山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

沖縄知事選について考える 津田大介氏の沖縄選挙デマ論考にふれ   

2018年10月27日 00時19分30秒 | Weblog
 10月25日の『朝日新聞』の津田大介氏の「沖縄選挙デマ 阻んだ報道」には考えさせられた。
 14年以降の沖縄の選挙ではフェイクニュースのターゲットになることが多く、今回も多くのデマが飛び交い、国会議員もそれを積極的に拡散したという。これに真正面から沖縄2紙やネットメディアが立ち向かいデマをつぶしていった。その対極が2月の名護市長選挙での「現職市長のせいで日本ハムファイターズのキャンプが撤退した」というデマが拡散し現職の稲嶺市長が敗れた。
 この名護・稲嶺市長敗北でのファイターズ・キャンプ問題は、名護でかかわったものとしても、大問題だった。稲嶺さんのせいで名護は多大の損害をこうむったというビラが何度もまかれたし、口コミ・SNSで拡散されただろう。もちろん稲嶺側から、道理を尽くして、ファイターズとの間で球場全面改修のためその間キャンプをアメリカなどに変更することが合意された事情を説明した。だが世間的には言い合いと受け取られて、市長の失点視する人も相当出ただろう。だがこれは意図的デマであり、これで選挙が左右されたのは民主主義にとって重大な汚点だ。どの程度選挙が左右されたかは詳細なアンケート調査をしない限りわからないが、影響があったことは確かだ。事実の報道が命のジャーナリズムにとっても死活的な問題だ。
 その反省から、知事選では、拡散しつつあったデマをリアルタイムで検証し、丹念につぶしていったという。 民主主義を死なせないためにきわめて重要なとりくみだ。こんどの知事選では、携帯代4割値下げ公約と菅官房長官先頭の4割値下げ演説は最大のフェイク宣伝だった。何の権限もないことがらに対して、民間企業の商品の値段を勝手に4割下げると触れまわって、選挙結果を左右しようとする。重大な問題だ。
 だが、沖縄国際大の前泊教授が学生に玉城勝利を分析させたところ、「与党のデマ攻撃にムカついた」「携帯代4割削減なんてありえない」という意見が多かったそうだ。携帯値引き話は、ファイターズ・キャンプ話よりもずっとウソを見抜きやすいもので、自公候補にも菅官房長官にも値下げの検眼はないと指摘されたらひとたまりもない低レベルのフェイクだった。だから、相当反発を受けたのだろう。これも定量的に測ることはむずかしいが。
 ジャーナリズムが、フェイク、デマを検証し、つぶす作業に積極的に乗り出したことを称賛したい。またこれを大きく論じた津田大介氏に敬意を表したい。
 ただここで付け加えたい。昨年10月の安倍首相の国会解散にともなう「国難」総選挙の問題だ。北朝鮮の脅威と少子化が国難だとあおって選挙をおこなったことについて、ジャーナリズムはどれだけ検証し、糺したのか。韓国では、児童が机の下に潜り込む、ミサイルが飛んで行った何十分後に避難するというバカげたことは一切していないのに、日本では安倍首相の号令一下、太平洋戦争末期よろしく防空演習に人を駆り立てた。そのあげくの「国難」選挙だ。ありもしない北のミサイル攻撃が「国難」ならば、ことしの連続大災害は「国難」百連発だ。去年は、いち早くそのデマぶりが問題にされなければならなかったが見過ごされた。選挙をデマで左右するのは、沖縄選挙だけではない。厳しい目を向けなければならない。
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安田純平さん解放 よかった

2018年10月24日 22時34分27秒 | Weblog
 イラクの旧ヌスラ戦線に拘束されていたフリージャーナリスト安田純平さんが、2018年10月24日、解放された。殺されるかもしれないと思っていただけに、じつに嬉しい。
 7,8年前、安田さんの『ルポ戦場出稼ぎ労働者』2010、集英社新書を読んだ。安田さんが10か月も、イラクの軍関連施設で料理人として働き、取材を重ねた作品で、とても面白く読んだ。アメリカの戦争が民営化されている実情もよく伝えていた。
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那覇市長にオール沖縄・城間幹子さん当選、知事選から3連勝

2018年10月22日 15時24分27秒 | Weblog
 2018年10月21日の那覇市長選でオール沖縄の城間幹子さんが、安倍政権派の候補の42,446票に対し79,677票と、ほぼダブルスコアに近い票で圧勝した。これで、知事選、豊見城市長選につづいて、オール沖縄は3連勝となった。安倍政権には相当の打撃となった。
 沖縄県による辺野古埋め立て承認撤回に対し効力停止の申し立てを知事選まではごまかしのためにがまんしていたのに、那覇市長選はどうせ負けるということで選挙中に茶番の効力停止劇をやった。茶番劇の効果は大きく、ダブルスコアに近い数字となって跳ね返ってきた。政権内ではどう総括するのか。
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新人王戦の主催者は誰か(4)名人戦の主催者は誰か

2018年10月22日 12時27分32秒 | Weblog
 「新人王戦の主催者はだれか」は(3)でおしまいと思っていたら、今日(10月22日)の『朝日』朝刊に囲碁名人戦の記事があった。見ると「第43期囲碁名人戦7番勝負(朝日新聞社主催)の第6局が22日から2日間の日程で」などと書かれている。ちゃんと主催者を明記しているではないか。新聞記事のきまりごとなのだ。ではなぜ、新人王戦は主催者を書かなかったのか。説明をすべきだ。新人王戦はもちろん囲碁も将棋もやっている。
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新人王戦の主催者は誰か(3)

2018年10月20日 21時15分13秒 | Weblog
 今日、大阪市立中央図書館に行って、全国の18日付けの新聞を見た。まだ届いてないもの、1か月まとめて届くものなどがあり、すべてとはいかなかった。地方紙は一つを除きすべてが(という印象だった)新人王戦については同じ文章だった。多分、共同通信の配信記事を載せているのだろう。そこには、主催者は書かれていなかった。
 ただひとつだけ「(しんぶん赤旗主催)」と書いていた新聞があった。それは、『東京新聞』だ。署名入りの記事だった。さすが東京新聞だ。結局、新人王戦の主催は『しんぶん赤旗』と書いたのは、『毎日新聞』と『東京新聞』のふたつだった。情けないことだ。新聞記事の最低限の約束事を破ってまで、しんぶん赤旗主催を書かない、隠すという神経は、日本の新聞の民主主義の問題だ。
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新人王戦の主催者は誰か(2)

2018年10月20日 09時51分51秒 | Weblog
 昨日、近所の図書館で『毎日』『読売』『産経』で新人王戦の報道を見たら、『毎日』は「しんぶん赤旗主催」と正しく書いていた。他はなし。主催者不明の棋戦があるとは奇怪千万。
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安倍、辺野古で国民の権利を盗用して私人に成りすます

2018年10月18日 14時43分39秒 | Weblog
 安倍政権は10月17日、沖縄県の辺野古埋め立て承認撤回に対して行政不服審査法に基づき、国土交通相に対して撤回の効力停止と不服審査を申し立てた。政権の内部で、防衛省が国交相に申し立て、認めてもらうという茶番劇だ。二度にわたり、県民の総意が示されたのに、口先では寄り添うなどと言いながら、民意を一顧だにしない独裁ぶりだ。
 そもそも行政不服審査法は、私人たる国民の権利利益の迅速な救済をはかるものだ。たとえば工事や祭礼などで警察に道路使用許可を得ようとしたのに却下された際に、不服審査を申し立てることが想定されている。ところが県の行政行為に対して、国が私人を装って救済を求めるのは制度の趣旨をねじまげた、違法な行為だ。政権の内部での茶番的やりとりだから、法の趣旨を曲げるもので申し立ての資格がないという裁定は100%なく、逆に最初から県知事の承認撤回は100%執行停止されるという筋書きだ。最も悪質な茶番劇だ。行政不服審査法による救済は、道路使用許可に見られるように、「緊急の必要があると認めるとき」が前提だ。ところが、知事の承認撤回は8月31日だ。それから1カ月半も経っている。1カ月半も経ったら祭礼は終わっているではないか。それでも石井国交相は認めるだろう。だから前代未聞の茶番だ。
 安倍政権は9月30日の知事選を、まさに権力総がかりで、「勝利の方程式」なる県民を愚弄したやりかたで押さえつければ勝てると踏んでいた。県民の心を見くびっていた。勝てば、腹心の知事が埋め立て承認の撤回を撤回し、軟弱地盤の設計変更を承認し、サンゴ移植など環境対策をすべてふみにじっても見て見ぬふりをするとたかをくくっていた。だが県民のマグマが噴出した。
 茶番の結論は見えている。沖縄県はそれに対して、総務省の第三者委員会の「国地方係争処理委員会」に不服申し立てをするだろう。本来は、国がこの「国地方係争処理委員会」に申し立てるのが法のルールだ。だが身内の茶番でまず地固めをしたいとあせって行動に出た。今のところ3年前の承認取り消しの時と同じだからそのあとも同じくすんなりと思ったら大間違い。
 この3年間の政権の違法行為の積み重ねを審査するのが本裁判の仕事になるから、茶番の後に崖が待ち受けている。
 
 
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新人王戦の主催者は誰か

2018年10月18日 09時56分46秒 | Weblog
 やはりだ。今日の『朝日新聞』1面と34面で「藤井七段、最年少新人王 16歳2カ月31年ぶり更新」との見出しの大きな記事がある。だが新人王戦の主催者が書かれていない。名人戦の主催者も書かないというなら公平だが、そうではないだろう。
 新人王戦の用語解説も囲みでおこなっている。だがその解説にも主催者が伏せられている。なんということだ。いつ、誰が、どこで、何を、どうしたと報道する基本を踏み外している。いったい誰なのか不明の報道とは何なのか。もしかして記者も、担当デスクも基本を失念したのかな。
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藤井聡太7段 新人王最年少記録更新、でも報道は疑問符

2018年10月17日 21時42分09秒 | Weblog
 将棋の藤井聡太7段(16)が、しんぶん赤旗主催の新人王戦で出口3段(23)を破り、第49期新人王になった。最年少記録を31年ぶりに更新した。新人王戦は、26歳以下、6段以下の棋士が参加できる。藤井7段は今季新人王戦が始まったときは4段だったので新人王になることができた。おめでとう。
 ところで、先日『朝日新聞』夕刊1面で新人王決勝1番勝負を1面で大きくとりあげたのを見て、奇異に思ったことがあった。それは新人王戦の主催者が書かれていなかったことだ。『赤旗』主催の新人王戦は、日本将棋連盟の公式戦で長い歴史をもっている。主催を書かないということは、『朝日』『毎日』共催の名人戦が、『読売』主催の竜王戦がどこの主催かを隠して報道するのと同じで、あり得ないことだ。春の甲子園が『毎日』、夏の甲子園が『朝日』だと明記しないことは侮辱的なことだ。今日のABCテレビの「キャスト」やNHKニュースも赤旗主催を隠した。意図的、差別的な扱いだ。でも、テレビ画面では、よくみると会場の新人王戦の看板に主催赤旗が書かれていた。
 いずれにしろ、このような大きな話題になる棋戦の主催者をあえて隠す、その意図と姿勢、日本の風土を問題にしなければならない。
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市民いじめの維新・吉村大阪市政 異常な介護保険料

2018年10月16日 23時41分40秒 | Weblog
 わたしのこの10月度の大阪市の介護保険料が19537円だったと先に書いた。月にすればこの半額、でも1万円に近い。大阪市の介護保険料の基準月額は7927円だ。わたしは市民府民税課税対象者の低い方で、1万近くになる。
 調べてみると全国平均の基準月額は5869円ではないか。なんということだ。大阪府で大阪市の次におおきい堺市では6623円だ。維新市政の市民いじめは際立っている。激しい公務員攻撃で人気を取って、その財産でいまも食いつないでいる維新。でももうそろそろ目を覚まさないといけない。
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安倍首相、憲法違反の自衛隊員訓示

2018年10月14日 21時41分59秒 | Weblog
 安倍首相は、2018年10月14日、陸上自衛隊朝霞訓練場での観閲式で陸海空の4000人に対して訓示をした。陸海空4000人、戦車など260両、航空機40機が参加、米海兵隊のオスプレイまでも飛行した。
 そこで安倍首相は自衛隊員に得意満面に訓示をおこなった。「すべての自衛隊員が強い誇りをもって任務を全うできる環境を整えるのは今を生きる政治家の責任だ。責任を果たす決意だ」と述べた。これは憲法第9条に自衛隊を書きこむ改憲への意欲を示したものと受け取られている。
 この言葉は、これまでたびたびの安倍発言から、まさに自衛隊員の前で改憲を表明したものだ。総理大臣は、実力組織の自衛隊員の前では、憲法遵守をこそ訓示しなければならない。ところが、憲法改正の発議の権限を持たない総理大臣が、実力部隊である自衛隊員を前に改憲の宣言をし、自衛隊員の今後は改憲によって道が開かれるといい、改憲という憲法遵守義務に反する方向に自衛隊員を導く宣言をした。あからさまな憲法違反の行為だ。
 ポツダム宣言も読んだことがなかった安倍氏の憲法遵守宣言をわたしは聞いたことがない。断じて憲法違反の行為を許すわけにはいかない。
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介護保険料の値上げが痛い

2018年10月13日 12時31分45秒 | Weblog
 昨日、大阪市から介護保険料の改定の通知が来た。わたしの10月度の支払いは19,537円。去年の通知を見ると、10月度15,606円だ。去年より4000円の値上がりだ。去年の6月の通知では14,200円だったから、この16か月で5000円の値上げだ。これは2か月に1度の支払いなので、この半額だが、ほとんど月1万円だ。数年前、月7000円余りだったと記憶しているが、大阪市の介護保険料はひどい。
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再び沖縄知事選について、玉城デニー勝利の決定的意義

2018年10月05日 10時40分17秒 | Weblog
 今度の沖縄知事選でびっくりしたのは、玉城デニーさんが8万票もの大差をつけて勝ったことが第1だ。現地では、8時過ぎに当確情報が出た。NHKは9時半だったが。前の記事にも書いたが、基礎票から見てデニーさんが大勝する可能性はまったくなかった。勝ったとしても、辛勝、1票でもいいから勝ってほしいと思っていた。だが大勝で過去最高得票だ。佐藤学・沖縄国際大教授が、前回自主投票の公明と維新が佐喜真支持に転じただけで、佐喜真圧勝の計算が立つ、また若者の保守化は着々と進行しており、「玉城の勝機はないと見ていた。大外れである」(「沖縄タイムス10月1日付)と反省の弁を述べている。MBS「報道特集」の金平茂紀さんも、見誤ったと反省していた。
 
 ではなぜ、デニー大勝となったのか。その力はどこにあったのか。前知事の妻・翁長樹子(みきこ)さんが指摘している。「まさに県民のマグマだと思いました」と(『赤旗』10月3日インタヴュー)。






 【玉城デニー勝利の意義、これからの沖縄と日本】
 沖縄の2紙の社説は的を射ている。『琉球新報』10月1日付けは、「県内移設を伴わない普天間飛行場の返還は決して法外な要求ではない」。その通りだ。道義にもとる、あるいは理不尽な要求ではない。1950年代に日米政府は、本土での反基地運動によって本土各地から沖縄に基地を移したではないか。さらに「この期に及んで、なおも新基地を押し付けるというのなら、民主主義国家を名乗る資格はない。政府は沖縄のゆるぎない民意を尊重し、新基地建設を即刻断念すべきだ」と断定する。『沖縄タイムス』10月1日付けは、「政府は法的な対抗措置をとるのではなくこれを受け入れ、新たな協議の場を設けるべきだ」と主張する。
 4年前、安倍首相は翁長知事との面談を4か月も拒否するという子供じみた態度に出た。もういちど同じことはできないだろう。でも政府は、選挙結果が政府方針に影響しないとの姿勢を表明しており、これまでどおり問答無用、法的な対抗措置にでることは間違いない。
 法廷闘争では、翁長知事の承認撤回の執行停止を政府はねらう。テレビのコメンテーターは、仲井真知事の承認を翁長知事が取り消したのを政府は裁判で覆したから、承認撤回でも当然政府が勝つと言う。だが今度の承認撤回の意味を知らない発言だ。前回は、仲井真知事の承認に瑕疵はないと裁判所は結論付けた。今度は、仲井真知事の承認には、環境保全について県と協議をすることが条件になっているが問答無用で工事をすすめている。またサンゴの移植をすることになっているのに全くやっていない。大浦湾側は軟弱地盤で活断層の存在も指摘されているのに、何の設計変更の申請もしていない。これまで県の行政指導を一切無視して工事をすすめてきた。翁長知事は国の違法・無法なやり方を十分確認したうえで、死の直前に承認撤回をしたのだ。基地闘争に携わる勢力の中からは、なぜ翁長知事は早く撤回しないのか、へっぴり腰ではないかとの批判も出ていた。しかし、早くすればいいわけではない、待ちに待って証拠を積み上げて撤回に踏み切った。仲井真知事の瑕疵を問う裁判とは違う。仲井真知事の承認が正しいとして、これをもとに検証しても政府のやっていることは違法・無法なことであって、これ以上認めるわけにはいかないのだ。
 政府は裁判に持ち込めば、政府を忖度する裁判官ばかりだから勝てると踏んでいるのだろう。政府はどういう根拠、理由をつけて、これまでの違法・無法行為を正当化するのだろう。大浦湾の工事を設計変更せずにどう進めるのか、科学的根拠を示して県側に反論できるのか。この裁判の詳細を国民的に明らかにすることが大事になってくる。本質が見えてくる。
 つぎに、これからのたたかいで重みを増すのが、辺野古新基地建設の是非を問う県民投票だ。市民団体が9万人以上の署名を集めた直接請求によるもので、県議会は与党が多数なので、おそらく12月にも実施されるだろう。法的な拘束力はない。しかし、首相官邸の指導の下、辺野古移設は争点ではないとした知事選と違って、辺野古移設一点に絞って県民の判断を仰ぐ県民投票の重みは無視できない。県民投票にぶつけて政府が裁判を起こすならば、県民世論は沸騰するであろう。
 今度の知事選の玉城デニー勝利の意義はとてつもなく大きい。
 オール沖縄のたたかいは日本全体の市民と野党の共闘の道を開き、これを先導してきたものだ。2014年の翁長知事を生んだ知事選挙、稲嶺さんの名護市長選挙から開かれた。だが2月の名護市長、6月の新潟県知事でオール沖縄と野党共闘は敗れた。最先端の名護市長・稲嶺さんが敗れたことは私にも大きなショックだった。去年の5月以降、安倍首相が9条改憲を最大の課題として押し出してきているもとで、沖縄のたたかいと憲法のたたかいは、安倍改憲勢力と憲法擁護勢力との命がけのたたかいだった。名護の敗北があっただけに、名護と同様に公明・維新が自民と一体となった知事選は、基礎票の段階で負けていることを覚悟のたたかいだった。それを見事に覆したことは、オール沖縄と、市民と野党の共闘をもう一度よみがえらせ、展望を切り開いた。
 憲法9条をめぐるたたかいでも安倍改憲勢力に負けないという希望を与えた。創価学会の3割が玉城デニーに回ったことは、しめつけには屈しない、平和勢力としての自覚が学会員の中にしっかりと息づいていることを示した。これは公明党指導部・学会幹部には衝撃だったろう。9条改憲になると学会員の反発はもっと大きくなることは明らかだ。分裂状態になるだろう。選挙結果が出る前ではあるが、山口公明党代表は30日の党大会で「9条改正が緊急になされるべきだとは必ずしも言えない」と述べた。
 
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玉城デニー勝利、安倍首相官邸「勝利の方程式」のおごりと失敗

2018年10月01日 09時32分48秒 | Weblog
 沖縄県知事選でオール沖縄の玉城デニー氏が、わたしの予想を大きく上回る余裕の勝利、大勝をおさめた。期日前投票が35%あるとはいえ、2時間で5%しか伸びない投票率。60%を切ると佐喜真側の勝利と言われていたから、半ば覚悟し、でももしかしたらとの思いで開票を待った。8時半過ぎだったか玉城当確の知らせを聞き、えっまさか、ほんとと思った。待つこと1時間、NHKがようやく当確を出した。爆発的な喜びよりも、ほっとしたのが偽らざる気持ちだ。玉城デニー39万6千、佐喜真31万6千の大差だ。前回は10万の差、今回は8万の差。
 前回と今回の一番の違いは、公明党が自主投票から自民候補側についたことだ。前回翁長36万、仲井真26万だが、維新・下地が7万あったので、36万対33万、これに前回翁長さんを支持した公明票の大半が今回は佐喜真に囲われるとすると、玉城デニー31万対佐喜真38万が基本的な力関係だと考えていた。だから玉城勝利は並大抵のことではないと思っていた。
 安倍首相官邸筋から、さらにマスコミでもさかんにいわれたのが「勝利の方程式」なるものだった。それはこのブログの9月9日付けでも書いたが、名護市長選挙で官邸・自民・学会公明がやった選挙戦略戦術だ。①政権与党にとって不利な争点についていっさい語らない、辺野古新基地建設については辺野古の「へ」の字も言わない。だが、こういう選挙と選挙民を愚弄するやり方への反発が相当あったようだ。②公開討論会は逃げるという名護での渡具知氏の自信のない手口は県知事レベルではさすがに取れなかった。③実際は大きく伸びているのに、経済は停滞したというデマを名護ではくり返した。知事選ではどの程度のデマぶりだったか詳細はわからない。ただ、携帯料金の4割引き下げを、佐喜真氏は政策に掲げ、菅官房長官は街頭で約束した。若者の票をかすめ取るために、虚偽の宣伝をした事実は消えない。④業界団体と企業のしめつけで投票の自由を奪って期日前投票をおこなわせる。名護では期日前が57・7%まで行ったが、知事選では35%だった。ここには台風が近づいているもとで選管が薦めたこともある。が、名護のように選挙民、下請け業者、従業員をあやつることはできなかったようだ。自民党の組織動員の一番の中心は建設・建築関係の下請け・従業員たちだ。だが、名護でも感じていたし、事実、基地など政府のおこぼれの仕事ではなく(これは本土の建設業者につらなる業者のみ)、民需と自治体の発注がほとんどだ。官邸や自民の脅しに屈して従業員全員に投票を強いることはほとんどの業者にとって意味がない。これを自覚して玉城支持に回った業者も少なくないようだ。⑤創価学会が原田会長以下の陣頭指揮で、有無を言わさず期日前に動員する。公明党が運動するというより、もろに創価学会が指揮をする。本土から学会幹部が5000人入ったというニュースがあったがこの数字が正しいかわからないが相当な組織指導しめつけがあったことは疑いない。だが少数だが公然と玉城支持の旗を振った学会員が登場したことは、良心を奪われたくないと思う学会員を励ました。宗教団体と権力とのこれほどの癒着一体化を放置していいのか。日本の民主主義の問題として公然と議論を開始すべきと思うがどうだろうか。①~⑤はわたしがまとめた「官邸・勝利の方程式」だが、彼らは①と③、④と⑤のふたつにまとめているようだ。
 そこでこの「勝利の方程式」が今回どう働いたのか。彼らが公然と「勝利の方程式」を掲げたことは、これでやれば勝てるとの自信、思い込みがあったのだろう。オール沖縄の運動を切り開き先頭を走った名護を、「勝利の方程式」でひっくり返したことに、官邸筋・自民・学会は相当の自信を持っていただろう。わたしはそこにおごりがあったと思う。人口6万の名護と、140万の沖縄県と同列に見て、「方程式」を当てはめれば同じ答えが出るというのは間違いだ。「へ」の字も言わずにデマ政策をふりまけば押し通せるというのは甘い。県民をみくびっている。自主的に考えるいとまも与えず期日前に連れて行く手法は、県全域となると名護のレベルまではいかない。
 オール沖縄玉城デニー陣営の奮闘は大したものだった。先に書いたが、学会公明党が向こう側の中心に座った時点で、基礎的な力関係では完全に負けていた。それを揺るがし、翁長知事が命を削ってまで県民との約束を守り、平和な沖縄を実現するために努力してきたことを、受け継ぎ発展させるために、各政党団体は表に出ることなく下で支え、翁長樹子(みきこ)さんが「これ以上県民を愚弄するのは許せない」と立ち上がった。樹子さんの訴えは、県民の心に灯をともした。自覚と勇気を生み出すたたかいが広範にとりくまれたことが勝利の要因だ。
 
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