以前中小企業大学の恩師服部吉伸先生や仲間と共著で「人口減少社会を右肩上がり経営で乗り切る」という本を書いたことがあります。感覚的には先の話と思われ、対策も取らずにいる企業もあれば、地方行政のように、学校を新築しても将来は高齢者施設に転用できるような工夫をしているところもあります。
2021年東京オリンピックの開催後、人口は毎年70万人ほど減少していくと予測されていますが、2030年代になると年間平均して100万人ほどの減少になるといわれています。そうなると税収減、設備投資の減、消費の減、生産年齢人口の減による高負担社会の発生などが考えられます。道路、上下水道、トンネル、橋梁、公共施設などインフラの維持がむつかしくなります。予算消化のため2月3月は道路工事などが多かったのに、財源がなくなると、穴だらけの道路などがそのまま放置、行政効率の低下等、市町村合併・再編成などいろいろなことが考えられます。ただでさえ高齢化している社会、農業生産者の平均年齢を考えると、これからの農業がどのような道を歩むのか、このままでは日本経済すら成り立たないような事態が発生するかもしれないとき、今からいろいろな手段を講じる必要があります。
地方創生、1億総活躍社会はそうした危機感から出てきたとも思われますが、自園や自社の在り方について未来像は描けているでしょうか。
事業承継に関して製造業だけでなく農業の現場では、後継者不足に悩む状況が多々見られるようになり、家族内で後継者がいるところは何とかうまく、技術の伝承から始まって経営の継続を図ってほしいと思っています。
企業寿命が30年といわれている中で、古いデータですが2014年に実は倒産企業の企業寿命は23.5年になっていました。その中でも製造業のうちの46.3%、農林水産業の41.3%が老舗企業です。支援先には事業継承を負のスパイラルで継いだ農園もありました。厳しい労働環境、資金繰りなどで、父親のノウハウさえも引き継げずに放り出された状況の方もいます。しかし農業に携わるすべての方に、何としてでも日本農業、その地域の農業を支えてほしいと思っています。そのためにどのような支援ができるのか、微力ながら6次産業化プランナーの仲間とグループを組み、経営革新認定支援機関としても仲間とグループを組みながら、モノ作りから販路開拓、事業再生の支援活動を行っています。
話を戻しますが、地方創生のためには何が必要かということ、いろいろなジャンル、分野で求められていることは多いのですが、まずは農業の活性化のためにこの人口減少社会の中でどのようにすればよいのか、日本にとって非常に大きなテーマとなっています。オランダのような農業先進国と同じことをすれば解決するでしょうか。地域のブランド化を図り、インバウンドによる海外からの観光客誘致で問題の解決になるでしょうか。
■農食観連携
農業に関して、コロナ禍以前から行政の担当の方に提案しているのは「農・食・観」連携です。農水省のHPなどで6次産業化の認定事例を見て今後の事業展開の参考にしていただきたいと思いますが、単に6次産業化に取り組むだけではなく、高付加価値農産物の生産、単独でも連携しても供給力の拡大による新加工品の開発、それらの情報発信と販路開拓、地元レストランやホテル、旅館などと連携した食材開発や加工品の販売、業務用の開発とギフト商品などとしてのブランド化、観光地との連携によるお土産品開発、そうした一連の動きをプロジュースしていくのが行政の仕事だと思います。単体農家や企業だけで集客は非常にむつかしく、小さな点を少し広い面とすることで、地域のブランド化が可能になり、集客も国内だけでなく海外からも可能になるかもしれません。道の駅を作っても、小規模で地域の役に立っても、地域ブランドにまで持ち上げるには努力が必要です。まして観光資源や体験が可能な観光用農地などのない場所で、レストランを経営するのもむつかしいことです。それぞれに「ストーリー」がなければ、誰も来ないし商品を買ってもくれないでしょう。例えば春の桜のシーズン、花や寺社仏閣などの観光資源があれば、水の良い農地でのこだわり栽培ができれば、食材の提供もでき、レストランや旅館ホテルなど、地域の名物として共同して提供が可能となります。地域ブランドはこうして作りあげる必要があります。観光農家や特別栽培農家、レストランや食堂、中小規模の地方ホテルや旅館だけではそれぞれ単体で集客がむつかしい時代、どのように連携し地域の「ストーリー」づくりを行うか、それは街づくりにも関係があります。シャッター通りをどのように活性化したらよいか、地産地消のために食材が地元で供給できる体制になっているのか、100円イベントなどを毎年繰り返し、知名度の向上を図っているところがありますが、大切なのは、イベントでの集客ではなく、日ごろの集客とフアンづくりです。その際の「ストーリー作り」、ブランド化が必要となります。
ただし農食観連携がすべてではありません。求められる持続可能な社会や農業を生み出すためには、いろいろな方法が考えられますが、重要なのは再度日本の農林水産業を活性化させることです。そのためのインフラ整備を長期計画でどのように行っていくのか、まさに100年計画が求められています。単年度で予算のやりくりを行うのではなく、いま、オリンピック後の日本の在り方を再度検討すべきこの機会を、生かす必要があります。
農林水産業のすべてを循環型で持続させ、生活の安心・安全にもつなげる必要があります。製造業の失われた20年を、同時に組み立て直す必要もあります。
そのためには点在する道の駅が地域の生活基盤となる整備を行い、地域農林水産業の規模は小さくても総合産業化を目指すことで、それぞれの地域の生活基盤を守る手段とすること、グリーン・ツーリズムなど都市と地方の交流、インバウンドの動きなどを総合的にコントロールし、集客も循環型で行うなど、日本の各地で「点」で行われている催しを何とか地方だけのものにしないで、周年行事として集客し、活性化するなどの必要があります。規模は小さくてもよいのですが、繰り返し催行できるための支援が必要ですし、地域での採算にも努力する必要があります。今、すべての業際を取り除き、すべての面で総合的に連携する必要がある時期に来ていると思われます。そのための優先事項を100年計画で、納得いく形で示し、継続して推進することが重要ではないでしょうか。
実は地方創生について、ある大学の論文に寄稿したものがあり後日アップしたいと思っています。
内容は「エッジ・イノベーション」についてです。
地方からイノベーションを中央に広げていく、リバース・イノベーションの地方版ともいえるものです。
自分自身のヒントにしているのは、自動運搬車(ロボット)による地方の経済循環を活発化させることです。
スマートシティ構想などが内閣府などからアナウンスされていますが、中国の深圳などの事例を見るとすでに日本はかなり遅れています。飛行場などご覧になられたことはおありでしょうか。
ファーウェイなどの地元に対する貢献は半端ではなくすごい規模の開発につながっています。ITの活用など驚くばかりですが、都市からそれを行おうとすると、カネも時間もかかります。
そうではなくて的を絞って、地方の経済循環を活性化させる方法から始めてはというのが提案です。後日のアップを楽しみにしてください。
2021年東京オリンピックの開催後、人口は毎年70万人ほど減少していくと予測されていますが、2030年代になると年間平均して100万人ほどの減少になるといわれています。そうなると税収減、設備投資の減、消費の減、生産年齢人口の減による高負担社会の発生などが考えられます。道路、上下水道、トンネル、橋梁、公共施設などインフラの維持がむつかしくなります。予算消化のため2月3月は道路工事などが多かったのに、財源がなくなると、穴だらけの道路などがそのまま放置、行政効率の低下等、市町村合併・再編成などいろいろなことが考えられます。ただでさえ高齢化している社会、農業生産者の平均年齢を考えると、これからの農業がどのような道を歩むのか、このままでは日本経済すら成り立たないような事態が発生するかもしれないとき、今からいろいろな手段を講じる必要があります。
地方創生、1億総活躍社会はそうした危機感から出てきたとも思われますが、自園や自社の在り方について未来像は描けているでしょうか。
事業承継に関して製造業だけでなく農業の現場では、後継者不足に悩む状況が多々見られるようになり、家族内で後継者がいるところは何とかうまく、技術の伝承から始まって経営の継続を図ってほしいと思っています。
企業寿命が30年といわれている中で、古いデータですが2014年に実は倒産企業の企業寿命は23.5年になっていました。その中でも製造業のうちの46.3%、農林水産業の41.3%が老舗企業です。支援先には事業継承を負のスパイラルで継いだ農園もありました。厳しい労働環境、資金繰りなどで、父親のノウハウさえも引き継げずに放り出された状況の方もいます。しかし農業に携わるすべての方に、何としてでも日本農業、その地域の農業を支えてほしいと思っています。そのためにどのような支援ができるのか、微力ながら6次産業化プランナーの仲間とグループを組み、経営革新認定支援機関としても仲間とグループを組みながら、モノ作りから販路開拓、事業再生の支援活動を行っています。
話を戻しますが、地方創生のためには何が必要かということ、いろいろなジャンル、分野で求められていることは多いのですが、まずは農業の活性化のためにこの人口減少社会の中でどのようにすればよいのか、日本にとって非常に大きなテーマとなっています。オランダのような農業先進国と同じことをすれば解決するでしょうか。地域のブランド化を図り、インバウンドによる海外からの観光客誘致で問題の解決になるでしょうか。
■農食観連携
農業に関して、コロナ禍以前から行政の担当の方に提案しているのは「農・食・観」連携です。農水省のHPなどで6次産業化の認定事例を見て今後の事業展開の参考にしていただきたいと思いますが、単に6次産業化に取り組むだけではなく、高付加価値農産物の生産、単独でも連携しても供給力の拡大による新加工品の開発、それらの情報発信と販路開拓、地元レストランやホテル、旅館などと連携した食材開発や加工品の販売、業務用の開発とギフト商品などとしてのブランド化、観光地との連携によるお土産品開発、そうした一連の動きをプロジュースしていくのが行政の仕事だと思います。単体農家や企業だけで集客は非常にむつかしく、小さな点を少し広い面とすることで、地域のブランド化が可能になり、集客も国内だけでなく海外からも可能になるかもしれません。道の駅を作っても、小規模で地域の役に立っても、地域ブランドにまで持ち上げるには努力が必要です。まして観光資源や体験が可能な観光用農地などのない場所で、レストランを経営するのもむつかしいことです。それぞれに「ストーリー」がなければ、誰も来ないし商品を買ってもくれないでしょう。例えば春の桜のシーズン、花や寺社仏閣などの観光資源があれば、水の良い農地でのこだわり栽培ができれば、食材の提供もでき、レストランや旅館ホテルなど、地域の名物として共同して提供が可能となります。地域ブランドはこうして作りあげる必要があります。観光農家や特別栽培農家、レストランや食堂、中小規模の地方ホテルや旅館だけではそれぞれ単体で集客がむつかしい時代、どのように連携し地域の「ストーリー」づくりを行うか、それは街づくりにも関係があります。シャッター通りをどのように活性化したらよいか、地産地消のために食材が地元で供給できる体制になっているのか、100円イベントなどを毎年繰り返し、知名度の向上を図っているところがありますが、大切なのは、イベントでの集客ではなく、日ごろの集客とフアンづくりです。その際の「ストーリー作り」、ブランド化が必要となります。
ただし農食観連携がすべてではありません。求められる持続可能な社会や農業を生み出すためには、いろいろな方法が考えられますが、重要なのは再度日本の農林水産業を活性化させることです。そのためのインフラ整備を長期計画でどのように行っていくのか、まさに100年計画が求められています。単年度で予算のやりくりを行うのではなく、いま、オリンピック後の日本の在り方を再度検討すべきこの機会を、生かす必要があります。
農林水産業のすべてを循環型で持続させ、生活の安心・安全にもつなげる必要があります。製造業の失われた20年を、同時に組み立て直す必要もあります。
そのためには点在する道の駅が地域の生活基盤となる整備を行い、地域農林水産業の規模は小さくても総合産業化を目指すことで、それぞれの地域の生活基盤を守る手段とすること、グリーン・ツーリズムなど都市と地方の交流、インバウンドの動きなどを総合的にコントロールし、集客も循環型で行うなど、日本の各地で「点」で行われている催しを何とか地方だけのものにしないで、周年行事として集客し、活性化するなどの必要があります。規模は小さくてもよいのですが、繰り返し催行できるための支援が必要ですし、地域での採算にも努力する必要があります。今、すべての業際を取り除き、すべての面で総合的に連携する必要がある時期に来ていると思われます。そのための優先事項を100年計画で、納得いく形で示し、継続して推進することが重要ではないでしょうか。
実は地方創生について、ある大学の論文に寄稿したものがあり後日アップしたいと思っています。
内容は「エッジ・イノベーション」についてです。
地方からイノベーションを中央に広げていく、リバース・イノベーションの地方版ともいえるものです。
自分自身のヒントにしているのは、自動運搬車(ロボット)による地方の経済循環を活発化させることです。
スマートシティ構想などが内閣府などからアナウンスされていますが、中国の深圳などの事例を見るとすでに日本はかなり遅れています。飛行場などご覧になられたことはおありでしょうか。
ファーウェイなどの地元に対する貢献は半端ではなくすごい規模の開発につながっています。ITの活用など驚くばかりですが、都市からそれを行おうとすると、カネも時間もかかります。
そうではなくて的を絞って、地方の経済循環を活性化させる方法から始めてはというのが提案です。後日のアップを楽しみにしてください。