝14敗で12点。合計17点。
最終局を前にしてA級残留を決め、最終局も勝ちA級3位は見事。ただ、他の成績はかなりさびしい。2009年度成績も10勝13敗だったので、昨年並み。
★森内九段
名人挑戦権獲得15点、大和証券杯準優勝4点、年度成績22勝18敗。合計41点。
9月までは14勝5敗と好調だったが、10月に入って9連敗(王将リーグで負けが込む)。王将リーグ最終局で渡辺竜王を破ったのがきっかけかどうかは定かではないが、年度終盤は7勝4敗と持ち直し、名人挑戦権を獲得した。
★丸山九段
A級残留5点、竜王戦1組優勝6点、銀河戦準優勝6点、年度成績31勝16敗。合計48点。
コンスタントに勝ち星を増やしたが、星をかためることができなかったのでこれといった活躍はなかった。ただ、A級順位戦最終局での強さとパフォーマンスは存在感をアピールした。
★木村八段
朝日杯優勝10点、A級陥落、年度成績19勝19敗。合計29点。
10月上旬までの不調(3勝11敗)。順位戦も1勝3敗と出遅れたのが響き、A級陥落。朝日杯では優勝したものの、内容は良くなく、木村らしい受けの強さが影を潜めている。
★谷川九段
A級残留5点、年度成績11勝18敗。合計16点。
光速の寄せの輝きは薄れ、有望若手の踏み台となってしまった感が強い。唯一、好調だった順位戦も4連勝後5連敗。1200勝達成。しかし、あと1勝から8連敗と足踏みした。歯がゆい。
★郷田九段
A級残留5点、年度成績25勝15敗。合計30点。
将棋の王道を進む将棋は健在で安定した成績を上げる。ただ、それだけ研究もされやすく、勝ち星をかためるのは難しいか。
★藤井九段
王座挑戦(失敗)10点、竜王戦2組優勝5点、A級陥落、年度成績20勝20敗。合計35点。
久々にタイトル戦に登場するも、苦手の羽生名人、しかも、王座戦、藤井九段の勝つ要素は少なかった。矢倉戦で新機軸を打ち出し、強さを発揮した。A級陥落は寂しい。
タイトル戦出場、棋戦優勝・準優勝者
★深浦九段
棋聖挑戦(失敗)10点、王位失冠0点、王座戦挑戦者決定戦進出(敗退)加点は0点、年度成績24勝26敗。合計34点。
上記の他、王将リーグなど、年間コンスタントに勝ち星負け星ともに稼ぐ?その中でB級順位戦だけ前半戦に負けが込み、後半猛烈に追いこんだが(6勝1敗)、一歩及ばなかった。
★豊島六段
王将挑戦(失敗)10点、年度成績35勝17敗。合計45点。
王将戦2次予選で谷川九段、丸山九段を連破しリーグ入り、リーグ戦でも初戦で渡辺竜王に敗れたものの、森内九段、深浦九段、三浦八段、羽生名人、佐藤九段をなぎ倒し、最強リーグ戦を突破する。初タイトルはならなかったものの、強さが本物であることを実証した。
★佐藤九段
A級へ昇級7点、銀河戦優勝10点、年度成績34勝14敗。合計51点。(王将リーグ2位)
いろいろなところで勝ち星を積み重ね、勝率も7割を超えた。その割には、銀河戦優勝だけというのは効率が悪かったと言えるが、A級復帰を果たしたので良しとしよう。
★糸谷五段
NHK杯準優勝6点、C1へ昇級4点、年度成績28勝13敗。合計38点。
棋王戦本戦準決勝進出し窪田六段に敗れ、敗者戦で渡辺竜王に敗れる。
★山崎七段
日本シリーズ準優勝4点、年度成績29勝18敗で34点。合計33点。
★阿部健治郎四段
新人王優勝7点、竜王戦6組準優勝3点、年度成績33勝12敗。合計43点。
順位戦昇級者
★屋敷九段
A級へ昇級7点、年度成績22勝16敗。合計30点。
初のA級というのが本当に意外と感じるほどの実力者。順位戦は3連敗後、8勝1敗でしかも佐藤、深浦、松尾戦(勝った方が昇級という一局)を含んでいた。大きく、明瞭な解説、受け答えが良い。
★橋本七段
B1へ昇級5点、年度成績22勝12敗。合計27点。
★阿久津七段
B1へ昇級5点、竜王戦本戦準決勝進出4点、竜王戦3組優勝5点、年度成績21勝14敗。合計35点。
なんだかんだと強気な発言が、面白かったふたりがそろって昇級というのが面白い。
★田村六段
B2へ昇級4点、竜王戦4組へ昇級(加点はなし)、年度成績20勝10敗。合計24点。
★佐藤(天)五段
C1へ昇級4点、竜王戦3組へ昇級(加点はなし)年度成績35勝9敗。合計39点。
勝率1位、17連勝(連勝賞)、順位戦10戦全勝。
★稲葉四段
C1へ昇級4点、年度成績31勝11敗。合計35点。
竜王戦各組優勝・準優勝者
★松尾七段
1組準優勝4点、年度成績20勝20敗。合計24点。
★中座七段
3組準優勝3点、年度成績10勝17敗。合計13点。
★村山五段
4組優勝5点、年度成績34勝10敗。合計39点。
順位戦C1組で9勝1敗の好成績ながらも次点。2011年度王位戦白組で現在2連勝。
★小林裕六段
4組準優勝3点、年度成績23勝11敗。合計26点。
順位戦C1組で8勝2敗で4位。
★戸辺六段
5組優勝5点、年度成績29勝13敗。合計34点。
王位戦では白組プレーオフまで進出している(羽生名人に敗れる)。竜王戦本戦3回戦まで進出。2011年度王位戦紅組で現在2連勝。
★神埼七段
5組準優勝3点、年度成績15勝15敗。合計18点。
★中村太地五段
6組優勝5点、年度成績25勝17敗。合計30点。
その他、活躍棋士、有力棋士
★菅井四段 32勝10敗 32点
★遠山五段 29勝11敗 28点
★窪田六段 27勝16敗 27点 棋王戦で活躍
★横山五段 26勝12敗 26点
★澤田四段 26勝12敗 26点
★飯島七段 25勝11敗 25点
★西川和宏四段 25勝13敗 25点
★佐々木五段 24勝10敗 24点
★村田顕弘四段 24勝15敗 24点
さて、いよいよ、2010年度の活躍度ランキングの発表です。
1位 羽生名人・棋聖・王座 131点(104点 1位)
2位 渡辺竜王 74点( 64点 4位)
3位 久保棋王・王将 66点( 93点 2位)
4位 広瀬王位 61点( 42点 9位)
5位 佐藤九段 51点( 34点 14位)
6位 丸山九段 48点( 31点 16位)
7位 豊島六段 45点( 54点 5位)
8位 阿部(健)四段 43点( 5点 --)
9位 森内九段 41点( 48点 8位)
10位 村山五段 39点( 21点 --)
10位 佐藤(天)五段 39点( 28点 19位)
12位 糸谷五段 38点( 41点 11位)
13位 藤井九段 35点( 21点 --)
13位 阿久津七段 35点( 38点 12位)
13位 稲葉五段 35点( 30点 17位)
16位 深浦九段 34点( 67点 3位)
16位 戸辺六段 34点( 36点 13位)
18位 三浦八段 33点( 42点 9位)
18位 山崎七段 33点( 52点 7位)
20位 菅井四段 32点( 4点 --)
数値的には羽生名人の独走でした。
ベスト20の顔ぶれは、ほとんど変化がないですね。
計算ミス、抜け落ち、不備や疑問などお気づきの点がありましたら、ご指摘ください。
佐藤九段の合計点が間違っていました(41点となっていましたが、正しくは51点で8位→5位)。
その他、木村八段、山崎七段の記述に誤りがあり訂正しました。
羽生名人の最終週棋士と豊川6段の新人王は決まりでしょう。
4月からの名人戦(永世名人対決)が楽しみです。
谷川九段については、きついことを書いてしまい、申し訳なく思っています。
将棋大賞は3月31日に発表されています。最優秀棋士は羽生名人、優秀棋士賞に久保二冠、渡辺竜王、敢闘賞に広瀬王位、新人賞に豊島六段が選ばれました。
http://www.shogi.or.jp/topics/2011/03/38-2.html
昨年も、「すでに発表されてるよ」とレスした記憶があります(笑)