1031ビジネス・コンサルティング

経営コンサルタントの目で、日々の出来事から、参考になるキーワードを取り上げて、解説したり、情報発信をします。

【13】ブランド化

2022-09-22 17:35:07 | 独り言
 地方創生の必要性が語られ地域ブランドの商品開発が全国で行われています。もしすべての試みが成功すれば日本中がブランド商品で満たされるわけですが、なぜそうしたブランド化された著名商品があまり生まれてこないのでしょうか。
 地域ブランドを生み出すことは重要ですが、「ストーリー」性のない中での地域で普通の商品開発では、ブランド化はむつかしいのです。
 全国で地域ブランド開発の動きがあり、地元奈良県でもプレミアム商品選定による地域ブランド商品としての知名度の向上、売上拡大の動きがあります。
実はその中にぜひ加えてほしい商品があります。はちみつの国産品は希少で高価なものですが、奈良県の養蜂組合の皆さんは40年以上も前から蜜源であるニセアカシアなどの植林等を行っています。蜂は蜜をつくるだけでなく、トマトなどのハウス栽培農家などに受粉用に販売もされています。そうした努力、組合の皆さんの連携、日本はちみつ、西洋ハチミツに限らず地域ブランドとしての連携、ブランド化など地域資源としての活用に努力されており、商品づくりにストーリー性があるからです。
 地域ブランド化を図るとき、奈良県のブランドイチゴ「古都華」などの例のように、栽培方法や商品の糖度何度以上などいろいろな認定基準(レベル設定等)を作ることも大切です。
 ただしそうした「ものづくり」だけでブランド化が図れるわけではありません。市場にどのように出していくか、さらなる工夫が必要です。どこで販売するか、そのためにはどのようなシールやパッケージにするのか。どのような情報発信を行うのかなど、ち密な事前準備も必要となります。どれだけモノづくりの価値に共感してバイヤーが選んでくれるのか、その先の消費者に届けられるかが課題なのです。地域ブランド化を図るためにはいろいろな連携も必要です。商品を百貨店や高級食材専門店で販売するだけではブランド化はむつかしいのです。その地域でどこまで愛される商品化が図れるのか。地域のレストランやホテルなどでも使われてこそ、地元の消費者に愛されてこそブランドになります。そのための努力が必要です。いかに地元で愛される商品として浸透していくか、工夫を重ねる努力が求められます。地域の寺社仏閣などの観光資源や温泉など、また、桜やアジサイなど季節の花の名所との連携など、いろいろな連携を行うことが本当の地域資源を生み、活用ができるのです。ただ単においしい食品づくりをすればよいのではありません。「連携」の方法の工夫がブランド化にもつながるわけです。後述しますが、「農・食・観」連携を提案している理由がそこにあります。
 最近も京都の宮津のオリーブ農家の支援を行いました。若い方たちが最近宮津に居を構え、小豆島に負けないオリーブ作りを始められています。植樹してまだ5年経たずこれからの方やオリーブオイルやオリーブ石鹸など商品化にこぎつけた方もいます。皆さんにお伝えするのは、首都圏のバイヤーで宮津の名前や場所を知る人がどれほどいるのか考えてくださいということです。
 地域ブランドとして頑張ってもらうためには、地域の知名度を上げ優れた商品化を目指す必要があります。
 それには個々の農家の頑張りも必要ですが、地域の皆さんの連携による地域ブランドの構築です。地元では組合を結成し、いろいろな活動をされているようですが、支援先は地元産にこだわり、オリーブ石鹸などの加工品を地元企業と連携して開発生産したり、技術力の高い他府県の企業に生産してもらったり、いろいろというよりばらばらでモノづくりを進めています。
 よく調べてみると、石鹸などの化粧品には生産や販売での許可が必要で認可を受けてから販売する必要があります。
 消費者の安心・安全への配慮が求められているわけです。
 知らないで生産したり販売することはもってのほか、商品づくりには消費者の安心・安全に一番注意する必要があります。そのうえで特色や特徴を持ったものづくりが求められます。
 同じ気候・環境の中で、同じような栽培方法を採用するなら、地元で連携し地元ブランドとしてCI(コーポレートアイデンティティ)の工夫を凝らし、その中で個々の特徴を生かすものづくりが、地元ブランド化、個々のブランド化につながります。そのうえで、消費者への情報発信、サービスの工夫などを加味する必要があります。
 クラウドファンディングによる商品化、完成した商品のプレゼント、植樹したオリーブの木のオーナー制度等いろいろな方法を採用し情報発信に努めながら地域ブランドの育成に連携して協働の精神を忘れないようにしていただきたいものです。
 新たに参入してこられた地元を愛する女性の皆さんの力を、もの作りだけでなく販促など多方面に活かせるかがポイントかもしれません。

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本の紹介 「サクラジャパン 復活への道」芙蓉書房出版

2022-09-18 16:23:50 | 独り言
小生の大学の先輩で、現在の授業を受け持っている大学の前学部長でニューヨークのコニカミノルタ社長でもあられた釣島平三郎先生が「サクラジャパン 復活への道」という本を著されました。
「危機に立つ国家日本への27人のグローバリストの提言」ということで日本がなぜここまで凋落してしまったのか?
ビジネス・スペシャリスト、企業家、コンサルタント、弁護士、学者など27人のグローバリストが「日本復活への道のり」を示しています。
各人独自の分析で非常に面白く一気に読ませていただきましたが、小生も少しだけ参加しています。
釣島先生自身はビルゲイツ、スティーブ・ジョブズ、ジャック・マー、日本では稲盛和夫氏などについて触れておられます。
マーク加藤さん等15名ははデジタル化についてなどアメリカから見た日本について、小生を含む12名は日本から見た反省とこれからの活路について著わしています。
興味のある方の部分だけでも読むことが可能なのでぜひ、参考にしていただければと思います。
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[12]何を作る 続き 🔳加工食品の商品コンセプト構成項目

2022-09-03 11:45:36 | 独り言
少し時間が開きましたが、加工食品の開発をする際の商品コンセプトを構成するいろいろな項目について、チェックすべき項目を載せておきます
🔳加工食品の商品コンセプト構成項目
(1)商品の基本的な機能
①商品の形状(例えばジュースなどの液状なのかジャムなどのゼリー状なのか)
②内容物(果汁100%とか濃縮還元なのか、添加物や着色料をどうするか)
③キャッチコピー(のど越しすっきりとかイチゴ丸ごとジャムなど)
④栄養機能等(機能性表示、有機野菜ジュース、機能ジャム等)
⑤顧客(健康志向の女性、健康家族の朝食の友など)(どこで売りたいか、から工夫をするのもよい)
⑥価格(「松竹梅」戦略、高価格戦略と普及価格戦略など)
⑦品質保証期間(添加物などの工夫、最近は長いとかえって売れない)
(2)容器・シール・パッケージデザイン
①容器の種類・大きさ(瓶、アルミ缶など、当初は既製品からスタート、容量や大きさに注意)
②ブランド(CIを考え、長期的に使え、販売先の工夫も必要)
③ネーミング(ブランドにマッチしたもの、商標登録も視野に)
④表示(シールの文字フォント・デザインの工夫、裏側の法定表示必須)
⑤デザイン(容器が既成品の場合、シールなどで強調表示などデザインの工夫を)
(3)商品の付随的な機能
①販売先チャネル・場所(百貨店、高級スーパー、高級食材専門店、直販等)
②流通チャネル(サプライチェーンの活用、全国・地元地域・限定販売など)
③顧客開拓(展示会出展、農食観連携、体験農場の設置等)
④販売促進(マスコミ、パブリシティ活用、情報発信方法の工夫・・・HPなど)

 なお、次に6次産業化で加工品から販路開拓に至るプロセスの流れ(フロー)の案を記しますので、参考にしてご自身でチェックシートを作っててください。
パソナ農援隊のセミナーでは「商品概要書」として説明を求められましたが、ここでは加工食品の開発ということで商品計画書として記述します。
🔳加工品における商品開発の流れ
(1)企画段階
 ★商品計画書(概要書)を考える
  ①市場動向調査(消費者分析、競合分析、SWOT,3C分析など)
   少なくとも株式会社組織となると、時間をかけて行う必要がありますが、ついおろそかにしてしまう商品開発の入り口として重要なところです。
  ②商品コンセプトの工夫
  ③S・T・P(経営資源を考え、顧客ターゲットや売りたい店舗を工夫する)
  ④マーケティング・ミックス(製品計画、パッケージング、価格、ブランディング、流通経路、物流、人的販売・サービスの質、販売促進、陳列を含む広告等)の工夫
(2)開発段階
 ★開発計画
  ①開発商品の内容・品質(糖度や栄養分など)の基準(レベル等)策定
  ②進捗状況(開発プロセス)の確認
 ★商品開発
  ①開発案の妥当性検証
  ②消費者の声を聴く(支援センター等に相談)
  ③開発技術レベルの検証(農林水産研究所など支援センター等に相談)
  ④事業目標(売上・利益・投資計画)設定・内容検証
  ⑤役割分担・連携策(組織内、外部関連事業者等)
  ⑥加工食品の容器決定(素材、大きさ、シール、外観デザイン等)
  ⑦加工食品の内容確認(保存性、消費者嗜好、規格妥当性)
   ベンチマーク(競合他社調査)、素材のトレーサビリティ、カルテの制作等を行い、事前に支援センターなどに相談をすることが重要です。
   開発した後での支援ほど修正がきかず困ることがあります。計画化段階での相談をぜひ行ってください。
 ★商品化
  ①素材確認、調達先確認(供給力や内容について、自園以外の仕入れが発生する場合もあります)
  ②施設・設備投資額確認(6次産業化申請準備)(施設整備事業の場合注意)
  ③生産加工技術習得等対応準備(マニュアル等の整備)
  ④総原価(コスト)計算・損益分岐点把握
  ⑤法規制等への対応(安心、安全対策)保健所対応等
 ★マーケティング・ミックス
  ①加工商品開発企画案の検証(新規性、市場性、収益性等)
  ②市場投入・育成計画
  ③食品表示の適合性確認(容器シール等)
  ④CI確認、デザイン適合性確認
  ⑤ブランド・ネーミング・商標登録等
  ⑥販売促進計画(HP,SNS,チラシ、リーフレット、パブリシティ等)
(3)導入準備
 6次産業化総合化事業等における施設整備事業の場合、申請認定後具体的な事業推進となるため、開発スケジュールに注意する必要があります。
 加工先工場と連携する場合は、衛生確認などを行うため、次の工程に移ります。
 ★施設・設備検証
 ★生産ライン検証・テスト生産(計画通りの商品ができているか)
 ★テスト販売・商談会参加等(外注の場合最低ロットが発生、その処分が必要)そのため、自園での試験販売、商談会でのバイヤー面談の実施、支援センター等を利用した開発商品の評価確認を行う必要があります。
(4)本格生産と販売
 ★商品の確認
   計画した規格通りの商品に上がっているか検品
 ★販売
  ①主要販売先の決定(納入価格、時期、容量・納入量等取引条件確認)
  ②その他取引先決定(同上) 納入タイミング表の作成
  ③宣伝・告知方法等の交渉(販売開始日決定、媒体等)
 ★商品のブラッシュアップ(改良)
  ①売れ行き確認、バイヤーとの面談・情報交流
  ②コストダウン、商品改良等の工夫(継続的)
  売れ行きを見ながら、味の見直し、容器、シール、パッケージ等の見直し(包装資材・仕様・価格等)や生産ロットの見直し(取引先加工場等との交渉や自社・自園の設備見直し)等を継続的に行う必要があります。

商品開発に当たっては、少なくともどのような考えで商品開発をしようとするのか、それは誰のためなのか、消費者ニーズを明確にし、ベンチマークを行い、ライバルとなるであろう商品をよく調べたうえで、独自性はあるのか、強みを生かした商品としてストーリー性はあるのか、ただ開発しただけではないのか、売りたい先で取り入れてもらえる商品か、それで儲かるのかなどをしっかりと把握していただきたいものです。
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