1031ビジネス・コンサルティング

経営コンサルタントの目で、日々の出来事から、参考になるキーワードを取り上げて、解説したり、情報発信をします。

【15】商談会とマッチング、販路開拓

2022-11-14 17:10:50 | 独り言
 商談会でバイヤーを口説くためには何が必要でしょうか。自園の強みを「ストーリー」でバイヤーにうまく語れるかなのですが、その際バイヤーに「へえ」とか「ほう」と思わせることが大切です。全国の担当商品を勉強してきている彼らでも知らないことがあります。まして初めて面談する農家の環境や栽培方法などよほど全国区のブランドになっている農家でなければ知る由もありません。面談の際、「農林大臣賞」や「知事賞」をもらっているとか、フランスの品評会で賞をもらったとか、いろいろな「賞」に挑戦し受賞歴を語ることも必要ですし、従来の製法や栽培方法とは異なる新たなモノづくりに挑戦し、注目を浴びているなど、いろいろとまだバイヤーが知らないことに対して、日ごろの努力を語ることでバイヤーをうならす必要があります。まずはおいしいのはあたりまえで、その上にさらに強みがあることを説明したうえで、試食を勧めてほしいのです。コロナ禍で試食ができない商談会も多いですが、バイヤーは全国の担当商材を勉強していて絶対食感も磨かれている彼らにとって、すぐに試食を促しても、まあそんなものかと思われるのが落ち、農薬不使用でもここまでおいしいとか、納得させる必要があります。こちらの強みを語りながら、バイヤーが経験してきた中で、いまニーズとして何を必要としているのか、うまく引き出して語らせる必要があります。商談会の時間は意外と短く手短に終わらせる必要もあります。バイヤーが基売場での展開商品を求めているのか、催事での展開商品を求めているのか、その催事はどのような内容でどれくらいの規模なのか、供給力に対してどれくらいを要求しているのか、いつ必要なのかなど、うまく引き出しながら、自園だけで対応できるのか否かなど判断していく必要があります。その中で加工品などに関しては、そのバイヤーの店舗や企業イメージに合っているのか、どれくらいのレベルの商品を求めているのかなどを探る必要があります。せっかくの時間をもらいながら、バイヤーの最終の答えが「検討しておきます」では次につながりにくいのです。アフターフォローをしっかり行うためにも自園の強みを語りながら、相手のニーズを探る必要があります。そこにうまくはまれば、「また連絡する」になり、「こちらから連絡しますので、連絡先を教えてください」という次へのつながりに持っていけるのです。
 供給力や価格面で折り合いがつかない場合もありますが、価格訴求だけのバイヤーならマッチングを無理にする必要もないと思います。日ごろの努力を価値として感じてくれるバイヤーと組むことが大切です。その中ですぐに基売場に出るのではなく、供給力によっては催事などでの展開でテストしてもらうなど、販売機会を得るように商談を持っていくことが大切です。
 バイヤーとの商談が進むにしたがって、契約上の課題が出てきます。以下にバイヤーから要望されるであろう事項をまとめておきます。
■販路開拓・契約上起こりうる問題
①納入価格(納め価格ともいわれます)
 相手からみて納入価格は低いに越したことはありません。日ごろ努力して栽培し、加工等した商品ですが、最初の価格設定が重要です。言われて直ぐに下げるような価格設定ではなく、量的に多く希望されたときには対応するような価格設定が重要です。
②供給量(納入ロット)
 バイヤーがどの売場(基売場なのか催事なのかなど)で、どれくらいの量を希望しているのか、よく聞く必要があります。少量を多頻度で納入するとなると、配送費用の負担が大きくなります。一度に多い場合に仲間と連携して納品できるか、集荷作業も大変です。
③納期・納品方法
 いつの納期でどのような納品方法を求められるのか、対応に気を付ける必要があります。希望期日に発送が可能なのか、本部集中納品なのか、個別店舗発送なのかなど、後で費用負担が増えないように注意する必要があります。
④配送費用
 ほとんどは配送に関して費用負担を考えて納入価格を設定する必要がありますが、遠距離の場合には相手に多少負担を依頼するのもよいかもしれません。
 またパッケージや梱包費用など、相手先要求によっては思わぬ出費になることがありますから、事前に確認が必要です。
⑤条件交渉(買取りか返品有りか)
 交渉で重要なのは、買取りなのか返品有りの契約なのかです。道の駅のように近隣で引き取りに行ける場合はまだよいかもしれませんが、野菜なら総菜にしてもらったりレストランなどで使ってもらったり、魚でしたら「開き」にするなど後工夫をしてもらえると助かります。こうした相手側の工夫に関して最近はあまり期待できませんが、買取り交渉をしてくれるバイヤーも増えています。その分納入価格は厳しくなると思ってください。また注意しなければいけないのは、納品遅延や納入量の少ない場合のペナルティなどです。時間を決めた早朝納品契約など、少し遅れても朝採り野菜扱いにしてくれないなどの声を聞きます。道路事情などで遅れた場合など、事前に交渉しておく必要があると思います。相手も商品は必要なはずなので、うまく交渉して、開店時から店頭に並べることができるようにしたいものです。納入に関して商品の傷みや汚損、破損はこちらの責任ですが、納入後に関しては、相手先責任と考え、返品などは受けないようにする必要があります。お互いの信頼関係を築く点でも重要です。
⑥取引口座の開設・決済条件など
 バイヤーが嫌がることの一つに、個々の農家や企業との取引開始です。トレーサビリティのためなどにカルテの作成はもちろん、上司への「取引開始伺い」などの申請が求められます。どのような農家や企業と新規に取引を開始するのか、
相手にとっては非常に重要な問題です。もしものことが起こった場合、消費者に迷惑がかかるだけでなく、自社や関連する取引先にも迷惑が掛かるからです。
決算書を求められたり、取引の中間(窓口)にすでに取引のある別の卸や商社などの会社を入れるよう求められることもあります。取引条件によっては価格を変更する問題が発生します。また、支払い条件も確かめる必要があります。月末〆の翌月末払いなど、資金繰りにも影響しますから、事前に確認しておく必要があります。昔は手形など、それも支払いが100日手形、台風手形などといつお金が入るのか心配なことがありました。広告会社などは現在でもこうした慣習が残っている企業があります。驚きですが、要注意です。
 なお、催事出展などで注意する必要があるのは、協賛協力の要求です。創業何周年記念なのでと費用負担を求められたり、目玉商品を求められたり、集客が多い場合などや周年行事など、取引先企業によっては協賛協力を求めてきます。
⑦その他
 取引条件の中に、バイヤーによってはオリジナル商品の開発や仕様変更を求めてくる場合があります。売れ筋商品を把握しているバイヤーなどの場合などは、かえって今後の商品開発の参考にもなるため協力するメリットがありますが、買取りでない条件の場合は要注意です。あるスーパーなどは買取り条件でもクレームをつけて返品するなど新聞記事に出ていました。信頼関係の構築のためにも、よく話し合い納得のいく取引方法を採る必要があります。
 最近は、独占販売で行列のできるデパ地下などが良く報道されています。販売する際のブランド名であったり、展開数量であったり、いろいろな取引条件を持ち出される場合もあることを知っておいてください。ブランド名に関しては販売店とのダブルチョップ(連名での販売など)やその店舗用のパッケージ要求などもあるということです。開発費用がかさむわけですから、価格設定などでもよく交渉することが重要です。お互い信頼関係を築き、WIN-WINで持続性のある良好な関係構築に努めたいものです。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

事業再構築補助金 事業計画書作成ガイドブック発表

2022-11-11 00:14:48 | 独り言
事業再構築補助金の審査が終了したと友人の審査員から連絡がありましたが、同時に次回参考にする非常に重要なまた参考になるガイドブックが発表されたというニュースを教えてもらいました。
133ページにわたるガイドブックですが、申請書で書く必要のある項目だけでなく、今まで認定を受けた企業等の分析をAIで行い、その結果を披露しています。
次回申請予定の企業の皆様は、まず関連する事業内容をガイドブックで調べ、どのような内容なら認定度が高いのかぜひ参考にしてください。
友人の審査員曰く、審査員のこれまで審査したポイントをついた内容になっているとのこと、申請書で何を訴えなければいけないのか、しっかりガイドブックの中に書かれているようです。
合わせて公募要領と審査項目を読み、申請でどのような内容が求められているのか確認しましょう。
デジタル技術の活用など、情報発信にしても単にSNSの活用など簡単に考え過ぎていないでしょうか。
もっと競争優位性を考慮した突っ込んだ活用方法が必要なようで、それなりに申請書作成のための時間を割きながら、認定支援機関の方とよく練った申請書作成に努めていただきたいものです。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする