1031ビジネス・コンサルティング

経営コンサルタントの目で、日々の出来事から、参考になるキーワードを取り上げて、解説したり、情報発信をします。

農業読本 はじめに

2021-01-04 22:30:55 | 独り言
このBLOGは過去にセミナー等でお話しした内容を集め直して整理し、農家の方だけでなく、普及指導員の方をはじめ、広く農業に携わる多くの方に読んでいただこうと、読みやすく易しく書き直したものです。タイトルを農業読本とした理由はそこにあります。農家の方たちと接する中で、農業に携わる皆様の日々の活動の少しでもお役に立てることを願って読み物風にまとめてみました。今年はシリーズでできるだけ書き進める予定です。
 小生のそもそも6次産業化プランナーとして活動するきっかけは、1993年の「平成の米騒動」に始まります。当時首都圏の大型店舗の経営を任され、不足する米をどのようにお客様に提供すればよいのか、お米を仕入れて供給する方法だけでなく販売価格の設定、お客様への告知方法、集客、抱き合わせタイ米の処理などいろいろな面で悩みました。特にライバルは同じ駅前の大手総合スーパーでした。ライバルはいつ入荷するかわからない売場にお客様を並ばせたままで、地元のお年寄りなどは相当なご負担に感じたことと思われます。仕入れ先の米問屋を訪問し、タイ米と抱き合わせでも何とか販売できる数量を確保した時には非常にうれしく感じ、これで少しでも地元のお客様に喜んでもらえると思ったものです。しかし、どのように販売すれば混乱しないでお客様の手に公平にお渡しすることができるのか、それはそれで課題が生まれました。週数回の入荷予定日を店頭に張り出し、開店前に抽選券を取りに来ていただき、開店と同時に当選番号を店頭に掲示、並ばなくても抽選に当たっていれば当日の配布予定分は確実にお客様の手に渡るようにしました。お年寄りから涙を流して喜んでいただいたのが忘れられません。従業員の皆さんには苦労を掛けました。タイ米を従業員食堂でカレーやピラフにして食べてもらうわけです。売場で提供する米は従業員には一切購入させず、我慢してもらいました。従業員食堂のシェフがそれでも味付けには非常に凝ってもらい、試食会を開いて従業員の皆さんに味を決めてもらったりしたものです。そのことがきっかけで、日本における農業生産や自給率の低さに興味を持ち、農業に従事する方たちの実際の現場の苦労などを体験し見学するようになりました。バイヤー任せにすればよいのですが、実体験をすることで苦労して栽培された商品をどのように販売していけばよいのか、学ぶためまた自分自身で納得するためでもありました。食料品に取り組んだのはその時が初めてです。それまでは輸入特選品と言って海外のラグジュアリーブランド商品の仕入れ販売を担当し、管理職として首都圏の店舗を見ることになり、食品に関しては全くの素人でした。現在、中小企業診断士としてまた6次産業化プランナーとして、多くの企業や農業法人、農家の支援を行っているのはこうした経験と現在の家で栽培するかんきつ類(文旦、甘夏、柚子、ミカンなど)や、柿、イチジク(ザ・キング)などの栽培経験によるものです。販売経験と栽培の実体験等を踏まえ、今、「ストーリーのあるものづくり」を広く企業や農家の皆様にお伝えしています。実は入社してすぐ、この「ストーリー」の重要性を学びましたが、当時はマーケティングやマーチャンダイジングを知識として学ぶことが主で、お客様に対して作られた商品の良さをどのように伝えたらよいのかまでは、商品のディスプレイやPOPくらいでしか表現しなかったものです。販売経験を通じて、商品を売るためにはその商品のすばらしさをどのように消費者に分かってもらえばよいのか、世界の一流品をまずは販売しながら悩むことになります。当然直輸入品ですから買取り商品ばかりです。残したら自分でリスクを負う必要があります。現在ではグッチ・グループ・ジャパンやフェラガモ・ジャパン等直接的にそうしたラグジュアリー・ブランド企業が日本に進出していますが、当時は商社や我々が直接工場などから仕入れをすることも可能でした。工場に行き、一品一品顧客を想定しながら仕入れをし、売場ではその仕入れた商品の良さを説明しながら自らの手で販売をする。昔はそうした仕組みになっており、現在とは全く違う商店的な、いわばセレクトショップ的な仕入れと販売方法でした。今考えるとこれが非常に役に立っているわけです。商品を売れ残さないためにどのように販売をしなければならないか必死に考え、顧客の家を訪問しながら販売などもしました。「あなたのために仕入れてきました。」そうした口説き文句で、世界の一流品を昔は販売したものです。トラベルバッグに40~50枚の服を入れ、お客様の家で広げながら販売をするわけです。今の百貨店外商のようなことをやりました。お客様のサイズや好みなど頭に叩き込んで好みと思われる商品を集めて訪問するわけです。自分にとっての1to1マーケティングの始まりでした。海外に仕入れに行くときや国内での仕入れの際、各売場のバイヤー兼販売担当者と顧客データを基に仕入れに行ったものです。また、ヨーロッパのラグジュアリー・ブランドの工場がどのような運営をされているのか、設置されている機械類や実際の仕入れの手続きなども学ぶことができました。現在、国内外の展示会を見に行き、販路開拓などの支援活動も行っていますが、この時の経験が非常に役に立っています。
 そうした経験を活かし中小企業診断士として、現在中小企業のものづくりの支援をもう一つのテーマにしています。ものづくりは農業や製造業においても商品は違えども、ものを作る精神は同じで、丹精込めて作った商品を消費者に届ける物流の流れも共通したところがあります。だからこそ、素材を活かしたものづくりから加工、販路開拓に至る一連のプロセスを理解し事業の成功に結びつけていただけるよう、農業の活性化と中小企業のものづくりの支援を2つのテーマに活動を行っています。そうした製造業などでの「デザイン思考」によるものづくりのエピソードは別の機会にし、農業で儲けるための「ストーリー」とは何か、栽培から加工、販売に至る一連の流れについて、それぞれの生産から流通の現場における重要な「ストーリー」とは何かについてお話ししようと思います。
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新しい年を迎えて

2021-01-04 22:22:26 | 独り言
2021年の干支は辛丑(かのと・うし)。「辛」は植物で言えば実を地面に落とし芽が種子の硬い殻を破ろうとしているところ 、 命の息吹を感じます 。 「丑」は作業の準備段階を表し物事の「はじめ」を 意味しています。
「辛丑」は 相手の力を生かし強め合う関係をいい、緩やかな衰退、痛みを伴う幕引きと、新たな命の息吹が互いを生かし合い、強め合うことを意味しています 。 それはまさに「転換期」を表し 、 60 年前の レジャーブームに沸いた 高度成長期 の 人々が豊かになっ て 来た頃を思い出させます。 日々の地道な努力によって 新たな日本の復活を意味しているのでしょうか。 もう少し 頑張って 社会の役に立てればと 思い 、今年も 現役を続行するつもりです。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
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