「朝日新聞」4月8日付けの小さい記事に松井・維新代表の民主主義に反する発言があった。7日大阪市役所の記者会見でのものだ。
「立憲民主党や国民民主党、共産党は今年の1、2月、新型コロナウイルスの危機が迫る中で、桜を見る会や森友学園問題ばかりやっていた。もう、とにかく黙っていてもらいたい。彼らこそ、閉じこもっていてもらいたい。行政は新型コロナの被害にあっている人をサポートするという実務の世界にいる。選挙目当てのパフォーマンスをしている人たちは閉じこもって、出てこないでと思う。」
野党は予算委員会、決算委員会などで、政府の税金の使い方、使い道を質すのが仕事だ。不正があってはいけない、国民のために正さなければならない。桜を見る会という政府主催の行事が首相の後援会行事にすり替わっている、税金の私物化を質さなけれはならない。明白な政治資金規正法違反、公職選挙法違反が高級官僚のウソに支えられてまかり通ろうとしている。森友疑惑は自殺した赤木さんの3回忌を待ってご夫人が闘いに立ち上がった。公務員としての模範である赤木さんの命をかけた手記が公にされた。新たに明らかになったことに照らして、安倍首相と妻の行いが厳しく問われるのは当たり前ではないか。8億円の国有財産が不正に払い下げされたのだ。その責任者がのうのうとしている。恐るべきことだ。これを問うことは日本の民主主義の根幹にかかわることで、日本政治を泥沼から救い上げることだ。
たしかに維新は、この二つの問題を民主主義の観点から問いただしてはいない。せいぜい野党を揶揄する材料としか思っていない。野党の追及は選挙目当てのパフォーマンスというが、いつ選挙があるというのだ。ボケたことを言ってはいけない。当の安倍首相こそが選挙目当てに国家行事を事物化し税金を私のものとしたのだ。野党がコロナ問題も取り上げてきたことは議事録を見ればいい。深刻の度を増すごとに、具体的な政策提言を何度も出している。野党は閉じこもって出てくるなというのは、議会制民主主義の何たるかを理解しない低レベルの発言だ。
維新が安倍首相官邸にいっさい頭が上がらない、地獄の底までヨイショしなければならないのには理由がある。2015年の大阪市廃止・都構想の住民投票にかかわって、首相官邸に頭が上がらない。大阪公明党が自民党・共産党とともに議会で否決したのを、首相官邸に頼み込んで、菅官房長官と懇意の創価学会本部を動かして、いったん否決されたものをくつがえすというこれまた前代未聞の転覆劇をやった。その結果住民投票が実現した。投票結果は維新敗北だったが。その後もふたたび、学会本部を首相官邸がうごかして、公明党を丸ごと屈服させる形で今年11月、一度っきりとの約束だった住民投票をやるところに持ち込んだ。いまや公明党は維新にへつらうばかりだ。公の党としてあまりに情けない。
国会での野党の活動に、いまや99%与党になり、野党の妨害が生きがいの維新がいちゃもんをつけるのは、たえず首相官邸に恩返しをしなければならない、二度と民主主義の道に立ち返ることができない維新の今の姿なのだ。