暴力団、半グレ集団などの反社会集団と芸能人が関係を持ったら、表舞台からは完全に排除される。その一番わかりやすい例が、タレントの雨上がり決死隊・宮迫博之だ。宮迫は2019年、前科3犯の半グレで金塊強奪犯の男と飲み屋で同席し金をもらって写真を撮った。さらにその数年前、振り込め詐欺グループの忘年会にロンブー田村亮、レイザーラモンHGらと参加し報酬を得ていたことが発覚した。以後、テレビなどの表舞台からは完全に排除されている。
一方、旧統一教会と長年にわたって深い関係をもってきた自民党はどうか。岸信介元首相から始まる自民中枢の黒い付き合いだけに、マスメディアもさらに警察も忖度の上にも忖度の扱いだった。
統一教会は、正体を隠しての布教、洗脳(マインドコントロール)、不安をあおって高額商品を売りつける霊感商法を手口としてきた。統一教会は民事でも刑事でもたくさん有罪判決を受けている。2007年の政府の「犯罪対策閣僚会議」の「指針」では「反社会的勢力」を「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である」と定義していることを今日の新聞で知った(「赤旗」7月31日)。政府の基準からしても、統一教会はれっきとした反社会集団だ。だがこの定義は放棄されたも同然だ。
自民党三役の一人、福田達夫総務会長は「正直に言います。何が問題か、僕はよく分からない」と責任感ゼロのとぼけた発言をした。この問題は大したことではないと問題矮小化の意図とともに、自民党が人権や民主主義についてまともな認識を持っていないことを明らかにした。
芸能人でも、もちろん一般人でも反社会集団と関係を持ってはいけないというのは侵してはいけない規範だ。ところが政治の世界では自民党が長年培ってきた統一教会という反社集団とは、何の反省もせず、政治的癒着構造を維持し続けている。これでは宮迫がかわいそうだ。反社と関係を持った自民(維新にもいる)議員は表舞台から消えてもらわなければダブルスタンダードになってしまう。