10月25日の『朝日新聞』の津田大介氏の「沖縄選挙デマ 阻んだ報道」には考えさせられた。
14年以降の沖縄の選挙ではフェイクニュースのターゲットになることが多く、今回も多くのデマが飛び交い、国会議員もそれを積極的に拡散したという。これに真正面から沖縄2紙やネットメディアが立ち向かいデマをつぶしていった。その対極が2月の名護市長選挙での「現職市長のせいで日本ハムファイターズのキャンプが撤退した」というデマが拡散し現職の稲嶺市長が敗れた。
この名護・稲嶺市長敗北でのファイターズ・キャンプ問題は、名護でかかわったものとしても、大問題だった。稲嶺さんのせいで名護は多大の損害をこうむったというビラが何度もまかれたし、口コミ・SNSで拡散されただろう。もちろん稲嶺側から、道理を尽くして、ファイターズとの間で球場全面改修のためその間キャンプをアメリカなどに変更することが合意された事情を説明した。だが世間的には言い合いと受け取られて、市長の失点視する人も相当出ただろう。だがこれは意図的デマであり、これで選挙が左右されたのは民主主義にとって重大な汚点だ。どの程度選挙が左右されたかは詳細なアンケート調査をしない限りわからないが、影響があったことは確かだ。事実の報道が命のジャーナリズムにとっても死活的な問題だ。
その反省から、知事選では、拡散しつつあったデマをリアルタイムで検証し、丹念につぶしていったという。 民主主義を死なせないためにきわめて重要なとりくみだ。こんどの知事選では、携帯代4割値下げ公約と菅官房長官先頭の4割値下げ演説は最大のフェイク宣伝だった。何の権限もないことがらに対して、民間企業の商品の値段を勝手に4割下げると触れまわって、選挙結果を左右しようとする。重大な問題だ。
だが、沖縄国際大の前泊教授が学生に玉城勝利を分析させたところ、「与党のデマ攻撃にムカついた」「携帯代4割削減なんてありえない」という意見が多かったそうだ。携帯値引き話は、ファイターズ・キャンプ話よりもずっとウソを見抜きやすいもので、自公候補にも菅官房長官にも値下げの検眼はないと指摘されたらひとたまりもない低レベルのフェイクだった。だから、相当反発を受けたのだろう。これも定量的に測ることはむずかしいが。
ジャーナリズムが、フェイク、デマを検証し、つぶす作業に積極的に乗り出したことを称賛したい。またこれを大きく論じた津田大介氏に敬意を表したい。
ただここで付け加えたい。昨年10月の安倍首相の国会解散にともなう「国難」総選挙の問題だ。北朝鮮の脅威と少子化が国難だとあおって選挙をおこなったことについて、ジャーナリズムはどれだけ検証し、糺したのか。韓国では、児童が机の下に潜り込む、ミサイルが飛んで行った何十分後に避難するというバカげたことは一切していないのに、日本では安倍首相の号令一下、太平洋戦争末期よろしく防空演習に人を駆り立てた。そのあげくの「国難」選挙だ。ありもしない北のミサイル攻撃が「国難」ならば、ことしの連続大災害は「国難」百連発だ。去年は、いち早くそのデマぶりが問題にされなければならなかったが見過ごされた。選挙をデマで左右するのは、沖縄選挙だけではない。厳しい目を向けなければならない。
14年以降の沖縄の選挙ではフェイクニュースのターゲットになることが多く、今回も多くのデマが飛び交い、国会議員もそれを積極的に拡散したという。これに真正面から沖縄2紙やネットメディアが立ち向かいデマをつぶしていった。その対極が2月の名護市長選挙での「現職市長のせいで日本ハムファイターズのキャンプが撤退した」というデマが拡散し現職の稲嶺市長が敗れた。
この名護・稲嶺市長敗北でのファイターズ・キャンプ問題は、名護でかかわったものとしても、大問題だった。稲嶺さんのせいで名護は多大の損害をこうむったというビラが何度もまかれたし、口コミ・SNSで拡散されただろう。もちろん稲嶺側から、道理を尽くして、ファイターズとの間で球場全面改修のためその間キャンプをアメリカなどに変更することが合意された事情を説明した。だが世間的には言い合いと受け取られて、市長の失点視する人も相当出ただろう。だがこれは意図的デマであり、これで選挙が左右されたのは民主主義にとって重大な汚点だ。どの程度選挙が左右されたかは詳細なアンケート調査をしない限りわからないが、影響があったことは確かだ。事実の報道が命のジャーナリズムにとっても死活的な問題だ。
その反省から、知事選では、拡散しつつあったデマをリアルタイムで検証し、丹念につぶしていったという。 民主主義を死なせないためにきわめて重要なとりくみだ。こんどの知事選では、携帯代4割値下げ公約と菅官房長官先頭の4割値下げ演説は最大のフェイク宣伝だった。何の権限もないことがらに対して、民間企業の商品の値段を勝手に4割下げると触れまわって、選挙結果を左右しようとする。重大な問題だ。
だが、沖縄国際大の前泊教授が学生に玉城勝利を分析させたところ、「与党のデマ攻撃にムカついた」「携帯代4割削減なんてありえない」という意見が多かったそうだ。携帯値引き話は、ファイターズ・キャンプ話よりもずっとウソを見抜きやすいもので、自公候補にも菅官房長官にも値下げの検眼はないと指摘されたらひとたまりもない低レベルのフェイクだった。だから、相当反発を受けたのだろう。これも定量的に測ることはむずかしいが。
ジャーナリズムが、フェイク、デマを検証し、つぶす作業に積極的に乗り出したことを称賛したい。またこれを大きく論じた津田大介氏に敬意を表したい。
ただここで付け加えたい。昨年10月の安倍首相の国会解散にともなう「国難」総選挙の問題だ。北朝鮮の脅威と少子化が国難だとあおって選挙をおこなったことについて、ジャーナリズムはどれだけ検証し、糺したのか。韓国では、児童が机の下に潜り込む、ミサイルが飛んで行った何十分後に避難するというバカげたことは一切していないのに、日本では安倍首相の号令一下、太平洋戦争末期よろしく防空演習に人を駆り立てた。そのあげくの「国難」選挙だ。ありもしない北のミサイル攻撃が「国難」ならば、ことしの連続大災害は「国難」百連発だ。去年は、いち早くそのデマぶりが問題にされなければならなかったが見過ごされた。選挙をデマで左右するのは、沖縄選挙だけではない。厳しい目を向けなければならない。