英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

放電日記的 2009年度棋士活躍度ランキング

2010-04-02 02:18:19 | 将棋
 2009年度も終了しました。
 年度前半は、木村八段が棋聖、王位と挑戦権を得て、タイトル奪取の勢いでしたが、羽生棋聖、深浦王位が踏みとどまり防衛。特に王位戦は、昨年度の竜王戦を再現するような3連敗後の4連勝でした。
 年度後半は、久保棋王が猛烈な勢いで勝ちまくり、A級復帰、王将奪取、棋王防衛。イメージ的にはMVPです。
 羽生名人は、王将失冠、タイトル挑戦なしなど、陰りを感じさせる面もありましたが、3タイトル防衛、NHK杯、朝日杯に優勝し、それ相応(並の強豪なら「充分」)な活躍です。
 渡辺竜王も、竜王戦では強さを感じさせるストレートの防衛。その後は高勝率。

 羽生、佐藤、矢内ファンとしては、王将失冠(羽生)、棋王奪取(佐藤)ならず、NHK出場者決定戦連敗(矢内)、マイナビ女子オープン第1局敗局、さらに、2009年度最終戦に戸辺五段に敗れ、王位挑戦に黄色信号が点ると同時に、若手に対する不敗神話にヒビが入ってしまい、意気消沈気味です。



 さて、昨年、
『放電日記的 2008年度棋士活躍度ランキング』(2009年3月31日)
『修正版 2008年度棋士活躍度ランキング』(2009年4月19日)
という記事を書きました。



 ランク算出の基準は
   ===================================
 タイトル挑戦して奪取20点、タイトル防衛15点、タイトル挑戦して失敗10点、タイトル失冠0点

棋戦(全棋士対象)優勝10点、棋戦準優勝6点、
対象限定棋戦(新人王戦、日本シリーズ、大和証券杯)優勝7点、同準優勝4点。

 この年度の順位戦については、羽生二冠は名人挑戦ということで10点。郷田九段の場合は、挑戦権獲得は平成18年度の成果なので、それについては評価無し。名人位獲得していれば10点獲得となったのですが、失敗なので0点。B級以下の昇級者は8点としました。
 あと、挑戦者決定戦で敗れたり、棋戦3位などの評価をしないのも誤差が生じそうなので、単純に勝ち星が多ければ活躍したと解釈して、1勝=1点とカウントします。
 ==================================

でしたが、 その時に
  ・竜王戦の昇級は考慮していません(面倒という怠惰な理由です)
  ・順位戦昇級ポイントはクラスによって差をつけるべきかもしれない
  ・順位戦降級にマイナスポイントをつけるべきかもしれない
  ・名人戦と竜王戦のポイントを高くするべきかもしれない
などの、検討課題を感じました。

そこで、


   ===============================

 A級残留はかなりの難易度なので5点。各級の昇級もクラスで差をつけるのが妥当なので、B1→A級は7点、B2→B1は5点、C1→B2、C2→C1は4点とします。
 竜王戦昇級の評価については、各クラスの昇級人数が4人と多いのと、クラス別の差別化などを考えると複雑なので、一応評価点はなしで、各クラス優勝者5点、準優勝者3点とします。
 昇級者決定トーナメントを勝ち抜くと、かなり勝ち星を稼げますし。

 やはり、名人位と竜王位は他のタイトルと重みが違うので獲得点を増やします。 竜王挑戦・獲得は30点、同防衛は20点、同挑戦・失敗は15点。
 名人挑戦に関しては、08年度名人挑戦のためのA級順位戦は07年度なので、ポイントには加えないので、名人に挑戦し獲得した場合は15点、挑戦し失敗した場合は0点、名人防衛は20点、今年年度A級優勝(名人挑戦権獲得)は15点。
 さらに、A級2位と竜王挑戦者決定戦(敗退)は8点、竜王挑戦準決勝進出(敗退)は4点とします。
 ただし、A級優勝者(名人挑戦権獲得者)とA級2位はA級残留点はなしとします。竜王戦の挑戦者決定戦準決勝以上進出者も、重複するので竜王戦昇級ポイントはカウントしません。
   ====================================


 順位戦降級にマイナス点をつけようと思いましたが、A級残留点を設けたので必要がないと判断しました。他のクラスは残留点がないので、降級ポイントを設けるべきかもしれませんが、そうするとA級陥落は減点なし、他のクラスの降級者には減点となるのも不公平。それに、活躍度ランキングなので、B級以下に関しては降級ポイントを設ける必要性はあまりないのかもしれません。

 そこで修正し、最終ランキングは

★放電日記的 2008年度棋士活躍度ランキング【修正後】
 1位 羽生名人   144点        
 2位 久保棋王    68点       
 3位 深浦王位    56点       
 4位 渡辺竜王    54点       
 5位 木村八段    53点       
 6位 佐藤九段    50点       
 7位 阿久津六段   49点       
 8位 郷田九段    47点  
 9位 佐藤天彦四段 40点       
10位 森内九段    37点      
11位 糸谷五段    36点      
12位 田村六段    34点      
13位 高橋九段    31点      
14位 稲葉四段    30点
15位 三浦八段    29点
15位 松尾七段    29点
17位 丸山九段    28点
17位 豊島四段    28点
17位 戸辺五段    28点
17位 宮田敦史五段 28点
17位 佐藤和俊五段 28点

でした。


 では、2009年度を算出してみましょう。

まず、タイトル保持者

★羽生名人・棋聖・王座
 名人防衛20点、棋聖防衛15点、王座防衛15点、王将失冠0点、朝日杯優勝10点、NHK杯優勝10点、竜王戦準決勝敗退4点、年度成績30勝18敗で30点。合計104点。

★渡辺竜王
 竜王防衛20点、A級へ昇級7点、年度成績37勝13敗で37点。合計64点。

★久保棋王・王将
 王将奪取20点、棋王防衛15点、A級へ昇級7点、竜王戦準決勝進出4点、朝日杯準優勝6点、年度成績41勝20敗で41点。合計93点。

★深浦王位
 王位防衛15点、竜王戦挑戦者決定戦進出(敗退)8点、銀河戦準優勝6点、日本シリーズ準優勝4点、年度成績34勝20敗で34点。合計67点。

 A級棋士
★郷田九段
 名人挑戦・失敗0点(挑戦権獲得は2008年度)、A級残留5点、年度成績16勝23敗で16点。合計21点。

★佐藤九段
 棋王挑戦・失敗10点、年度成績24勝25敗で24点。合計34点。(王将リーグ2位、A級陥落)

★森内九段
 竜王挑戦・失敗15点、A級残留5点、年度成績28勝22敗で28点。合計48点。

★丸山九段
 A級残留5点、年度成績26勝19敗で26点。合計31点。

★木村八段
 棋聖挑戦・失敗10点、王位挑戦・失敗10点、大和証券杯準優勝4点、A級残留5点、年度成績24勝23敗で24点。合計53点。(棋王戦挑戦者決定戦進出)

★藤井九段
 A級残留5点、年度成績16勝15敗で16点。合計21点。

★谷川九段
 日本シリーズ優勝7点、A級残留5点、年度成績21勝16敗で21点。合計33点。(朝日杯準決勝進出)

★三浦八段
 名人挑戦権獲得15点、年度成績27勝17敗で27点。合計42点。

★高橋九段
 A級2位8点、年度成績10勝13敗で10点。合計18点。

★井上八段
 年度成績14勝18敗で14点。合計14点。(A級陥落)


 タイトル挑戦、棋戦優勝・準優勝者
★山崎八段
 王座挑戦・失敗10点、大和証券杯優勝7点、年度成績35勝19敗で35点。合計52点。(棋王戦挑戦者決定戦進出)

★阿久津七段
 銀河戦優勝10点、年度成績28勝14敗で28点。合計38点。

★糸谷五段
 NHK杯準優勝6点、年度成績35勝16敗で35点。合計41点。

★広瀬五段
 新人王優勝7点、年度成績35勝12敗で35点。合計42点。

★中村(太)四段
 新人王準優勝4点、年度成績24勝16敗で24点。合計28点。


 順位戦昇級者
★中村(修)九段
 B1へ昇級5点、年度成績12勝11敗で12点。合計17点。

★中田(宏)八段
 B1へ昇級5点、竜王戦4組準優勝3点、年度成績20勝11敗で20点。合計28点。

★戸辺六段
 B2へ昇級4点、年度成績32勝10敗で32点。合計36点。

★飯島六段
 B2へ昇級4点、年度成績25勝11敗で25点。合計29点。

★豊島五段
 C1へ昇級4点、竜王戦5組優勝5点、年度成績45勝14敗で45点。合計54点。

★高崎五段
 C1へ昇級4点、年度成績22勝15敗で22点。合計26点。

★金井五段
 C1へ昇級4点、年度成績16勝11敗で16点。合計20点。


 竜王戦各組優勝・準優勝者
★森下九段
 2組準優勝3点、年度成績17勝19敗で17点。合計20点。

★片上六段
 3組優勝5点、年度成績16勝12敗で16点。合計21点。

★北島六段
 3組準優勝3点、年度成績12勝16敗で12点。合計15点。

★田中(寅)九段
 4組優勝5点、年度成績13勝14敗で13点。合計18点。

★佐藤(天)五段
 5組準優勝3点、年度成績25勝15敗で25点。合計28点。

★稲葉四段
 6組優勝5点、年度成績25勝15敗で25点。合計30点。(棋聖戦挑戦者決定戦進出)

★長岡四段
 6組準優勝3点、年度成績18勝16敗で18点。合計21点。


 上記以外で勝数ベスト20以内の棋士
★松尾七段     27勝12敗  27点
★小林(裕)六段  25勝16敗  25点
★村田四段     24勝14敗  24点

 その他、活躍棋士、有力棋士
★中川八段     15勝16敗  15点(王座戦挑戦者決定戦進出)
★橋本七段     19勝12敗  19点(王位戦挑戦者決定戦進出)
★佐藤(和)五段  23勝15敗  23点(朝日杯準決勝進出)
★屋敷九段     23勝12敗  23点
★先崎八段     23勝13敗  23点
★野月七段     23勝16敗  23点
★宮田(敦)五段  23勝14敗  23点


さて、いよいよ、2009年度の活躍度ランキングの発表です。

 1位 羽生名人・棋聖・王座   104点
 2位 久保棋王・王将       93点
 3位 深浦王位          67点
 4位 渡辺竜王          64点
 5位 豊島五段          54点
 6位 木村八段          53点
 7位 山崎七段          52点
 8位 森内九段          48点
 9位 三浦八段          42点
 9位 広瀬五段          42点
11位 糸谷五段          41点
12位 阿久津七段         38点
13位 戸辺六段          36点
14位 佐藤(康)九段       34点
15位 谷川九段          33点
16位 丸山九段          31点
17位 稲葉四段          30点
18位 飯島六段          29点
19位 中田(宏)八段       28点
19位 佐藤(天)五段       28点
19位 中村(太)四段       28点



 久保2冠が猛追しましたが、羽生名人が辛くも逃げ切った感じです。4位までは昨年と同じ、深浦王位、渡辺竜王ともに、点を伸ばしていて、強さを確実なものにした感があります。6位の木村八段も一つ順位を下げましたが、安定した強さです。名人挑戦を決めた三浦八段も好調です。
 5位の豊島五段、7位の山崎七段、9位の広瀬五段、11位の糸谷五段など若手が伸びてきました。

 計算ミス、抜け落ち、不備や疑問などお気づきの点がありましたら、ご指摘ください。
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4 コメント

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ご苦労様です。 (勝手新四朗)
2010-04-03 09:03:21
いやー、ご苦労様です。
各棋士の勝ち星を見るだけでも大変そうです。
勝率第1位や、最多対局、最多勝利にボーナス点を加えるとかすると、その1年の活躍度がさらに増すのかも知れませんね。
多分 久保2冠は、羽生名人と同点数までいくような気がします。(印象度という点では、多分 最優秀棋士になりそうな・・・?)
返信する
そうなんですよ ()
2010-04-03 10:38:37
 勝手さん、おはようございます。
 かなり、苦労します。勝ち数のチェックは、連盟の記録のページを見ればいいだけなので、割と楽なのですが、各竜王戦の各クラスの準優勝者など漏らさないようにするのが大変です。
 それと一番大変なのは、各棋士の段位です。間違えるのは大変失礼ですし、棋戦の優勝の後に昇段している場合も多いですので。

>勝率第1位や、最多対局、最多勝利にボーナス点を加える

 そういうポイントを加点するという考え方もあると思います。

 でも、活躍度という観点から言うと、まず、勝つというのが根本の活躍ですね。あと、タイトル獲得・防衛、それに挑戦するのも大きな実績です。優勝・準優勝ももちろん活躍です。
 最多対局、勝率1位、最多勝利というのは記録的なものだと考えています。

 羽生名人・棋聖・王座と久保棋王・王将を比較すると、現在の充実度は久保2冠ですが、年度で考えると、羽生名人はタイトル戦で3防衛1失冠、久保2冠は1防衛1奪取なので、単純に考えると羽生名人は3-1=2、久保2冠は1+1=2で互角。
 ただ、失冠をどのように捉えるかが微妙です。タイトル戦で3つ勝利したことを重視すれば3に近いですし、ひとつタイトルを減らしたと考えれば2以下になります。
 久保棋王の奪取を重要視すれば2以上になります。
 まあ、タイトル戦に関しては、ほぼ互角としておきます。両者の差は一般棋戦にあると考えます。羽生名人は優勝2に対し、久保2冠は準優勝1です。
 あと、勝ち数は羽生名人30に対して久保棋王41で、久保2冠がかなり優位です。ただ、勝ち数に関しては、タイトルを4つ保持していた羽生名人が伸ばしにくいという状況です。

 これらを総合して考えると、羽生名人が久保2冠をやや上回っていたのではないかと考えます。

 私のランキングの特徴は、
・タイトル戦で3防衛1失冠>2防衛
・タイトル奪取>タイトル防衛
・名人・竜王>他の5タイトル
・勝ち数もかなりのウェートを占める
ですが、なかなか優れたシステムだと自惚れています。
返信する
予想通りでした! (勝手新四朗)
2010-04-10 18:00:24
さすが、先輩の予想通り
羽生名人の最優秀棋士、久保王将の優秀棋士でした。
女流の方は里見2冠が最優秀で清水2冠が優秀棋士。
ただ、最多対局が新設されて、上田2段、岩根2段が36局で受賞していました。
返信する
将棋大賞 ()
2010-04-11 21:37:27
 勝手さん、こんばんは。
 将棋大賞が決定したのは、3月31日(あるいは4月1日)だったと思います。私が結果を知ったのは、この集計作業(4月2日)を終えてからでしたが。
 私の考えは、「一年を通して考えると大賞は羽生名人であるべきだが、久保2冠が選ばれても異論はない」。予想は55対45で久保2冠でした。
返信する

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