英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

A級順位戦(2015年度)8回戦 結果 【追記あり】

2016-02-02 16:57:57 | 将棋
A級順位戦8回戦が行われ、その結果、挑戦権争いは7勝1敗の佐藤天八段と6勝2敗の行方八段に絞られた。
残留争いは1勝だった広瀬八段が勝ち、更に激烈となった(郷田王将、広瀬八段、久保九段、森内九段が降級のピンチに立たされた)。(直前の状況はA級順位戦(2015年度)8回戦 状況整理と予想をご参照ください)


 【八回戦の結果】
○▲佐藤 天彦八段(7勝1敗)-△久保 利明九段(2勝6敗)
 ノーマル四間飛車の後手久保九段が、先手佐藤天八段が振り飛車からの動きを警戒しつつ穴熊を目指した動きに対し仕掛けた。
 しかし、やや無理であったらしく、佐藤天八段が的確に対応。中盤、やや紛れの気配もあったが、十分なリードを保ち、勝利をものにした。
 最終盤、久保九段はあきらめずに先手玉に肉薄したが及ばなかった。

▲渡辺 明竜王(5勝3敗)-△屋敷 伸之九段(5勝3敗)○
 相矢倉模様から、後手の屋敷九段が二枚銀を前線に繰り出し乱戦に持ち込む。
 終盤、先手の渡辺竜王に勝ちがありそうな局面になったが、具体的な指し手が分からず(感想戦でも判明せず)、屋敷九段が乱戦を制した。

▲郷田 真隆王将(2勝6敗)-△行方 尚史八段(6勝2敗)○
 相掛かり戦。後手行方八段が9筋を突き越したのに対し、先手郷田王将は銀を3六に繰り出し、隙あらば仕掛ける構え。
 訳の分からない局面が延々続き、形勢も揺れた。全体的には郷田王将が有利な局面が長かったが、こういう将棋は行方八段の方が得意のような気がする。
 最終盤の勝機をしっかりつかんだ行方八段が勝利。

○▲広瀬 章人八段(2勝6敗)-△佐藤 康光九段(5勝3敗)
 後手佐藤九段のダイレクト向かい飛車。後手から角交換をした分、後手が駒組みが遅れ気味となり、先手広瀬九段の方が駒組みをリード。
 着実に優位を拡大した広瀬八段の完勝。

▲森内 俊之九段(3勝4敗)-△深浦 康市九段(2勝5敗)○
 相矢倉戦。後手深浦九段が先手森内九段の▲3五歩に反発。
 2、3筋を制圧しようとする深浦九段に対し、これを突破しようとする森内九段。
 後手の包囲網を破ったかに見えた森内九段が、時間に追われて失速。粘り強く指した深浦九段が勝利。


【8回戦終了時の成績】
佐藤天八段(9位)  7勝1敗   最終局・行方  
行方 八段(1位)  6勝2敗   最終局・佐藤天
渡辺 竜王(2位)  5勝3敗   最終局・佐藤康
佐藤康九段(8位)  5勝3敗   最終局・渡辺
屋敷 九段(10位)  5勝3敗   最終局・郷田
深浦 九段(5位)  3勝5敗   最終局・広瀬
森内 九段(7位)  3勝5敗   最終局・久保
久保 九段(3位)  2勝6敗   最終局・森内
広瀬 八段(4位)  2勝6敗   最終局・深浦
郷田 王将(6位)  2勝6敗   最終局・屋敷


 挑戦権は佐藤天八段と行方八段に絞られたが、最終局はこの両者の対戦。佐藤天八段が勝てば挑戦権獲得。行方八段が勝つと、プレーオフへ持ち込まれる。
 降級の可能性があるのは、3勝5敗の森内九段と2勝6敗の久保九段、広瀬八段、郷田王将。
 深浦九段は最終局敗れても、郷田王将が勝つと3勝6敗で並ぶが、順位が上なので郷田王将よりも上位となる。また、最終局に森内-久保戦があるため、この対局の敗者が深浦九段より下位となるので、深浦九段の8位以上が確定している。

【最終局の組み合わせ】
▲行方 尚史八段(6勝2敗)-△佐藤 天彦八段(7勝1敗)
▲佐藤 康光九段(5勝3敗)-△渡辺 明 竜王(5勝3敗)
▲屋敷 伸之九段(5勝3敗)-△郷田 真隆王将(2勝6敗)
▲深浦 康市九段(3勝5敗)-△広瀬 章人八段(2勝6敗)
▲久保 利明九段(2勝6敗)-△森内 俊之九段(3勝5敗)


 降級に関係する対局は、屋敷-郷田戦、深浦-広瀬戦、久保-森内戦の3局。
 郷田王将は、最終局に勝っても広瀬八段が勝つと陥落する(久保-森内戦の敗者より上位になるが、勝者より下位になる)。
 広瀬八段は、最終局に勝てば残留できる(郷田王将が最終局勝っても広瀬八段よりも下位、また、久保-森内戦の敗者より上位になる)。負けると降級。
 森内九段と久保九段は勝てば残留(広瀬八段、郷田王将が最終局勝っても久保-森内戦の勝者よりも下位)。最終局に敗れた場合、広瀬八段と郷田王将がともに敗れれば残留できる。
 郷田王将以外は自力残留。

 各対局が五分五分とすると、残留確率は森内九段と久保九段が5/8、広瀬八段が4/8、郷田王将が2/8
 郷田王将は大ピンチ。
 他の3棋士より1勝勝ち星が多く、現成績が下から4番目の森内九段が5/8で、負けるとかなり危ない状況。やはり、前期成績による7位という順位が響いている。


【追記】最終局の対戦成績
▲行方 尚史八段 0勝- 3勝△佐藤 天彦八段
▲佐藤 康光九段21勝-21勝△渡辺 明 竜王、直近10局は渡辺の6勝4敗、更に遡ると10勝4敗、4連勝中
▲屋敷 伸之九段 9勝-20勝△郷田 真隆王将、直近10局は郷田の8勝2敗、更に遡ると13勝2敗
▲深浦 康市九段 3勝- 6勝△広瀬 章人八段
▲久保 利明九段20勝-14勝△森内 俊之九段、直近10局は久保の8勝2敗、更に遡ると11勝2敗

 これを単純に最終局の勝敗として加えると
佐藤天八段(9位)  8勝1敗  ○最終局・行方  
行方 八段(1位)  6勝3敗  ●最終局・佐藤天
渡辺 竜王(2位)  6勝3敗  ○最終局・佐藤康
佐藤康九段(8位)  5勝4敗  ●最終局・渡辺
屋敷 九段(10位)  5勝4敗  ●最終局・郷田
久保 九段(3位)  3勝6敗  ○最終局・森内
広瀬 八段(4位)  3勝6敗  ○最終局・深浦
深浦 九段(5位)  3勝6敗  ●最終局・広瀬
郷田 王将(6位)  3勝6敗  ○最終局・屋敷
森内 九段(7位)  3勝6敗  ●最終局・久保

 挑戦権は佐藤天八段が獲得、
 降級は郷田王将と森内九段となる。
 それにしても、3勝6敗が5人並び、最終局を前に降級の可能性があった4棋士の中でも重鎮と言える郷田王将、森内九段が……
 

となるが、あくまでもデータ。1番勝負なのでどうなるかは不明。
 ここ1年の戦いぶりを加味して予想すると
▲行方 尚史八段-△佐藤 天彦八段○
▲佐藤 康光九段-△渡辺 明 竜王○
▲屋敷 伸之九段-△郷田 真隆王将 (予測不能)
○▲深浦 康市九段-△広瀬 章人八段
○▲久保 利明九段-△森内 俊之九段

 予想できないのが屋敷-郷田戦。将棋の調子を重視すると屋敷九段、対戦成績の13-2を考えると郷田王将となる。(深浦-広瀬は対戦成績を加味しても深浦勝ちの予感)
 他の対局予想が的中すると仮定すると、
郷田王将勝利の場合は、森内九段と広瀬八段が降級、
郷田王将敗北の場合は、郷田王将と広瀬八段が降級となる。 
コメント (6)
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スペシャリスト 第3話

2016-02-02 13:07:25 | ドラマ・映画
 捻りのあるストーリーで面白かったけれど、捻り過ぎという気もする。

 倉庫のもう一つの出入り口には鍵がかけておらず、手錠のカギも手の届く範囲、さらに、爆弾もフェイクなど、“監禁”や“傷害(未遂)”や“爆発物取締罰則”に該当せず、『過去に真里亜(夏菜)の父にそそのかされて製造した爆弾による傷害致死の時効を成立させる』ため、わざと宅間らに取り調べを受け公安から逃れるのが丹羽奈津美(鶴田真由)の目的だった……
 実は、これもフェイクで、真里亜の父の死は、奈津美が爆弾を爆発するよう誘導させたのが真相だったという「事故死→復讐→事故→殺人」という二転三転のストーリーだったが、捻り過ぎたため、奈津美の行動に不合理な点が生じてしまった。

 自分を人生の裏街道に引きずり込んだ我妻公昭(羽場裕一)とその娘の真里亜への復讐が奈津美の心の根底にあり、フェイクの爆弾で真里亜を恐怖に陥れた。
 それを誘発したのは、映り込みによって自分の姿がネットに流出し、公安に目を付けられたことである。実は、真里亜への復讐は、目的でなく手段(ついで)であった。
 で、真の目的は、「宅間らに、“我妻公昭の死は偶発的な事故(奈津美の爆発物製造による致死)”ということを印象付け、真の罪状から逃れる”ことであった。
 しかし、そうだとすると、
・公昭が真里亜に残したメッセージ(奈津美の殺人の証拠)を処分しなかったのは、大きな失策
・そもそも、メッセージ中に殺人の証拠となる言葉を発することがおかしい

事故(爆発物製造)の時効成立で決着をつけたかったというのは分かるが、今回の奈津美の行為は“やぶへび(藪をつついて蛇を出す)”だったのではないだろうか。時効成立の筋書きで留めておいた方が良かったように思う。
 
 それにしても、この奈津美という女性、もともとは単なる工学部の学生だったのだが、今回、まるで有能な諜報部員のような手際の良さ、用意周到さだった。


【ストーリー】番組サイトより
 とある倉庫に閉じ込められた我妻真里亜(夏菜)。真里亜の前にはふたつのアタッシェケースとカメラ付きのノートパソコンが置かれていた。
 ふたつのアタッシェケースにはそれぞれ爆弾と、その爆弾の起爆装置を解除させるリモコンが…。ふたつのうち正解の方のアタッシェケースを選べば、爆弾を解除し倉庫の外に出られるが、不正解の方を選べば、その瞬間爆弾が爆発する、という仕掛けになっていた。
 刻一刻とタイムリミットが迫る中、宅間善人(草剛)ら“総合事犯対応係(仮称)”のメンバーたちは倉庫内の映像を見ながら必死に真里亜の救出法を模索していた。

 そもそも事件の発端は、真里亜が過去の事件の調書を整理したファイルで何かを発見し、その後PCである動画を見た後、部屋を飛び出していったことに始まっていた。
 真里亜の慌てた様子を目撃していた宅間は、そのファイルが真里亜の父・我妻公昭(羽場裕一)の死亡事故に関するものだと指摘。さらに、そのファイルに挟まっていた写真に公昭とともに写っていた女性・丹羽奈津美(鶴田真由)が、動画の中にも映っていることを発見。真里亜は、その女性に会いに行ったのではないかと推測する。

 宅間の推理通り、奈津美のもとを訪れていた真里亜だったが、逆に奈津美に拉致され、倉庫に監禁されてしまったのだ!

 公昭の事故当時、真里亜の家庭教師を務めていた奈津美。彼女が当時のことを語る中で、公昭との衝撃的な関係が判明する…!さらに、奈津美が真里亜を監禁した理由も明らかになり…?
 父の死の真相を知った直後、恐怖の爆弾トラップに晒されてしまった真里亜の運命は? そして宅間たちは、この恐ろしい計画を止めることができるのか…?

脚本:戸田山雅司
監督:七剛
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