1031ビジネス・コンサルティング

経営コンサルタントの目で、日々の出来事から、参考になるキーワードを取り上げて、解説したり、情報発信をします。

【16】FCPシートの活用方法

2021-03-27 11:31:39 | 独り言
FCPシートの書き方についてセミナーでお話しするのは、S・T・P・M、(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングそしてマーケティング・ミックス)つまりどこで売りたいのかそのための記述ができているのかです。
 FCPシートも改良を重ね、ターゲットの項で小売りしかなかった項目が、第3版で百貨店、スーパーなどと細分化されました。現在は3.1版になっています。製造業と異なり、農業の場合には顧客ターゲットを細分化するよりも、むしろどこで売りたいかが基本になると思います。事業戦略はそこから始めると良いのではないでしょうか。百貨店や高級スーパー、高級食材専門店などで販売したかったら、それなりのモノづくりの工夫、価格設定、ブランド、包装資材の工夫、デザイン、販促ツールの開発などが求められます。加工品なら工場の安心・安全管理、味はもちろん包装資材の完成度、商品名、ブランド化などバイヤーの要求にできるだけ応えた内容で記述が必要です。
 農水省のFCPシート記入例を参考にしながら、より自園・自社流の内容のシートを作成してほしいと思います。
 次に記入する際のポイントについて述べたいと思います。
読む相手の身になってまず記述することが大切ですが、そのためには文字の大きさ、きれいさなどもバイヤーには評価されます。
FCPシートのひな形を添付しますが、下記のFCP(フード・コミュニケーション・プロジェクト)のHPを開き、関心のある項目をぜひ参考にしてください。
■フードコミュニケーションプロジェクトの成果発表のページ
FCPシートやその書き方などが以下のページからダウンロードできます。
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/fcp/syoudan_tebiki/attach/pdf/20200717index-5.pdf

『FCP展示会・商談会シート』作成の手引き、補足
FCPシートの各項目は次のようになっています。それぞれの項目に従って少し説明を加えたいと思います。

番号 シート項目 補足内容
1 商品名
2 最も美味しい時期
3 賞味期限・消費期限
4 主原料産地(漁獲場所など)
5 JANコード
6 内容量
7 希望小売価格 333
8 1ケースあたりの入り数
9 保存温度帯
10 発注リードタイム
11 販売エリアの制限
12 最大・最低ケース納品単位
13 ケースサイズ(重量)
14 認定・認証機関の許認可(商品・工場等)
15 ターゲット
16 利用シーン
17 商品特徴
18 商品写真・一括表示/アレルギー表示
19 出展者企業名
20 年間売上高
21 従業員数
22 代表者氏名
23 来場者へのメッセージ
24 ホームページ
25 会社所在地/工場所在地
26 担当者、e-mail,TEL,FAX
27 製造工程(農林水産品の場合は生産工程)などのアピールポイント
28 商品検査の有無
29 衛生管理への取組
30 危機管理体制

FCP(フード・コミュニケーション・プロジェクト)ではHPで記入例など多くの参考資料が掲載され添付されていますから、ぜひ活用していただきたいと思いますが、全国の農業に携わる皆さんがFCPシートを利用されているわけで、独自にシートを作られていた農林中金をはじめいろいろな金融機関などが、現在はFCPシートに変更活用されるようになっています。農家にとっていろいろなシートがあれば手間がかかります。国の共通コミュニケーション・シートとして活用するのは非常に良いことだと思います。では、どの農家も同じような記述になってしまうのかといえばそうではありません。内容や写真などで、バイヤーは一見して判断いたします。少しでもおいしいモノづくりへのこだわりを持った農家だと思われるためには、各項目をしっかり記述する必要があります。
 「FCP展示会・商談会シート作成の手引きの項目別補足シート」を参考に、項目別にポイントを押さえていきます。補足シートのHPアドレスは、下記のとおりです。補足シートに記述されている場合はHSと記しておきます。
https://www.toriton.or.jp/userfiles/files/FCP%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%AE%E6%89%8B%E5%BC%95%E3%81%8D.pdf

1.商品名  
正式な商品名やブランド名など、また分かりやすいネーミングになっている
でしょうか。HSでは独特の読み方や読みづらい名称には仮名を振るように提案しています。
2.最も美味しい時期
農作物によって旬の期間が異なり、時期によって糖度が変化したり味が変わります。旬の時期でもおいしい時期などを明示しましょう。催事展開する場合などに、バイヤーには好都合な情報となります。HSでは期間限定などの場合は理由とその期間を明示するよう提案しています。ただ時期によって糖度などの変化が少ない栽培方法の研究なども農家の皆さんには提案し工夫していただいたりもしています。
3.賞味期限・消費期限 
期間を長くしようと考えがちですが、消費者に味わってほしい期間、安心・安全な期間を描く必要があります。加工品で添加物などを加え、時期を長くするのはかえって嫌われることがありますから、要注意です。
表示する際に、賞味期限と消費期限の違いを理解してください。HSには、賞味期限はおいしく食べることができる期間、つまりおいしく食べられる品質の保持が十分可能と認められる期限を示す年月日のことと記されています。
消費期限は、期限を過ぎたら食べないほうが良いということで、示された期間中は、腐敗や変敗その他の品質劣化により安全性を欠く恐れのない期限とされています。経験から期間を設定されている農家の方がいらっしゃいました。適切な期間設定が求められています。コロナ禍で消費者の関心は高まっていますので、ものづくりの際注意しなければいけない事項です。
4.主原料産地(漁獲場所など)
消費者やバイヤーの関心事の非常に高いところです。東北地方の農産物など風評被害は少なくなったとはいえ、安心・安全の表示に心がける必要があります。
HSでも、複数の原材料について記載する場合、原材料名と産地を記載するよう求めています。産地が限定できない場合の記述は〇〇他と記載します。
5.JANコード
JANコードは「Japanese Article Number Code」日本工業規格(JIS)制定の標準商品表示で、バーコード(JANシンボル)として商品などに表示されています。JANコードは日本国内での呼称で、欧州ではEAN(イアン)(European Article Number)コード、米国・カナダではUPC(Universal Product Code)と呼ばれ、互いに互換性のある国際的な共通商品コードのことです。取得することで、売上・在庫管理などに活用できますから、自園・自社での販売はともかく道の駅や流通企業・通販企業などとの取引の際は必要となります。使用するにあたっては申請が必要で多少なりとも費用が発生します。
6.内容量
経時変化が起こる場合があり、計量に注意する必要があります。また消費税の変更に伴ったり、材料価格等が高騰し容器の形状などを変更したときなどには注意が必要です。包装した生鮮食品、加工食品においては、内容量を内容重量、内容体積または内容数量のいずれかで表示する必要があります。
7.希望小売価格
価格設定には注意が必要です。すでに道の駅で販売しているからと安くする必要はなく、中間卸や商社などの企業が入ってもよいように、価格設定の工夫が必要です。小売業などでは納品する際に、小売価格(販売価格、上代とも言います)の20%~40%近くを要求するところがあります。買取りだともっと多いかもしれません。それに中間卸などの利益を考えると、納め価格がいくらになるかを考えて、設定する必要があります。
どこで売りたいかによって、パッケージなどの形状も変わりますので、価格設定は慎重に行う必要があります。
HSでも卸値『取引先受渡価格(送料の有無)、ネット・納品価格』を同時に聞かれる場合があるので、答えられるようにしておくこととされています。
実はバイヤーは皆さんからいくらで買えるのかをむしろ知りたいのです。小売価格は「参考上代」であり、皆さんとの商談の中で内容やパッケージなどを変更し独自性を出すことで価格変更を要望する場合もあります。買い付ける量が多い場合など、卸値いわゆる出し値を交渉されます。セミナーでは買い付け量による卸価格を別途価格表として準備することをお勧めしています。バイヤーに見せることはありませんが、交渉時役に立ちます。
なお、消費税が変更になりましたから、表示には注意が必要です。特に百貨店やスーパーなど販売する店舗の現場によって消費税込みの総額表示であったり、表示の仕方が上段に税抜き表示、下段に総額表示などいろいろですので、プライスカードなどの作成には注意が必要です。
8.ケースあたりの入り数
ギフト商品など、バイヤーはパッケージの形状と入り数などをまず知りたいものです。1ケースの価格と単体の価格が分かるように表示に気を付けてください。HSには、荷姿が合わせの場合には、例えば1ケース当たり10入りで2合わせの場合、10入り2合わせと記述するよう求めています。
9.保存温度帯
バイヤーは鮮度管理に非常に気を使います。常温だからといっても朝採りなどにこだわる理由をよく考えて、次の項目の10と関連して説明をする必要があります。HSでは、常温、チルド、冷凍などを記載するよう求めています。
10.発注リードタイム
旬の時期は朝採りですぐに納品といっても、納品時間によっては、午後便扱いや次の日に回されるような場合があります。取引先のシステムを理解しながら、どのような体制が取れるのかも説明が必要です。HSには、納品するエリアや最低ケース納品単位によって違う場合は、その内容を記載するよう求めています。
11.販売エリアの制限
商品によって、また生産量によって、どこで栽培しているかによって、流通コストが掛かったり、時間の経過で商品が傷む可能性もあります。首都圏などの消費地で販売したい気持ちは分かりますが、商品によっては工夫が必要となります。HSでも制限がある場合にはその理由を明確にするよう求めています。
12.最大・最低ケース納品単位
取引先によっては少量で依頼される場合があります。レストランなどでは、1店舗でそれほどの量を消化するわけではなく、融通を利かす必要があります。中には他の取引先への販売もしてくれるレストランなどもありますが、こちらの手間や人材・人的資源も考えて、設定する必要があります。HSでは日量何ケースなどと記入するよう求めていますが、最大で何ケース納めることができるのか、最小何ケースから納品可能かを明確に記述してください。
13.ケースサイズ(重量)
段ボールなどは既製品を使う農家が多いと思いますし、JAなどのケースを使う農家もあると思います。供給力のある農家ですと、自前のデザインを施したケースなども知名度の向上や宣伝にも一役買ってくれるので、工夫をする農家もあります。1ケース当たりのサイズと重量を記述する必要があります。
14.認定・認証機関の許認可(商品・工場等)
食品に関しては特に安心・安全を求められますので、HACCPやGAPへの対応などが求められます。オリンピックを控え、またその後の販路拡大を見越すとこうした制度への対応が必要となります。経費も掛かることから今後の事業戦略を策定する中で、スケジュール化し取得に向け努力していただきたいと思います。すでに取得されているところは必ず記述をすることが重要です。HSでは、自治体の認証取得の場合なども積極的に記載するように求めています。特に今年2021年6月からHACCPが義務化されます。HACCP伝道師として活動していますが、注意してほしいのはHACCPでは認定を求められているわけではないということです。個人農家や中小・零細規模の加工場などでHACCPの考え方を取り入れた衛生管理が行われたら、それがHACCP対応になるわけでしっかり自社や加工場のハザード要因を分析し、衛生管理データを記録し、遵守すればよいということです。ただアメリカなど海外に輸出する場合には認定機関からHACCP認定を受ける必要もあります。今後事業をどのように展開していきたいか、しっかり事業計画を立て対応していただきたいものです。HACCPに関しては次回でもお話しする予定です。
15.ターゲット
ここは希望する売り先を選択します。
よくファミリーとか女性などと書かれる方がいますが、まずはどこで売りたいのかを考え、「付加価値生産の分かるおいしさや食の健康、安心・安全を求める主婦」などと記述する必要があります。バイヤーはそうした顧客層を狙っており、中には価格志向の客を狙う企業もありますが、栽培面積によってはそうした価格コンシャスな顧客はターゲットにしないほうが良いと思います。
16.利用シーン
どこでどのような顧客に販売したいかが明確であれば、利用シーンは書きやすいと思います。一番おいしく食べてもらうための調理法や、朝食で1日の活力を生むためにとか、夕食での健康維持のためとか、スポーツの後の疲労回復にとか、栽培した農産物や果物、加工食品などから食べてもらいたいシーンを分かりやすく記述する必要があります。HPなどでも訴求しておきたい項目です。
HSでは、変わった調理法や風習などがあれば記入するとよいとしています。
17.商品特徴
努力して栽培した商品ですから、どのような環境で栽培したのか、土や水、農薬・肥料などに関してしっかり記述してください。HSでは、差別化のポイントを記述するように求め、原材料や使用した副材料の特徴、製造過程でのこだわり、商品開発に当たり最も工夫した点、開発にまつわるエピソード等を明示するように求めています。栽培した土地の特徴を述べ地元産のみ使用とか、そのための食品の特色、例えば味の深みや香りの違いなどを訴えるとよいと思います。また栽培や加工に関して、独自の栽培方法や加工方法など他では真似のできない、もしくは行っていないノウハウなど、強みをしっかりと表現したいものです。
18.商品写真、一括表示
生鮮品と加工品で商品の写真に工夫が必要です。
生鮮品でも、ただ商品を撮影するのではなく、どのように包装されているのか、またどのようなケースに入れられて販売されるのか、分かりやすく提示する必要があります。
以前に紹介していますが、株式会社ファームステッドというデザイン会社が北海道にあります。A-FIVEなどのセミナーで講演を依頼し、東京ビッグサイトでのギフトショーの際などのセミナーをはじめ全国で講演会などの依頼が殺到していますが、「農業をデザインで変える」という本を出版され、講演会やそうした本などの中で成功事例をたくさん発表されています。小生もセミナーの中ではいつも紹介させていただいていますが、デザインが非常によく考えられており、農業になぜ「デザイン」が必要であるかを、ビジネスを通じて実践されています。「デザイン」としてかっこ書きにしたのは、社長の長岡さんは単なるデザインではなく事業戦略につながるデザインを常に対話を通じて提案されているからです。広義のデザインに対する考え方を持っておられ、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
18. アレルギー表示
この欄では、表示の義務のある商品名や、表示を奨励する商品名にチェック欄がついています。使用していない場合は✖で消しておくと、ちゃんと考慮していると思われます。
19.出展者企業名
独特の読み方や読みづらい名称の方は、必ず振り仮名を振ってください。バイヤーは改めて聞きにくいものです。
20.年間売上高
小規模零細企業はあまり書きたくないところだと思います。金額によっては相手にされない場合もありますが、相手取引予定先も小さい場合は逆に喜ばれる場合もあります。商談の中で相手の名刺を見ながら商談する必要がありますが、面積などの規模からだいたいバイヤーは売上などを予測できます。大規模農家や農業法人は供給力があることを分かってもらうためにも記述したほうが良いと思います。その際には平成何年度、売上〇〇万円などと記入してください。
21.従業員数
パートやアルバイトの人数も入れて総合の人数を記述しましょう。 規模や人数からバイヤーは供給力や農家の力を判断いたします。いつ現在の人数か記入しておくと親切です。
22.代表者氏名 フルネームでの記述が原則です。難しい名前には振り仮名も必ずふってください。
23.来場者へのメッセージ
いろいろな商品を栽培している農家は、どのシートにもコピペして同じ文章にされる場合が多いのですが、バイヤーにとって少しでも印象付けるためには栽培品目ごとに少しでもよいので「こだわり」の栽培、努力の部分を強調しましょう。土壌改良や水、農薬・肥料、苗や種に関してどのような工夫を日ごろされているのか、ストーリーを語る部分です。
HSでは、企業姿勢、中でも、企業理念・食品事業者としての基本方針・法令順守への取り組み方針・食の安全・安心に関する理念・お客様とのコミュニケーション方針・食育などの取り組み方針などを記述するように求めています。
24.ホームページ
他の項でも触れていますが、フェースブック(FB)やブログなどで情報発信されている農家も多いのですが、バイヤーはHPでどのような思いで栽培をされているのか、農業に取り組んでおられるのか知りたくて見に来ます。HPのページネーションに気を付けて情報提供するのが重要な理由はここにあります。また、FBやインスタなどとリンクを張ることでSEO(検索エンジン)対策の工夫もぜひ行ってください。ただし、作成しっぱなしで記事が古いのは逆効果となりますので要注意です。
自園で直売所などを持っている方や加工場で農産品を販売されている方がいます。最近はMEO対策も必要と言われています。GOOGLE MAPなどの検索でも表示される3社に入ると検索する消費者やバイヤーにとっては非常にありがたい便利な仕組みです。東北支援の際企業訪問では重宝しました。
25.会社所在地/工場所在地
加工品製造の場合外部委託されていれば、その連携先の名称を記述する必要があります。大手工場などと連携している場合は、むしろ記述することでバイヤーに安心・安全及びそれに対する姿勢が分かります。
26.担当者、e-mail、TEL、FAX 間違いがないか見直しをしてください。
27.製造工程(農林水産品の場合は生産工程)などのアピールポイント
この項の表示は非常に重要です。写真も含めて、製造工程をフローチャートなどで示す必要があります。それぞれの工程でこだわりの部分を示す必要があるからです。そのプロセスの中で、生産される商品の環境写真、加工品の場合は工場の安心・安全面の実行されているシーンの写真、製品として完成されているシーンやパッケージに入れられている写真など、ポイントを工夫して事前に撮影しておき、HPなどと連動させると良いと思います。
生鮮品でもどのような環境の中で、どのような水やりや農薬・肥料などを使って栽培しているのか、ハウスなのか路地なのかなど、これもHPと連動して撮影しておく必要があります。
雛形の例では工場内の絵しか描かれていません。小生はシートの左端には環境(圃場)を見せてはとお話ししています。工場や圃場の周辺環境がどのようになっているのか、工場に入れば安心・安全管理が行き届き、最終製品になっている工程を3段階で見せるのが分かりやすいのではと思います。工場はバイヤーにとって関心事の非常に高い場所になりますが、必ずと言ってよいほど取引開始の際には見学に来ます。工場の管理状況をチェックしないと商品の販売はできません。いかにモノづくりに適した環境で製造を行っているか、安心・安全感を見せる必要があります。
28.商品検査の有無
農家などでも目視による検査など、記述する必要があります。何もしないで出荷されるとバイヤーとしては取引したくないものです。できるだけ、「有」にチェックを付けられるよう管理することが大切です。加工場に関しては、衛生管理等に係る検査項目に対しての結果を示す必要があります。製造現場・生産現場の安全性を示すことが大切です。
29.衛生管理への取組
加工品となるとこの取り組みは非常に重要です。
5S(整理、整頓、清掃、清潔、習慣づけ)などに注意しながら、加工品などでは洗浄、消毒などを加えた7Sへの努力などをしっかり記述する必要があります。
30.危機管理体制
クレーム対応に関して誰が対応するのか、どのような体制になっているか、トレーサビリティをしっかり行い、原因追及が可能な体制や対応を分かるように記述する必要があります。個人経営の場合は、個人の名前を記述してください。

以上簡単に触れましたが、項目によってはバイヤーが気に掛ける部分があることを理解し、抜けもれなく記述する必要があります。
ネットなどで参考事例を見、同業他社や同じ農産物を栽培する農家などの記入例を参考にブラッシュアップしていくことが重要です。


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自動配送ロボ

2021-03-22 09:19:59 | 独り言
実は大学の論文で、地方創生は自動運搬車、通称自動配送ロボの活用がカギになると書きましたが、いよいよ来年度から公道を走る可能性が出てきました。
ラストワンマイル競争が厳しいアメリカや中国、アマゾンやアリババ集団のファーマ―フレッシュの動きを見ながら、東北の復興支援などまだまだ開発の遅れている地方の活性化に自動運搬ロボの活用こそが役立つと考えたわけです。
海外ではすでにいろいろな企業が単に配送だけでなく、人を運び、食事を運び、小型スーパーのような動きをする自動配送ロボを開発しています。
日本のZMP社が慶応大学やローソンなどと2020年に実験を行っていますが、デザインや機能等世界をリードするレベルに引き上げ、地方の経済を早く動かしてほしいものです。
リバースイノベーションではなくエッジイノベーションとして日本の技術の地方社会への応用に期待していますが、スマートシティなどの今から10年後を見据えながらも、早期に東北の復興などのために自動配送ロボの公道走行を認めてほしいもの。
将来を見据えた道路の開発などそこから新たな生活空間が生まれると思うのですが、過去の復活では地方創生や真の復興にはつながらないと、東北の現地を見ながら感じたものです。
とかく問題視されているファーウェイ(華為技術)やテンセント、BYD、ZTE、DJI、平安保険など、著名な中国企業が本社を構える中國深圳等のスマートシティの驚くほどの発展ぶり、コロナ禍で訪問することができない間にまた更に大きな変化が起きているのではと思わざるを得ないほど、発展しています。
しかも香港問題でいろいろと話題になっていますが、香港を囲むように深圳市は発展しており、香港以上の役割を今後果たしていくのではと予測されます。
恐るべき中国の底力を感ぜずにはいられません。
そうした先進事例を見るにつけ、なぜ日本はデジタル社会で遅れてきたのか、アナログ資産の充実が発展を逆に遅らせたのかもしれません。
今度は日本がリープフロッグ現象を起こす番、しかし世界の進歩に追いつけるのでしょうか。
コロナを禍としてみるだけでなく、その先を見越して日本の新しい姿を描きたいものです。
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【15】商談会とマッチング、販路開拓  その2

2021-03-18 17:32:04 | 独り言
バイヤーが商談で何を求めてくるか、判断基準などについて述べたいと思います。
■バイヤーの仕入れ判断基準
①価格設定
 自社の取扱商品の販売価格帯を熟知しているバイヤーですから、価格設定については非常に敏感です。「お値段以上」の価値を求めてくると思っても間違いないと思います。日ごろから、売りたい店の価格帯や競合相手の価格帯をよく調べて知っておいてください。交渉の中で、日ごろの努力を語ることで、どれくらいのランク、もしくはレベルの商品であるのか、語れるようにしておくことが重要です。そのうえで「値ごろ感」を出すことも重要です。
②ブランド・商標・商品名
 バイヤーは地域で知名度のある商品、いろいろな「賞」を受賞した商品など、注目度の高い商品には興味があります。最近の地方創生の流れに沿って、オリジナル色のある商品、希少性や商品・パッケージの完成度の高い商品には、消費者の共感を得られやすく、仕入したいものです。一次産品でも栽培に苦労して、一層のおいしさや季節感、その先取りをした商品などには興味を持ちます。
 商品化する際に、そうしたバイヤー目線、消費者目線を意識して、開発する必要があります。
 キーワードは、①値ごろな価格、②地域色、③季節感、④独自性(オリジナリティ)などです。
 そうしたキーワードをどこまで生かした商品開発ができているか、それにより地元での評価を得、地元情報誌やマスコミなどの注目を受けているか、おいしさは当たり前ですが、付随的な条件も満たす必要があります。
 なお、バイヤーによっては、事前に興味のある商品に関して、工場を見、生産能力を測り、安心・安全の確保をしながら、商品開発の支援をし、知名度を上げ、マスコミに情報を流し、そのあと自分の店舗に導入するケースもあります。そうしたバイヤーとどれほど柔軟に対応し、新たなビジネスモデルの構築を可能とするか、いろいろな成功事例を学ぶことも大切です。
 地域ブランドから出発し知名度を上げ、売上を伸ばしていくためには、ブランド名や商品名、その商標登録なども独自性を発揮し、情報発信する際に重要です。
時には、弁理士などに相談し、魅力的な名称を付けたいものです。
 こうして作り上げた商品も、パッケージや包装資材のイメージが売りたい店と異なるものでは、販売につながりません。バイヤーは次に挙げるようなことを考えながら仕入れを行っているのです。
③ストアイメージに合っているか
 バイヤーは自分の担当売場に皆さんの商品を置いた時のイメージなどにも注意します。すでに販売している商品群の中に新たに加えることで、イメージダウンにならないか、より引き立て相乗効果を発揮する商品となるのかなどを判断します。仕入れる段階に至るまでに、安心・安全管理はもちろんのこと、そうしたイメージにまでこだわります。百貨店やスーパーと直売所の違いかもしれません。パッケージやシールのデザイン、法規制に則ったそれでいて消費者の目を引くデザイン、総合的な商品の完成度が求められます。
④安心・安全
 お互いの信頼関係は、単に売れるからではありません。基本となる安心・安全管理ができており、消費者に自信をもって販売できることが何よりなのです。
東京オリンピックのためだけではなく、今後広く市場に受け入れられるためには、GAPへの対応、HACCP対応など、段階的にどのような認証を受けていくかも、今後の重要な事業戦略にかかわってくると思われます。
特にHACCPは今年(2021年)6月義務化になります。HACCPの考え方に基づく衛生管理が必須です。
 小生は企業支援を行う際、加工品の場合などは必ず工場を拝見しますが、バイヤーも同様です。FCPシートにも記入をお願いするのですが5Sもしくは7Sに注意が必要です。
 ①整理、②整頓、③清掃、④清潔、⑤習慣づけ、⑥洗浄、⑦殺菌が食品衛生上求められているものです。どれだけ努力しているか、FCPシートやHPで情報発信する必要があります。
 何度も申し上げたいのは、1枚扉の出入り口での工場管理はダメということです。風が埃や虫を運び込み、髪の毛やその他の異物を商品にもたらす危険があるからです。6次産業化における加工場の解決すべきポイントでもあります。
⑤その他取引上注意すること
 自園で栽培する農産物の場合に、農薬や肥料はどうしているのか、まずバイヤーは知りたがります。
加工品においては、原材料をどこから仕入れて加工しているのか、すべて特定の生産者が提供しているものか、原産地表示は正しく表示されているか、その他の表示も法令に従っているのか、原材料は重量順に表示されているのかなどです。消費期限・賞味期限について適正な起点からの表示になっているのか、内容量についても適正な表示になっているか、アレルギー表示も正しく記載されているかなど、すべてに正しい記載が求められています。
 また最近の健康志向で、カロリーや栄養成分表示などについても関心が高まっています。食品の保存方法についても、長ければよいのではなく、むしろ添加物などを見て購買を判断する「賢い消費者」が増えていることにも注意が必要です。
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【15】商談会とマッチング、販路開拓 その1

2021-03-15 10:11:13 | 独り言
 商談会でバイヤーを口説くためには何が必要でしょうか。自園の強みを「ストーリー」でバイヤーにうまく語れるかなのですが、その際バイヤーに「へえ」とか「ほう」と思わせることが大切です。全国の担当商品を勉強してきている彼らでも知らないことがあります。まして初めて面談する農家の環境や栽培方法などよほど全国区のブランドになっている農家でなければ知る由もありません。面談の際、「農林大臣賞」をもらっているとか、フランスの品評会で賞をもらったとか、いろいろな「賞」に挑戦し受賞歴を語ることも必要ですし、従来の製法や栽培方法とは異なる新たなモノづくりに挑戦し、注目を浴びているなど、いろいろとまだバイヤーが知らないことに対して、日ごろの努力を語ることでバイヤーをうならす必要があります。まずはおいしいのはあたりまえで、その上にさらに強みがあることを説明したうえで、試食を勧めてほしいのです。バイヤーは全国の担当商材を勉強していて絶対食感も磨かれている彼らにとって、すぐに試食を促しても、まあそんなものかと思われるのが落ち、農薬不使用でもここまでおいしいとか、納得させる必要があります。こちらの強みを語りながら、バイヤーが経験してきた中で、いまニーズとして何を必要としているのか、うまく引き出して語らせる必要があります。商談会の時間は意外と短く手短に終わらせる必要もあります。バイヤーが基売場での展開商品を求めているのか、催事での展開商品を求めているのか、その催事はどのような内容でどれくらいの規模なのか、供給力に対してどれくらいを要求しているのか、いつ必要なのかなど、うまく引き出しながら、自園だけで対応できるのか否かなど判断していく必要があります。その中で加工品などに関しては、そのバイヤーの店舗や企業イメージに合っているのか、どれくらいのレベルの商品を求めているのかなどを探る必要があります。せっかくの時間をもらいながら、バイヤーの最終の答えが「検討しておきます」では次につながりにくいのです。アフターフォローをしっかり行うためにも自園の強みを語りながら、相手のニーズを探る必要があります。そこにうまくはまれば、「また連絡する」になり、「こちらから連絡しますので、連絡先を教えてください」という次へのつながりに持っていけるのです。
 供給力や価格面で折り合いがつかない場合もありますが、価格訴求だけのバイヤーならマッチングを無理にする必要もないと思います。日ごろの努力を価値として感じてくれるバイヤーと組むことが大切です。その中ですぐに基売場に出るのではなく、供給力によっては催事などでの展開でテストしてもらうなど、販売機会を得るように商談を持っていくことが大切です。
 バイヤーとの商談が進むにしたがって、契約上の課題が出てきます。以下にバイヤーから要望されるであろう事項をまとめておきます。
■販路開拓・契約上起こりうる問題
①納入価格(納め価格ともいわれます)
 相手からみて納入価格は低いに越したことはありません。日ごろ努力して栽培し、加工等した商品ですが、最初の価格設定が重要です。いわれてすぐに下げるような価格設定ではなく、量的に多く希望されたときには対応するような価格設定が重要です。
②供給量(納入ロット)
 バイヤーがどの売場(基売場なのか催事なのかなど)で、どれくらいの量を希望しているのか、よく聞く必要があります。少量を多頻度で納入するとなると、配送費用の負担が大きくなります。一度に多い場合に仲間と連携して納品できるか、集荷作業も大変です。
③納期・納品方法
 いつの納期でどのような納品方法を求められるのか、対応に気を付ける必要があります。希望期日に発送が可能なのか、本部集中納品なのか、個別店舗発送なのかなど、後で費用負担が増えないように注意する必要があります。
④配送費用
 ほとんどは配送に関して費用負担を考えて納入価格を設定する必要がありますが、遠距離の場合には相手に多少負担を依頼するのもよいかもしれません。
 またパッケージや梱包費用など、相手先要求によっては思わぬ出費になることがありますから、事前に確認が必要です。
⑤条件交渉(買取りか返品有りか)
 交渉で重要なのは、買取りなのか返品有りの契約なのかです。道の駅のように近隣で引き取りに行ける場合はまだよいかもしれませんが、野菜なら総菜にしてもらったりレストランなどで使ってもらったり、魚でしたら「開き」にするなど後工夫をしてもらえると助かります。こうした相手側の工夫に関して最近はあまり期待できませんが、買取り交渉をしてくれるバイヤーも増えています。その分納入価格は厳しくなると思ってください。また注意しなければいけないのは、納品遅延や納入量の少ない場合のペナルティなどです。時間を決めた早朝納品契約など、少し遅れても朝採り野菜扱いにしてくれないなどの声を聞きます。道路事情などで遅れた場合など、事前に交渉しておく必要があると思います。相手も商品は必要なはずなので、うまく交渉して、開店時から店頭に並べることができるようにしたいものです。納入に関して商品の傷みや汚損、破損はこちらの責任ですが、納入後に関しては、相手先責任と考え、返品などは受けないようにする必要があります。お互いの信頼関係を築く点でも重要です。
⑥取引口座の開設・決済条件など
 バイヤーが嫌がることの一つに、個々の農家や企業との取引開始です。トレーサビリティのためなどにカルテの作成はもちろん、上司への「取引開始伺い」などの申請が求められます。どのような農家や企業と新規に取引を開始するのか、
相手にとっては非常に重要な問題です。もしものことが起こった場合、消費者に迷惑がかかるだけでなく、自社や関連する取引先にも迷惑が掛かるからです。
決算書を求められたり、取引の中間(窓口)にすでに取引のある別の卸や商社などの会社を入れるよう求められることもあります。取引条件によっては価格を変更する問題が発生します。また、支払い条件も確かめる必要があります。月末〆の翌月末払いなど、資金繰りにも影響しますから、事前に確認しておく必要があります。昔は手形など、それも支払いが100日手形、台風手形などといつお金が入るのか心配なことがありました。広告会社などは現在でもこうした慣習が残っている企業があります。驚きですが、要注意です。
 なお、催事出展などで注意する必要があるのは、協賛協力の要求です。創業何周年記念なのでと費用負担を求められたり、目玉商品を求められたり、集客が多い場合などや周年行事など、取引先企業によっては協賛協力を求めてきます。
⑦その他
 取引条件の中に、バイヤーによってはオリジナル商品の開発や仕様変更を求めてくる場合があります。売れ筋商品を把握しているバイヤーなどの場合などは、かえって今後の商品開発の参考にもなるため協力するメリットがありますが、買取りでない条件の場合は要注意です。あるスーパーなどは買取り条件でもクレームをつけて返品するなど新聞記事に出ていました。信頼関係の構築のためにも、よく話し合い納得のいく取引方法を採る必要があります。
 最近は、独占販売で行列のできるデパ地下などが良く報道されています。販売する際のブランド名であったり、展開数量であったり、いろいろな取引条件を持ち出される場合もあることを知っておいてください。ブランド名に関しては販売店とのダブルチョップ(連名での販売など)やその店舗用のパッケージ要求などもあるということです。開発費用がかさむわけですから、価格設定などでもよく交渉することが重要です。お互い信頼関係を築き、WIN-WINで持続性のある良好な関係構築に努めたいものです。
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【14】CI(コーポレートアイデンティティ)とデザイン

2021-03-11 10:28:22 | 独り言
6次産業化を進めるうえで相談を受ける内容に、ものづくり以外ではHP制作やシールデザインやチラシ、パッケージデザインなどがあります。
 デザインを子供さんや大学生もしくは知り合いに頼んだ例が多いのに驚かされます。
 それはそれで評価できるものもありますが、あれほど努力して栽培し生み出した「商品」なのに、どこで売りたいか誰に売りたいかを考えていないためか、最後の商品化の部分で残念な例がたくさん見受けられます。
ある関西の有名大学の生徒さんにお願いしたデザインは、本職でもなく、パッケージの色が目立たたず、農家の方は産学連携で開発した商品と喜ばれていたのに、発表会の席で専門家の厳しい意見を聞き、後悔されていた経験があります。
 また、ある大阪の農林水産大臣賞を受けるほどのぶどうの生産を行っている農家でさえ、3,000円のワインに手作りのシールで、高級感も栽培から生産のストーリー性もないシールを作り既成のワイン箱で販売を自園で行っていました。せっかくのモノづくりの努力も商品にはシナジー(相乗効果)を生んでいないのです。まずはそこからやり直すことを提案しました。
 大阪デザインセンターや産創館などでデザイン・シンキング(思考)のセミナーやワークショップの手伝いをしたことがありますが、「デザイン」というと日本では狭義のデザイン、つまりプロダクトデザイン(商品そのもののデザイン)やグラフィックデザインなどを頭に浮かべる方が多いと思います。しかしデザインは広義の事業戦略を含んでいることを理解してほしいのです。
再度、【3】スマートアグリのブログを参照してください。
 話がそれましたが、デザインは事業戦略を左右するものです。その大切さを理解しないと、販売したい場所で商品を売りたい消費者に受け入れられることはありません。
それにはモノづくりの初めから、最終の完成形をイメージすることが大切です。
さらに言えば、CI(コーポレート・アイデンティティ)に対する認識を持つことが重要だということです。
 コーポレート・アイデンティティ(英: Corporate Identity 略称: CI)とは、企業に限らず、農家や農業法人などの組織がその事業や企業文化を作り上げ、その特徴や独自性を統一されたイメージやデザイン、わかりやすいメッセージなどで情報発信し、社会と共有することで存在価値を高めていく企業戦略のひとつといえます。それはデザインだけではありませんが、一見してどのような商品なのか、どこが作っているのか、その際のイメージがもたらす買い手にとっての共感、想いが重要です。
 糸島市の道の駅「伊都菜彩」の「伊都物語」の成功など、成功事例や売りたい場所でのライバルの商品をよく調べ研究することが大切です。
ベンチマーキングの項で述べたことを思い出していただきたいと思います。JALファーストクラスで採用された伊都物語の商品写真を見れば、一見してお分かりいただけると思います。
しかもその濃厚な味、おいしさは何とも言えません。
■デザインを依頼する
ところで、こうした優れたデザインを希望するとき、どのようなことに気を付けなければいけないでしょうか。
実はデザイナーの方は、要望されればほとんどのことはできます。しかしその要望があいまいだと、何をデザインしてよいのかが分からず、ついこちらの要求で「何でもよいからデザインして」では、出来上がったものに対して自分の思いとは違う出来栄えになりがちです。そこはしっかりと、何をデザインとして望みたいのか、他の見本でもよいのでネットなどで集めて示すことです。
印刷物でもネットデザインでも同じです。まずは自分好みの色目やデザイン、形状、レイアウトなど、いろいろ集めて思いを示し伝えることが大切です。
「取りあえず作ってみて」は厳禁です。
■パッケージデザインを依頼する
皆さんが努力して、おいしい加工品が完成しそうです。ではそのパッケージは、どのようにデザインするか、誰(デザイナー)に依頼したらよいでしょうか。
誰に依頼するにしても、想いをしっかり伝える必要があります。
依頼項目を整理してみましたので、チェックシートとして使っていただければと思います。
依頼に当たってはまず開発している、もしくは開発予定の商品の全貌をデザイナー(デザインする人)に伝えることが重要です。
ジャムだからとかジュースだからデザインをお願いするだけでは、たまたまそのデザイナーの感性でよいものになるかもしれませんが、後々で困ることがあります。
せっかくよいデザインなのに、次の開発商品にはそれを生かすことができず、CIにつながらないなど、商談会などでよく見受けられる光景です。
また、できれば加工食品のデザイン経験のあるデザイナーに依頼することも必要です。法規制等習熟していないと、後でシールデザインや内容などで変更しなければならないケースも見られます。
●デザインを依頼するために
1)商品名(仮の名称でもよいのでまずは何を作りたいのか明確にする)
仮の商品名としたのは、デザイナーやコピーライターの経験から、思わぬ良い提案を受けることがあるからです。
本来商品化計画に当たって考えておくべきものですが、思いを伝える際、今後の開発予定や、ご自身もしくは企業としての商品開発へのストーリーを語る中で、他の開発事例などから、修正を求められたり、提案を受けることもあるからです。
2)商品コンセプト
 他社商品や希望商品の写真やイメージで少しでも依頼したい商品のイメージを伝えるようにします。
 ①どこで売りたいか(顧客ターゲットは誰、どのような消費者)(百貨店、スーパー、高級食材販売店、道の駅など)
 ②取引予定先(BtoB、BtoCなど事業者への販売か、消費者への販売か)
 ③販売方法(小売店舗店頭、卸・商社、通販、自店舗HP、直接・間接など)
 ④商品保管・流通方法(常温、冷凍など)等
3)商品について
 デザイナーやコピーライターにも試食してもらいましょう。その際に栽培から加工に至る工程(プロセス)を説明し、できれば、希望するデザインのサンプルや色目などを集めておくとよいでしょう。
 ①パッケージの希望材質、素材検討(開発商品による)
 ②サイズ・大きさ・形状
  開発商品によって売れ筋サイズを把握しておく必要があります。商品による適正な素材・材質もさることながら、口径、蓋、高さ、奥行き、縦、横などデザインによっても工夫が必要です。
 ③表示(表ラベルと品質などの裏表示)
  表面はブランド名や商品名、キャッチコピーなど、何を強調し、アイキャッチャーとするか、売りたい顧客の「真実の瞬間」にマッチさせる工夫が必要です。
  表面のシールの色については、CIも考えて指定する必要があります。
  裏面では食品によって、アレルギーや原産地表示を求められますので、記述に注意が必要です。特に原産地表示のルールは、消費者庁によって基準が定められており、生鮮食品なら、「生鮮食品品質基準」、加工食品なら「加工食品品質
  表示基準」にルールが記載されています。
 ④表示(ロゴマークやブランド名)
  デザインする中で、商標に関して登録してでも独自性を発揮したい場合など他との差異化欲求が出てきます。知名度向上の重要な役割も担っており、弁理士と相談するなど、費用対効果についても十分検討する必要があります。
4)その他
 売りたい場所の確認をした際に、より高級感を出したいのか、奇をてらったデザインにして目を引きたいのか、全く新しい傾向をイメージしたいのか、要望をよく話し合う必要があります。
ビジネスは継続させることが重要ですから、単発的なデザインで終わらせないことがポイントです。
その他、認定証(JAS,MSCなど)や都道府県の地域認定証などの表示についてどのようにするか、事前に打ち合わせておく必要があります。
申請中などの場合は一層後悔しないように気を付け、二重投資にならないようにする必要があります。また、シールデザインだけでなく、パッケージデザインとの連動、パンフレットやリーフレットなどとの同時制作の場合なども、HPでの表現とも合わせて工夫する必要があります。
CI(コーポレート・アイデンティティ)をしっかり決めておけば、ぶれることはありません。
■作成期間と費用
 デザイン料金について、いくら支払ったらよいのか農家の皆さんの中には迷われる方が多くいらっしゃいますが、農業の基本の項で触れたように6次産業化の推進に向けコンサル費用も含め、シールやパッケージデザインなどに700万円も実際に支払った農家の例があります。
 小生は身の丈投資を推奨しています。地域資源活用事業などでも開発にかかる費用から考え、補助金などを活用してHPやパッケージのデザイン、チラシデザイン等を依頼するなど、また補助金の使い方についても地域ごとの違いを聞きながら使い方の工夫をしています。
 ただ、考えなければいけないのは「農業をデザインで変える」という本を出版され、この業界で活躍されているファームステッドの長岡社長のように、時間をかけCI(コーポレート・アイデンティティ)を明確にし、個々の商品デザインやパッケージデザインに落とし込む手間などをかけ、しかも展示会などにも参加しながら消費者の反応を見る方法を採られるような場合には、それ相応の費用が発生すると考える必要があります。
 デザインを工夫する時間とそれに見合ったコストを考える必要があり、ご自身の予算をまずはいくらにするかから工夫しなければいけません。
 デザイナーは要望には応じますが、契約の範囲内で応じてくれるわけですから、CIなどにまで言及すると実際には高い費用を請求されます。今回はラベルだけとかロゴマークやパッケージまでとか、希望する範囲を明確にして依頼することが大切です。依頼した後で忘れがちなのが、修正や追加デザインに対する費用です。しっかり計画して依頼すればよいのですが、ほとんどの方がそこまで計画的ではなく、ついデザイナーに甘えてしまいます。
彼らも時間給いくらで仕事をしている以上、追加にかかる必要や修正費用も考慮しておく必要があります。もしくは1回の修正費用は含んでおいてもらうなどの契約も必要です。一番よくないのは、商品開発の都度、デザイナーを変え、CIがなく、特色を失ってしまうケースです。最初のデザインが肝心であり、いかにそれを踏襲しながら、次の商品開発では新しさを加えるなど工夫する必要があります。それでも総合的にみると、どこの誰か、もしくはどの企業が開発した商品であるか、分かるようにすることが重要です。そのことがブランド化や知名度の向上につながります。

■HPデザイン
 HPを立ち上げたい場合や修正したい場合、どのような依頼をどこにすればよいでしょうか。ご自身で作られる方もいらっしゃいますが、HPでの情報発信も直接ビジネスにつながるものですから、おろそかにしないようにしたいもの、そのためにもある程度仕事としてHPデザインに携わる人に依頼することも大切です。重要なのはデザインだけではなく、変化するSEO対策、最近はさらにMEO対策など、場合によっては顧客との金銭の授受(カード決済等)などへの対応も必要だからです。
HP制作や変更を依頼する際のチェック項目として次のようなことが考えられます。ランダムにですが、考えるべき項目を挙げておきます。

●チェック項目
1.制作費(ページネーションを明確にし、どのページに何を掲載したいかラフスケッチを示し、サンプルなどを提示して交渉する)
2.予算の範囲(SEO対策も含めて、希望の金額を述べる)
3.誰に依頼するか決める(学生よりはWEBデザイナーなどを)
4.プランは2案以上提示してもらう
5.毎月のランニングコストもしくは契約費用について確認する
6.修正にかかる費用の確認(更新費用も同様)をする
7.希望納期(希望の立ち上げ日を述べ、販促などと連動させる必要がある)
8.必要なサポートについて(SEO対策を考え、常時更新を行うなどの際のヘルプを考慮)確認する
9.ドメインとサーバー(新規の際は費用を聞き、すでに持っている場合は、ランニングコストが適正なのか比較検討する)
10.全国有名サイトの調査研究、デザイン収集、自園サイトとの比較等を行う
11.自園ストーリーの整理(強みやこだわりを語る)をする
12.顧客や商品の売りたい場所を決めているか(BtoB、BtoC)(直接販売)
13.商品構成(周年で把握し、ガントチャート等で表せているか)の充実
14.ビジョンや理念、栽培への思いなどについて整理できているか
15.自園で販売する場合、受注システムはどこを活用するか
(最近は月額4,000円を切る契約価格でカード決済なども行えるようです)
16. スマホ・携帯への対応画面はどうするか
17.更新担当は誰、HPの管理及びフェースブックやブログ担当は誰にするか、できればインスタグラムなどでの情報発信も工夫し役割分担を明確にする

コロナ禍で厳しい経営を強いられる中、顧客とのタッチポイントをいかに増やすか、少しでもカスタマージャーニーの現状を理解し、ふれあいと共感を共有するように頑張っていただきたいものです。
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【13】ブランド化

2021-03-08 11:52:08 | 独り言
 地方創生の必要性が語られ地域ブランドの商品開発が全国で行われています。もしすべての試みが成功すれば日本中がブランド商品で満たされるわけですが、なぜそうしたブランド化された著名商品があまり生まれてこないのでしょうか。
 地域ブランドを生み出すことは重要ですが、「ストーリー」性のない普通の商品開発では、ブランド化はむつかしいのです。
 全国で地域ブランド開発の動きがあり、地元でもプレミアム商品選定による地域ブランド商品としての知名度の向上、売上拡大の動きがあります。
実はその中にぜひ加えてほしい商品があります。はちみつの国産品は希少で高価なものですが、奈良県の養蜂組合の皆さんは40年以上も前から蜜源であるニセアカシアなどの植林等を行っています。蜂は蜜をつくるだけでなく、トマトなどのハウス栽培農家などに受粉用に販売もされています。そうした努力、組合の皆さんの連携、日本はちみつ、西洋ハチミツに限らず地域ブランドとしての連携、ブランド化など地域資源としての活用に努力されており、商品づくりにストーリー性があるからです。
 地域ブランド化を図るとき、奈良県のブランドイチゴ「古都華」などの例のように、栽培方法や商品の糖度何度以上などいろいろな認定基準(レベル設定等)を作ることも大切です。
 ただしそうした「ものづくり」だけでブランド化が図れるわけではありません。市場にどのように出していくか、さらなる工夫が必要です。どこで販売するか、そのためにはどのようなシールやパッケージにするのか。どのような情報発信を行うのかなど、ち密な事前準備も必要となります。どれだけモノづくりの価値に共感してバイヤーが選んでくれるのか、その先の消費者に届けられるかが課題なのです。地域ブランド化を図るためにはいろいろな連携も必要です。商品を百貨店や高級食材専門店で販売するだけではブランド化はむつかしいのです。その地域でどこまで愛される商品化が図れるのか。地域のレストランやホテルなどでも使われてこそ、地元の消費者に愛されてこそブランドになります。そのための努力が必要です。いかに地元で愛される商品として浸透していくか、工夫を重ねる努力が求められます。地域の寺社仏閣などの観光資源や温泉など、また、桜やアジサイなど季節の花の名所との連携など、いろいろな連携を行うことが本当の地域資源を生み、活用ができるのです。ただおいしい食品づくりをすればよいのではありません。「連携」の方法の工夫がブランド化にもつながるわけです。後述しますが、「農・食・観」連携を提案している理由がそこにあります。
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