8月22日、横浜市長に野党共同の候補山中竹春氏が圧勝した。菅内閣の大臣・国家公安委員長をしていた小此木氏は惨敗した。
小此木氏は菅首相の身代わりのような存在だった。だから菅首相の肩入れの仕方は尋常ではなかった。表立って支援に入るという形ではなく、約60件、横浜市内の企業に対して官邸から電話で支持を訴えた。総理大臣から直接電話で要請があるとは、受けた側はさぞびっくりしたことだろう。
わたしは思い出す。2018年の名護市長選挙で基地建設反対の稲嶺進さんが3選を目指した選挙で菅官房長官(当時)が選挙に大々的に介入した。官邸直轄選挙だ。菅氏はアタッシュケースに札束を詰め込んで名護に乗り込んだ。いわずと知れた官房機密費だ。官房長官は、月に一億円の現金を長官室の金庫からつかみ取りできる。それを演説会や飲み屋で人を使ってばらまいた。そんなことはない、嘘だというなら指摘してほしいとブログで書いたが、一件もなかった。
金に加えて、菅官房長官は官邸から名護の企業に対して直接電話を入れた。受け取った側は飛び上がるほど驚いた。1地方の選挙に政府のナンバー2が介入して電話をして来たのだから。結果は菅直結の人物が勝利した。一連の選挙のやり方は彼らの中で「勝利の方程式」といわれた。しかし同年行われた沖縄県知事選挙では「勝利の方程式」は通じなかった。人口6万の名護ならいざ知らず、沖縄県は145万だ。赤子の手をひねるようにはいかない。菅官邸はやぶれ、玉木デニーさんが勝利した。
横浜市の人口は370万、全国一だ。大阪市より100万多い。当然、名護のようにはいかない。官邸から主だった企業に電話をかけて締め付けても、効き目はわずかだ。
60本も電話をするのは時間も労力も相当かかる。本気で介入したことを示す。それだけに負けた打撃も大きいだろう。横浜市長選挙は総選挙直前のシンボル的な選挙だ。政治的な意味は大きい。